消滅の天丼を求めてビーナスライン

10月30日(日)

失業したのにツーリング三昧と行く訳にもいかないが、今回のプロジェクトは既に実行が決定しているので行かなければならないのであった。決行の迫る2、3日前にどこに行くのかという最大の課題が議論され、私は一生ツーリング生活さんのグルメツーリングを案件として提出したのだが、あっさりスルーされて、ビーナスラインの利休庵に行きたい!というマエダンゴさんの意見が決定! 丁度ビーナスラインに行きたかったしなー。ごめんね、一生さん。

さて、当日は前の日までの雨がウソのように晴れ渡り、これはまさしくビーナスライン日和。女神も微笑むツーリングになりそうだ。気分もノリノリなので、集合時間にまだ早いじゃんと妻の眠そうな声も無視して7時に家を出てしまった。北海道の悪夢から生還し復活したHONDA最強のバイクCB1300は、エンジン始動1発でかかり、タイヤもバトラックス新品だぜ。行くぜ!

あ、手袋間違えて左手を2つ持って来てしまった。家にもどって正しい装着をする。今度こそ出発だ。

コイーンと日曜の朝のさわやかな空気を切り裂いて走って行く。小牧東インターチェンジから高速道路に乗って、集合地点の内津峠PAに向かう。すぐに付いた。小牧東からこんなに近かったんだ。あれれ、7時20分だ。まだ誰もいないだろうなあ、と思ったら蘭さんは既に到着していた。今日のマシンはGPz900Rだ。「7時に着いちゃいましたよー」って、早すぎ。二人で今日のコースを検討しつつ、積もる話に花を咲かせて、あっという間に8時近くなった。マエダンゴさんがこないので何かあったかと心配していると、ツーリング魂が遠方からもひしひしと伝わってくる気合いの入ったZR1100が現れた。おお、あれがまさしく、噂に聞く走るグルメツーリスト、食いしん坊万歳のマエダンゴさんだった。さっそく挨拶もそこそこに、今日のコースを話し合うが、マエダンゴさんはとにかく11時までに利休庵に行きたいとのことで、ではまず利休庵に行ってそれから考えようかと結論。出発となった。

先頭は約束通り、高速走行がもっとも苦手なCB1300が行く事になって、それではノンストップでがんがん行かせていただきます。気温は低めだが、フル装備なのでさほど寒くはないので制限速度80キロの中央道をピー(自主規制)キロからピー(自主規制)キロでかっ飛ばす。しかし、かっ飛ばしていても、高速クルージングを得意とする2台は散歩をしているようについてくる。さすがです。

恵那SA で給油して、蘭さんの「寒っ」とぼやきも聞こえるなか、再び中央道をかっ飛ばす。途中で雲が空を覆ってやばいかと思われたが、すぐに晴れて来た。どんどん走って、あっという間に分岐点まで来た。あれれ、岡谷ってどっちだ? 案内が取って付けたように貼ってあったのでわかったよ。左だ。長野自動車道に入って最初のインターチェンジが岡谷だ。10時ちょっと前に到着、ここまで約2時間だ。高速を降りて、料金所がハイウェイカード廃止で通過に手間取るぜ。くそ。3台揃って、今度はマエダンゴさんが先頭に走って行ったが、道がわからないので蘭さんが先頭に代わる。蘭さんを先頭に国道20号線、国道142号線を経由してトンネルが有料なので和田峠をウネウネ曲がった山道を走って越えた。そして遂に、我々はビーナスラインに突入するのだった。でもその前に一服。バイクを止めて二人は一服。Kawasakiの軍団がコイーンコイーンと走って行く。さすがビーナスライン、走り屋のメッカだ。

我々も出発する。ビーナスラインを下ってエアコンの名前にもなった霧ヶ峰を見ながら大門峠に達する。ここまで来ると標高がかなり高いので寒いぞ。見晴らしはすごくいいが。車やバイクが多いので賑やかでいい。

とか何とか言ってるうちに、あっさりと利休庵に着いた。まだ開店していないのに、待ってるお客さんが何人もいた。バイクを止めて行列に並ぶ。慣れたもので、マエダンゴさんが名前をノートに書いてくれた。11時開店で、店に入って奥の方の関を陣取った。ここで最高機密が明らかになった!! なぜマエダンゴさんがここにこれほどこだわったのか? 多くの人々を悩ませたその謎が今明かされる!! 実はこの店の名物の天丼が、11月18日をもって終了するのだ。それを食わずして、グルメツアラーと言えるか?そんな思いでマエダンゴさんはここまで来たのだった。何と言うプロフェッショナル魂。ソンケーしてしまうのだ。ではそれに付き合おうと、3人とも天丼を注文するが、ななななんと、1テーブル2人までの注文とさせていただきます。時間がかかるので1時間ぐらい待たなければいけないかも知れません。この強気な姿勢は商品に対する不敵なまでの自信か? しかも、マエダンゴさんによると、かなり大きいからって、じゃあ、小天丼にしておこう。大人の蘭さんはじゃあ、僕は別のでいいですよと自己犠牲の心遣いをしていただき、かきあげ丼を注文した。

待ってる間にまたまたツーリングの話で盛り上がる。みんなあちこちいきまくってる強者なので盛り上がった話はどんどん続くのであった。そうこうしているうちにかきあげ丼が来た。

な、なんじゃこりゃぁー!(松田優作風に)

かきあげ丼はどんぶりの大きさよりでかく、まるで天井に着かんばかりにそびえたっていた。こんなでかいかき揚げを、初めて見ました。一体どうやって揚げているのでしょうか。蘭さんも目をぱちくり、こんなに食べれないよぉと弱気な発言。いやー、わかる。これは食いきれんよ。続いて天丼が来た。

な、なんじゃこりゃぁー!(松田優作風に)

かきあげ丼もすごいが、天丼もすごいぞ。ありとあらゆる天ぷらが、文字通り、どんぶりのご飯に突き刺さって天を射るようにそびえ立っているのだ。さらに驚くべきは・・・え、これで小天丼なんですか。これでですか、この大きさで小なんですか。そして遂に我々は第3次接近遭遇を身を以て体験するのであった。

な、なんじゃこりゃぁー!(松田優作風に)

天丼が到着した。小天丼などひよこのようだ。その本物の天丼はまさしく巨大な全貌を表したのであった。かつてアメリカ海軍潜水艦アッチャーフィシュ号が遠州灘沖で試験航行する超ど級戦艦大和を目視した時は、きっとこんな気分だったんだろうなあ。

でも、マエダンゴさんと並べると普通の天丼だね。

それから30分、ただひたすらに天ぷらを食う3人の姿があった。

結局、完食できたのはマエダンゴさんだけで、残り2人はギブアップです。マエダンゴさんは目的を達成して満足そうです。

では出発だ。次は温泉だ! 蘭さんが行った温泉で、小斉の湯という素晴らしいお勧め温泉があるのでそこに行く事になった。これは私の希望です。観光客がわんさか押し寄せる白樺リゾート池の平ホテル〜と音楽もおなじみの白樺湖を通過して、蓼科に向かう。観光客の車が多い、バイクも多い。ちょっと道を間違えたが、問題なく到着した。

これがうわさの天空の温泉(命名by蘭さん)か。早速入ると、宿泊施設の中の温泉なのでフロントで700円払って部屋のある通路をてくてく歩いて温泉に行く事になる。手書きの地図が廊下に貼ってあり、なんじゃ、いくつ温泉があるんだここは! わけがわからんので一番見晴らしのいい見晴らしの湯に行くことにした。

歩く事歩く事、すると、紅葉も美しい山の中の高台に温泉があった。寒い体を温めようと、早速脱いで風呂場に全力疾走する。蘭さん入って熱いよ! と叫んでいる。とりあえず体を慣らさないとな。かけ湯を一生懸命して、それから入った。これで大丈夫だと思ったが、熱いよ! それでも徐々になれて来たのでゆっくりくつろぐ。実にいい感じだ。見晴らしもいいし、紅葉もきれいだし。言う事なし。話はやはり温泉の事になり、いつの間にか話に入り込んだ浜松のおじさんを加えて議論は果てしなく続くのであった。ちなみにおじさんのお勧めは湯谷温泉だそうで。

温泉を出ると2時になっていた。そろそろ帰らないと時間がないなあ。美ヶ原に行くのはやめて。来た道をもどるような感じで行く事になった。さすが温泉暖まるわい。ぽかぽかで3台揃って帰路についた。

帰りの高速は恵那から大渋滞で往生こいた。

小牧東でみんなと別れる。

7時半頃に家に着いた。

本日の出費

渋滞した高速道路 6800円

天丼(小)1560円

ガソリン 3500円くらい

お茶    130円

温泉 700円

走行450キロくらい

13000キロ突破


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