20年ぶりの寒波に挑んで惨憺

12月17日(土) 晴れたり曇ったり雨になったり

 12月になってからの急激な冷え込みはこれまでの常識を覆す事態となった。これまでは、年内ならまだ高山辺りまで足が伸ばせたのだが、今年はすでに岐阜路は全て雪の中である。おお、何と言うことだ。まさしくこれはデイアフタートモロウの予言通り! こうして地球は氷河期を迎えるのか! やばいやばすぎる。

 氷河期が来る前にツーリングに行かなければ。

 ということで、気象情報によると、20年周期に訪れる大寒波、雪が降るでしょう、寒いでしょう、路面が凍結するでしょうとオートバイにとって逆境とも言える状況下にあるにもかかわらず、人生も逆境の時期なので、こんなことでビビっていられないのである。目的地は、某サイトからの極秘情報の温泉である。三重方面で、確認するとまだ雪は大丈夫そうなので、でも温泉のホームページは最新情報で雪が降って道路が凍結してます気をつけてねとあったので、状況によっては目的地の変更もあり得る。行ってみりゃわかるさ。

 寒いので、やはり登場していただかなければなるまい。その通り、クシタニツーリングワンピースである。このライダーの防寒対策戦争に終止符を打つ究極の最終兵器が出動だ。早速フル装備で準備万端、ポーズを決めるとまっちゃんがぼそりと『デブに見える』

 ぐわーーーーーーん。

 鏡を見ると、確かに着膨れダルマ状態。ちょっとかっこ悪いなあ。おかしいなあ、クシタニのカタログのバイクに乗った写真はチョーかっこよかったのに。うーむ、まあいいか。あったかいんだからまあいいや。ブーツを履いて行ってきますと実家のガレージに向かう。まっちゃんが『倖田來未がテレビに出てるよ、えろえろだよ』『なにい』慌てて戻ると『うそだよーん、バッカみたい』がっくり。

 気を取り直して実家のガレージからCB1300を引っ張りだし、エンジン始動。まずはいつもの通りにガソリンを補給し、それから坂下経由で19号線に出る。ぜんぜん寒くない。コオーンとスピードを上げていく。寒くないぞ。天気は曇りがちだが、青空が見えるので良しとしよう。19号線をどんどん走って勝川から高速道路に入る。ハイウェイカードが廃止になったのでお金を払うのに苦労したが、もう面倒なので堂々とゆっくりやってやった。今回は時間短縮のため、高速道路を使うのだ。2時間で目的地に達して、2時間滞在、2時間で帰る予定。夕方からの寒波と悪天候を避けるのだ。完璧な作戦のはずだ。

 高速に入ると流れも順調、ガンガン走って行く。制限速度は実は60キロなのだが、それをはるかに凌ぐピー(自主規制)キロ! あっという間の30分で名古屋西まで来た。この調子で走るぞ。ハイスピードでも寒くない、さすがツーリングワンピース、でも指先は冷たくなってきたぞ。インナーグローブしてくれば良かったな。まあいいや。ガンガン走って行くぞ。後ろからベンツが追い上げてきやがったので、なめんなとばかりにコンコンとギアを落としてぶっちぎってやったぜ。そしたら反対車線にパトカーが走って行ったのでビビってスピードダウン。ベンツに抜かされてしまった。仕方がない。

 さらに走って行くと、急激にスピードダウン、一体何があったのだ? するとオービスだった。すごい、みんなよく知ってるなあ。こうして観光バスを抜いたり抜かされたり、すごいでかいトレーラーを抜いたり抜かされたりしつつ、9時くらいに亀山インターに到達した。料金所のおじさんに『寒いから気をつけてね』と言われた。実はあまり寒くないのだが。でも指先はかじかんでる。困ったな。左手を走りながらエンジンで暖をとるが、右手はそういうわけにいかない。こうなったら一刻も早く温泉に着かなければ!

 名阪国道に入って、調子良く走って行くが、伊賀あたりで急激に天候が悪化した。路面がびしょぬれ、あたりは一面雪で真っ白、空は厚く暗い雪雲で覆われ、山の頂はすっぽりと雲の中だ。これはやばいと思って走っているとぽつりぽつり雨が降ってきた。げげー、やばすぎる。こんなはずでは・・・。

 なんとか中瀬インターまで来て、名阪国道から163号線に下りる。するとあたりの路面は路肩シャーベット雪積載状態でべとべとだ。インターを下りてすぐのミニストップに入り、状況を分析する。どうやらことは思った以上に深刻なようで、この場所でこれではこの先これ以上にあれな事態に陥ることが大いに懸念されるわけで。

 まあ、行けるところまで行ってみるか。

 相変わらず安易で無計画な性格が、さらに先にバイクを進ませた。万が一のためにスピードは抑えめで、地元の軽自動車にも抜かされたが、そこは大人のたしなみと言うことで、意外に進めるじゃん! やがて目的地の温泉の看板が現れた。後4キロくらいだ。交差点を曲がって山道に入るので、この先大丈夫か不安になる。そう思ったところに白く凍結した路面が出現! ビビったが何とか通過、続いてカーブの白い凍結路面! これもクリア、するとその先に遂に最終ボスが現れた! 下りカーブの凍結路面、しかも、凍結の状態がカーブの先で見えない。これはいかなことにも危険だ。バイクを止めて徒歩で確認すると、かなり長い凍結路面だった。下りのカーブと言うのも危険だ。もうこれまでだな、撤退しよう。撤退!? 逃げるんですか! このままでは転倒するだけだ。撤退する! 古代わしに続け! という感じで断腸の思いで180度反転した。

 ミニストップに戻って、取り合えすお茶とパンで腹ごなしして、実はこの事態は想定の範囲内で、ここが駄目だったら、鈴鹿のさつき温泉に行くつもりだったので早速地図で場所を確認し、出発する。10時ちょっとすぎなので、まだ時間的にも大丈夫だし、名阪国道に戻って亀山から鈴鹿のあたりまで来ると、さっきまでの雪景色はウソのように消え、晴れ晴れな天気になってきた。鈴鹿サーキットの案内板があちこちに見えるようになってきて、天然温泉鈴鹿ロック温泉の看板もあった。初耳だな。今度行ってみよう。そこから少し走ったところで枝道に入って、線路を越えるとさつき温泉だった。

 この温泉、おもしろいのは農協? みたいな施設の裏手にあって、そこが管理運営しているようだ。地元のじいさんばあさんが出たり入ったりしている。早速バイクを自転車駐輪場の気合の入った世界のスーパーカブの横に止めた。そして建物に入ると左右に下駄箱があるのでブーツを脱いでいれた。小さいので1カ所に1足づつ入れた。発券機で入泉料金500円を払い、受付のおばさんに渡す。風呂場は入ってすぐに左右に分かれて男湯女湯がある。右手の男湯に行く。そこそこのロッカールーム、無料ロッカー縦長にフル装備を突っ込んで、いそいそと風呂場に行く。さすが地元の湯、機能優先で軟派な風呂は全くない。露天風呂さえない。洗い場とかけ湯、内湯のみ。硬派な温泉です。体を洗ってゆっくりと湯船につかると、冷えきった体に血の巡りが戻る。うーむ、天界天界。

 十分に堪能して出た。これだけ冷えた外気の中を走って、目標変更のアクシデントを乗り越えて入った温泉は格別だ。風呂上がりにポカリスエットを飲んだ。500ミリリットル缶が120円だよ。安い! あとは昼飯だが、ここは食事が館内でとれないのだ。向いにあるレストランさつき亭で飯が食えるのだが、昼なのにガラガラなので行くのをやめた。途中でコンビニで何か食うことにした。

 12時30分、温泉を後にして、下道で帰る。途中で、まっちゃんに頼まれていた永餅を、桑名の1号線沿いの直営店で買った。店員さんが『寒いのにオートバイですか、永餅は横にすると中身がよっちゃうから気をつけてね』いえ、寒くはないんですが。手は冷たいんですけど。永餅をシートにくくりつけて、あとは一目散に帰ってきた。

 津島一宮間で雨に降られた。いやー、雪が降るかもとは思ったが、雨が降るとは想定外だった。全身びしょぬれだ。しかし、新開発素材のツーリングワンピースは雨でも撥水加工のお陰で全然問題ないのだ。でもグローブは悲惨だ。家に帰ったら手入れが大変だな。

 小牧辺りまで戻ってきたら、やっと雨もやんで晴れてきた。

 4時近くに、やっとこさ家に着いた。155号線の名古屋の渋滞を避ける迂回路というのは、もはや過去の話だな。今後は市内通過のルートを考えた方が良さそうだ。

本日の出費

ガソリン カード

高速 1650円

温泉 500円

ポカリ 120円

お茶パン 200円くらい

14000キロ突破!


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