夏日の奥飛騨を駆ける、温泉シールカウントダウン黄金篇完結篇

5月1日(月)

 去年、真ん中の湯でひょんなことから始めた温泉シールラリーだが、遂に36湯完全制覇が目前となったのであった。昨日、ひだまりの湯を制して、後残る2湯は奥飛騨の温泉、冬の間は雪が心配で行くことができなかったが、今日から5月、もはや妨げるものは、何もないのだ。幸いなことに天候も晴れ、但し山岳地帯は所によりにわか雨か雷雨があるでしょう、って、ほとんど博打の様な天気予報だが、当たってくれることを祈って、何せ、奥飛騨なので時間がかかることを計算して、朝7時に出発することにした。昨日小雨にやられて汚れたCB1300だが、引き続き出発なのである。天気予報は前述した通りだが、何と、気温がかなり上がって汗ばむ陽気になるでしょうって、マジですか。ほぼ冬の装備では暑いか、それとも目的地の奥飛騨のことを考えると、多少厚着でも大丈夫か。とりあず、ほぼ冬装備で聞くことにする。暑かったら脱げばいいし、シート下に十分入るし、しかし、最高気温予想29度って、ほとんど夏じゃん。

 ということで、昨日と同じように19号線に出て、そこでセルフ満タンにガソリン補給する。昨日126円だったのに、今日は128円かよ。値上がりしてやがった。昨日給油しておけば良かったと後悔することしきりだが、今となっては後の祭りなのであった。後悔役立たず、ただひたすら悔やむのみ。

 19号線から多治見、可児、川辺といつものルートを走る。内津々峠を越える道は高速道路かというハイスピードアタック、こっちは制限速度+αなんだが、まわりは制限速度の2乗くらい、勘弁してくれよ。そうかも思ったら、可児あたりから先頭はハロワで求人が出ていたエブリ-24の4トントラック、「私は安全運転するから急ぐなら先に行ってね」という形から入る事故予防運動のシールがそのまんまの、時速40キロ超安全運転なんだよなこれが。もうちと何とかならんのでしょうか。なんとか41号線に出ると、今度は飛騨運輸の大型トラックが先頭で、「模範車両」のシールが誇らしげに張ってあります。超安全運転時速50キロですよ。参ったなこりゃ。こっちは急いでんだ、10時までにすくなの湯、昼には平湯、5時に戻ってまっちゃんを迎えにいかないと、この先のオートバイ人生に暗雲が立ちこめることになるので必死だ。しかし、急がば回れという言葉もあるしな。事故ったんでは元も子もないので、そこは大人の分別をわきまえて走るのであった。

 こうして、突っ走りまくって1時間半後に金山、3時間後に高山に達した。まあ、普通のペースかな。高山で158号線に入り、ラーメン屋のでかい看板があるドライブインでトイレ休憩、そして温泉の場所を確認した。この道を走っていけばあるはずだ。

 早速、再び走り出す。久しぶりの奥飛騨だ。高度がぐんぐん上がっていくと、遠くにアルプスの山々が雪を冠していい感じですね。しかし、ゴールデンウィークだというのに、あまり混雑していないのは意外だ。みんな海外旅行に行ってしまったようだ。さすが、戦後最大の好景気、持ってる人は持ってるね。まあ、バイクで日帰りツーリングに明け暮れる私には関係ない話で。

 閉鎖中の乗鞍スカイラインの横を通り抜け、さらに進むとすくなの湯の看板が現れた。マエダンゴさんの言った通り、スキー場の中の温泉なんだな。シーズンの過ぎたスキー場、何だか哀愁が漂うなあ。ITバブルが崩壊した跡のシリコンバレーみたいで、駐車場には車が数台、見上げる山々には雪がちらほら残り、山肌が露出して、穴まるけの障子のような寂しさ。温泉やってるんかな。スキーの時期が終わったのでもうやめましたなんてことないだろうなあ。バイクを止めて、ホテルの前まで行くと、営業中の看板が出ていた。良かった。ほっと胸を撫で下ろし、階段を上ると玄関から入った。ブーツ脱いでフロントに行く、シールを貼ってもらう。「ああ、残りはひらゆの森さんですか」そうです完全制覇です。入浴料金を発券機で払って、何と、ここの温泉は男湯3階なのだよ。エレベーターに乗って温泉に入るなんて、初めてか? どこかにあったような気がするが、ダメダ思い出せない。まあいいや。3階で降りると、すぐ横に入口あった。こじんまりした暖簾がかかっている。入っていくと、ホテル付属の温泉らしく、ロッカーは脱衣籠が多い。そういうことなら、脱衣籠に荷物を突っ込み、貴重品だけ、貴重品ロッカーに入れた。閑散としていた駐車場と比例して客は他に一人だけだ。いも洗いよりはいいな。いそいそとお風呂に入ると体を洗って、まずは内湯に入った。おお、さすが3階、展望が俄然いいぞ。お湯も硫黄の臭いがほんのりとして、いかにも温泉らしいぞ。鷲が岳といい、スキー場の温泉は意外にいいぞ。露天風呂の方に行くとさらにいい。気持ちいい、天界天界。満足して出ると、割引券を使うのを忘れたことを思い出し、服を着たらフロントに急いで戻って、そのことを訴えた。そしたら100円返してくれたよ。良かったー。気分がいいのでここで飯にしよう。レストランに行くと誰もいない。食券を買う。飛騨らしく朴葉みそ定食にした。カウンターに食券を出し、席を陣取ってしばし待つと意外に早く来た。食う。美味い。量も多くなく少なくなくちょうどいい。食ったらいよいよ最後の温泉平湯に向かうことにする。

 閑散とした駐車場をあとに、シーズンオフのこのホテル採算とれるのかいなと余計な心配をしつつ、さらに高度を上げる158号線を飛ばす。天気がいいのでバイクともよくすれ違う。気持ちのいいカーブが続く山岳ロード、平湯トンネルを抜けると、急速に高度を落とし、平湯に入る。あたりには溶けきっていない雪が大量にあり、山奥の感じがひしひし伝わってくるのであった。平湯の森は安房トンネルの近くにあるはずだが、わからん。どんどん進んでいくと、山の中に入ってしまったので、これは違うなーと判断。戻ったら、交差点を過ぎたすぐの所にあった。こんなに大きいのになんで見落としたのだろう。

 駐車場に入る。バイク軍団がずらーっと止まっていた。空いている所に止めて、建物に向かう。古く濃厚な造りだが、最近できた温泉なので、あらかじめそういう雰囲気に作ったのだ。そういうのってちょっとやだな。自動ドアをくぐって入る。ブーツを脱いで、カギもない下駄箱に入れる。受付でシールをもらう。「すごいですね」と女の子に言われて得意げになって、入浴料を500円発券機で買って、温泉に移動する。長い回廊を歩いて、道に迷いそうになるな。奥の方に、斜めに暖簾がかかっているのがあった。男湯だ。早速入ってみる。ロッカーは少なく、脱衣籠が多い。ロッカーは100円なのだが、リターンではなく有料なのだ。おいおい、いまどき有料ロッカーかよ。説明書きを見ると、温泉施設維持のため、有料にご協力くださいだってさ。なんだかなー。風呂に入ると、中も古き良き温泉をモチーフに作られたような感じ。確かにいい感じだが、わざとそういう風に作ってあるのがどうもなあ。体を洗う。そしてまず内湯に入る。湯の華が浮いていい感じの温泉の湯だ。次はここの目玉の露天風呂だ。いくつもあるから全部入ってやる。勇んで露天に向かう。外に出ると、すごい開放感だ。遠くに雪をかぶった山々が見えるし、これは素晴らしい。手前から順々に入ることにしよう。入ってみる。熱っ! 熱すぎる! そういえば源泉65度だったな。熱いはずだ。足を入れるのが精一杯。他を当たってみると、どうにか入ることができるのがあったのでそこに入った。ふー。気持ちよいぞ。もっと奥の方に行くと、大勢の人が入っている温泉があった。そこに行くと、おお、温度がちょうどいいよ。だからみんなここの集まってるんだ。こうして、いろいろな露天を入ったり出たりした結構楽しんだ。でも、なんか、ここの露天温泉の造りが、金持ちの庭にある鯉を飼ってる池みたいに見えて、どうも鯉にでもなった気分。もう少し考えて作れんかったのかなあ。

 温泉を出ると、休憩所に行って一休み。さすがに熱くて暑くて汗が出てきた。喉が渇いたので何か飲もうと思ったら、自販機の飲み物、200円だった。おいおい、マジかよ。平湯あたりでなんで200円なのさ。っていうか、こんなせこいことするなら始めから入浴800円くらいとればいいじゃん。気分悪いなー。

 どうにも完全制覇したのにいまいちな気分で温泉を出た。時間は1時、やばっ! もう帰らないと5時に間に合わんぜ。

 急いで出発する。あっという間に高度を下げて高山市に突入する。さらに家路を急ぐと、だんだん暑くなってきた。今まで山の上にいたから気が付かなかったが、今日は夏日だったな。電光掲示板の温度が26度、28度を表示している。これはたまらん。コンビニに寄ってお茶を飲んで、一枚脱いだ。ちょっと楽になった。さらに走って、またコンビニで水分補充、今度は皮ジャンのベンチレーションを開けた。走り出すと楽になった。いやー、5月になったとたんにこの陽気かよ。たまらんな。

 5時ちょっと過ぎに帰ってきた。

 急いで迎えにいったが、遅れたのでぶつぶつ言われた。

本日の出費

温泉500円500円

朴葉みそ1470円

飲み物147円125円

15800キロくらい 

オイル交換の時期だ

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