金沢カステラ獲得作戦
10月6日(土)
皆さんはKawasakiライダーと聞いて何を想像しますか? 何しろ、男Kawasaki、硬派Kawasakiですから、ダブルの革ジャン、リーバイスのジーンズにアライのヘルメット、聴いてる音楽はロッケンロールだぜ、ベイベッ、リーゼントにサングラス、酒はバーボンとバッチリ決めてるカッケーのがKawasaki乗りだぜ。そんなイメージのKawasaki乗りが、意外にも愛したハリエのバームクーヘン、何しろKawasaki乗りである。男Kawasaki硬派のKawasaki、そんなKawasaki乗りが愛したのであるからしてそれはもううまいのである。何しろKawasaki乗りだからな。そのKawasaki乗りが、ハリエよりうまいものがあると言うではないか!
その名は、別所文玉堂。
所在地は金沢。そう、あの迷路の街、金沢である。なんせ、初めて訪問した86年、金沢ユースを探して迷って2時間かかった。イヤーな思い出。その金沢にあるのだ。遠い。遠いぞ。しかし、しかし、ハリエのバームクーヘンよりうまいと言われて、このまま手ぐすね引いて見ているわけにはいかないのだ。(あれ、ちょっと日本語おかしいね。)通販というてもあるが、ライダーがそんな邪道な方法をとるわけにはいかない。まっちゃんにそう話すと、カステラ買いにわざわざ金沢まで行くの? バッカじゃないの、通販で買えばいいじゃん。と即答された。まあ、もっともな答えだわな。正常な解答だわな。
しかし、あくまでこだわるのでまっちゃんもようやく、そんなに行きたければ行けばぁー。あ、そうだ、お遣いものにするから余分に買ってきて、とお小遣いを多めにもらってラッキー、かくして出撃の準備はできたのだ。
というわけで、いささか前置きが長くなったが、(しかもほとんど意味わかんないし)今回の目的地は金沢、しかも日帰り、しかも下道オンリー。距離は片道約250キロ、所要時間推定6時間である。故に、出発時間は限りなく早くなるのであった。朝5時である。あたし起きないから勝手に行ってよbyまっちゃん。しかし、当日朝4時、無理矢理起こして朝ご飯の用意をさせ、食って、雨戸を開けるとまだ真っ暗だよオイ。新聞来てないし。スッゲー寒いし。昨日まで、まだまだ暑いかもしれないからメッシュレザーの方がいいかなんて迷いに迷っていたのがバカみたいな寒さ。冬型レザーで決定、幸い、8年ぶりにクリーニングも済ませたので丁度いい。クリーニングしたては革が締まっていてちょっと縮んだ感じがするが、順調に体重も軽量化しているので恐れる事なしだ。ばっちり上下決めて実家ガレージに移動する。暗いなー。暗いぞ。静かだ。土曜の早朝だからな。みんな寝静まってるよ。元気に走ってるのは新聞配達のバイクだけだ。
実家ガレージから、東北ツーリング以来の出撃になる旗艦CB1300を引っ張り出し、エンジン始動、お、寒いのでかからん。チョーク掛けて始動、辺りに大きな音が響いた。ちょっと近所迷惑だな。クリーニングを引き取りにいったときに買ったクシタニステッカーを貼付けて、5時、出発する。
まずはいつものスタンドでガソリン満タン、リッター137円だが、また価格上昇らしいので困ったもんだ。スタンドを出て、桃花台経由、真っ暗な住宅地を走り抜け、五郎丸手前で41号線に合流、東の空が白みかけていて、なんだかちょっといい感じじゃないか。こういうツーリングもいいねえ。
41号線をかっ飛ばし、このルートを走るのは久しぶりだが、何も変わってねえな。それにしても寒いぜ。マジ寒い。オイちょっと待てよぉ(ホリ風に)寒いよお。電光掲示板は15度だよ。中濃大橋を渡って、美濃加茂市に入ると辺りがようやく明るくなった。あ、これって、これからますます温度が下がるってことかよ。やばいよ。
しかし、さすが早朝のガラガラ道路、関まで通常1時間ちょっとかかるのに、わずか45分で到達した。関は今日明日と恒例の刃物祭りである。客数動員予想は300万人、全国のナイフ刃物マニアの祭典だぜ。近所のパチンコ屋も電気屋も、この機会に客数増を企んでいるのだろうなあ。
あまりの寒さで最近出来たばかりで、バイク駐車場の位置が非常に評判が悪い道の駅にわかでトイレ休憩する。すぐに出発してどんどん進んでいく。どんどん走れるが温度もどんどん下がっていくのであった。14度12度11度と順調に下がり、小学校で習った通りだなあ、日の出の時間が一番寒いのだなあ。日が照ってくることにより、大気が対流を始めて上空の寒気が降りてくるのだ。うーん、それにしては全然日が照ってこないんですけど。どんより曇ってるんですけど。相変わらず天気予報はウソつきだな。
道の駅を出たところで、前方を走る巨大な土管を大量に積載した、見るからに重そうなトレーラーが走っているので、いきなりペースダウン、おもいっきりペースダウン。これまでピーキロ(自主規制)捕まったら間違いなく免停の速度でかっ飛んできたのが、一気に制限速度マイナス10キロと、仮免許状態になってしまったよ。悶々とついていき、白鳥での信号待ちですり抜けて前方に出ると、再びピーキロだ。
湯の平温泉を通過し、長良川源流を越えてひるがの高原に到着すると、気温は遂に9度まで下がった。もう冬ですよ。完全に冬。もう一枚着てくればよかった。何がメッシュレザーだよ。凍死してたよ。御母衣のドライブインで再びトイレ休憩、寒いので自販機で暖かい紅茶を買って飲んだ。出発して約2時間半、そろそろカロリー補充が必要だな。しかし、ここまで来たらもうコンビニないよ。我慢して走るのだ。
白川郷を予定通り8時に通過し、いよいよ、日帰り限界点を突破したぞ。ここから先は未知なる領域、一体何が起きるのか全くわからないぜ。五箇山に入ると、温泉の看板がおいでおいでをしているよ。そろそろ走り疲れたろ、ひと風呂浴びてリフレッシュしたら? 誘惑に負けそうだったが、よく考えると、がーん、まだ営業してねーよ。くっそー、五箇山のこきりこも全然営業前だし。
分岐点から国道304号線へ。ヘアピンカーブをウネウネと走り、総距離3キロに達する長い長い五箇山トンネルに入った。暖かいトンネルを出ると、砺波平野が目の前に広がる、急速に高度が下がると小京都城端に入った。ここは古い町並みがきれいに整備されている。さらに進むと、何年か前にまっちゃんと来た福光華山温泉を通過、しかし、こんなところにある温泉になんで来たんだろうなあ。料金が安かったんだろうなあ。
こうして、必死こいて走りまくって、ようやく金沢市に入った。天気は相変わらず悪いし、寒いし、最悪だが、なんとかここまで来たので何となく達成感。思ったより早くここまで来れたしな。しかし、くれぐれも雨だけは勘弁して欲しいよ。頼むよー。159号線に入っていよいよ金沢市内に突入する。道に迷わないように、グーグルで調べて印刷したペライチを確認して、とにかく兼六園を目指す。西の空から青空が見えてきて、ようやく天候回復か。前を走る他県ナンバーが、多分観光客だな、道がわからないようで優柔不断な運転をしている。わかんねーならいっぺん止まってちゃんと地図を見ろよ。フラフラ走ってるとあぶねーぞ。
ついに兼六園に到着した。よし、この横の道を走っていけば、カステラの店だ。どんどん走っていくと、なんだかちょっと変だな。どうも違うような気がする、違うんじゃないか、違うぞ。だめだ、戻れ、道間違えた! ああ、やっぱり迷路の街だ。くっそー、スタート地点の兼六園に戻り、山勘で別の方に曲がってみた。すると、心当たりのある大きな曲がり角が現れた。おお、ここを曲がって、また曲がって、まっすぐ行ったらファミマの向かいだ。はやる気持ちを抑えつつ、走っていくと果たしてファミマ発見、その向かいに、その向かいにでーんと、金沢別所文玉堂の堂々たる店舗がそびえ立っているはずだーって、あれ、なんじゃあれ。
バイクを止める。店を良く見る。たしかにカステラの表示、店の前には別所文玉堂の看板が立っている。間違いなく、ここが文玉堂だ。マジっすか、こんなお店なんですか。なんだか、そこらへんの駄菓子屋さんに毛が生えたような店なんですが。しかも反対側なので苦労してUターンして店の前にバイクを横付けする。狭い歩道の上に止めたので邪魔になるから早くちゃっと買って出なくては。店のなかに入ると、雑然としつつも何か規則正しいものを感じる機能的な陳列が人気店をうかがえる。これは本物だ。確信した。入って左がカステラ、奥には洋菓子、右が和菓子、反対側にはパンが並んでいた。中央にはテーブルと椅子があり、配送出しを待つ荷物が積んである。きっと通販の注文品だな。出てきたのはおばあちゃん。奥にいるのもおばあちゃん、軽トラが止まって、荷物を持って入ってきたのもおばあちゃん、おお、この店はおばあちゃんで持っているのだ。やはりこの星は女の星なのだ。栗本定十朗の言った通りだ。(妖星伝by半村良)カステラとハーフカステラを注文すると、ハーフがないと言う。でも、ちょっと待ってれば作るよ。なんと、手軽なお答え。ここまで来たのでちょっとくらい待つよ。ということで、待つ事に。その間、パンを見た。おいしそうだな。サンドイッチもある。これは今日の昼飯にしてもいいな。洋菓子のコーナーではワッフルがうまそう食いたい。おお、隣のモンブランがもうまそう。うー、食いたい。でも持って帰れないよ。ここで食うなんて行儀が悪いし、ああ、でも食わないと後悔しそうだな。あー、どうしよう。どうしようと迷っているうちに、カステラが出来た。すげー荷物になった。カステラってでかいなー。こんなでかいとは思わなかった。紙袋に入れてもらい、バイクに戻ってネットでくくりつける。歩道でかなり邪魔になっていたようなので、急いで出発。金沢市石引のみなさん、歩道で通行のじゃまして本当にごめんなさい。許してください。
よっしゃー、カステラゲットだぜー。やったぜ、最高だぜ。やれば出来るもんだなあ。金沢日帰りやったぜ。腹減った。コンビニに寄っておにぎりお茶でちょっと早い昼飯。本当は兼六園周辺でうまいモンでも食おうかと思っていたが、さすが3連休の初日、観光客でごった返し、とても近寄れなかったよ。
コンビニを出て、来た道を戻る。予定より早いので温泉に寄ることにした。実は気になる温泉があったのだ。それは林道温泉、ツーリングマップルに載っていたのだが、砺波平野が見渡せる温泉らしいので、ぜひ入りたい。道の駅で場所を確認、小京都城端まで戻った。
行きに気になっていた巨大な城門のようなお寺に寄ってみたら、すごい年季の入った古いお寺で、あまりの大きさに写真を撮っても全部入りきらなかった。なかのお寺は普通だったので、結構、こけおどし的なお寺だな。寺の前にはおしゃれなお店が何軒かあり、そのうちの1軒に、可愛い猫のおきものがあったので欲しかったが、値段が高いので却下。温泉に向かう。
行きに通過した展望台まで戻ったので、止まって写真撮影をした。KawasakiとYAMAHAのスーパースポーツが止まっていた。自転車も止まっていた。みんな写真を撮っていた。いい眺めだもんね。天気も回復来てきたので青空だし。それにしても雲が秋の雲になってきているのがよくわかる。
おっしゃ行くぜ。調子良く走って行ったら、温泉の場所がわからない。五箇山トンネルまで来たので、これは来すぎと判断、戻る。そして、途中にあった地元の観光案内看板で道を調べた。よおっし、わかった!(等々力警部風に)農道を走っていったところだ。すっごいアバウトなんですけど。しかし、それでもなんと、適当に走っていったら、林道温泉に着いた。確かに着いたのだが。ここ? これが林道温泉? マジっすか、これ、ほとんど廃屋なんですけど。やってんのか? でも煙突から煙が上がってるよな。近くまで行ってみた。ますます怪しいぞ。殴り書きで危険かみつくぞ、LPガスとかいろいろ書いてある。大きな窓から、多分ここが浴室だなあと想像できるところがあったが、なんだかなあ。ちょっとアブない感じ。村人の証言「ああ、林道さんね、昔は立派な旅館だったんじゃがのう。先代が亡くなってから、あの通り荒れ放題じゃ。もうお客なんぞほとんどおらんでよう。」状態。(あくまで想像の話ですので念のため、なお、この文章に問題がある場合は申し付けていただければ即刻削除します)やめた。
304号線に戻って五箇山まで来たところで、五箇山の温泉の案内板にふらりと曲がってしまった。だって温泉に入るモードだったもんで。こうなったらこの辺りでどこでもいいから入るよ。またとんでもない温泉だったらどうしようかと思ったら、いたってまともな普通の温泉だった。多分、老人保養関係の施設と関係があるようで、ふれあい温泉センター「ゆ~楽」と言うところだ。バイクを駐車場に止めて温泉セットを持って建物の方に行った。料金500円を発券機で払い、受付に渡して男湯へ。脱衣所はロッカーよりカゴの棚の方が多かった。荷物をまとめてカゴに突っ込み、いそいそとお風呂へ行く。おお、大きな窓からは庄川とダム湖が見渡せる素晴らしい眺め。いやー、ここまで走りまくった体の疲れをゆっくり湯に流すのであった。露天風呂に出ると、ますます素晴らしい。何の情報もなく入ったところだが、ここは大当りじゃん。気持ちいい、最高な天界気分だ。駐車場に結構車が入っていたが、温泉は3人くらいしか入ってないのでゆっくりたんのんで来た。
温泉を出た。もう思い残す事はないので一気に走って帰る。途中、ひるがので休憩しただけで、後はノンストップで帰ってきた。最後の最後で、大県神社付近の工事車両が出入りする辺りの道路が水浸しになっていて、冗談じゃねーよ! バイク泥まみれ! ばっかやろー、何考えてんだ工事関係者のボケナスが!
帰ってきてガレージに入れたバイクのあまりの汚れ具合にに失神しそうでした。
まあ、カステラが美味だったのでよしとするか。
本日の出費
ガソリン カード
カステラ 5000円くらい
お茶など 350円と250円と120円くらい
温泉 500円
CB1300今日の走行距離 500キロくらい(下道日帰り最高距離)
CB1300累計走行距離 28700キロくらい