酷道険道の果て県境の富山村

10月21日(日)

20日はジャスコお客様感謝デー、じゃなかった、オフ会の予定だったのだが、急遽中止延期となってしまった。毎週毎週ツーリングばっかり行ってないで、たまには家のことをしてちょうだいとまっちゃんのキツい一言に、当日は当初からツーリングだったんだから、ソロで行ってもいーじゃんの反論で激戦をもくろんだのであったが、いやまてよ、天気予報は日曜日も晴れ、土曜日はちょっと不安定、となると、土曜日に家のことを一生懸命やれば日曜日は大きな顔でツーリングに行けるという寸法だ。これは素晴らしい画期的な計画ではないか、オレってあったまいい!

ということで、土曜日は健気に家のことを片付けて、いよいよ日曜日はツーリングなのであった。今回の目的地はすでに決定しているのだよ。そう、あの愛知県の最果ての村、富山村にある秘湯、湯の島温泉だ! 単純距離は130キロ程度なのだが、その道筋はいわゆる酷道険道が織りなすイリュージョン、行けども行けどもいけない恐ろしい山道を延々走ってようやく到達できるのだ。中部圏を網羅する地元大手出版社の地図には明細図がない地域だぞ。そこへ行くのだ。バイクは当然、山岳ツーリング用のFTR223だ。

当日は朝7時半頃出発、装備は限りなく冬型の秋型で、革ジャンにカントリージーンズ、中はユニクロヒートテックと長袖シャツを着て行った。それでもちょっと寒かったな。考えたらもう10月末だよ。1年は早い。まさしく光陰矢の如しだ。

ルートはいつもの瀬戸方面から国道363を走るつもりが、ガソリンをいつものコスモ石油で入れたので19号に出てしまった。そのまま多治見まで走って、多治見から19号に並走する県道66号線に入るルートへ変更した。が、池田町の交差点で曲がって、県道15号から66号に入るはずなのに、またしても道がわからなくなってしまった。このルートは以前、まっちゃんとスペイシーで来て、道に迷ったことがあるので、そのとき間違えたところを間違えないように入ったのだが、今度は別のところでわからなくなってしまった。えーい、行ってしまえとひたすら真っ直ぐ走ったら、国道363号線に出た。あ、結局ここに出るんだ。じゃあ、このルートで走ろう。

寒いし、FTRだし、巡航速度が遅くなるので、後から来たワゴンRに追い越されるわ、奈良ナンバーのイプサムに抜かされるわ、黒のGSX-Rに抜かされるわで、散々だぜ。途中でいい加減腹が立ってきたので、こっちもペースアップ、ギュイーーーーンと加速する。はっきり言って、このFTRの戦闘能力はバカにできなのである。元々ダートラなんだから、オンもオフも早いのである。ましてやこんなタイトコーナーの続く山道ではビッグバイクより断然速いのである。速いのであるが、それはやはりライダーの力量に依存するので、まあ、その、なんというか、結局、GSX-Rには追いつけなかった。背中は見えたけど。

こうして、明智に入った。駅に寄ったら、明智鉄道の機関車が止まっていた。あちこちでこういった零細鉄道が廃線に追い込まれて行く中、ここが未だに持っているのはやはり大正村のおかげなのかなあ。

さて、明智から県道33号線を経て国道418号線に入る。この道がいわゆる酷な道、酷道だ。なんといっても、今回も時間帯別通行止めの表示、一体いつまで修復工事やってるんじゃ? 土日はやっていないので、無視して先へ進む。とても国道とは思えないウネウネの細い山道を走り、途中、いきなり現れるできたての妙にきれいで広いトンネル、それを越えるとまたしてもウネウネの山道、トンネルがめっちゃ不自然なんですけど?

どんどん進んで、久しぶりの平谷峠に到達する。ここからの風景がまた絶景なのだ。今日は雲ひとつない快晴で、展望台からは南アルプスが見渡すことが出来た。

そこからさらに進んで、売木村に入る。ここはかつてよく来た温泉塩吹館があるところだ。こまどりの湯という温泉もあった。今度来なくては。そろそろ腹が減ってきたし、寒いので何か食わないと体が持たないな。10時なのでおやつタイムだ。ようやく現れた道の駅信州新野千石平に寄ることにする。なんと、多治見を抜けてここまでの走行2時間、コンビニもなんにもなかったぜ。なんちゅうところなんだ。それを証明するかのように、道の駅の大混雑は異様でさえあった。駐車場は満車、バイクもそこら中に止まっているし、入りきらない車が路上駐車、すげー、まるで新台入替のパチンコ屋みたいです。

仕方がないので脇道のバイクを止め、自販機でお茶を買って、こういうこともあろうかと標準装備してきた「おなかがすいたらスニッカーズ!ピーナッツたっぷり確かな満足!」を食う。うむ、うまい。腹もふくれるぜ。

食ったら出発。いよいよ418号線を未踏の地域に踏み入れるのであった。(って、なんか日本語変?) これまでにもましてのウネウネ道を走り、途中、おいしそうな温泉が。天龍温泉おきよめの湯であった。寒いし、なかなか良さげな温泉なので、ついつい入ってしまいそうになったが、いかん、いかんぞ! こんな誘惑に負けてなるものか。初心貫徹じゃないか。今日は湯の島温泉なのだ! 珍しく、意志が硬くもてたので、何事もなく通過した。

こうして、ようやく県道1号線との分岐点までやってきた。いやー、遠いなあ。なんちゅう遠いんだ。ここまで4時間近くひたすら山道を走ってきたのでもうごちそうさま状態なのだが、この先が更なる山道、険しい道、すなわち険道なのであった。分岐点には観光案内板がでかでかと建っていた。秘境信州遠山郷の字が見える。遠山郷はなんか憶えがあるな。記憶のひもをたぐると、何年か前に無料券を手に入れて遠山温泉に入りにきたっけ。あの時も難儀したなあ。遠かったもんなあ。さすが秘境。侮りがたし。

いよいよ1号線に突入する。が、これまでの道がすごかったせいか、そんなにびっくりするほど険しい道でもなかった。でもCBで来る気にはならんな。眼下には佐久間ダムが作る巨大な佐久間湖からの深く緩やかな流れの深緑の水の色をした川がある。左右には巨大な山、その山にへばりつくように建つ民家、客観的に見るとすごいところに建ってんですけど。しかし、この辺りに住んでる人は日用品なんかどこまで買いに行くのでしょうか?

いよいよ、愛知県豊根村の看板があり、その先が富山村だった。ほとんど川沿いに並んだ家々が形成する村は、まさしくミニ村、平成の地方編成替えの為に、富山村自体は消滅したが、それでもミニ村の意義はまだここに残っているのだ。そして、その村に存在する秘湯、湯の島温泉はもうちょっと走ったところだった。大きな看板があり、それに従って行くと、立派な施設があった。これが温泉なのかなあと思い、バイクを止めてあたりを見回すと、立派な施設の横に、付属品のようについている一見和風な建物があった。のぞいてみると、じいさんがいて、こちらに気がついて「温泉入るの?」「1時からですよね」「もう準備できてるから入れるよ」なんと、ラッキーじゃん。1時間以上待たないかんなと思っていたところだったが、入れるじゃん、いいじゃんいいじゃん、こういうノリがいいよね。

早速、入らせてもらう。ほとんどオマケのようなお風呂だったが、環境がいやがおうなく盛り上げるのであった。脱衣所は鍵付きロッカーだぞ。荷物を突っ込んで風呂場に移動、こじんまりした岩風呂風の湯船にどぼん。うーっ、冷えた体に温泉成分が染み渡るぜ。きもちいいーっ。叫んでいたら、じいさんが湯温確認にやってきた。「お湯どう?」「きもちいーっす」「露天もあるから」そうであった、露天風呂もあるのであった。露天に行くと、露天の方がお湯は熱かった。残念ながら見晴らしはよくないが、青い空が見えるとやはり違うな。轟々と滝が流れているのも感じがいいな。充分たんのんして出た。あったまったのでやっと落ち着いたよ。

バイクに戻って、富山村唯一の喫茶店に寄るかどうか考える。しかし、時間を考えると来るのに4時間かかっているから、帰りも当然4時間かかるわな。すると、喫茶店で1時間使えば家に着くのがへたすると6時近くなっちまう。それはまずい。実にまずい。故に帰ることにする。ガソリンを補給しよう思って富山村のガソリンスタンドに行ったら休みでした。やっばー、ガソリン持つかな。なんとかガソリンが持つように必死に祈りつつ走って、151号線まで来てようやくスタンド発見、給油する。この際だからリッターいくらでも入れるしかなかったが、明細を見てびっくり152円だと! レギュラーだよね。ハイオクじゃないよね。おそるべし、これが地方自治体の脆弱化の実態か(って全然意味不明)

ということで、来た道をひたすら走って戻って、いい加減、山道には飽きたので岩村を経由して19号線で帰ってきた。

本日の出費

温泉 400円

ウーロン茶など 150円 120円

パン 92円

ガソリン 600円くらい

FTR本日の走行距離 270キロくらい

FTR累計の走行距離 6539キロ

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