御岳、温泉と幻の蕎麦再び
12月9日(日)
寒い。寒いぞ。寒すぎる。絶対におかしい。去年のレポを読むと、12月に入ってもかなり遠乗りしている。こんなに寒くなかったからなんだよ。それが今年はどうだ。この急速な冷え込みは、まるでサブプライムローンの焦げ付きで急激に失速しつつあるアメリカ経済のようではないか。暑いのも嫌だけど寒いのはもっと嫌だな。困った。どうしよう。いや、困る事もないんだけど、どうしようと言われて等高線をどうにかするわけにもいかないので、寒さ堪えて走るのであった。
というわけで、3万キロを突破した旗艦CB1300はお休みで、FTRで出番である。目標地点は某温泉サイトで話題になっている二本木温泉。データベース補完計画の対象温泉でもあるので、以前から行くつもりだったのだ。高山は相変わらず雪なので、19号線で長野方面にいく他、選択の自由はないのであった。
当日の朝は天気予報のチェックから、平野部は晴だが山間部は?らしい。ちょっと心配だがまあいいや。トースト食って所さんの目がテン見てたら8時になってしもうた。やはり夏期と違い冬期は起床時刻が遅くなるので出発時刻もずれこむわな。
FTRでは完全冬装備、上はクシタニ赤EXジャンパー、黒クシタニインナー、ユニクロヒートテックシャツ、下はクシタニカントリージーンズで、巡航速度が遅めのFTRだからこれで十分だろう。久々の出動なのでエンジン始動に時間がかかったが、なんとか、ブースターケーブルのお世話にならずに済んだ。まっちゃんに小遣い1万円もらったらピン札なので小市民な私にはもったいなくて使えないよ。で使い古しの5千円札に代えてもらい、「・・・たかいそばを食べるんだよ」おお、何と優しいまっちゃんの言葉。このところのガソリン代高騰のために、昼飯代を削っている事を気にかけているのだ。ようし、高いそばと言われたら、あの、幻の蕎麦を食うしかない。うむむ、俄然行く気が沸いてきたぜ。温泉と蕎麦三昧だぜ。誰にもおれを止められないぜー。
8時に出発して19号線のコスモでガソリン給油、105キロで3リットルリッター30キロくらい走ってくれているな。ちなみに今日は147円。安い方に入るのだが、ますます上がりそうな気配があるなか、今後のツーリングは燃費の良いFTRやスペイシー中心にしていかねばならないかもしれない。
さて、19号を東に向かう。天気は快晴、雲ひとつない良好な天気だ。走ると寒いが、もう少し日が昇ってきたらきっと暖かくなるだろう。しかし、そんな楽観的希望的観測はトンネルを抜けたらもろくも崩れた。多治見に入ると濃霧発生で視界ゼロに近い、まさしくロンドンエアポート状態、かのルーマニアはドラキュラ伯爵のルーツともなった、残虐非道なウラド公の恐怖伝説が残るトランシルバニアのような、恐ろしい濃霧があたり一面を覆っているのであった。おお、何と恐ろしい。恐ろしゅーてこれ以上進めん。
しかし、がんばって進んだら霧が晴れてきた。しかし、空は所々にどす黒い厚い雲があり、かなり不安定な天候を示している。これが朝の天気予報の?の意味なのだなあ。
それでもまあ何とかなるだろうと思い、どんどん先に進んだ。瑞浪の高砂タイルの工場が生活の木の倉庫になっていた。陶器業界厳しいからなあ。さらに進むと恵那でまたしても濃霧発生、ここら辺までくるとかなり寒くなってきたので、そろそろ出発してから1時間経過、どこかで休憩した方がいいかもしれん。途中の道路拡張工事の渋滞もなく、中津川の休憩ポイント元起に着いた。5千円札しかないので自販機が使えないから、ここのファミリーマートで初めて買い物をした。120円のホット紅茶を買って飲む。向かい側には長距離トラック野郎の方々が仮眠をされていた。日本の産業を支える方々に感謝しつつ、紅茶を飲んで出発した。
そこから木曽路に入ると一気に冷えてきた。寒い寒い寒すぎる。鼻水がずるーっ。こんなんで御岳まで行けるんかいな。それでも人間の体とは大したもので、この温度に適応し始めると、意外にさほど寒さを感じなくなってきた。それとも暖かくなってきたのかもしれんが。
予定より早く、御岳への曲がり角に到達した。木曽大橋を渡ると、東にはうっすらと雪を冠ったアルプスがそびえ立っている。紅葉の次は雪景色だなあ。スキー滑走可能の看板を見ながら、今のうちにやってしまえとばかりの工事中片側交互交通地帯をすり抜けて、目的地二本木の湯の看板に従って曲がる。曲がってすぐに、この先冬期通行止めの表示にがっかり。二本木まで行けますとあるが、地蔵峠は無理のようだ。なんと、地蔵峠から御岳を見る予定だったのに、計画は失敗だ。まあ、12月なんだからあったり前だわな。
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二本木の湯に着いた。この前きたのが97年だから10年ぶりだな。まだしっかりあって良かった。温泉の規模から言って、この前の飯田温泉みたいになってないとも限らんもんな。バイクを止めてヘルメットをとると、何やら白いものがちらほら、山の方を見ると、重そうな雪雲がでーんと居座っているようであった。そのくせ、東の空はピーカンで、日は射しているのだから始末に負えん。とにかく、寒いので温泉の建物に入った。天気は多分、大丈夫だろう。ブーツを脱いで中に入ると、右手が受付だ。なんと、液晶ディスプレイタッチパネル操作の発券機ではないか! こんなところにもITの波が押し寄せているのだ。なんかチョー醒だな。やっぱりこんな田舎の温泉はばあちゃんがやって欲しいよな。昼間っからお酒飲んでるじいさんとか居てさ。
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入浴は600円だった。結構するなあ。この規模なら400円くらいだろ。きっとこの機械の投資が高かったんだな。勝手な事を言いつつ、男湯へ。一番乗りだった。やったー、早速脱いで、脱衣篭に荷物を突っ込み、風呂場へ移動する。こじんまりとした内湯が地元の温泉という感じだな。お湯が茶褐色で、いかにも温泉っぽいのがいい。10年前の温泉がどんなだったかはうろ覚えなので何とも言えないが、この湯の色が某温泉サイトで話題になっていたのだ。昔は無色透明だったらしい。源泉の変化があったのか否か。
熱いので冷えた体を慣らしゆっくりと入った。ぶくぶくぶくーと泡が立っているのが面白いな。ぷはーっと肩まで浸かると、おお、気分は最高、まさしく天界天界、窓からさす陽の光が湯煙を透かして何とも風流さを醸し出しているのであった。ゆっくり入っていると、次々に客が入って来て、あっという間に満員になってしまった。そこそこに温泉を出て、脱衣所でちょっと休憩。服を着て、次はいよいよ幻の蕎麦だ。
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温泉を後にして361号線に戻り、御岳に向かって走るとしばらくして赤い布の看板が表れた。これが目印なのだ。駐車場にバイクを入れた。まだ雪がぱらついている。お店に入ると、好きな席へどうぞと言われて、以前座ったところと同じ、窓から外が見える席に座った。メニューがきて、お勧めは限定の「夜明け前」というのでそれにした。お茶のセットもつけた。なにしろ高い蕎麦を食ってこいだからな。うししし。ここのお店は何しろ異端なそば屋で、建物は思い切りモダンで六本木のちょっと洒落たクラブみたいで、BGMもピアノとかジャズとか、お店のねーちゃんがまた美人ぞろいで、うはうは。で、肝心の蕎麦もまた異端、田舎蕎麦と更級そばを背中合わせした蕎麦なんて、普通考えないよな。わさびは当然、おろし器とわさびそのまんま、しゃこしゃこすりおろすといい香り。食っても甘いんだよ。すげーな。で、そばが来たのでわさびと薬味を入れて、食うのだ。うまいのだ。これはうまい。モッチリの更級とがっちりの田舎が口のなかでまったりと絡み合うのだ。うまうまなのだ。わさびもちょっと入れてみよう。しゃこしゃこやって入れた。ぐぐっ!うふぁあ!きくー!すんごい効く。鼻から耳の穴から目から、突き抜ける感じ。入れすぎた。しまった。それでもうまいので食った。食った後そば湯がきてこれもうまかったので全部飲んだ。後は紅茶を飲んで、そばがきも食って満足なのであった。
さて、食ったら帰るとしよう。帰りは一気に帰ってきた。
家に着いたら、まっちゃんがお迎えしてくれた。「高い蕎麦食うって何?」「え、だって、高い蕎麦食ってこいって言うから・・・」「あれはね、
あったかいそばを食え
って言ったの。高いそばを食えなんて言ってないよ! バッカじゃないの! このガソリン代も高いのに、そんな高い蕎麦食って何考えとるんじゃコラア」きゃいんきゃいん
本日の出費
ガソリン カード
お茶 120円
温泉 600円
蕎麦 2410円
フランスの塩 900円
本日のFTR走行距離 260キロくらい
累計のFTR走行距離 6800キロくらい