冬の前に乗鞍白骨夢の混浴

10月4日(土)

おいおい、一気に冷え込んで来たよ。最近ちまたで疑問視されてる地球温暖化の影響なのか、四季が豊かな日本も、夏から冬へ、秋を飛び越えて一気かよ。秋はツーリングのシーズンなんだ。無くなったら困るぜよ。冬は寒いし夏は暑い、春は花粉症がひどい、残るは秋しかないじゃん。そんな秋が、もし無くなったら、俺たちはいったいどうすればいいんだよう。秋を、秋を奪わねえでくれよお。そうか、お前等はいつもそうだ。自分だけ安全なところにいて、俺たちのことなんて結局どうだっていいんだな。よし、それなら俺にも考えがあるぜ、こうなったら、ツーリングに行ってやる! それも、頂上付近では初雪が既に観測された、乗鞍まで行ってやるぜ。覚悟しな!

というわけで、ロングから帰ってきて、気がついたら10月になっていたのであった。冬が来る前に走らなければならないのである。それがライダーの宿命なのさ。以前から行こうと思っていた白骨温泉、今回の目的地はそこだ。随分と昔に行って、道路事情が酷かったことを覚えているのでオンオフ両刀使いのFTRで行くことにした。

待ちに待った10月最初の週末、日曜に行く予定が、天気が悪くなりそうなので土曜に急遽変更、ランチの約束が日曜に延期になってまっちゃんがぶーぶー言ってるが、今度ばかりは勘弁してくれ。男にはな、行かねばならなないときがあるのさ。

朝5時半に起きて、天気予報を確認、今日は晴れだ。飯食って準備して、納戸からFTRを引っ張りだす。と、シャッターを開けると目の前にデーンと置いてあるのだった。とぐろを巻いた黄褐色のものが。なにがって、うんこだようんこ。くそったれ、野良猫がまたしてきやがった。うちの庭がトイレになってる最悪じゃん。強制撤去をしてからFTRを表に出した。早く気がついてよかった。この前、暗くて気がつかず、スペイシーでうんこを踏んじゃったもんな。あんときは悲惨だった。聞くも涙、語るも涙だぜ。

といことで、無事FTRも出撃体制が整い、まっちゃんに見送られて7時ちょっと前に出発した。19号線を走って、目指すは乗鞍、距離180キロ、4時間で走り抜くぜ。FTRの巡航速度、一番乗りやすい速度が制限速度くらいだが、今日は距離もあるので少し飛ばすぜ。実はFTRはかっ飛んでもイケイケなバイクなんだぜ。おらおら、どいつもこいつも、トロトロ走ってんじゃねーぞ、ブイブイいわしたる。エンジン全開で19号を東目指して走っていくのであった。

ところで、今回の目的地の白骨温泉だが、どうしてもこの話題に触れないわけにはいかないだろう。

そう、温泉偽装問題である。

事件から既に4年が経過しており、その後、立て続けに発生しているその他の偽装問題が、今なお新しい話題をお茶の間に提供している現在、温泉の偽装問題など、何を今更、ああ、そんなこともあったねーという程度の記憶にしか残っていない方が大半でしょうが、温泉ライダーとしてはまさしくゲロゲロな事件だったわけで、その衝撃は大きかった。事件を振り返ってみよう。2004年6月、週刊誌で取り上げられて発覚したのは、白い湯で有名になった白骨温泉だったが、その白さが薄くなってしまい、入浴剤でごまかしていた、というもの。決して、水道水に入浴剤を入れていたわけでなく、ちゃんとした温泉だったのに、白い湯=白骨温泉、白くない湯≠白骨温泉、これは一大事、温泉郷の存亡に関わる大事件、なんとかせねば、ああどうしましょう、そうだ色を付ければいいじゃん、入浴剤いれちゃお。人は誰もが目の前の小事にとらわれすぎて、その向こうにある大事を見過ごしてしまうのであった。かくして由緒正しい元禄から続く温泉街の信頼は失墜し、村長は辞任、野天温泉は閉鎖、当時の変な小説家の知事も大問題にしていた。時は流れてあれから4年、白骨温泉はどうなっているのか。

では再び、現場からお伝えします。

現在、FTRは19号を東へ制限速度+αでかっ飛んでいます。途中、元起の休憩ポイントでは、寒かったせいか、ファミリーマートでホットドリンクを購入するつもりが、コーヒーしかなかったため、激怒して店を出ております。その後はアホみたいに走り続けております。あ、いつものことですね。こいつは本当に止まることを知らんな。以上、現場から中継でお送りしました。

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で、結局、藪原から県道26号線に入ったところまで走り続けた。26号線に走ってすぐ、以前、CBさんたちと来たときトイレによったところで一旦停止。ちょっと休憩した。観光案内図があったので、それを見てルートをチェックしたら再び出発する。天気はいいがちょっと寒い。軽い冬装備できたのは正解だったな。地元の軽自動車に何台も道を譲られつつ、県道を乗鞍高原に向かう。遠くに未曽川ダムが見えてくる。こんなところから見えるダムってのもすごいな。今度行ってみよう。山道を上り続けて奈川に入ると、そば祭りが開催されてい。よくわからんが、帰りにこの祭りに乗じてそばを食おう。

やがて、乗鞍高原への最短ルート、スーパー林道への曲がり角に来た。ここも、以前、CBさんと来て冬期閉鎖で通行不可だった道だ。今回はこの道で行くんだぜ。いったいどんな道か、どんな道でもどーんとこーい! (上田教授風に、って古いかもしれんが名古屋では再放送してるぜ。)そのためにFTRで来たんだからな。よし行くぜ。

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スーパー林道に突入したが、別に普通の山道だった。どんどん進んでいくと、新奈川温泉という、譬喩を守る会、じゃない、秘湯を守る会の温泉があった。おお、ここ入ろうと誘惑の魔の手がのびたが、今日は白骨温泉だと決めたんだと意志を強く持って誘惑を断ち切った。その先に、林道がかつて有料だったときの料金所があった。時代の流れを感じるな。そこから先へさらに進むと、どんどん山奥へ山奥へと入り込み、やがて、乗鞍岳をふくむ一大山岳地帯の素晴らしい風光明媚な世界が目の前に開けるのであった。うーむ、かつては有料だったと言われても納得できるな。

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白樺峠からの眺めはサイコーだった。そこからもうちょっと走ると、乗鞍高原温泉のある十字路に出た。おお、ここに出るのか。それにしても、さすがオンシーズン。観光客が多いぜ。案内板に従って白骨温泉へさらに上る。ここからの林道は高山から乗鞍への通行に使われているせいか、交通量が多い。向こうから結構、車が来るなあ。観光シーズンだからなあ。

山肌に温泉旅館が建ち並ぶのが見えてすぐに、白骨温泉に到着した。こちらから来ると、いきなり泡の湯があった。ああ、こっち側にあるんだ。以前来たときは逆から来たので、泡の湯がどこかわからなかったんだよな。今回はここに入るつもりだったので、速攻で入ってもよかったが、とりあえず、付近の情報収集ということで、問題の野天風呂がある中心部(なのか?)まで行ってみた。

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かつてはバッチい公衆便所と野天風呂もまだ無料で施設も何もなかった頃に比べると、格段に進化したな。観光案内センターもあるし、お土産屋もあるし、何しろ観光客も多い。センターには日帰り入浴の案内も看板が出ていた。念のために他の温泉もチェックして、やはり泡の湯がいいと決定。初心貫徹なのだ。なにしろ泡の湯は、何年も行きたいと思って行けなかったところだからな。Uターンして、泡の湯に戻る。

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大げさな門をくぐって、砂利敷の駐車場を進み、一番奥に横浜ナンバーのバイクが並んでいたのでそこにFTRを止めた。この時間は日帰り入浴は本館だ。泡の湯は別に外湯もあり、そこは午後から夕方にかけて入浴できる。なかなか面白い営業形態だな。しかし、テレビで有名な大きな露天風呂は本館だから、断然こっちに入るべきなのだ。絶対に入るべきなのだ。がんがん入るべきなのだ。よし行くぜ。

案内看板に従って大きな建物の裏にある日帰り入浴の玄関に入る。ちょっとイメージが違うな。もっと老舗温泉旅館の侘び寂びを感じるのを期待したんだが、割と味気ない素っ気ない玄関に、入ったら殺風景な部屋に無造作に置かれたソファ、そして愛想のない係員が立ってる取って付けたような簡易レジ。入浴料はタオルなし800円、タオル付き1000円、当然なしを選択し、愛想のない係員に払うと、その係員、貴重品はロッカーへ入れてくださいと言うだけで、どこに温泉があるかも案内しないもんで、ちょっと右往左往しちまった。しかし、案内図と長年のカンと経験で、だいたいの位置関係は想像がついたのでそちらの方に歩いて行った。ちなみに、ここの案内図を見て初めて知ったんだが、有名な露天風呂は混浴だ。ま、だからってどうってことないが。東北でさんざん期待して裏切られ続けた混浴、もう期待なんかしないぜ。とうわけで、階段を上ると、女湯の入口が2つ、男湯が1つ、男湯の暖簾をくぐると脱衣所だ。脱衣籠だけでロッカーがないのは旅館の温泉だからな。それも籠も使用中が多く、人気のほどが伺える。脱いで荷物を突っ込んで、風呂へ移動する。洗い場で体を洗って、早速内湯から入った。内湯は2つあり、大きい方がかけ流し、小さい方が循環加熱だ。かけ流しはその証拠にお湯が透明で湯の花が大量に浮いている。循環加熱は白骨温泉のかの有名な白濁した湯だ。白骨温泉の湯は、空気に触れる時間経過とともに白くなる、循環すればするほど白くなる。と言うことになるが、これはあくまで仮説だ。仮説は実証しなければ意味がない。あ、でも実証できんな。っていうか、このかけ流しぬるすぎだな。もうちょっと熱くないと、寒い中走ってきた体にはあまり芳しくないぞ。白濁循環風呂に移動したら、おお、こちらはちょうどいい温度じゃないか。ぬくぬく気持ちいい。あー、天界天界。

十分に暖まったから、いよいよ、有名な露天風呂に行くぜ。あれ、どこだ? 奥にある廊下の方に行ったら、露天風呂こちらと書いてあるので進む。なんか本当に大丈夫かと思いつつ進むと、露天風呂のある方向から女の子の声が聞こえてきた。あれ? 間違って女湯の方に来ちまったか? しかし、表示は間違いなく露天風呂だ。では、女性時間ではないのか? でも、そんな案内なかったよな。恐る恐る湯に近づく、階段は6段です転ばないように気をつけて、と書いてある。湯の方を見ると、マエダンゴさんをスキンヘッドにしたような人が入ってた。ああ、とりあえず女性時間ではないようだ。階段を下りて湯につかると、いよいよ露天風呂の大海原へ進む。そして、裸眼視力0.02のこの目で確認しできただけでも女の子3、4人はいる。ちなみにほぼ全部男付きだ。要するにカップルで入ってるんだよこのヤロー。公衆浴場でいちゃつくんじゃねーよ、くそ。でも男付きでない女の子もいた。この露天風呂も2つに仕切られていて、お湯はちょろちょろ注がれている手前とお湯が大量に注ぎ込まれている奥なんだが、圧倒的に奥に皆さんいらっしゃるわけで、まあ、とりあえず女の子が入ってるところへ、でへでへと鼻の下を伸ばして近寄るのも失礼なので、手前のお湯に入ってたんだが、これがまたぬるいのだよ。ぬるいお湯に長くつかるのはいいことなんだが、ぬるすぎる。だんだん冷えてきた。奥の湯に手を突っ込むと、やはり、お湯が勢いよく注いでいる分、奥の方が温度が高い。奥の方に移動せねば。うひひ奥に行こう、あ、いや、ちがうよ、別に女の子に近寄ろうと言うのではないぞ。温度の高い方に移動すると言うことだ。決して、混浴万歳エンジョイしなくっちゃなんて思ってないぞ。ホントだぞ。そろそろーっと移動した。で、大量に注ぎ込まれているお湯のところまで行ったが、あんまり暖かくなかった。変わらんな。うーむ、こんな天国のような環境の温泉は、空前絶後、多分この後一生遭遇することもないだろう、だからもうちょっと、出来れば時間いっぱいまで入っていたいのだが、この温度では無理だ。みんなよくこんな温度の温泉に入っていられるな。断腸の思いで風呂を出ることにした。さようならパラダイス。

内湯に戻って、循環の暖かいお湯にはいてようやく生き返った。やれやれ。暖まったらお湯から出た。服を着てしばらく休憩していたら、観光客のおっさん一団がやってきて、混浴露天はどこだこっちかあっちかと騒いでいるのがうるさいので、温泉を後にした。

FTRに戻ると、もう一度お土産屋のある中心部まで行った。お土産を買うつもりだったが、みそ1キロ1050円もするのでやめた。山奥の観光地は物価が高いな。多分同じものが19号沿いの道の駅なら700円か800円で買えるぞ。やめやめ、同じ理由で昼飯もここで食うのはやめて、さっさと脱出することにした。

まあ、でも、物価が高いとか、温泉がぬるかったとか、偽装問題があったとか、そんなことはどうでもよくなる混浴露天風呂でした。

あとは来た道を戻って帰ってきた。

本日の出費

温泉 800円 

ガソリン 1000円くらいかな。

お土産 1300円くらい

チキンサンドと紅茶 350円くらい

本日のFTRの走行距離 360キロ

累計のFTRの走行距離 9000キロ突破! やっとこさだよ。

 

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