変革精神で走った浜松の新湯
11月30日(日)
昔はツーリング先で温泉に入るなんて、考えもしなかったんだけどさ、だいいち、ガキの頃から超のつく無精者で、そもそも服を着たり脱いだりするのもメンドーだからいや、というどうしようもないやつで、小学生のときに体操服に着替えるのがメンドーだから、と体育の授業をさぼって、それがバレて担任の先生に人生でこれ以上ないというくらいに怒鳴られたくらいで、そんな訳度だから、温泉で脱いで風呂に入って体を拭いてまた服を着るなんてメンドーなこと考えられなかったんだけど、ある日の冬のツーリング、まあ、当時からネクラなやつだったから、冬にみんなと一緒にスキーにいって女の子をナンパするなんてできっこないわけで、一人寂しく寒風に耐えて走ってそれこそナンパならぬ難破しそうだったんだけど、さすがに寒くて死にそうなんで、何とかならんかと思ったところに温泉の看板があったわけで、ふらふらと誘われるように入って、そしたらアンタ、この世のハルですよ、凍えた体を温泉であっためる、何て快感、エクスタシー、以来、とっぱちからくさやんつきらーめんなわけで、しかし、当時の日帰り温泉施設事情は今のように華やかではなくて、添沢温泉とか柿野温泉とか、笹度温泉とか、まあ、マイナーな温泉の温泉宿の入浴だったんだけど、時は流れて2000年代、いまや温泉発掘はかの竹内内閣の元祖ばらまき政策愚策のふるさと創世で一気に花開き、いまや雨後のタケノコのようにそこら中にあふれかえる日帰り温泉施設、イヤーいい時代になったもんだ。そんな温泉黄金時代を経て、いまや温泉淘汰時代に差し掛かっているのである。そして、そんな厳しい時代に開店した温泉、その心意気とやらをとくと見せて見よ、なのであった。
で、その温泉が、先週、テンジウイカン( CHANGE WE CAN のこと)で挑戦しようとしたのがそんな温泉、その名もあらたまの湯であった。先週の失敗はみんなに筒抜けだったようで、叱咤、批判から激励の言葉まで、いろいろいただきました。それをすべて配慮した上で、今回、あたらめてあたらまの湯に挑戦する。これは男と男の勝負だ。誰にも邪魔させん。意味わかんね。
さて、その目的地のあらたまの湯だが、場所は浜松の奥浜名湖辺りなのである。 MapFunWeb によると、155号248号1号326号を通り、距離は約120キロ、推定所要時間4時間であった。いつも走ってる一本道と違って、いくつもの国道を網羅し、大都会を通過していかねばならぬ。時間的にも、道筋的にも、安易な気持ちで行くと大失敗につながらんでもない。十二分に慎重な事前リサーチをしたうえで、当日の出発時間はいつもより1時間早めて6時とした。10時頃温泉に到着し、11時に出発、帰りは5時間をみて4時から5時に帰宅、まさしく完璧な作戦である。天気予報も、幸いながら晴れだ。ただし、風が強く寒くなるようなので、装備は万全で行かねばならん。レベル4の装備で出撃だ。
というわけで、5時に起きて6時に実家ガレージから旗艦 CB1300 を引っ張りだして出発する。11月の末らしく日の出前なのでまだ真っ暗。近所迷惑なエンジン暖気を早々にすませて、まずはガソリンスタンドへ。三河静岡方面に行くときのコスモ石油に行った。ここはメール会員になると割引できるのだ、2円引きは大きいからな。颯爽と2円引きでガソリン給油、約12リットル入って満タンになって、通常115円が113円になるはずだった。の。だが。おいなってねーじゃん。こんちくしょー、どうやら時間が早いとだめらしい。そりゃそうだわな、ケータイのメール画面を確認する店員がいないもんな。これシステム欠陥じゃないかい。
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仕方がないのであきらめて瀬戸に向かって走り出す。まだ真っ暗なので割と寒さは感じない。交通量も日曜日の早朝なのでガラガラ、飛ばし放題だ。東谷橋をわたって森林公園を抜け、長久手からのルートを走るつもりが、なんと、長久手の抜け道が完全通行止めだよ、がびーん、迂回路が案内があったが、暗くて看板がよく分からん、分からんまんまに走り出したら、結局、瀬戸信用金庫の本社前につながる道まで来ちまって、そこから大きなトンネルを抜けて百太郎前で155号線に入った。とりあえず、分かる道に入って安心したが、大幅な時間ロスであった。しかし、幸いにも時間が早く出た分、道路はガラガラガラガラなので、順調に飛ばしてくことができる。豊田に入った頃には日が昇り始めて、少しづつ気温の低下が体感できるが、まだまだ寒いというほどのレベルではない。久しぶりに走るトヨタ町は、以前にも増して豪華絢爛巨大企業体の体面を保つ大型建築物が乱立しているのであった。
とりあえず、ここでトイレ休憩。セブンイレブンで紅茶を買って、やたらとハキハキと接客してくれるおばちゃん店員に圧倒されつつ、バイクに戻って飲むのだった。
飲んだら出発。248号線を南下する。そういえば、さっき、面白い焼き肉屋を見かけた。看板に「独特焼肉」と書いてあった。どんな焼肉なのか、ものすごく興味があるので、誰か行って調べてくれ。建築中のマンションの横を抜けて、つぶれたパチンコ屋を尻目に、どんどん先を進むぞ。川を越えて岡崎に入って、さらに調子よく進む。やがて、1号線へのショートカットの曲がり角に差し掛かった。事前にチェックしておいた、ラフォックスと紳士服のアオキ、青山がある交差点で左に曲がる。ちなみに、ラフォックス完全閉店セール開催中、青山改装閉店セール開催中と、服屋ってどうしてこう閉店セールが好きなのか。
ショートカットは県道26号線、県道の割に国道より車線の数が多い、こういうところが国土交通省の不可解な仕事ぶりである。などと考えていたら、途中で、クシタニ岡崎店発見、こんなところにもクシタニがあるのか、ちょっとびっくり、小さい店だったが、つぶれないようにがんばれ。
予想に反して、実に順調に、全くの渋滞なしで1号線まで来た。岡崎インター付近で合流し、そして、この1号線もまた順調に渋滞もなく走るのであった。日が昇ってきて、天気も快晴に近いし、何よりも割と暖かい。これは実に有意義な発見である。だいたい、行く方向が山の方北の方が多いので、やはり平野部とでは気温がかなり違うのだ。これがもし山の方に向かっていたら、すでに指先は麻痺しているだろう。バイク乗りの姿もちらほら伺える。ビューエルとかよくわからんスーパースポーツ、多分ドカ? バンデットや XJR も走ってた。山の方では想像できん台数だな。
1号線を豊橋方向に向かって、追分で県道5号に入る。この道で国道362号までつなげるのだ。しかし、」困ったことに待たしてもトイレ休憩の要請が発生した。うーむ、困った。岐阜方面は異常なくらい道の駅があって、トイレ休憩には事欠かないのだが、今回のルートには道の駅など皆無、かつてはゲームセンター兼ドライブイン休憩ポイントがいくつかあった1号線も、この市場原理が導入された近代では生き延びることができぬのか、どんどん姿を消して、コンビニばっかりになってしまった。コンビニで休憩するには何か買わないかんから、そう飲み物ばかり飲むこともできんしなー。
が、本坂トンネル4キロ前で、限界になった。またしてもセブンイレブンでトイレ休憩、こんなにトイレが近いのはやっぱり寒いからかな。いや、年のせいなのか、愕然とする事実、老いてきているのだ、ってキリンかい。トイレをすませてほっとドリンクをチェックすると、なんと、60円のホットコーヒー、これにしよう。誰かが間違えてたくさん注文しちまったから安売りしてるのか、よくわからんが、とにかくラッキーだった。買って、バイクに戻り、飲んで、出発する。
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いよいよ、今回のルートで最高地点の本坂トンネルなのだが、走っていくと看板が現れ「有料道路」の表示が。おいおい、まてよ、もう無料になったんじゃあないの? マジかよ、金とるなら別のルートにしなかんかったなー。今更悔やんでも遅いので、断腸の思いでトンネルを抜けると、料金所らしきものはなく、やっぱり無料化されていた。看板直しとけよ。
トンネルを抜けると、静岡、三ヶ日である。最近まで三ヶ日が愛知県だと思っていたのは誰だ! おれだ! そのおれさまがやってきたぞ。ぶんぶん。辺り一面、みかんの木がいっぱい。まさしく、ネジ式ザゼツキーの世界。サージェンペッパーロンリハーツクラブバンドなのであった。そんな大自然の中を走る抜ける国道362号をびゅんびゅん走って、道の脇には至る所でみかんの直売店がまさしく百花繚乱のごとく、開店準備に勤しんでいるのであります。しかし、我が家ではみかんは箱で買ったばかりなので買えないのであった。うーっむ、なんかつまらんな。
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みかん畑を駆け抜けて、やがて浜名湖が見えてくる。こっち側から見る浜名湖は地味だな。ここら辺は細江といって、道は姫街道と名付けられているのだが、なんで姫街道なのかよくわからん。途中でそれらしきいわれが書かれた看板があったのでよく読めがよかったかもしれんな。なにしろ、ちょっと古い町並み、昭和初期の三丁目の夕日な感じの町並みが続くので、ノスタルジーに浸るのにはちょうどいい。が、浸っていたら、道を間違えて、慌てて U ターンして戻った。単純に362号線を走っていけばいいのだが、この道は途中で2、3カ所曲がってるのでそれを間違わないように行かないかん。
並走する天竜浜名湖鉄道と交互にすれ違いながら、ようやく「あらたまの湯」の看板を発見。いよいよ目的地なのであった。時間にして約3時間半で、予想よりも早く目的地の温泉に到着した。かなり大きな駐車場には交通警備の人がいて、的確に駐車場所を指示していた。すでにかなりの車が止まっており、人気のほどが伺える。バイクは建物の正面左に止めてくださいといわれ、そこへ行くと先客の BMW (編集部注;実はこのバイクは、こがいさんのW650と判明しました。っていうか、バイクの見分けもつかんのか、このたわけは)が止まっていたのでそこ横に止めた。手ぬぐいを持って建物の方に行くと、かなりモダーンな建物、出来立てのほやほやというのもうなずける、いかにも最近の流行のデザイン建築なのであった。
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中に入ってブーツを脱ぎ、大きな下駄箱に入れて、フロントではなく、奥の入浴券販売所へ歩いていく。ホールもかなり広くて余裕のある立派な作りだ。発券機で700円払ってのれんをくぐりお風呂場へ。
今日の男湯は石庭の湯だった。森林の湯はまた今度ということで。中に入ると、黒いロッカーも落ち着きのある脱衣所で、特筆すべきは超大型ロッカーがあるのだ。これが冬のライダーのフル装備も余裕で収納できる。すばらしい。感動しつつロッカーに荷物を入れたら風呂場に行く。大きくドーム上になった高い屋根も開放感があふれる風呂場は、大きな内湯と窓の外には露天風呂もあった。まずは体を洗って、うー、冷えた体に気持ちよい。そして内湯に入った。ちょっと熱いぞ、やっぱりそんなに寒くないといいつつも寒かったんだなーなどと思っていたら、湯の温度は42度だった。熱いはずだ。湧かし過ぎじゃん。それでもぬるぬるのお湯が気持ちいいのでぬくぬくしていたら、客がどんどん入ってきて、ちょっと混雑気味になってきた。適当なところで内湯を出ると、いよいよ露天風呂に移動する。外に出ると、露天風呂は屋根はしっかり設置されて、南側の壁がない、いわば開放的な内湯だった。女湯と入れ替えがあるためか、見晴らしもあまりよくなくて、木樹を植えて目隠しがしてある。それでも、露天風呂は丸いジャグジーみたいな風呂は白湯だが、四角い風呂は源泉掛け流しで、これは幸いとここで長々と湯につかっていた。温度もぬるめでちょうどいいし、屋根付きとはいえ、壁がない分、外の環境がダイレクトに感じられるので気持ちがいい。源泉掛け流しは人気なので長湯しないでくださいと注意書きがあったが、あまり混んでないのでゆっくりできた。事前の情報ではかなり混むようなことが書いてあったが、開店から1年近くなるとやっぱり多少下火になるのは仕方がないわな。
十分にたんのんして出た。しかし、あまりにも長湯したので服を着たらあったまった体が熱を吹き出して、ヒートテックの保温効果が強烈に発揮され、蒸れてきた。やばい。早々に脱衣所を後にして、ホールと温泉をつなぐ廊下のベンチのところで休憩した。ぼけーっと受付を見ていたら、ロッカーの鍵をなくしたと大騒ぎ、あげくに自分の腕についてたって、落語のオチみたいなじいさんやら、入浴受付をすませてからタバコが吸いたいから外に出たいとわがままを言い出すじいさんやら、温泉の係員も大変なのであった。
蒸れ蒸れも落ち着いてきたので、建物を出てバイクに戻る。天気はドピーカン、快晴、日差しがさんさんと照りつけて静岡ってこんなに暖かいのか。ライダーはみんな静岡を目指せ!
温泉を後にして、来た道を戻っていく。途中で、名古屋モード学園のスパイラルタワーの元祖ともいえる建物に遭遇した。何の建物か、知ってる人、教えてください。
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さて、この後の作戦は、いつもコンビニおにぎりやら菓子パンの昼飯とはチェンジして、ちゃんとしたものを食うのだ。浜名湖に来て食うものといえば、当然、うな丼である。どっかうまいうな丼を安く食えるところはないか。362号線のうなぎの店は、何件かチェックしておいたのでそのいずれかで食うことにしよう。
しかし、ここで注意しないかんのは価格だ。入って、メニューを見てうな丼2000円とか書いてあったらゲオゲオなので、外から値段が分かる店にしないかん。そう考えながら走っていくと、1件目の店はいかにも店構えが高そうなのでパス。そしてその次に現れた、浜名湖を見渡すところにあったお店、この時間で車がかなり止まっているということは人気のお店なのだろう、店構えも良さげだ。その向かいにもう一軒お店があり、ここはかなり怪しげだ。建物も野暮ったいし、手書きのあまりセンスがいいとは終えない看板やポップがいくつも下がっていて、あげくに「心じゃ」などとうんちくが並べられている。どう見たって怪しい。こんなお店に入る客がいるのかと思いきや、2、3台の車が止まっていて、さらに1台車が入ってきた。いやー、でもだまされそう。絶対に後悔しそう。しかし、迷いに迷って、これは必ず話のネタになるぞ、と全く違う観点から、この店に入った。
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いきなり、入口の自動ドアが動かん。手動であけて中に入ると、お店というより、ちょっと大きめのダイニングキッチン。座って待つと、女の人がお茶を持ってきてくれた。メニューはあちこちの壁にいくつもぶら下がっていて、うな丼だけでなく、うなぎパスタ、うなぎドリア、うなぎのケーキとか、創作料理と称しているけど、これってかのマウンテンのノリじゃん。痛い店にはいっちまったぜ。「人気爆発美ん真い丼」が天然うなぎで1200円と、そこそこな価格設定なので、それを注文した。ちなみに「うんまいどん」と呼ぶそうで、登録商標だそうで、このネーミングのセンスがたまらん。
いったいどんなのが出てくるか、戦々恐々と待っていたら、フツーのうな丼でした。天然うなぎらしい細身で薄いうなぎ、食ってみるとこれがうなぎかと思えるほどにあっさりしている。まるで白身魚みたいな淡白な味、これが天然のうなぎの味か。噂には聞いていたが、想像以上にあっさりだった。もちろん、うまいのである。たれも実にこの淡白なうなぎにぴったり合っているので、うなぎ本来の味を損なわず、それでいてその味を引き立てているのである。なんせあっさりしているのでどんどん食える。うまい。あっという間に平らげて、おかわり!と言いそうになる。(ギャル曽根か)もちろん、1200円もするうな丼をおいそれとおかわりできんので諦めて、お店を後にした。
でも、やっぱりうなぎはこってりの方がうなぎを食った気がしていいかな。
風が強くなって寒くなってきたので、さっさと帰ることにする。浜松まで来たので、うなぎパイを買ってかえるつもりだったが、お土産屋が全然なかったのでがっかりだ。
一目散に1号線を走っていたら、リアシートにアンティークなミリタリー色のボックスを積んで走る、おしゃっれーな W 650を見かけた。おお、ああいう箱をくくりつけて走るのかっこいいじゃん。
結局、休憩するところがなかったので湖西から一気に走って帰ってきた。
本日の出費
紅茶130円コーヒー60円ホットレモン130円
うな丼1200円
温泉700円
本日の CB1300 の走行距離 260キロくらい
累計の CB1300 の走行距離 38700キロくらいかな
追記
なんと、こがいさんもこの日、このあらたまの湯に来ていたそうで、編集部注にもある通BMWと思っていたのがそうだったようで、全く偶然とは恐ろしいもので、こんなニアミスしていたとは、次回は手頃な距離でオフ会でもしましょう。