博士は無料の木曽福島でニアミス

7月5日(日)

北海道から帰ってきて早いものでもう3週間が経ってしまった。いつまでも吟遊詩人をやってられるほど裕福でもないので、仕事を探してるんだが、まだ1回も面接してないんだよねー。っていうか、面接までたどりつけんのだよこれが。毎日ハロワに行って就職相談してるんだけどさ、こんな感じ。「ここを受けてみたいんですけど」「ここね、電話してみようか、ピポパ、えー、ハロワですけど御社の求人に40過ぎのおっさんでちょっと変態っぽい人が応募したいそうなんですが、ああ、そうですか、変態はダメですか、ダメだねえ。」「ピポパ、えーハロワですが、40過ぎのライダーですけど応募できますか、あ、Uターンはできないそうです、ああ、そうですか、できないんじゃダメですか、ダメだってさ」「ピポパ、えーハロワですが、ええ、そうです、20年走ってますけどこの前立ちゴケしましたけど、あー、立ちゴケするヤツはダメですか、ここもダメだねえ」万事こんな調子だ。やっぱりUターンの練習をした方がいいのかもしれん。(いや、ちょっと観点が違うような気がする)何にしろこのままでは先に進まんのでツーリングに行く事にした。貧乏人に強い味方、温泉博士を有効活用した今回の目的地は、新規温泉なのだ。しかも、最近開業したばかりの温泉だぞ。これはウハウハである。しかし、情報によると、この新しい温泉をMr.T氏も狙っているらしい。これは負けるわけにいかん。絶対に先に到達してやる。極点には我々スコット隊の旗を掲げるのだ!

というわけで、当日は朝5時に起きて7時にちょっと前に出発する。今回の出撃機は、お久しぶりね、のFTR223、コードネーム;リトルパール号だ。記録を遡ると、5月9日の浜松以来の出撃である。今日はソロなんで、にょいとらん仕様のサイドバックを外して、サイドカバーを元に戻した。予報によると最高気温30度なんで、服装はクシタニの赤いメッシュジャケットとメッシュカントリージーンズだ。天気は3時頃まで晴れで、それから曇り、雨が降るらしいので、早めに帰ってきた方がいいな。納戸から引っ張り出したFTR、エンジン一発始動で出発する。

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まずはいつものコスモ石油でガソリン満タン、といっても98キロ走って3リットル入らんかった。リッター約40キロ、相変わらずの低燃費、プリウスもびっくり。満タンにしても軽量なボデーのFTRはまったく不安なく、ぎゅいんっと狭いガソリンスタンドの中でUターンして19号に出る事ができた。CB1300だったらこうはいかんな。こういう気楽に走れるところは圧倒的にFTRがいい。しかし、ひとたび走り出すと、やっぱり力不足なんて、幹線道路はキツいな。制限速度くらいで走るのが一番気持ちいいバイクなんで、幹線道路は高速道路みたいな走りをされる方々、クラウンとかマーク2とか、よくわからんミニバンとか、もうガンガン抜いてってくれる。抜くのはかまわんけど、マーク2のおっさんよ、もっと距離をとって抜いてってくれよ。接触するかと思ってびっくりしたがや。

とはいえFTRもベースはダートラ、走りのポテンシャルは高いのである。飛ばして行こうと思えば、ガンガン行けるんだぜ。瑞浪を過ぎて19号は1車線になった辺りから、こっちもそろそろ本気モードで走らせてもらう。後ろからオープンカーが現れて、なんて車? と思ったらMAZDAのロードスターだった。最新型のようで、しかも納車したてなのかピッカピカ、それが2台お友達なのか、フォーメーションを組んで走り去って行く。かっちょええー。ロードスターってかっちょえーな。オープンカーが欲しいんだけど、コペンとロードスター、候補だね。しかも2台ともちゃんとフルオープンで走ってるのが立派だ。オープンカーは雨以外はオープンで走れなければならない、それがいやならオープンカーに乗るな! 昔の知り合いでオープンカー好きのヤツが力説してた言葉。この後、中津川辺りでもオープンカーの集団に抜かされた。BMWやHONDAのS2000、後はよくわからん外車のオープンカーだ。今日はどこかでオープンカーのオフ会でもあるのか?

そんな調子で走っていると、追越し車線に流星のように赤白のCB1300SBが現れた。パニアケースが装着され、タンデムシートにはスタイルのいい女の人を乗せている。あれ、このバイクはひょっとして、と思ってサイドカバーを確認すると、カーボンブラック! そしてマフラーはおそらくモリワキ、そしてクシタニのレッグバック、間違いない! Mr.Tさんだ。ちくしょー、なんだよ、後ろのスタイルのいい女の人は。あ、いやまてよ、ひょっとしたらこんなことを書いたらまずかったかもしれん。Tさんは一人で行ってくるよーと言って出てきたのかもしれん。となると、奥さんがこれを見て何と言うか。「ちょっと、今日一人で出かけたんでしょ。」「そそそそうだよ」「これはなんなの? このちょっと変態で、変態と言われると喜ぶ典型的B型のライダーのサイトには、後ろに女の人が乗ってたって書いてあるわよ。」「いいいやそれはその」「納得出来るように説明してくださるかしら? できないというのなら私あなたを許さなくてよ」なんでいきなり姫川あゆみになるのかよくわからんが、いずれにしてもTさんが危機的状況に置き込まれるのには間違いないだろう。ここはそれとなく、流しておいた方がいいな。そうしよう。で、とりあえず声をかけようと思ったら、流石モリワキチューンドCB、すでに四輪の間を縫うように走り抜けて遥か彼方なのであった。あー、Tさん、はえーなー。呆然と見送りつつ、いかにこのオレの神技的ライディングテクニックを持ってしても、1300ccと223ccの排気量の差はいかんともしがたい、せめてCBなら追いついてみせるのだが、と苦悩するのであった。すんませんウソついてました。CBでも多分追いつけないです。

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まあいいや、どうせ目的地の温泉は同じなんだし。元起でトイレ休憩をしてから長野県に突入する。天気は曇りながらも薄く日が射してくる。でも気温は電工掲示板で23、4度なんで、メッシュはちょっと寒いな。いや、かなり寒いな。早く温泉にはいりたあーい。

南木曽温泉への交差点付近で10000キロを突破した。やっとと言うかようやくと言うか、FTRの初回登録年度が05年3月なんで、4年3か月かかって10000キロか。年3000キロも走ってないんだなあ。かたやCB1300は年8000キロ以上走ってるな。やっぱり1号機の面目ですか。FTRももっと走ってやらんといかんなあ。

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それにしても一向に気温は上がらず、温泉温泉、早く温泉で暖まるのだ、温泉温泉、温泉目指してひたすら走る。途中の道の駅は全部通過し、御岳付近までやってきた。今日は雲がかかってるので19号から御岳の姿は見る事ができなかった。出発してからの走行距離が100キロを越えたので、そろそろ給油をしないとヤバい。FTRは航続距離が短いという欠点もあるんだよなー。いつもの出光セルフスタンドによって、ガソリン満タン補給する。満タンといっても、3リットル入らんのだが。しかし、春日井で114円で入れたのに、長野木曽まで来たら124円だと。高いなー。

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ガソリンスタンドを後にして、そろそろ目的地付近なんで、もう一度場所を確認しなければいけないのだが、メンドーなんで、木曽福島スキー場の方に向かった。その近くだから、きっと案内掲示板くらい出ているだろう。

そばがうまいと有名な水車屋のある交差点を右に曲がって、木曽福島高原に入る。ここはCBを立ちゴケされた鬼門の地域だ。気をつけて行こう。FTRでも何かやらかしたら立ち入り禁止区域になっちまう。しかし、行けども行けども、目的の温泉の看板はなく、どんどんみちは細くなって寂れてきて、おいおい、本当にこっちで大丈夫なのかよ。付近の地図看板があったので止まって見たが、別荘地なんで名前が書いてあるだけで、温泉らしきものはないぞ。

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で、結局、木曽福島スキー場まで来てしまった。シーズンオフのスキー場ってとてもむなしい。巨大な砂防ダムがあって、ここ2、3日の雨のせいかかなり勢いのいい水量が流れている。そこで気がついたんだが、ここは木曽福島ではなく、木曽駒でした。木曽駒高原スキー場と書いてあるじゃん。そもそも、木曽福島高原なんてねーよ。何見てんの? 地図を見たら、361号線の方だった。間違えた。戻るぞ。

で、19号に戻って、信号交差点を361号線に曲がると、そこからすぐだった。国道沿いに見るからに新築の建物があった。ああ、ここって以前、温泉スタンドがあったところじゃん、そこを温泉にしたんだ。駐車場にバイクを滑りこませると、赤白のCB1300SBが止まっていた。モリワキマフラー、カーボンサイドカバー、そして何よりも、ターミネーターグリップエンドが動かぬ証拠、これは間違いなくTさんのCB1300だ! うぬー、先を越された。まさしくアムンゼンに破れたスコット隊の心境。まあいいや、とにかく寒いんで温泉に入ろう。

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バイクを隣に止めて、玄関から中に入る。ブーツを下駄箱に入れて100円リターンなんで100円玉がいる、そしてフロントで温泉博士を見せると無料で入れるのだ。奥に進むと手前が女湯で奥が男湯だ。男湯の方に行くと、さほど広くもなく狭くもない脱衣所だった。ロッカーも100円リターンでまた100円玉がいるのだ。荷物を突っ込んで、風呂場に行く。そこそこの広さの洗い場とお風呂だった。近くにある二本木の湯よりはでかいし、露天風呂もあるが、でも、ちょっと客が来るだけで満員になりそうだな。今日はまだ時間が早いから空いてるけど。

体を洗って湯につかるのであった。ほよよおー、暖かいよ、生き返るよ、気持ちいいよ。お湯は赤茶色なんでいかにも温泉という感じがいいねー。客は他に3人いたが、目が悪いんで眼鏡を外すと全然わからん。この3人のうち誰かがTさんという事になるのだが、誰だろう。と思ったら、この3人、知り合いか家族のようだ。一人は子供で、出るよーと言われてみんなでてっちゃった。うーむ、ではTさんは何処へ? 謎は深まりばかりだ。でも、気持ちがいいんで、まあ、そんな事どうでもよくなってきて、ふにゅーと湯に沈んでしまった。チンボツである。で、露天風呂も満喫してタンノンしたので出る事にした。

でたら、フロント前のソファが並んだ休憩スペースに何人か人がいたんで、このうちの誰かがTさんなんだ? と思って見てたが、みんな家族だったみたいで、こぞって出て行ってしまった。そして誰もいなくなった。これはひょっとして、と急いで建物を出ると、もうCB1300はいなかった。げ、置いてかれた。Tさんはええーなー。自分のバイクに戻ると、シートには名刺が残っていた。なんだよ、何かチョー格好良すぎじゃん。オレも名刺つくろっ-と。

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温泉を後にして、昼飯は車屋か水車屋のそばと思ったが、やっぱりお金がもったいなのでコンビニでおにぎり買って食った。

そして天気が崩れる前に帰ってきた。

でも帰ってきても天気だった。

本日の出費

おにぎりお茶 200円

本日のFTRの走行距離 270キロ

累計のFTRの走行距離 10160キロ

オイル交換だ。

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