物見遊山の物味湯産で南信昼神
4月25日(日)
予定では五箇山温泉に行くつもりだった。温泉博士の無料温泉で、五箇山温泉の国民宿舎五箇山荘に行くつもりだった。途中、おそらく、見頃になっているであろう、臥龍桜、荘川桜も拝観して、旗艦CB1300と見事な桜花吹雪をカメラに収めて、某サイトで開催中の、バイコレに応募して、豪華景品をゲットするつもりだった。その為に、餡蜜な計画を練りまくって、程よいところで食べたらおいしい、って違うだろーが。念密な計画だよ。念密に計画を練ったんだよ。走行距離、時間配分、そして走行経路など、いつもながらやっぱ天才だよな、と自画自賛しまくる計画を練って、もう非の打ち所がない、レッドツエッペリンの天国への階段みたいな完成度と言えば、昭和40年の世代にはよくわかると思うんだが、それくらいカンペキな計画を完成させたのだ。しかし、世の中どう転ぶかわからんもんだ。某温泉ブログからトンデモな情報がリークされてきたのさ。それは、なんと、無料で南信州の10湯に入れる手形だというのだ。手形の価格は1000円、単純計算で1湯100円なのである。対して、お世話になりまくっている温泉博士は450円で127湯(2010年5月号の場合)なので1湯3円55銭だから、コストパフォーマンスは及ばないとしても、現実問題として、日帰りツーリングの対象として入湯できる温泉がいくつあるかと言えば、平均4、5湯なんで、実質的には同じくらいのコストパフォーマンスなのだ。一体その手形はどんなものなのか、早速ネットで情報を検索すると、公式ページを発見、なんと、手形は19の湯から10の湯を選んで、無料で入ることが出来るだけでなく、他に割引で温泉に入ることが出来たり、食事やお土産も安くできるというではないか。何と言うことだ。このデフレが深刻化し、日本経済がデフレスパイラルによって先細り景気低迷が問題になっているこのご時世に、こんな価格破壊な企画を実行するなんて、許せん、断じて許せんぞ。断じて許せんから、こうなったら手形を買いにいくぞ。断腸の思いで五箇山は中止し、計画を変更した。決して片道5時間かかるから朝5時出発になるのがいやだったからではないぞ。決して、当日、朝寒いらしいからではないぞ。でも、昼神温泉では往復200キロくらいなんで、物足りんから、なんか他にないかと思って調べると、千人塚公園の桜が見事らしいので、それを見に行くことにした。帰りは権兵衛トンネルをくぐって帰って来よう。カンペキだ。瞬時にこれほどまでにカンペキなツーリング計画を立てることの出来るおオレってやっぱり天災だよな。だから天災じゃないって言ってるだろーが。天才だよ天才。くそ、ことえりまでオレのことをバカにしくさって。
というわけで、当日、天気予報の通りの寒い朝を迎えた。まったく4月も末だってのに何だよこの気候は。最高気温も18度の予想で、20度まで届かない。防寒レベル3の通常冬装備で行くことにする。マジでそろそろ暖かくなってきて欲しいんですけど。毎年、この時期には夏みたいに暑かったりする日もあったんですけど。ホント今年はどうかしてる。
実家ガレージから旗艦CB1300SFを引っ張り出し、チョークオンでエンジン始動、一発で目覚めたエンジンは、サイコーにカッチョエー、モリワキマフラーから重低音濃厚なサウンドが腹に響くのであった。温泉セットをシート下に格納して、エンジンが暖まったら出発である。あら、またしても殿様乗りに思わずふんぞり返っちゃいそうになるのをこらえて、脇を締めるのであった。
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まずはいつもの通りにガソリン給油、前回のツーリングが久々の高山往復だったんで、320キロくらいの走行距離、給油は15リットル少し入ったのでバイクでは珍しくスロットが廻った! 今日は朝からラッキーだぜ。5等賞で1円引き15円の儲けだ。この調子で今日は行くぜ。
ガソリンスタンドを出て、19号線を岐阜方面に向かうのであった。天気は快晴に近い晴れだが、空気はひんやり冷たい寒い、春夏グローブの指先は早くもかじかんでくるのであった。日曜日の朝なんで、交通量は少なめだ。順調に走っていくが、制限速度+αで走っているにも関わらず、後ろから黒のオデッセイが煽ってきやがる。やるって言うならいつでも相手になってやるぜ若造、アクセルひとひねりでおんどれの何年式だかわかんねーRVごときバックミラーの黒点に出来るんだぜ、くっくっくと思ってバックミラーを見たら、でらごっついおっさん、しかも真っ黒サングラスで、でら怖そーだったんで、土岐大橋の手前でどうぞどうぞと道を譲った。
そこから安全運転で進んで、瑞浪から恵那に入る辺りの一車線になるところで先頭に大型トラックが入って、これがまた制限速度丁度くらいのペースで走っていくので、たちまち後ろは金魚のフンみたいな行列ができちまった。先を走っていたレーサーみたいな紅いドカティ、後ろに走ってる月光仮面みたいに覆面したドラッグスターも行列の仲間入り。まあ、慌てる旅でもなし、とトロトロペースでついて走っていく。山の方に入っていくとどんどん寒くなってくる。ちょっともう我慢できんなー、どっかコンビニでも入ってあった買物を飲みたいと思ったら、丁度恵那のマグドナルドを発見。ここそういえばCBRでも休憩したとこだ。よしここで休憩しよう。駐車場にバイクを止めて、ヘルメットを持って店に入った。注文カウンターには若者2人がコーヒーとアップルパイだかポテトパイだかをトレイもらっていた。その後に並んで、コーヒーを注文し、まだ慣れていない様子のバイトらしい若者に500円玉を渡す。慣れないバイト君はコーヒーを持ってきて、トレイに置いたので、それを受け取っておつりを待った。すると、慣れないバイト君がレジをがちゃがちゃやっていたら、となりに責任者なのかな、なんか言った。そしたら慣れないバイト君は慌てて500円玉を差し出し、今はサンプリングの時間ですので無料ですと言う。あ、そう、500円返してもらって、席に着いたけど、無料のコーヒーだけって、なんか申し訳ないことをしたな。さっきの2人組みたいにアップルパイだかなんか注文すればよかったかな、と思っても後の祭りなのであった。まあいいか。暖かいコーヒーでかじかんだ指先の感覚を戻すことに専念した。陽の当る席だったので、ゆっくりとコーヒーを飲み終える頃にはかなり体温も戻って来た。さて行こう。店を出てバイクに乗ると、19号線に出るところで止まったら、店の窓際の席に座っているかわいい女の子2人組がこっちを見ているではないか。まあ、なんて素敵なライダーさんかしら、きっと颯爽と走り出すに違いないわ、と思って見ているぞ。極度の緊張でクラッチレバーが滑り、あやうくエンストするところだった。やばいやばい、とんでもない醜態をさらすところだったぜ。
かわいい女の子2人組の夢を壊さずに出発できたことに満足しながら19号をどんどん北上するのであった。マグドナルドで休憩したので、いつもの元起や道の駅はすべて通過、南木曽で256号線に入った。うねうね山道に突入だ。前を走る山梨ナンバーのマークXが思い切り挙動不審なので注意して車間をとって走っていたら、案の定、妻籠の辺りで後ろも前もおかまい無しでハザード出して停止しやがった。しかもブラインドコーナー手前という最高な立地条件、これだからサンデー観光おっさんドライバーは困るぜ。これが海千山千のキャリアを積んだベテランライダーだったからよかったものの、並みのライダーなら後ろに突っ込んでたぞ。対向車線を確認してマークXを追い抜き、うねうね山道をさらにさらに進んで行く。そしたら前方に木曽路館の送迎バスが走っていた。後ろから来るバイクに気がついて、路肩によって譲ってくれたんだが、いえ、その、この先、思い切りヘアピンが続く山道なんで、そんなハイスピードで走れるほどテクニックないんで、譲ってもらわなくてもいいんですけど、なんて思う間もなくあっという間に送迎バスは後ろについてしまった。焦って走るが急坂ヘアピン、しかも、長い冬が終わってそろそろ春という状況で、待ちに待った冬の間の痛んだ道路保守工事のオンパレード、タダでさえまともに走れないのに、こんな道飛ばせるかクソ。後ろからの無言のプレッシャーに脂汗をかきまくって清内路峠を越えたのであった。やっぱり清内路峠は嫌いじゃ。宮峠の次に嫌いじゃ。
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うねうね山道を何とか走りおりて、ようやく昼神温泉郷に入った。温泉手形を販売している、昼神ガイドセンターはバス停の前なので、そこまで行って駐車場にバイクを止める。ガイドセンターは宿泊案内所みたいなところだった。入口には、温泉手形のポスターが貼られている。中に入ったら女の人と男の人がカウンターにいて、客が1人、今日泊まるホテルを案内してもらってるみたいだった。男の人に、温泉手形くださいと頼むと、ちょっとお待ちくださいと言われてしばらく待つ。その間に、別の客が来て、観光案内のパンフレットを片っ端から持って行った。なるほど、そう言う情報収集の手もあるなと思い、どんなパンフがあるのか見ようと思ったところに男の人が戻って来て、手形を渡された。特に説明もなんも無く、渡されてハイ終わりだったので、ちょっと味気ないなと思いつつ、ガイドセンターを出た。時刻は9時30分、さてどこの温泉に入るベエかと手形を見たら、ほとんどの温泉が日帰り入浴11時から、狙っていたゆったりーな昼神でさえ10時からだ。げろげろ、時間早すぎじゃん。何かないのかよとよく調べたら8時からやってるところがあったので、よしそこにしよう決定、しかし、場所が分からん。付属の地図を見ても、どこに何があるのか、全然わからんかったので頭をひねって考えて考えまくって、ようやくパンフの施設名の頭の部分が地図を示していると気がついて、それで見直したら場所が分かった。しかし、暗号を解読するのに時間がかかかり過ぎて時刻は10時近くなっていた。10時ならゆったりーな昼神に入ることにした。
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ゆったりーな昼神は公営の日帰り入浴施設なのだ。昔は昼神には日帰り専門の施設はなかったよな。まあこれも時代の流れだよ。開店と同時に中に入る。履物はここで脱げと書いてあるので脱いで、下駄箱にブーツを入れようとしたら、背の低い下駄箱しかないぞ。入らん。無理矢理横にしていれたが、ブーツが痛むからいやだなあ。それからフロントでさっそうと手形を出したが、ハンコのページがわからんくて右往左往した。ぐぐっ、カッコわるー。フロントの係員さんが、ここですよーとページをめくってくれたので何とか事態は収拾した。ハンコをもらって、中に入ると、広いホールと左にレストラン、右に温泉なのだ。温泉の方に歩いて行くと、今日は男湯が手前だった。暖簾をくぐって脱衣所へ。なんと、ロッカー無し、脱衣かごのみだ。表に貴重品ロッカーがあったから、貴重品は別にそこヘ預けろと言うことらしい。まあ、メンドーなんで脱いだもんの一番上にパンツと靴下を広げて置いといた。こうしておけば、ヘタな防犯機能よりも防犯になるのだ。ワイルド7の飛葉も言ってたから間違いない。風呂場に行って洗い場に座って体を洗う。なんかさー、洗い場、全然使われた形跡がないんですけど。すでに湯に入ってる客の数より、洗い場の使われた形跡が明らかに少ないんですけど、みなさんちゃんと体を洗ってから入ってますか? 体を洗って入るのは公衆浴場のマナーですよ。お湯をかけただけではおチンチンのカスは取れませんよ。ちゃんと洗い場でおチンチンを洗いましょう。おチンチンと体を洗ってからお湯に入った。あー、気持ちええ。ちょっとぬるぬるな感じが、ほんのちょっとだけぬるぬるな感じがしていいお湯である。寒さで冷えた体が解凍されるようだ。全身解凍されたころを見計らって、露天風呂に移動した。いわゆる箱庭的な露天風呂だが、まあ、天井がないだけで開放感はあるな。露天風呂は頭冷やして体あったかな体制なので長湯に適しているのだ。ゆっくり入ってタンノンして出た。脱衣所で装備をつけたらちょっと暑くなったんで、さっさと建物から外に出た。外のひんやりした風が気持ちいいな。
さて、次は何か食おう。しかし、飯を食うところの営業時間にはまだ早いので、昼神から次の目的地千人塚に向かうことにした。その途中で何か食うことにしよう。153号線に出て、飯田に向かう。この153号線は地図で見ると快走できる道に見えるんだけど、なかなか実際にはそうは問屋が卸さなくて、交通量が多いし信号も多いので、ノロノロ運転になるのだ。たらたら走りつつ、食いもんを探す。コンビニでパンを食うのにも飽きたので、ちゃんとしたもんを食いたい。でも時間がかかるのは困る。と言うことで、やっぱ早い安いうまいの吉野家かとも思ったが、どうも最近の吉野家は評判が悪いみたいなんで、すき家かなか卯でもないかと思いつつ、153号線を走っていく。なか卯はなかったが、すき家はあった。でも反対車線なんで入り損ねた。まあ、いつものことだわな。マーフィーの法則だわな。ガソリンが無くなれば無くなるほど、ガソリンスタンドが反対車線にある確率が高くなる、と言うアレだ。その時閃いた。そうだ、これから行く千人塚は桜の名所、きっとお店がいっぱい出ているに違いない。そこでいろいろよりどりみどりに選ぶのほうがお花見気分も盛り上がっていいぞ、そうだそうだそうしよう。おれってあったまいいよなー。これはカンペキな作戦だと思いつつ、153号線を走っていくと、松川あたりでいきなり、この先土砂崩れで通行止めの案内。迂回路に案内する交通警備のおっさんの誘導に従って県道15号線を走っていくと、しばらくして千人塚公園の看板があった。そっちに曲がってうねうねの山道を登ると、あっさり公園に着いた。
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もっと道に迷うかと思ってたんで、拍子抜けしたが、まあ、これも日頃の行いがいいと言うことだろう。公園にはたくさんの桜と、大きな池と、そして何よりも雪を冠ったアルプスが3点セットで迎えてくれた。いやもう素晴らしいのなんのって、未整地な駐車場には車が半ば埋まっており、芝生の土手には家族連れがみなさん揃ってシートを広げてランチタイムの真っ最中、池の周りに目をやれば、バズーガ砲みたいな望遠レンズを取付けたカメラと強靭な三脚を持ったカメラマンたちがウジャウジャ、桜と池と雪山を狙い撃ちしているのであった。たが、残念なのはちょっと桜も終わり始め、よく見ると葉桜になりつつあるので、これが八分咲きくらいだったらまさしくこの世の春、桃源郷だろうなあ。バイクを舗装された駐車場の方に止めて、辺りをちょっとウロウロした。予定されていた売店はちょろっとしかなかった。当然、食いたくなるようなものは売ってなかった。がっかり。食いもんはあきらめて、風光明媚なこの空間をたっぷり楽しんだら、来年、八分咲の時に絶対に来ようと心に決めたのであった。
公園から県道15号に戻った最初のセブンイレブンで、昼飯にコロッケパンを食った。さて、153号線に戻るのにどうすると考えてツーリングマップルを見たら、伊那中部広域農道が153号線より走りやすいとかいてあった。よしそっちを走っていこう。そしたら、その道はすごく快適な道だった。ほとんど北海道を走ってるみたいだった。サイコーだった。
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権兵衛トンネルを抜けて木曽に出たら、大桑でコンビニ休憩。あんまんを食おうと思ったのに、もう売ってなかった。でもおでんはあるんだよ。おかしいよ。なんでおでんがあるのにあんまんがないんだよ。くそ。仕方がないのであんぱんを食って帰って来た。多治見の渋滞に難儀した。
本日の出費
温泉手形 1000円
コロッケパンなど 220円
あんぱんなど 244円
本日のCB1300の走行距離 320キロくらい
累計のCB1300の走行距離 48080キロくらい