今度はかけ流しだ絶景だ濁河

5月15日(土)

5月号の温泉博士は豊作なんだが、特に気になったのが濁河温泉の旅館御岳である。この旅館の温泉は、はじめて濁河温泉にCBR750で訪れたときから入ってみたいと思っていた温泉なんだが、なかなか入る機会に恵まれなくて今日に至ってしまっていた。それが温泉博士の無料対象になっているのは、これはきっと何かあるに違いない。このチャンスを逃すわけにはいかないぞ。しかし、相手は濁河温泉、何と言っても霊峰御岳の七合目、驚異的な標高の温泉であるゆえ、春の訪れも遅く、ゴールデンウィークでも雪があるくらいと言われているからには、時期は最大限後倒しさせねばならない。必然的に設定日は温泉博士有効期限最終の5月15日となった。がしかし、ここで大問題発生、ななんと、入浴営業時間は午後1時から4時までなのだ。午後1時だと? 入って出たら午後2時過ぎ、それから帰ると帰宅時間は6時過ぎるぞ。晩飯の時間は5時なので、それまでに帰りたいが、どう見積もっても4時間以上かかる山奥の温泉、駄目だこりゃ、他を選ぼう。もっと近い所、ひまわりの湯か湯の山温泉にでもしようかな、あんまり面白くないけど仕方ないよな、と思ったその時、ふぉーっふぉっふぉっふぉ、そその声は老師様! そうじゃのう、おぬしの言うとおりじゃ、遠くはやめいたほうがいいのう。早く帰って来たほうがいいいからのう。あまり面白くない温泉でも近い方がいいんじゃ。そうじゃ、いっそのこと、近所を一周してくればいいじゃないのかのう、つまらんが、近くの方がいいんじゃろう、そうだそうすればいいんじゃよ、ふぉーっふぉっふぉっふぉ! うおー、オレが間違っていた! 自分を偽って、近場でごまかすなんて最低だった。行きたい温泉に行けばいいんだ、それが人生だ、後悔しない人生なんだ! 濁河温泉に行くぞ。帰りが遅くなるが、まっちゃんにはびしっと言ってやるからな。「あのぉ〜ですね」「ん??」「今日の温泉はちっと遠いもんでですね」「ふん、何時になるの」「そのぉ〜ですね」「はぁ?」「ろく、ろくじくらい」「はあ〜!?」「いやっ、あのぉ〜」「もう、しゃあないな」「えっ」「晩ご飯6時にするやん、もう」あれ、どこかのサイトの夫婦の会話に似てるような気がするがまあいいか。よし、びしっと言ってやったからもう大丈夫だ。行くぜ、旅館御岳!

というわけで、当日、納戸からFTR223を引っ張り出す。なんせ山道なんで、当然機動性のあるマシンで行くのがセオリーなのだよ。片道約4時間から5時間かかると考えて、午後1時の営業に合わせると出発は8時なので、ちょっとゆっくり出来るので実家までFTRを引っ張って行って、コーヒーを飲み、チャーンにオイルをさし、空気圧を確認してから出発した。ちなみに装備だが、岐阜方面の最高気温21度なので革ジャンの下はTシャツとタートルネックの2枚にした。これで暑いか寒いか、それが問題だ。

ガソリンはまだたっぷり入っているので、いつものコスモ石油は通過し、19号線で多治見に向かう。天気はスッコーンと快晴、空は雲ひとつない青空。このところ週末は必ず晴れとついているな。この調子でガンガン行くぜ。

いつものルートで可児から川辺へ抜けて41号線に出る。途中、川辺カヤバの工場は完全に撤去され平地になっていた。あららー、やっぱり工場閉鎖か。ちなみに帰って来て調べてみたら、会社解散清算だそうです。ほかにも七宗のカヤバも閉鎖、ここはバイクのショックを作ってたらしい。バイク売れてないもんね。大手企業は黒字転換してるけど、営業成績の向上で黒字になったんじゃなくて、こういう犠牲の上に黒字化してるだけなんじゃないのか。こういう結果としての数字がすべてだという考え方には賛成しかねるな。

41号線を北上する。なるべく時間をかせぎたいので、休憩なしでどんどん進む。道の駅七宗もドライブイン飛山も通過する。気温も上昇気味なんで程よく暖かいし、道路の流れも順調なんでいい感じだ。山間部は新緑がきれいでまぶしいくらいだな。まさしく、目に青葉山ホトトギス初鰹だよ。いい気持ちで走ってたら、前をのろのろ走ってる車に追いついた。のろのろ走ってる上に、ふらふらとふらつく蛇行運転、何かヘンだなーと思って見たら、ケータイで電話してるじゃん。なんだよ、今時まだ運転中にケータイ使うヤツがいるのかよ、この田舎もんが。危ないので距離をとって走っていたら、枝道の方に入って行ったので助かった。そしたらその代わりに出て来た車が、なんか後ろがヘンだなーと思ったら、後ろのドアが開けっ放しじゃん。何か荷物が載ってるからしまらないのかと思ったが、何も載ってないし、閉め忘れかよ、じーさん、開けっ放しだよと教えてやろうと思ったら、曲がって行ってしまったので言えなかった。あのあと大丈夫だったかな。

下呂のコスモ石油で給油する。口元まで目一杯入れたら5リットルくらい入った。130キロで5リットルか、この前、街乗りしたからな。燃費がちょっと悪いが、まあこんなもんだろう。ここまで来たのでリアルタイムに更新を入れようと思って、ウエストバックからケータイを出した。そしたら、ヘルメット盗難防止用に使ってるワイヤーロックだった。げ、ケータイと間違えた。ということは、ケータイ忘れたよ。あらら、まあいいか、今日はリアルタイム更新なしということで。

下呂から飛騨小坂まではすぐだ。交差点で41号から県道437号線に入った。道の駅飛騨小坂はなももでトイレ休憩をとる。BMWバイクが2台止まっていた。カッコいいよなBMW。夫婦でツーリングのようだ。もう1台、山の方からYAMAHAのSSが入ってた。こんな時間に山から来るって、昨日、山に泊まったのか、それとも早朝峠道練習か。

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道の駅を出たら、いよいよ、今日のメインイベント、鈴蘭街道なのだ。この道を走る為に今回はFTRをチョイスしたのだからな。タイトコーナーが続く道は、やはり大排気量車より、戦闘能力が勝るFTRなのだ。決して、大排気量車を乗りこなす技術がないヘタッピーだからではないぞ。ホントだぞ。4年前にみんなで濁河温泉に来たとき、CB1300でバリバリに置いてかれてショックだったからではないぞ。

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ウネウネのタイトコーナー山道をぐいぐい進んで走って行く。やっぱり軽量バイクの方が気が楽だよな。途中、気にあるポイントがあってもスッと止められるし。これがCBだったら止める所にも気を使うからな。

やがて視界が開けたかと思うと、目の前に霊峰御岳がその勇姿を現したのであった。

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素晴らしい、絶景。まさしく絶景である。ほかに何と言えばいいのか、絶景かな絶景かな、ああ御岳や御岳や、途中、バイクを止めて撮影を繰り返し、太平展望台まで来た。バイクを止めてしばし絶景を眺めて休憩する。快晴の青空に、山頂に雪を冠った御岳は、見とれるほどの絶景だよ。やっぱりこっちに来て正解だったよ。老師様の言うとおりだよ。老師様って誰だよ。コンタロウの漫画に出てくるカントクの事か?

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時間が予定よりかなり早く来ているので、ちょっとゆっくりさせてもらってから出発した。そこから13キロで濁河温泉だ。やっとこさ着いたな。でも時間は12時過ぎなんで、まだ1時間くらい待たないかんぞ。目的地の旅館御岳を通り過ぎて、ちょっと辺りをウロウロする。それにしても、やってるのかやってないのかわからん旅館がいっぱいだな。カーテンが閉まってる旅館はみんな廃業してるのか、それともスキーシーズンだけ営業するのか、かと思うと、最近できたばかりのホテルみたいなのもあるし。濁河温泉の営業状況はいかがなものでしょうかな。伊香保温泉や熱海みたいに廃れつつあるのか、そういえばこの前ネット限定で半額の高級温泉旅館があったんで、調べたら湯が島温泉だったな。あそこも一時期は高級温泉旅館街だったけど、いまや寂れまくりの温泉街だから、限定半額でもやらんと客が集まらんのだろうなあ。

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とか何とか考えながら走ってたが、時間が潰せそうな所は何もないので、旅館御岳の駐車場に戻ってバイクを止めた。そしたら、旅館の前に無料の足湯がある。御岳七合目で、さすがにちょっと寒いから、足湯で暖まろう。そうしよう。いそいそと足湯に浸かってぼーっと青空を眺めていたら、キャンピングカーが入って来た。今日の宿泊客なのか、単に観光でこの辺りを走ってるのか、ああ、キャンピングカーで旅館に泊まるヤツはいないよな。犬を走らせて遊んでる。

足湯にも飽きたので、出て旅館に入ってみた。電気は消えてて、フロントにも誰もいない。日帰り温泉は午後1時からですと案内の表示があった。やっぱり待つしか無いようだ。ホールのソファで座って待っていると、じーさんばーさんのグループがやって来て、温泉はまだだねえ、ご飯を食べようかと話しながらまた出て行った。あー、ごはんか、そういえば腹減ったなあ。こんな所にコンビニはないからなあ。旅館の売店に何か売ってないかなあ。そう思って、また営業時間前みたいな売店をちょっとのぞいたら、下界では安売り78円で売ってるような板チョコが200円、ポテトチップス180円とやはり標高が高い分物価も高いのであった。とても食えんな。我慢するか。

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ソファに戻って待っていると、今度はオタクっぽいおっさんがひとりやって来て、温泉博士を出してフロントに行った。あ、あの人も温泉博士だ。まだ時間早いんじゃないかと思いつつ、もし入れたら何か悔しいなー待ってるオレってバカみたい、しかし、「1時からです」とあっさり断られていた。ひとまずホッとして、また待ちの体勢になる。新聞を読んだり、旅行雑誌を読んだりして時間を潰し、ようやく1時になった。ホテルの人が電気をつけたので、フロントへ行くと温泉博士を見せる。ハンコをもらって温泉の方に行く。

ここは館内の内湯と露天風呂と建物の外の渓流にある露天風呂の2カ所がある。まずは館内の温泉からだ。脱衣所に入ると、まだ誰もいないぜ。独り占めだ。かごに荷物を突っ込んで、風呂場に行く。体を洗って湯に浸かると、ほわわーん、ちょっと寒かったんで体が暖まるのが気持ちいいな。ホールに説明書きがあったけど、ここはかけ流しなのだぞ。くー、やっぱりかけ流しは違うぜ。気持ちいい。体が暖まったら露天風呂に移動する。すると、外で植木の手入れをしているホテルの従業員がいた。おお、こんな事もしないかんとは、ホテルマンは大変だな。露天風呂も気持ちよかった。露天風呂の方が湯の温度が高いような気がするが、源泉の調子で温度が上下するらしいからそのせいかな。充分タンノンしてから出た。暖まったわい。脱衣所で服を着たら、いよいよ渓流の露天風呂だぜ。わくわくしながら渓流露天風呂への回廊への入口に行くと、下駄箱とサンダルがあって、宿泊客はここでサンダルに変えるようだ。下駄箱には女物の靴が入っていた。おお、こ、これは‥ちなみに、この渓流露天風呂は混浴です。そこに女物の靴があるという事は、女の子が入浴中ってことですよ、イヤンバカん

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入口には渓流露天風呂まで160段階段を下りなので、足腰が弱い人はご遠慮くださいと掲示があったので、げ、そんなに階段あるくんかい、やめようかと一瞬思ったんだけど、いやんばかんなのだ。自らを奮い立たせて階段を下りるのであった。どんどんどんどん階段を降りるのだ。マジ、すげー階段を下りるのだ。そして回廊を歩くのだ。まるでウイザードリイみたい。やがて目の前に現れるトンネル階段を下りた我々が目にしたものは!

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チンコだった。

なんだこれ。何でこんなもんがご神体なのかよーわからんが、まあいいや。その先に脱衣所があった。脱衣所で荷物を棚に置くと、いよいよイヤンバかんだぜ、よほほのほーい、と温泉に方に行った。かけ湯をしてお湯に入ると、そこにはそこには、いましたよ、女の子、むかーしの女の子が。「おじーさんええ湯じゃなあ」「ほーじゃのー」いやー、日本社会高齢化は深刻だ。

しかし、それはさておきこの温泉はすごいぞ。かけ流しバリバリ、垂れ流し、濁流のようにお湯が流れて、目の前にあるでかいボーリングのやぐら付近からの源泉口からはとめどなく流れる熱い湯、温泉の湯船はメガネ型になっており、みなさん源泉口の方に誰もいないので、行ってみたら、熱いのなんのって、すげー熱い。源泉温度46度まんまのお湯。熱くて長湯不可。入って出て、入って出て、渓流に流れ落ちる温泉の湯が、湯気を上げて合流し、谷底の色は異様に水色キラキラ輝いてるのであった。まさしく、ここは別天地。チンコ様がご神体になっているワケだよ。

じーさんばーさんらが出てった後、別の客がまた来るのが見えた。入ったり出たりして夢心地してたら、女子脱衣所の戸がちょこっと開き、顔を出したのビーチバレーの浅尾美和みたいな美人、戸はすぐに閉まったが、およよ! ついに来たか! こりゃ出られんぞ、と鼻息荒く待機の体勢になるのであった。しかし、しかしだ、熱い湯でのぼせかけで、その上、空腹状態、あまり長くは待てんぞ、フラフラになって来て、もう駄目だ。こんなに待っても来ないという事は、男がいるので入るのをやめたんじゃないか、そうだもうやめたんだよ、おかしいよ、こんなに時間がかかるわかないよ。あかん、もうでよう。体を拭いて男子脱衣所の戸を開けた瞬間だった、女子脱衣所からタオルを体に巻いた浅尾美和が出て来ちゃったよーん。ぐぐ、いまさら湯に戻るわけにもいかず、断腸の思いで脱衣所に入るのであった。残念。でもさ、温泉ではメガネ外してるんで、裸眼視力0.01だから人の顔なんてホントは全然わかんないんだけどさ。

脱衣所で服を着て、そこからがまた大変だった。160段の階段をまたえっちらおっちら登らないかんのだ。これが想像以上に大変だった。空腹な上に長湯でのぼせてるし、ヘタすると死ぬぞってくらい大変だった。それでも必死になって登ったら、途中でだいぶ前に上がったじーさんばーさんが前の方に見えた。「若い人が来たで、譲らないかんわ」と言われたので見栄を張って、いかにもこれくらいなんでもないさという感じで歩いて行きたかったのだが、「すいません、ぼくも死にそうなんで無理です」と一緒になってゆっくり登るのであった。

ようやく階段を上りきった所で、これから行こうとするお客さんがいた。「大変そうですね」と言われたので「行きはいいですが、帰りは大変です」と人生の先輩として助言するのであった。しかし、ここの温泉はこの大変な想いをする価値は十分にある。十分にあるぞ。素晴らしい温泉であった。同じ4時間かかっても、この前の乗鞍とはえらい違いだな。こんな所にこんなまさしく秘湯があったとは! それが無料で入れるとは! 温泉博士万歳。

バイクに戻った。4時間で6時までに帰宅せねば。帰りはすっ飛ばして走って行った。途中のデイリーヤマザキでパンを買って食った。帰りも順調に流れていたので、予定よりは約5時30分くらいに帰ってこれた。帰って来て、まっちゃんの最初の一言、「忘れたでしょ! ケータイ!」

本日の出費

パンと缶コーヒー 205円

本日のFTRの走行距離 300キロくらいかな

累計のFTRの走行距離 11460キロくらいかな

 

 

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