通行止めで迂回路はトンデモ山道根の上高原

6月10日(日)

換気扇の掃除をするから外しといてと言われて、まだ外してないのである。ヤバいのである。毎度毎度、まっちゃんに頼まれても、なぜかすぐに忘れてしまうのである。いや、忘れてるわけじゃないんだよ。やらないかんとわかってるんだよ。大した事を頼まれてるわけじゃないのである。たかが換気扇を外す事など、わずか30秒もあればできるのである。しかし、あれをやってからやろう、これをやってからやろうと思っていると、ついつい忘れてしまうのである。あれ、要するに結局忘れてるんじゃん。で、今日こそはツーリングに行く前に外してから行こうと思ったのである。またしても、「いつになったら換気扇外してくれるの」などと言われてから慌てて外しているのでは全く成長の兆しもない愚か者ではないか。そう、最近ちまたで話題のテレビのCMの、ままごとやってる子供の会話「ま、アンタには期待しとらへんけどね、期待しとらへんけど、ハラ立つわあ〜」って、あの状況そのまんまになっちまう。だから、今回こそは言われる前に、今日言われる前にやってしまう事に決めたのであった。

えーっと、ああ、そうだ、ところで、今回の行き先である。温泉博士のストックは、3カ所。新穂高温深山荘別館、恵那山荘、道の駅温泉かれんである。最有力候補は新穂高温泉なのである。実は、ここだけの話だから、絶対に誰にも話すなよ、実は某Twitterからの指令で、新穂高の偵察を密かに行うはずだったのだよ。そしたら、地図を忘れてしまって、間違えて城崎温泉に行ってしまったのだ。痛恨のミスである。これを今回、汚名挽回? 汚名返上? のためにもここへ行かねばならんと思ったのであったが、ここは入浴料2000円なんだよ。温泉博士は1000円分しか補助されんので残り1000円払わないかんなあ、ちょっとキツいなあ。昨日(6月9日)にアンナものやコンナものや、しまいにゃソンナものまで買っちまって、久々に強欲煩悩炸裂弾の絨毯爆撃をしちまったんで、今日はちょっと緊縛予算でじゃなかった緊縮予算で行きたいので、新穂高却下。となると、道の駅温泉には全然行く気にならんから、消去法で結局恵那山荘に行く事になったわけよ。行った事ない温泉だったしな。

そんなわけで、当日、朝5時に起きていつものように気象庁のサイトで天気予報を確認すると、晴れ、最高気温30度でも風は強いみたいである。そろそろ梅雨入りなんで、今週はひょっとしたら雨でツーリングは行けんかもしれんなあ、と思っていたのだが、土壇場になって結局晴れてくれた。とはいえ、ちょっと不安定な天候のようではあるが、まあ、この辺りは大丈夫だろう。まっちゃんが作ってくれた、喫茶店のモーニング風朝食を食って、準備して実家ガレージに向かうのであった。行き先が恵那なんで、慌てる事はない。コーヒーを飲んでから行こうと言うことで、小川珈琲の京珈琲ブレンドを飲んだ。うまかった。飲んだら行くことにする。ガレージからCBR600RRを引っ張りだそうと思ったら、かっちょええ、チョーかっちょええセンターアップマフラーから、なんか糸くずみたいなものがぶら下がってた。何だこりゃと思ってよく見たら、ワックスをかけたときの仕上げの拭き拭きするモップみたいなのの糸くずが絡んでた。竹串で取ろうと思ったら、なかなか簡単に取れないのであった。まっちゃんがやってきて「なにしとんの」「これ」「なにこれ」「モップの糸が絡んじゃった」「竹串貸してみやあ」まっちゃんはこういうことが好きなのである。でら真剣に糸くずの除去作業に取りかかって、20分後、なんとか大部分を除去することに成功した。しかし、全部は取れんかった。まあ、走っとりゃそのうち取れるだろう。では行くとするか。

ハイ、賢明なる読者諸君はここら辺で気がついてると思うんですが、ええ、そうです、冒頭に話した換気扇のことですよ。ええ、もう全然忘れてます。忘れてまして、幸か不幸かそれを直前に思い出しました。「やばい、忘れとった」「換気扇外してない」「あ、そう」「今から外してくる」「まあええわ、帰って来てからやりゃあ」「いや、外してくる」男はどうしても行かなければならないときがあるのだ。キャプテンハーロックなのだ。こうして無事、換気扇を外してからツーリングに出発したのであった。

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さて、ドピーカン快晴の下、まずはコスモ石油に行った。原油高騰のこの時期にハイオク給油はつらいのである。前回200キロ走って約9リットル入った。リッター20キロちょっと走ってるな。ちなみにリッター141円、今回もメール会員割引なのである。そういえば、ケータイのメールがいっぱいですから削除してくださいと表示が出てたんで、削除したら全部削除されちゃった。私の知り合いでは数少ない、貴重なチョー美人のあの娘からの「がんばって(はぁと)」のメールも消えちまった。ショックである。家宝にしようと思っていたのに。落込んだ時にそれを見て元気を出そうと思ったのに。宝くじが当たったらGTRを買おうと思ったのに。しかし、そのおかげでめでたく割引メールが届いたからよしとしよう。

コスモを出たら19号線を走っていく。快調に走っていく。なんせ快晴で気分は快適、そして幹線道路はカッ飛びやすく快適、すなわち、スピード違反しやすい環境である。そして今日は10日、交通死亡事故ゼロの日であります。その通り、みなさんの期待に応えて現れたのはジョー、対向車線に白い車体に青い制服のヤツらが現れた! ヤバい、反対車線にいるということは、こっちの路線にもいやがるぜ。スピードをセーブして走っていくと、案の定、前方にジョーがいた。いつもなら時速100キロくらいで走ってるのに、みんな急に走るのがおとなしくなった。

内津峠を越えて多治見に入り、土岐を越えて瑞浪を過ぎて順調に恵那まで走ってきた。恵那でマクドナルド休憩なのである。駐車場にバイクを止め、店に入ったら200円を出して「食ってきます、16番、ブラックコーヒーで」とハードボイルドに決めた。我ながら格好よく決まったぜと思いつつ、ポーズをとって待っていたら、店員の女の子になんか言われた。わかったわかったというように余裕でうなずいて、またしても、 我ながら格好よく決まったぜと思いつつ、ポーズをとって待っていたら、またしても店員の女の子になんか言われた。今度はよく聞こえた「すいません、横にずれてお待ちください」スッゲー申し訳なさそうに言うのであった。よく見たら後ろには注文待ちの客がいた。げ、そうだった、注文したら次の人に注文を譲るんだった、横にずれて待つんだった、ハードボイルドに注文を決めた自分に陶酔して忘れとった。

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横にずれて待っていたらすぐに品物ができたのでトレイを受け取って席に着いた。トイレを済ませてそれから、チキンクリスプマフィンを食ってブラックコーヒーを飲んだ。マフィンの大きさはそこそこだった。でもマスタードソースが真ん中になくてちょっとずれてたもんで、最後の方でダラ漏れだった。なんかとっても行儀が悪かった。ええ歳こいたおっさんが恥ずかしいのであった。まあいいや。食ったらバイクに戻って出発する。

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そこからちょっと走って、HONDAの自動車販売店のある交差点で右折して山の方に向かうのだったが‥‥そこには「通行止め右折禁止」の看板がそびえ立っていた。なんですと? おいおい、おかしいだろ、じゃどうやって恵那山荘に行くんだよ。こまったなあ。とりあえず、交差点の反対側に曲がって、路肩にバイクを止めた。こまったな。きっと、去年の洪水の被害があったんだよ。その復旧工事が遅れてるんだ。だから通行止めなんだ。工事の案内表示をろくに読まないでかってに解釈しつつ、それなら反対側から登るまでよ、と再び19号線を北上する。やがて下呂へ繋がる国道257号線の分岐点までやってきて、そこで、このまま下呂の方に向かって、金山道の駅かれんに温泉博士するテもあるなあ、と考えた。反対側の曲がるところがわからんし、山の上の方が天気が悪そうだったし、そうしようかと思ったが、しかし、やっぱり行ったことのない恵那山荘ほのうが行きたいので、とにかく、曲がるとこを探した。そしたら、中津川手前の交差点に根の上高原の案内看板発見。ここだ! と見逃してなるものか、即時に判断して右折車線に入ると、一気にその道に入った。そこは県道413号線で、あれ、おかしいな、407号線じゃなかったっけ? まあいいや、どれも同じような番号だから大丈夫だ。走ってけ。

どんどん標高を上げて行くと、しかし、だんだん天気が悪くなってきた。雲がどんどん出てきて曇ってきた。雨こそ降りそうにないが、ちょっとテンション下がるなあ。せっかく恵那山の勇姿をカメラに収めるつもりだったのだが、見えそうにないな。せっかくの温泉展望風呂なのに、見えそうにないな。まあいいか、ひょっとしたらすぐ回復するかもしれん。そう思ったが甘かったのであった。天気は回復する様子もなく、曇ったまま、そして、困ったことに道がどんどん細くなってきた。あ、ちょっとヤバい雰囲気じゃん。昨日の雨で路面はウエット、そのうえ落ち葉が散乱したのが濡れ落ち葉状態である。バイク汚れるじゃん。おかしいなあ、ここは以前、CBR750で来たことあるけど、こんなひどい道じゃなかったよな。ひどい道だったら記憶に残ってるはずだよ。なんせ、あの頃は、国道は必ず歩道が縁石で作られてる広い道だと思ってた。県道は必ず中央に車線がある広い道だと思ってた。だから地図上にある国道はかならす快適に走れる道と思って、国道157号線も、国道418号線も、国道421号線も走ってやったぜ、わいるどだろ〜、ってくらいに無鉄砲な走りをしてたんだから、ひどい道は覚えてるよ。あ、まてよ、あの時はHONDA販売店の交差点の方から上がったんだっけ。この道ではなかったっけ。だとしたら、この道は初体験リッチモンドハイだよ。ヤバい、ひょっとしたらとんでもない険道かもしれん。

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果たして、トンデモな道なのであった。急カーブ急坂が続き、うっそうと茂った山の木々で昼間なのに暗いのである。しまったなあ、こんな道走るんじゃなかったなあ、FTRでこればよかったなあ、などと思っても後の祭りであった。

それでもなんとか、ようやく恵那山荘にたどり着いた。駐車場にバイクを入れて止めた。バイクを降りてヘルメットを取り、やれやれと一息ついた。天気は相変わらず曇っているが、山の中の静けさに鶏のさえずりなど聞こえまして、なかなかいい環境なので、まあ、大変だったけど来てよかったよと思ったのであった。が、改めてバイクを見たら卒倒した。なんちゅう激汚れじゃん。跳ね上げたドロ水と濡れ落ち葉の破片とがミックスクラッシュして、下回りにトッピングされちゃってるじゃん。ダメだ、もう死にそうだ。こんなに汚れたのは初めてじゃないか。冗談じゃないぞ。もう居ても立ってもいられんかった。バイク洗いたい。こんな汚いバイクはいやじゃ。洗う。今すぐ洗う。洗えなきゃ死ぬ。うわーん死ぬ死ぬよう。温泉なんか入っとる場合じゃないよ、もう帰ろ。

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しかし、ここまで来たんだから、入って帰ることにした。入らずに帰っては、こんなに汚れてまでここまで来た意味がないではないか。そうだ、この汚れた犠牲を無駄にしてはいかんのだ。よし入ろう。決意して温泉セットを持って山荘に入った。受付の人に温泉博士を見せてハンコをもらう。途中の恵那からの道が通行止めの話をしたら、橋の工事で通行止めなんだそうで、国道257から迂回路があったらしい。なんと、そっちを走って来ればこんな汚れずに済んだかもしれん、大失敗ではないか。クソ、なんてことだ。工事の案内表示をよく読まないかんかったのだ。出かけに恵那山荘のサイトを確認しておいたんだが、通行止めの情報なんぞなかったじゃんか、ちゃんと載せとけボケ、などと思っていたが、そんな簡単な迂回路があるなら載せんわなあ。現場で見ちゃわかるこっちゃもんな。ちゃんと見んかったのが悪い。やっぱり取説はちゃんと呼んだ方がいいよ。おーい、取説、って違う! 取説はちゃんと読んだ方がいいよ。

ブーツを玄関で脱いでスリッパに履き替え、客間のある廊下を通って展望風呂のある2階に移動する。暖簾をくぐって中に入ったら、狭い脱衣所に先客が2人、こんな辺鄙で人気のなさそうなところなんで貸し切りを期待していたのに満員御礼だった。荷物をかごに突っ込んで拭いを持って風呂場に行ったら、これまた狭い風呂場だった。小さな民宿の風呂場レベルの大きさだった。マジかよ。体を洗って湯船に浸かった。展望風呂なんで全面ガラス張りなんだが、曇ってて恵那山は見えんかった。残念。狭い風呂に3人で全然落ち着かんので早々に出た。で、クールダウン後装備装着、分析表を探すが見当たらないので、緑色の説明書きを読んだ。そしたら、なんと、ここ温泉じゃねーじゃん。ゲルマニウムの鉱石が入ってるってだけの風呂じゃん。くっそー。完全に騙された。やられたね。浜名湖の人工温泉と同じだよ。こんな苦労してきたのに、サイテーだよ。もういやんなっちゃったよ。

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温泉を出て、受付で帰り道のことを確認した。恵那の方に出たいなら、この道を下って工事中の橋の手前の交差点を左折して、その次で右折したら、警察署のところで19号線に合流できるよ、と教えてくれた。道路状況は、これでも昔より格段によくなったそうで、それでも、何も知らない人が、中津川側から登ってきて、ひどい道だったと言われるそうです。その通り、マジでひどい道だったよ。

こうして山荘を後にして、県道413号線を恵那方面に下りて行くと、道はしっかり中央車線もあるいい道で、こっちを上がってきたらこんなに汚れんかったなよあ。ほどなく、県道407号線に合流、明智鉄道に並走して工事中の橋までやってきた。教えられた通りそこを左折して、その次を右折すると、阿木川ダムに通じる国道257号線だった。なるほど、こういう道筋になるわけか。

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19号線に合流して、後はまっすぐ帰って来た。曇っていた天気は、愛知に戻ってきたらまたすっきり晴れていた。家に着いたらバイクを洗車した。気になってたマフラーに挟まったモップの糸くずも完全に除去した。

やれやれ、きれいになったのでやっと落ち着いたよ。

本日の出費
マクドナルド 200円

本日のCBR600RRの走行距離 130キロくらい
累計のCBR600RRの走行距離 9400キロくらい


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