さらば富吉温泉テルマ55
12月23日(日)
記録を遡ってみれば、最初の訪問は2011年12月29日木曜日であった。2011年の最後を締めくくるツーリング、その目的地に選ばれたのであった。一発で気に入った。以来、翌年すなわち本年2012年には、2月11日、4月1日、5月5日、7月15日、そして11月18日と5回と、これまでになく再訪を繰り返したのである。経費削減と新規開拓をかねて2009年から温泉博士が導入され、温泉は原則無料で入る方向性を邁進した本サイトのツーリング作戦ではあるが、しかし、温泉博士に掲載されぬ温泉も多数あり、それはお金を払って入る価値がある温泉と別格扱いされるようになった。有名なのは飛騨小坂のひめしゃがの湯である。このキュリー数値含有量が異常に多い炭酸泉は、これまで一度も温泉博士に掲載されず、しかし、600円(ネット割引券を使うと500円)という超破格値で、その異常に濃厚な炭酸泉を心行くまでタンノンできるということで、何度も再訪しているのであるが、それに匹敵すると太鼓判を押してお勧めできるのが、この年間5回訪問の記録をもつ、温泉である。
その名、テルマ55。
国道1号線に大きな看板がそびえ立つこの温泉は、温泉マニアを自称している管理人の目に留まらぬわけないのであるが、しかし、サウナフジみたいな所だと勝手に思い込んで全くノーマークだったのであった。しかし、前述したとおり、2011年の締めくくりを飾る温泉として訪問したら、ビックリドッキリメカ発進状態だよ。まずとにかくあふれる湯量、こんこんと涌き出す湯量がハンパじゃねえんだよ。そしてその熱い事熱い事、タマゴを茹でたら温泉玉子じゃなくてハードボイルドエッグになっちゃうよ。フィリップマーロウだよ、タフでなくては生きていけない、優しくなくては生きている資格はない、だよ。そのあふれる熱い湯の質がまた格別に素晴らしいのである。管理人がヘンタイライダーでアトピーライダーである事は承知の事実であるが、特にここ2、3年、アトピーは悪化しており、故に、温泉に入っててきめんにわかるようになってしまった。いわゆる天然温泉と称しつつ、循環加温消毒なんてやってる温泉に入ると、出てから体中痛いんだよ。チクチクするんだよ。ちゃんとした温泉はそんな事ないんだ。ひめしゃがの湯とかさ。ところが、このテルマ55、こんな街中にある温泉のくせに、湯がいいからヒリヒリチクチクも全然なく、湯上がりのお肌はスベスベなのである。たまらんよな。マジでたまらん。こうして夢中になって、行くとこないならテルマに行くぞと単純明瞭に決まったのであった。こんな近くにこんな素晴らしい温泉がある、なんて幸せなんだ。オレは恵まれてるよ。生きててよかったよ。テルマ5の湯に浸かる度にそう反芻していたのであった。
そう、あの日までは。
あの日、11月18日、いつも通りの訪問で、玄関前までやってきて見つけたのだ。「閉店します」という奈落の底に落とされるような、絶望の縁に沈んでいくような、世の中が真っ暗闇になるような、落雷にうたれて黒焦げになるような、買ったばかりヤマザキ高級粒あんパンをぽろっと落としてあんこに砂が付いちゃったような、そんな救い様のない状況、そう、物事に始まりがあれば、必ず終わりもあるのだ。この世は無常なのであった。やるせない悲しみに明け暮れて、それでも我々は前に進まねばならない。かくなる上は、せめて最後は見届けよう。最後は笑顔で見届けようではないか。それが何度もお世話になった湯に対す敬意を表したい。それが温泉ライダーとしてできる、せめてものはなむけであった。
そして、2012年、最後のツーリングの日がやってきた。行き先はもちろん、テルマ55である。これが最後の、泣いても笑っても最後のあふれる熱湯である。悔いを残さぬよう、思い切って行こうじゃないか!
ということで、当日、いつも通り朝5時に起きて気象庁のサイトを確認、天気は晴れだ。上々である。雨は前日にたくさん降ったからな。しかし、寒気襲来でかなり冷え込むようだ。防寒対策をしっかりしていこう。朝飯にまっちゃん製のタマゴトーストを食って防寒体制の装備をするのであった。もちろんヒートテックモモヒキも履くのであった。準備万端で、まだ時間があるので、実家でコーヒーを飲む事にした。なんせテルマ55までは片道35キロくらいなんで、1時間ちょっとで行けるから、あんまり早く出ると待たしても開店前到着になってしまうのであった。そういう事態を回避する手間にもコーヒーブレイクは必須なのである。そんなわけで、実家までFTRを引っ張っていった。家に入ると桃太郎(雄猫4歳)が親父のふとんの上で寝てた。コーヒーを沸かして飲む。コーヒーはKALDIの限定ブレンド、ノエルである。このダークローストの芳醇な香りとコクのある味はまさしくクリスマスのスイーツにベストマッチなのである。しかし、なぜかコーヒーのおつまみはイナバのピーナツミックスだった。
コーヒーを飲んでしばし時間をつぶしたら出発することにした。桃太郎の近くに置いといたクシタニヒップバックを取って、腰に巻こうとして失敗して落とした。落とした所が桃太郎の横だったので、桃太郎がフーーーーッ!といきなり臨戦態勢になった!いきなり黒いでかい物体が攻撃を仕掛けてきたようなもんだからな。てめえなぬすんじゃわれいてこましたろか、みたいな事を言ってるんだと思う。桃太郎のしっぽは見る見るうちに太くなって、われえーこんじょしてるやんけいつでもあいてになったる、と言ってるかどうかわからんが、一目散に隣の部屋へ逃げ込んだ。ヒップバックにこの過剰反応、まったくチキン野郎である。飼い主にそっくりである。
ヒップバックを締め直してまっちゃんに見送られて出発した。まずはガソリンだ。いつものコスモ石油に向かう。空は雲も少なくいい天気で、風もないので体感的にはそれほど寒くはなかった。コスモ石油に着いたら早速給油、メール会員のパスワードを入力して給油開始。前回約140キロ走って4リットル入った。最近、近場をウロウロしてるから燃費が伸びないな。それでもリッター30以上走ってるんだけどさ。
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ガソリン満タンで出発する。19号線を名古屋方面に走っていく。テルマ55に行くルートは環状線302号を走るルート、新川沿い県道59号を走るルート、そして名古屋市街、北区西区中村区を抜けるルートがあるが、今回は市街を抜けるルートで行くことにした。理由はかんたん、そのルートだと踏切がないからである。踏切うぜーもんね。
そんなわけで、19号線を勝川まで走って、そこから水分橋三階橋を渡って北区に入り、城見通り秩父通りを走って国道22号線に入った。マクドナルドが見えてきたが、朝コーヒーを飲んできたんでもう飲む気がしなくて通過した。中村区に入って大きな鳥居の交差点から南下して、どんどん進んで行くと高畑辺りまで来る。大名古屋温泉(でゃーなごやおんせん)の看板がある。大名古屋温泉も久しく行ってないな。テルマ55が無くなったら大名古屋の出番が増えるかもしれんが、入浴料が高いからなあ。
県道29号線を西に向かう。助光のマクドナルドまで来た。時間があるので寄ってこうと思ったんだが、駐車場に入るとほぼ満車、というか満車、自転車置場も満車、どういう事ですかなんかあったんですか、さっき通過したマクドナルドは駐車場ガラガラだったぞ。みんな勘違いしてないか、60秒ルールキャンペーンは来年からだぞ。60秒でご注文に品を用意できなかったらハンバーガー無料券差し上げますキャンペーン、オレも挑戦しようと思ってたんだけど、調べたら来年からだったぜ。となりの喫茶店の駐車場が半分くらい空いてるよ。ここにマクドナルドができる前は、いつも満車だったのに、客を取られてるな。これが競争社会、自由市場経済だぜ。
マクドナルド通過。このままテルマまで行っちゃおう。中川コロナの交差点で1号線に入ったら、後は一直線で走っていく。途中、スーパー銭湯ポカリの泉の廃墟の横を通った。思えばこのポカリの泉の閉鎖が、良からぬ前兆だったのかも知れぬ。次はテルマ、そしてその次はどこだ? 尾張温泉か、あるいはゴールデンランドか、この2つの温泉だって、いつ潰れてもおかしくないでしょ。御園座が行き詰まるご時世だよ。まったく油断を許さぬ事態なのであった。
1号線の交差点で止まったら、横断歩道を仲睦まじいカップルが歩いて行った。女の子は黒川芽以みたいでかわいいんだが、男の方が70年代のフォーク歌手みたいなロンゲでダサダサなんだよ。なんでオメーみたいなダサダサなのがそんなかわいい彼女を連れて歩いてるんだクソ。世の中狂ってる。
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そのまま一気にテルマ55まで来てしまった。開店20分くらい前に着いてしまった。仕方がない、ながおり惜しむ時間を先取りしよう。ということでバイクを駐車場に止めて辺りをうろつき写真を撮った。バイクを看板の前で取ろうと思ったんだけど、ちょうど通り道なんで無理でした。最近開店したセブンイレブンで何か買って飲もうかと思ったんだがやめた。だいたい、こんなところにセブンイレブンができた事も悪い予兆だったんだ。経営が行き詰まって、土地を売って赤字補填するってのはよくある手だよ。そこまで追いつめられてたんだなテルマ55。
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うーと唸っていると、客がちょくちょくやって来て、テルマ55の建物に入っていく。ああ、そうだった。ここは時間まで中で待てるんだった。なんだよ。それなら中に入って待とうよ。早速、中に入った。下駄箱は相変わらず横向きのショートブーツしか入らなかった。発券機は1台は販売停止になっていた。タバコの自販機は売り切れがそのままになっていて、補充はしませんと貼紙が書いてあった。発券機で入浴券を買うと、受付に出した。開店までお待ちくださいと言われて待つ。同じように待つじいさんばあさんが4、5人。みんな「残念だねえ」「悲しいねえ」「寂しいねえ」とウツになってた。
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10時になって、どうぞと受付の女の人が言うと同時にみんな一斉に風呂場に向かって大移動開始、一気にロッカー脱衣所に入っていくと、速攻で服を脱いでみんなどんどん入っていく。これは一番湯ねらいか。こっちも急いで脱いで荷物をロッカーに入れるとあらかじめ用意した10円玉をコロンと放り込み鍵をかけたら風呂場にダッシュした。まずは体を洗って、そして1番ぬるい1番上の風呂に入った。くうウー冷えたからだが解凍されるウ。気持ちいい。生き返るウ。しばらくして湯に慣れたら2段めに移動した。そして、そこにも慣れたらいよいよ一番下の段、50度の源泉掛け流し、お湯が澄んでて色がチョット違う。ここに入らんでここに来た意味無し。早速そろそろと入っていくが、あえなく轟沈。しばらく待機してもう一度挑戦する。むぐぐ、熱い熱い熱いぞ、ゆっくりケツまで入った。そしていよいい上半身も沈める。やがて首辺りまで湯に浸かる。恐るべし50度の源泉掛け流し。度を超すととんでもない事になるもんだ。信じられないが肌が冷たく感じるのだった。熱いお湯に入ってるのに冷たい感覚、これは異常だ、ヤバい、出よう。でてしばらくしたら落ち着いたのでもう1度挑戦した。ぐぬぬむぐ。やはり熱くて大変だ。このままでは国王としての威信が失墜してしまう。こらえてこらえて、必死にこらえてようやく30秒くらい入ってられるようになった。ようし、もう思い残す事はない。出よう。でもその前にもう一回だけ入ろう。 ぐぬぬむぐ。やはり熱くて大変だ。このままでは国王としての威信が失墜してしまう。こらえてこらえて、必死にこらえてようやく40秒くらい入ってられるようになった。 ようし、もう思い残す事はない。出よう。でもその前にもう一回だけ入ろう。 ぐぬぬむぐ。やはり熱くて大変だ。このままでは国王としての威信が失墜してしまう。こらえてこらえて、必死にこらえてようやく40秒くらい入ってられるようになった。これを5、6回繰り返した。アホだよな。そしてようやく6回めだか7回めだか、タンノンしたのであった。体を拭いて脱衣所に戻る。服を着て、熱い湯との格闘のせいか、すごく暑いんですが。脱衣所を出ると、受付の女の人が「ありがとうございましたー」と言ってくれた。お礼を言いたいのはこっちだよ。深々と頭を下げて温泉を後にした。
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バイクに戻って、暑いので防寒ジャンパーを脱いでちょっとクールダウン。ようやく終了したら出発した。温泉の次はご飯なのだ。ご飯はすき家の牛丼なのだ。テルマ55のすぐ近くのすき家まで走っていく。途中、東京書店があって、毎回ちょっとののぞいてみようと思うんだけど、度胸がなくて見れません。今日こそ度胸を決めて東京書店に入るのである。テルマが閉店の今、ちょくちょく来れる所でもないので。しかし、肝心の昼ご飯は東京書店を通過してさらに先であった。この場合、当然、食欲が優先されるので東京書店終了。またの御挑戦をお待ちしてます。
すき家に入って駐車場にバイクを止める。ヘルメットとグローブをホルダーに引っ掛けてお店に歩いて行く。中に入ってカウンター席に着いた。牛丼を注文した。そしたら、注文を受けた男の子はまだ日が浅いのか緊張しまくり、ぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅうどんなみですねひとつですねあわわわ。こんな感じで、大丈夫か心配だったがなんとか格好はついたみたいだな。牛丼が運ばれてきたので食った。食ってたら、お持ち帰り客が来て、これまたさっきの男の子が対応して、四苦八苦してた。「えー、ぎゅぎゅうさらさら2つ」「並と大盛りと1個づつだよ」「えー1個づつ」「ご飯を2つ」「ごごおはん22222つ」って感じだった。大変だな。食い終わったら勘定を済ませて出た。
後は栄経由で帰って来た。栄のジュンク堂でいいもの買ってきたもんねクリスマスだからいいだろ。
本日の出費
温泉+ロッカー 510円
すき家の牛丼 280円
本日のFTR223の走行距離 80キロくらい
累計のFTR223の走行距離 16260くらいだと思う。