三度目の正直の草津は最高の湯煙、最高の雲海 (後編)
6月4日(日)
朝5時に起きた。雨はやんでいた。kazuさんが外を見て、路面が乾いているよと教えてくれた。では温泉に行こう。朝の湯畑は空いていたが、それでも観光客がちらほらいた。さて温泉は白旗の湯に入る。朝もはよから結構、人が入ってるよ。お湯は朝でも熱いよ。目が覚めたよ。出て自販機で飲む物を買って飲んだ。いやー、温泉旅館の浴衣を着て温泉街を朝からうろつくの、1回してみたかったんだよな。夢が叶ってうれしいです。
ホテルに戻り、朝飯もないので、さっさとチェックアウトすることにした。が、ここで問題が! ピロティに止めたバイクの後ろにレンタカーが止まっているのだ。どけてもらわないといけないな。3人揃って撤去の意見書を提出する為に名古屋マーケティング協会に行くことにした。いやまて、違う、本館のフロントだ。荷物をまとめていつでも出発できるようにしてからみんなで本館に行った。レンタカーの移動を言ってからチェックアウトの手続きをして、料金を払った。本館から出ると、丁度、レンタカーが移動されて走ってきた。これで出発できる。荷物を積んで出発だ。
まずは朝ごはんだね。吉野家でもあればいいが、残念だがここにはそんなものはない。しかし、草津にはセブンイレブンがあるのだ! 今や群馬県はセブンイレブンだらけらしい、愛知県もサークルKがどんどん閉店してセブンイレブンだらけになってきたことだし、ここはひとつ、セブンで朝飯にしよう。ということで、草津の交差点にあるセブンイレブンでおにぎりとお茶を買って食った。食ってたら、観光客らしい練馬ナンバーのワゴンがたらたらしてて地元の車にクラクションを鳴らされていた。さて、あまり味気のある朝飯とは言えないが、背に腹は代えられないので仕方がないな。まあ、今度草津に泊まる時は1泊2食を選択するようにしよう。
食ったので出発、万座温泉を目指した。昨日と同じ路をまた走るのは芸のないことだが、今日はちょっと期待していいのだ。天気予報が一応曇り時々晴れだから、ひょっとしてあたりの展望がいいかもしれないぞ。またしてもウネウネの山道を走っていく。白根山の麓あたりのロープウェイの駅の建物の近くで止まった。少し青空がのぞいている。ヨーレユーレヤッホホーレな感じでいい風景です。実はkazuさん、この先で一つ今回、とんでもないことに挑戦しようとしているのだ。それは、草津温泉の源泉地帯の白根山で最も危険な硫黄酸ガス発生地帯、駐停車禁止、止まると死ぬで、危険危険の立て札が乱立するこの先の道でバイクを止めて写真を撮ろうというのだ。しかし、危険なガスが充満しているから停車できるのはわずか数秒しかない。その短いに時間にバイクの写真を撮る、一つ間違えれば待っているのは死だ。なんという危険な賭けに出るというのだ。恐ろしい。しかし、これは命をかける価値はある。やるぜ。いくぜ。われわれはバイクを走らせ、硫黄酸ガス地帯に突入した。そしてバイクを止めて急いで撮影したのだ。不可能かと思われた、まさしくミッションインポッシブルはコンプリーツした。我々は賭けに勝ったのだ。
勝利の雄叫びと共にギュイーーーーンとバイクの排気音も甲高く、どんどん高度を上げていく。すると雲の切れ目がか青い空が広がり始め、それはどんどん広がっていきやがて太陽が燦々と輝く高さに到達した。見下ろせば下界ははるか、そしてあたり一面はまるで綿菓子を敷き詰めたような雲海。
まさしく桃源郷だ。
こんな光景は初めて見たぞ。バイクを途中にある駐車帯に止めた。うおおおおおおーーーと叫んでしまいそうになる、まさしく絶叫、じゃない絶景! 絶景という言葉が物足りないくらいの本当に素晴らしい世界が広がっていた。草津を知り尽くした男kazuさんもこんな光景は初めて見たと興奮気味だ。我々は今、10年、いや、100年に一回の奇跡に立ち会っているのだ。いやっほう(べつやく風に)
そこからさらに先へ進むと、蘭さんが見たがっていた「道路最高地点」の碑があるところだった。ここからの眺めも本当に素晴らしかった。本当にはるか彼方、浅間山まで雲海が続いているのだ。写真やビデオを撮りまくって、多分後で見てもこの光景を再現するのは不可能だろうなあと思った。それくらいの雲海の世界だった。
次はいよいよ万座温泉だ。この天気の良さから、露天風呂にも期待できるというkazuさん言葉に期待をして出発だ。ウネウネ山道をどんどん降りて、万座温泉の看板の方に曲がる。そこからまたウネウネ山道を下って、万座温泉に入った。草津のような派手な賑やかしい感じはなく、秘湯の雰囲気の温泉だ。プリンスホテルがあった。駐車場には高そうな外車が止まっていた。横を通過して、山の奥の方に入っていく。どんどん山奥に入っていくと万座温泉ホテルが現れた。ここが目的地だ。そう、草津だけでなく万座も知り尽くしている男、それがkazuさんだ。お勧めはここの露天風呂だ。ホテルの前に係の人がいたのでバイクを止めるところを聞くと、ずーっと向うの砂利のところだった。げ。いたしかたなし。そこまで行ってバイクを止めると、ホテルのフロントまで歩いた。すると駐車場にいた係員が受付が10時からです。おいおい、今9時だぜ。1時間待ちですかい。うーむ、いたしかたなし。蘭さんがあたりを見ようというのでそれはいい考えだと賛成し、硫黄の山の方に行った。猛然と硫黄の煙が沸き上る湯釜みたいなのがあって、あそこには入れるのかどうかでさんざん議論になった。荒涼とした風景がいかにもな雰囲気を盛り上げています。なんだかんだ出ホテルのロビーに戻ると、まだ30分くらい待ち時間があった。蘭さん売店で買い物してきた。ショッキングピンクのやまんちゅうーTシャツだよ。一応、いいねーなんて面と向かって言ってはいても、kazuさんと二人で、いやこれは着れないよとひそひそ話になるのであった。
やっと時間になったので、フロントに受付に行った。一人1000円だ。それでこのあたりにある温泉全部入ることができるのだ。最初はとにかく見晴らしのいい、kazuさんお勧めの露天風呂に向かう。ホテルを出て、またバイクを止めた砂利道に入って90メートル、テクテク歩くと山小屋のような建物があり、それが露天風呂の入口であった。入るとすぐに窮屈な脱衣所があり、当然のことだが、ロッカーなし、貴重品入れロッカーのみだ。こうなることを当然読んでいた我々は、とられそうなものは何も持っていないぜ。そこから回廊のような道を歩くと、一気に視界が開けた。おおおっ・・・これわ。
まさしく露天。というより、地面にそのまま穴掘って、木枠入れただけの風呂じゃん。めっちゃワイルド。あたりはまさしく世界まる見えハウマッチ状態。さっき散歩したとこらへんから、全く隠すものがないので本当にまる見え。この開放感。まわりの硫黄ガスの荒涼とした風景、青い空に流れる白い雲、人生とは何だね、それは万座温泉に入ることだよと言わんばかりの演出に、まさしく沈没寸前なのであった。私はこの体験をもとに万座温泉沈没日記を書こうと思います。ぶくぶくぶく・・・と脳みそが溶けかけてきた頃に、掃除です、とおっさんが入ってきて現実に引き戻された。え、こんなところでも掃除すんのかい。まあいいや、こんなことでもなかったら、本当のこのまま沈んでいたところだ。温泉を出て、いったんバイクに戻った。せっかくだからもう1湯入ろうというと、皆さん賛成していただけたので、kazuさんも行ったことのない、さっき散歩した、もうもうと噴煙を上げる湯釜の近くのぼろい建物の温泉に行くことにした。テクテク歩いて、ぼろい小屋の前まで行くと、元気のいいおばさんが次ぎいくよ次!とドリフの後半みたいに叫んでいた。建物に入ると、入りたかった鉄湯は今日は女の子専用になっていた。男はラジウム温泉だ。鉄湯は諦めてラジウム男湯に入る。狭い簡素な棚だけの脱衣所、引き戸を開けるとこじんまりした湯船が、結構混んでた。入ってみると、ここも熱いぜ! どこもここも温泉は熱いぜ! うーんうーんと真っ赤になって入っていると、お邪魔しますよと温泉のおばさんが入ってきた。温度計で源泉から流れてくるお湯の温度を測る「お湯どうですか」「熱いです」満場一致での返答、これは何か細工をして温度を下げてくれるのかと思ったら、「熱いですか」とそのまま出て行ってしまった。終わりかよ。脱衣所に行くと、蘭さんそろそろグロッキー、こんなにたくさん温泉に入ったことない、ソロだったら絶対入らないよーとのぼせていた。
温泉を出ると11時になっていた。そろそろ帰る時間だ。後ろ髪を引かれる思いだが、いたしかたあるまい。さらばだ、また来るぜ。記録より記憶に残る温泉、万座温泉を後にした。来た道を再び走って草津に戻る。すると、草津は大変な事態になっていた。Kawasakiのバイク軍団に制圧されていたのだ。朝までの平和な温泉街は、今や無法地帯と化していた。喧しい排気音がこだまし、改造しまくったバイクが何台も観光客のバスやら車の間をすり抜けて走っていく。その数およそ500、いや1000、どこからこんなにわいてきたんだ? 実はkazuさんの情報で、Kawasakiのミーティングがここ草津であるのだった。それが終わって一斉に帰りだしたようだ。いやー、バイク乗りから見てもうるせえな、失せろ暴走族! と言いたくなってくるぐらいだから、一般の人はそれ以上に嫌な思いをしてこの光景を見ているのだろうなあ。
草津でおみやげを買う為に、温泉まんじゅうちちやの駐車場に入った。そこで昨日の夜食ったまんじゅうを買った。我々が買っていると、どんどんお客の車が入ってきて、蘭さんのバイクが出れなくなってしまった。しばらく待ったが車が出そうにないので、蘭さん何とか自力脱出、こうして草津での最後のミッションは完了したのである。
まんじゅう屋を出て、帰りの高速道路、上田インターに向かう。軽井沢は混雑するのでそこを避けて、嬬恋村経由、鳥居峠越えのルートを選択した。途中まで、Kawasaki軍団といっしょだったが、嬬恋の方にいくと一気に閑散とした快適道路に変身した。ガソリンを満タンにして、昼飯を途中で食うことにした。kazuさんがこの先のセブンイレブンの近くに食堂があったからその辺りで食おうということになり、3台は一気にそこまで走った。食堂についたので中に入ると、いかにもいい感じの古ぼけた待ちの食堂という感じで、手書きのメニューが泣けるぜ。地元の高校生が一生懸命ラーメンを食っていたので、ここはきっとうまいぞ。蘭さん、メニューを見てこれはダブル注文しよっかなー、よし、唐揚げ定食と味噌ラーメンにしよう。おいおい、最近太り気味とか言ってるんだが。kazuさんは豚キムチ、こっちも唐揚げにした。待っている間、今回のツーリングの反省会議が開催され、有意義な意見交換が活発に行われた。とくに、次回は是非kazuさんが高山方面に来て、その時の温泉をどうするかという問題についただが、これは意見が分かれて平行線をたどったのであった。そうこうしていると、料理が来た。唐揚げは小振りな鶏肉がいい色に揚がっていた。ご飯はどんぶりのてんこ盛りだった。食ったら美味い。食っていると、蘭さんのラーメンも来た。味噌汁も来た。漬け物も来た。嬬恋はキャベツがおいしいそうで、唐揚げの付け合わせのキャベツも嬬恋のキャベツなのだろうか。赤いフレンチドレッシングが泣けるぜ。ご飯の量が多いのでお腹いっぱいになった。蘭さん、苦しい、食えんかもしれんと言いつつ、全部食った。ちなみに最近太り気味とか言ってるんだが。
食い終わったら出発した。気持ちのいい山道を快調に飛ばし、鳥居峠を越えた。あれ、何かここ来た覚えあるな。いつだったか忘れたけど。峠を越えると飯を食った後なので眠くなってきた。ちょっと休憩したいなー。そう思っていたら、マグナがセブンイレブンに入った。よかったよかった、ナイスタイミングだ。お茶を買って飲む。ここから後4キロで上田のインターだそうだ。kazuさんはこの先の交差点で、下道の気持ちのいい道があるのでその道を走って帰るそうです。ここが最後のお別れポイントだったのだ。友情のシェイクハンドをかわし、我々はセブンイレブンを出発した。先行して行ってしまったkazuさんは、交差点でバイクを止めて見送ってくれた。手を振って別れを告げる。バックミラーに映る姿に大きく手を振る。まさしく一期一会。
インターまでは道を知ってる蘭さんが先頭で走った。まもなくインターの案内板が現れ、その通りに行ったら上田のインターだった。交差点でも何でもない、どこかの裏道に入るみたいな曲がり方で道路を横切ってインターに入る。ここで先頭交代、だが、行く方向を間違えないように注意しなければ。昔は料金所のおじさんに聞けば良かったんだけど、今は全く味気のない、機械がそっけなく高速道路のチケットを吐き出すだけ。諸君、これが憧れていた21世紀だ。チケットを引き抜いてタンクバック(余談だが、このラフロードのタンクバック、マグネットが安物なのか、欠けて破片がタンクとタンクバッグに挟まってタンクがキズだらけになっていたぞ。おれのCBにキズがアアアア、おれの美しいCBの美しいタンクにキズがアアアアアアby南斗紅鶴拳のユダ)に突っ込んだ。さてどっちに行くか、ここが天下の分かれ道、脳みそ全開で挑んだら、長野県こちらとしっかり書いてあった。間違えようがないな。
帰宅予定時刻は18時、インター突入時刻14時30分、3時間半で突っ走れ。
2日間の出費
高速道路5600円4750円
ガソリン2回で4000円くらい
ご飯530円800円
温泉720円(80円引き割引券使用)
お茶など180円120円147円
コンビニおにぎり105円115円
おみやげ800円×3個
走行距離 17000キロ突破