伊豆半島温泉三昧 後編
温泉を出たら西伊豆スカイラインを目指す。かっこよくワインディングを走り展望台からの眺めを楽しもうとのつもりだったが、なぜか曲がるところを通過してしまった。いかん、戻らなければと思ったが、伊豆に限らず、こういったところの道路事情はUターンしにくいんだよねー。しかも、Uターンが苦手というか、また転したらどうしようとビビってるコンジョー無しには厳しい車線の広さなんで、どうしようと思っているうちに修善寺まで来てしまった。あれま。仕方がない、このまま、また136号から414号を走る事にした。でも、西伊豆スカイラインなんか走らなくて正解だったかも知れん。ツナギバリバリな方々が行ったり来たりしてたから、こんなのろまが行ったら煽られる事間違いない。
という事で、またしても湯が島温泉まで来たので、昨日入れなかった河鹿の湯にもう一度行ってみた。すると、営業時間13時から、がーん、2時間待たないかんじゃん。待てんなー。困ったなー。すると、近くの工事現場のおじさんが、別の温泉を教えてくれた。ぐるーっと戻って500メートルくらいのところにあるからそっちになら入れるから行ってみ、だそうなので行ってみた。実はちょっと、ひょっとしてと思ったのだが、やはり、その温泉は世古の大湯であった!
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おお! あの知る人ぞ知る、地元の秘湯(でもしっかりマップルに載ってるんだけどさ)情報収集時には、ここはぜひ入りたいと思ったが、場所がわかりにくそうなので諦めていた。でもこんな近くにあるとは思わなかった。まさしく瓢箪から駒だ。廃業した旅館の空き地にバイクを止め、温泉へと狭い石の階段を下りる。こんなところに本当に温泉があるんかいなあ、と不安になってきたが、河原にホッタテ小屋のような建物があって、なんと、それが温泉だった。げろげろ、大丈夫か本当に。そう思って建物に入ると、先客のじいさんがいた。ちょっと安心、入っていいんだな。一人だったら怖くてよう入らんかった。200円有志のお金を入れて、篭に荷物を突っ込んで温泉突入、内湯のみ2つあり、向かって左が熱い、右がぬるめだ。まずぬるめに入って、それから熱いのに入る、とじいさんが説明してくれた。どっから来たとか話をした。川のせせらぎと鳥のさえずり、まさしく桃源郷だなここは。きもちいい。たんのんして出たら、熱くて暑くて革ジャン革パンを着るのが大変だった。
そこを出たら、今日は東伊豆の温泉を狙っていたので、一気に南下、下田から135号線に入る。交通渋滞が多いらしい路線だが、今日はそれほどでもなかった。目的地の稲森温泉街まで来て、入ろうと思っていたみやこ湯を探すが、全然わからない。また、この稲森温泉街は坂の多い狭い路地の多い、バイクに不向きの街、うろうろしたがどうしてもわからず断念。自分の飼い猫の名前と同じだけに入りたかったんだがなあ。それに今日はこういった銭湯的温泉がテーマなんだから、ぜひ入りたかったが諦めた。
135号線を進んで、はないっぱい温泉ののぼりがあったので、今度はその温泉に入る事にした。はないっぱい温泉500円の看板の案内通りに走って行くと、白田川沿いに「日帰り温泉500円」とあったのでおおここだ、と思い、そこの駐車場にオートバイを突っ込んだ。
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なんかすごい年季の入った観光旅館で、イメージ違ったが、まあ、こんな温泉が意外に良かったりするのかと勝手に思って建物に入ったら、じいさんばあさん夫婦が迎えてくれて、500円払うと温泉に案内された。それがまたすごいボロい温泉で、本当にもうボロというより、実は廃業してんじゃないのか、狐にバカされてんじゃないか、というくらいのすごさ。先客のじいさんが入ってたが、なんかひとりでぶつぶつ言ってるのでちょっと怖いぞ。温泉はまあ、それなりの温泉だったが、風呂のそこがヌルヌルで、これってしっかり洗ってるのか? みかんがネットに束ねて湯の中に吊るしてあるし、よくわからん。これのどこがはないっぱい温泉なのか。じいさんが出て行って、しばらくしてから出た。暑くてなかなか服が着れない。ようやく着て、フロントまで戻ると、さっきのじいさんが老夫婦と話で盛り上がっていた。戦争時代の話で、名古屋の方から来なすったんかい、わしは名古屋の云々でやんだがどうだがこうだがじゃけんふんだらくんだらと何言ってるのか全然わからん。同意を求められて、適当に相づち売って、話が長くなりそうなので、話の腰をブチ折るって脱走した。このままでは1時間2時間と果ては夜明けまで戦争時代の話を聞かされそうだ。表に出て、バイクに乗って川沿いの道に戻ったら、ようやく自分のしでかした事がわかった。
この温泉、みかん温泉と言って、はないっぱい温泉はこのもうちょっと先にあるのだ。
はないっぱい温泉が500円と大きく詠っているので、その手前にある「日帰り温泉500円」を見て、勝手にここがはないっぱい温泉と勘違いしてしまったのだ! うむむう、人の良さそうな老夫婦だと思ったが、なんと、狡猾な! さすが戦時中を切り抜けてきた世代だ。こうやってはないっぱい温泉の客を引き込んでいたんだな! って、単にお前がアホなんじゃん、よく見ろよ。
先を進んで、熱川温泉郷に来たが、稲森温泉と同じように、見るからに狭い路地と坂だらけなような気がして通過した。そこからしばらく走ったら、大川温泉郷に入った。そこに磯の湯の看板を見つけたので、そこへ行ってみた。すると、駐車場はあるが温泉の建物らしきものがない。一体どこだ?
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あちこち見回して、ようやく道路の下をくぐって向こう側だとわかった。半信半疑でそっちに行ってみると、海岸にへばりつくようなホッタテ小屋があった。げ、あれが温泉かい。近寄ってみると、おばはんがいらっしゃいと迎えてくれた。500円払って入る。狭い脱衣所、その目の前がすでに温泉の湯船、そして岩場の向こうはもう海だ。目隠しがあるので温泉に浸かると何も見えないが、波の音や、ちょっと体を起こすと海が見えるので開放感は抜群だ。先客3人のうち、2人が連れのようで、ケータイ見ながら株の話をしていた。温泉浸かってケータイか。
磯の湯を出たら再び135号を伊東に向かう。途中、東伊豆で最も人気の温泉赤沢温泉もあったが、料金が1600円(1200円かも)とべらぼうに高いし、前を通りかかったら駐車場の警備の人がいるくらいの規模の大きさに圧倒されたビビったやめた。ああ、でも入れば良かったかなー、ほかに無料の赤沢露天風呂も候補があったがやめ。そのまま伊東に突入、候補の東海館を目指すことにした。
伊東市に近づくと、135号線の反対車線は数珠つなぎの大渋滞、これはものすごい、もうこの道は戻れないなあと思ていたら、こっちの道も混み合ってきた。のろのろと進むが、伊東市内に入って、これまた迷路のような道で、どこがどこかサッパリわからん。駅前まで来て、そのあと細い路地に迷い込んでしまった。仕方がないので禁断のケータイナビを使い、なんとか東海館の位置を突き止めたが、バイクを止めるところがなかった。こうなったら、一旦チェックインして、宿から歩いた方がいいのではないかと思い、その手を使う事にした。幸い、旅館の場所はあっさりわかって、やっぱり地図は用意しないといかんと改めて思うのであった。
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細い路地の奥に、今夜の宿、山喜旅館があった。バイクを玄関前に止めてチェックインする。ご主人に案内されて部屋に行くが、迷路みたいで満ちに迷いそう。建物はもろ横溝正史の世界で、金田一さんが髪の毛掻きむしってそうだ。桐の部屋が今夜の部屋で、落ち着いた和室だった。革ジャンを脱いで部屋着用の短パンをはいて下駄を借り、街に繰り出す。
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東海館はすぐそこだった。外見を見るとまさしく千と千尋の世界、こんな建物が本当に現世に存在しているのだ。実に美しい実に素晴らしい。しかし、案内の張り紙には「入浴は土日祭日のみ」がーん、温泉に入れないのだ。がっくりだったが、200円払って館内の観光だけさせてもらった。文化遺産として残されているだけの事はある貴重な建物で、廃業したのが本当に残念だな。そのあと、駅前商店街をふらついていたら、おいしそうな羊羹が売っていたので立ち止まると、愛想のいい売り子の女の子が「試食ありますよー」と言うので食った。甘いものが久しぶりだったので、とてもうまかった。というわけで2個買った。しまった、腹減ってる時にこういうのを見るとつい買ってしまうな。その先に進むと、おいしそうな温泉まんじゅうが売っていた。また売り子の女の子が愛想良く「試食ありますよー」やばい、逃げろ。ガモーナにはとてもなれんな。
宿に戻って晩ご飯を食った。豪華な和食で、天ぷらがうまかった。鍋焼きの肉が柔らかくてうまかった。そのあと温泉に入って、ぬるめのお湯なのでゆっくり入る事ができた。なんか、今日一番ゆっくり入ってる温泉という感じがするなあ。温泉を出たらさっさと寝た。
夜中に雨の音で起きた。げ、雨じゃん。
5月2日(金)
朝から雨だよ。まあ、今日はどうせ帰るだけだからいいんだけどさ。で、朝風呂入って朝飯食ってご飯3杯食っておひつ平らげて、雨がやまないかと思いつつ、待ってもやまないのでチェックアウトした。
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一時的にやんだようだったが、カッパ着て雨対策フル装備で出発。県道12号を修善寺に向かう。冷川峠で再び雨が降り出し、御前の湯通過、神代の湯通過、候補だった白岩温泉も通過。雨でなくても開店前だから入れないんだけどさ。
伊豆長岡温泉周辺まで来たら雨がやんだが、また降ってくるかも知れない状況なので、ここの温泉も諦めて136号線から1号線に入る。1号線の渋滞をタラタラ進んで、後でしびれを切らした北斗運輸の大型トラックに抜かされた。インターに入る前にガソリンを補給するつもりが、知らないうちにインターには入っちまった。やられた。仕方がないので富士川で給油したら、160円だぜ。やってくれるな福田内閣、本当にガソリン税戻しやがった。自殺行為だという事がわかってないようだが、政治家なんて結局業界の方しか見てないという事がようわかる。雨が上がったようで、2輪専用駐車場に止まる多くのライダーたちはほとんどと言うか、全員がカッパを着ていない。そんな中にフル装備の雨天対応カッパはちょっと恥ずかしかったのでカッパを脱いだ。この先まだ雨が降るかの知れんなあと思ったが、なにぶん主体性がないのでまわりが着てないとひとりだけ着ているの変。まあ、変人だからいいんだけど。それから、富士山が見えるかと思って展望所の方に行ってみたら、スタバがあった。おお、こんなところにスタバかい。すげーなあ。さすが民営化された高速道路、ネクスコだったけ? 変な名前。肝心の富士山は雲が覆ってほとんど見えなかった。
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再び走り出したら、牧ノ原手前でパラパラし始めたと思ったら、あっという間に土砂降り暴風雨になって、げー、革ジャンが革パンが濡れる! 早く、早くカッパを着なければ、やっぱり脱がなきゃよかったよう、泣き言言っても始まらん。次の牧ノ原まで必死に走って、そこでカッパを着た。さっき富士川にいたライダーたちがほとんどいて、みんな同じように慌ててカッパを着てる。でも横風がひどいので屋根の意味無し、全身びしょ濡れ、カッパの中はムレムレだ。中には諦めて建物に逃げ込むライダーもいた。そうだな、風雨がやむのを待った方が利口かも知れん。でももう無理矢理カッパを着たので、この雨の中走ってやる。行くぜ、ぶっ飛ばすぜ、なんか踏んだり蹴ったりでハイになってきた。そこから雨の中、ギィイイーンとぶっ飛ばすわけがなく、80キロの安全運転で走る。だってもうパトカーに乗りたくないからな。しかし、80キロだとガンガン抜かされるね。相変わらずものすごい勢いですっ飛んでくのはSS(スーパースポーツ)のYZFとかZX9Rとかだな。おまえらホントに気をつけろよ。
そんなこんなで、しばらく走ったらまたしても雨がやんで、道路も乾燥している。三ヶ日みかんの大きな看板が見えて、おお、愛知県に戻ってきたなあ、と感慨無量になる。しかし、そこからされにしばらく走って、ようやくここから愛知県の看板に遭遇した。げ、ってことは三ヶ日みかんって愛知県じゃないの?40余年目にして知る驚愕の事実。三ヶ日は静岡だった。完全にアホや。
愛知県内に入ると、天気も回復してきたようなので、美合でムレムレのカッパを脱いだ。さすがにこの先に雨はないだろう。もし雨が降ったら、よっぽど運がないな。そして、その通り、雨も降らずに帰ってこれた。
うーん、伊豆はいいところだ。また行きたいな。
家に着くと、みやこちゃん(雌猫8歳)が迎えてくれた。
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おお、お迎えするとは偉いぞ。かわいいのう。
でも、外に行きたかっただけかも知れん。