伊豆半島温泉三昧 中編
でも、そこはこれって大丈夫かと思う様な坂道細い道、それでも勇気を振り絞って先を進むと、川が現れ橋を渡り山を越え谷を越え、遂に道ばたに湯本館と河鹿の湯の看板を発見。それがまたさらに細く坂の下、大排気量車で降りて行って戻って来れるのか、ええい、ままよ、ぼくの前に道はないぼくのあとに道ができる、さあ行け。降りて行くと、湯本館の小さな駐車場というより、ちょっとした空きスペースがあったのでそこにバイクを止めた。もうひとつの必須温泉河鹿の湯も同時に発見したのでこれはラッキーとそこへ駆け寄ると、がーん「定休日」の看板が無情にも下がっていたのであった。がっくり、仕方がない、ここは湯本館だけでも入ろう。九州黒川温泉にもあった「日本秘湯を守る会」の提灯も誇らしげな湯本館、玄関に入って声をかけたら女の人が出てきた。「温泉入れますか」「おひとりですか」「そうです」「内湯だけなら」スッゲー愛想のない女の人だった。とりあえす800円払って入った。
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誰もいない貸切だ。ガラス越しに外が見えるのでそこそこ開放感がある。湯もいい感じなのでゆっくり入った。が、ここって、よく考えたら露天が売りなんじゃなかったっけ? おい、露天に入れないの意味ないじゃん。くっそー、やられた。でも、気持ちのいい温泉だったのでまあ良いとしよう。建物の雰囲気も良いし、川端康成の資料なんかも展示してあって、なんか、文化に接する感じが人生を豊かにするというか、やはり井上ひさしの言う通り日本は文化武装が必要だ。
温泉を出て、おっしゃー次の温泉はどこじゃー、いよいよ盛り上がってきましたよ、414号線をさらに南下、観光名所の浄蓮の滝はスルー、道の駅もスルー、天城トンネルもスルー、今回は温泉三昧がテーマだ。伊豆最大の走りどころかわず七滝ループ橋、ぐるぐる目が回るぜ、この滑空感がたまらない。河津温泉郷は迷った末パス、やはり金谷旅館入泉が至上命令なのだ。我は温泉ライダー目指すは天!じゃなかった千!人風呂だ。
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414号線はどんどん細くなってそれに比例して心細くなってきたが、蓮台寺に入って道が広く、街もにぎやかになってきた。実は金谷旅館の場所はよく知らなかったんだが、この街だ、この街にあるに違いない! そうピンと来たのさ。名探偵コナンだ。でもよくわからなかったので、禁断のケータイ検索して発見した。通信料がかかるからまっちゃんにバレたら怒られる。しかし、そのかいあって場所が正確に分かった。ITバンザイ。ケータイって思ったより使えるな。
ホームセンターのところを曲がって曲がってすぐにあった。それがまた、なんか、ダウンタウンの番組で台詞について流れるでかいテロップみたいに「日本一の総檜大浴場 金谷旅館」だ文句あるかという感じの看板がでーんとあるのですぐわかる。バイクはどこへ止めるのだろうと思って奥の方に行くと、TTRが止まっていたのでその後に止めた。
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建物の玄関まで行くと、いい感じの古さ、古き良き時代を彷彿させる建造物、ノスタルジックな旅愁を誘うのだ。温泉のみご利用のお客様へと張り紙が。入浴料金大人1000円、なんですと?(例によってビューネ君のCM風にって古いしローカルだし)聞いてないよー、1000円の入浴料かよ、しかし、ここまで来たら後戻りはできない。戻り道はないby大藪春彦、ただ前進あるのみby中○医薬品。受付のにーちゃんに1000円ですと言われ払う。奥の男湯に歩いていく。館内もいい感じですよ。脱衣所は狭かった。篭に荷物をまとめて、いざ、お風呂場へ、そこには我々の想像を絶する巨大な湯の空間が出現した。とてつもない大きさ、広さ、なみなみと注がれるお湯、深いから溺れないようにの注意書きもあるくらい、これは年間2、3人遭難して行方不明になるのではないかと思えるくらいの広さ。水球ができるよ。この大きさで思いつくのは諏訪の片倉館くらいか。いやはやこれで1000円は納得。早速入ると、湯船は手前と奥の2列になっており、手前は浅いが奥は深い。湯が注がれているところは熱いが、そこから離れるとぬるくなる。ぬるめのところが丁度いい。ゆっくり入って、これは本当に天界天界、素晴らしい、こんな素晴らしい温泉はなかなかないよ。露天の方に行ったら、露天は狭かった。っていうか、この温泉、内湯の方が天井も高いし広いし開放感があるという実に不思議な温泉だな。
気持ちよく、温泉を出た。よし、だんだんいい温泉に当たりつつあるぞ。次はもっといい温泉に当たる可能性が高い。しかし、出費は想定外に多いな。それが問題だ。そういえば、この先、伊豆半島最南端石廊埼があるので、そっちに行ってみることにした。最南端くらいならお金もいらんだろう。という事で、コンビニでルート確認、午後の紅茶を飲んで出発。
県道16号線をウネウネと走り、石廊埼が見えてきた。岬に続く山道が遠くに見え、これはかなり歩かされそうだなあといやな予感、戻った方がいいかなあ、そう思ったところに、元気なおばちゃんの声「オートバイはそっちねー、100円ねー」断れずに言われるままにバイクを止め、100円を払う。う、これはマズい、このままでは石廊埼まで歩かなきゃならなくなるぞ。そんな事にはおかまい無しで、おばちゃんは元気よく「石廊埼はこっちねー、トイレないから済ませてからねー、いってらっしゃーい」
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こうして、なんだかよくわからないまま、石廊埼まで歩く事になった。上下革ライダーブーツでこの山道を登るのはキツいが、コンジョー無しの烙印を押されるわけにはいかないので一生懸命歩いた。前を歩く同じD70を持ったカップルを抜かし、どんどん進む。途中、かつては栄華を極めたテーマパークの廃墟があった。これはbeenoさんの専門分野だな。かつては遊園地内を小型の鉄道が走っていたようで踏切の成れの果てもある。それを乗り越えて歩く事やく20分、ようやく石廊埼にたどりついた。それはもうすごい最果ての地というか、前人未到の地みたいなところだった。何々崎とは各地にあるけど、こんなところはなかなかないぞ。必死こいて歩いてきたかいがあったというものだ。
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必死こいて戻ってきて、さっさと出発した。あとはひたすら走って松崎町の今夜の宿に向かった。往復40分の山登りの疲労で、うねうねの山道をたらたら走っていたら、赤白のCB1300にアウトから抜かされ、女の子ライダーにも抜かされ、ヘタレ。っていうか、同じCBなのに、ライダーが違うとかくも速いのか。全然ついてけんかったもんなあ。
予定通りの5時に、伊豆まつざき荘に到着した。
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想像以上に立派なホテルで、玄関前にバイクを止めてフロントまで行くと、きれいなねーちゃんのホテルウーマンがチェックインをしてくれた。バイクはピロティの下に止める。部屋は312号室、案内もしてくれた。ツインの広い部屋で、残念ながらオーシャンビューではないが、許す。6時から晩ご飯、2階のレストランだ。このレストランはオーシャンビューだぞ。料理も豪華だ。ご飯はおひつで置いてあるぞ、ラッキー。お変わりを要求するのってちょっと恥ずかしいもんね。腹も減っていたのでぱくぱく食った。ぱくぱく食ったらご飯が無くなった。なんと、おひつのご飯もなくなった。まさかおひつのおかわりはできないよなーと思っていたら、女の人がおかわりお持ちしますよとおひつのお代わりをしてくれた。なんという素晴らしい。でもおひつがいっぱいで戻ってきたとき、げ、これ全部食うの? お館様のご金言「出されたものは残さず食べる!」が思い起こされ、必死こいて食った。というか、あっさり食えた。
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食ったら温泉に入って、早めに寝た。でも暇なので、また起きて温泉に入った。6階の温泉は階下の波の音が心地よい。いいところだ。部屋に戻って今度こそ寝た。
えー、長くなりすぎているので、2日目は短めにしようと思います。
5月1日(木) 曇
早く寝たので早く起きた。朝風呂に温泉に入って、7時半から朝食はバイキングだ。行列ができているので並んだ。前の夫婦は出ているものを全部皿に載せようとしているので、やたらと時間がかかって仕方がない。皿も乗り切らないのでぐちゃぐちゃで見苦しい。典型的な欲深バイキングチョイスだな。知的な私は上品に和風のメニューをチョイスしてご飯大盛りてんこ盛りで食った。うまかった。食ったらチェックアウト、ホテルをあとにした。
136号線を土肥に向かって走る。天気もいいし、快調に進む。途中、旅人岬という風光明媚なところがあったので止まって写真を撮る。
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ここでD70のバッテリーが切れた。うーむ、困った。まあ、仕方がないな。出発する。ほぼ同じように出発したオデッセイが前を行った。それがまたペース遅いのだよ。うねうね海岸線だから仕方がないけど、もう少しペースをあげてくれないかなあ。それが無理なら道を譲ってくれよ。バックミラー見た事あるか?
土肥にたどりついたらちょうど出光があった。ガソリン補給、そういえば今日からガソリン税復活だな。スタンドの人にその話をしたら、まだ据え置きだそうで、今回の件ではさんざん振り回されて大変だそうです。そうだわなあ。
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スタンドを出て、先を進む。戸田まで来て、初めて土肥を通過してしまった時がついた。あら、土肥温泉に入らずに来てしまった。ま、いいか。壱の湯の看板があったので、おお、狙っていた温泉じゃん、これに入ろう。行ったら開店10時、まだ30分くらい待たないかん。近くの海産物直売センターがやっていたのでそっちをのぞいてみた。ついでにお土産を家に送っておく。こういう事は早めにやっておいた方がいいからな。それを済ませて温泉に戻ると、のれんが出て玄関が開いていた。バイクを止めて温泉の方に行く。入浴料は300円、発券機で買って受付の女の人に渡す。外観がそっけなくこじんまりしているが、中は意外に広かった。男湯に入ると、そこそこ広さの脱衣場、ロッカーは無料だが「お金は入れないで」と各ロッカーに貼ってあるのはじいさんの間違い対策か。お風呂は、地元の銭湯的温泉なのでまったくもって飾り気のない内湯のみ。でもそれがいい。地元のじいさんが一人入っていた。同じように入ると、ちょっと熱めの湯だがすぐ慣れた。こういう雰囲気はいいね。ゆっくり入って出る。休憩所でアクエリアスを飲んでいると、地元おばちゃんたちがやってきて世間話で盛り上がっていた。まさしく井戸端会議だ。今の社会コミュンにはそれが欠落しているのだ。こういった温泉こそ、このドライな社会に必要なのだ。そうだそうだ。