奥飛騨にらーめんを求めて(前編) 平湯温泉篇

7月19日(土)

高山ラーメンとはよく聞く名物食べ物のひとつなんだが、実はこれほど割りにちょくちょく高山に行っているわりに、高山ラーメンを食った記憶がないのである。それとも、実際は食った事があるのに、記憶の層に埋もれて自覚症状がないだけかもしれないが、それにしても印象が薄かったという事なのだから、特に高山ラーメンをはじめとして、うまい食い物を食うみたいな目的意識(モチベーション)がなかったのであろう。それはそれでその時代の人間の個性がどうだこうだと、今更根掘り葉掘りほじくり回したところで事態が改善されるわけがないのであり、そもそもなんで高山ラーメンの話が個人的深層心理意識の乖離に問題になってるのかよくわからんが、とにかくそういうわけで、高山ラーメンを食った事がないのである。で、正直言ってそんなに興味がなかったのだが、とあるグルメサイトに高山でラーメンと飛騨牛(真偽は不明)握り寿司を食って来たらデラうまかったでかんわ(訳「とてもおいしかったのでよかった」)と書かれていて、その写真がデラうまそうなんで、こりゃ食いにいかなかんわ(訳「とてもおいしそうだったので食べに行かなければならないと思った」)というわけで、高山ラーメンを食いに高山まで行くツーリングに出発する予定だったのだが、ここでまっちゃんが「私も食いたい、連れてけ」の一言で計画は全面白紙撤回見直しを迫られたのであった。そもそも、情報を提供したそのサイトの管理人に、「ごっめーん、店の名前憶えてないのーあはは」と笑って誤摩化されてしまい、自分で店を捜すしかないので、事前に一度下調べに、CB1300で行き、目標確認したところでにょいとらんで出撃しようという事になった。

というわけで、高山ラーメンを求めて、前半戦の始まりとなるのであった。

なんせ三連休の初日だぜ、寝てられっかてんだ。朝4時半頃起きて飯食って準備して、6時ちょっと前には実家ガレージから洗車したばかりの旗艦CB1300を引っ張り出す。フル盛夏型装備メッシュレザーでばっちり決めてエンジン始動、今日も暑くなると言うが、この時間はまだまだ涼しく、走り出すとちょっと寒いくらいだ。いつものコスモ石油でガソリン満タン。リッター173円、もうどうでもええわ。360キロ走って16リットル入った。長距離走ると伸びるね。

スタンドを出て19号線を東に向かう。今日は朝から太陽も元気にサンサンと降り注ぎ、暑くなりそうな気配なのであった。多治見に入って小泉経由可児で248号線バイパスに乗り換え、かっ飛んで行く。さすがにこの時間、まだまだ早いせいか交通量も少ないのだ。順調に飛ばせるが、いい気になっておまわりさんに捕まっては元も子もないので、そのあたりは熟慮に熟慮を重ねた速度設定で走るのであった。そしたら黒い新型ステージアに思いっきり抜かされた。そいつはたぶん時速110キロくらいで、さらに先に進んで、その先を走っていた紅葉マーク仕様のマークIIを追い越し、あっという間に消え去った。デートに遅れるのか知らん。

美濃加茂で41号線に合流、木曽川を渡る新太田橋は4車線か工事が粛々と行われていた。そりゃーこれだけ原油高でガソリンが高くなってみなさん本当に困っているのにも関わらずそれでも暫定税率を続けやがるくらいなんだから、それくらいやってもあったりめーだわな。でもこんな橋2車線のままでいいからガソリン安くしてくれた方がみんなが喜ぶと思うよ。

41号線を北上する。今日は夏日になると言うがいっこうにそんな気配もなく、メッシュに穴から抜ける風が冷たくて寒いのである。もうちょっと暑くなってもらってもいいのだが、と思いつつ、あまり暑くなるのも困る、と人間らしいわがままな事を考えるのだった。

順調に走って、道の駅ピアチェーレでトイレ休憩にしようと思ったら、なんと、トイレ工事中じゃん。やめ、通過する。飛騨金山のいつもの休憩ポイントで一度止まって休憩、おいおい、飛騨金山ゆったり館入浴料480円になってんじゃん、原油高騰でボイラー代がかかるのか? それからすぐ走り出して、のろのろトラックの後に付いてしまい、悶々としながら走り、道の駅渚でようやくトイレ休憩を取った。ここまで約2時間ちょっと、普通のペースだね。

道の駅を出たら、宮峠の路面のひどいからなるべくなら走りたくないので、久々野から美女高原を経由する、いわゆる「宮峠回避ルート」を走る。このルートは乗鞍が見える展望台みたいなものがあるので、ちょっと止まって写真を撮った。乗鞍も行ってないので近々また行こうと思うのだ。

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それから高山市内を迂回して158号線に合流する。ここまで来てもまだちょっと涼しいくらいだ。温泉は坂巻温泉か平湯温泉か栃尾温泉を狙っていたが、日本を代表する寒冷トンネルである平湯トンネルを通過したら、もう寒くて仕方がない、さっさと温泉に入りたくなってきたので、平湯温泉に入る事にした。トンネルを抜けると夏山のきれいな景色が目にまぶしいくらいで、遠くに見える雪を冠ったアルプスの山々も絵はがきのように見える。平湯温泉郷に着いたが、もう入った事のあるひらゆの森やターミナルの湯では面白くないので、秘湯神の湯に入る事にした。ここはずいぶん昔に入ったけど、もう10年以上昔の事なので全然憶えていないのだよ。まだ変わらずあるのか心配したが、ちゃんと看板もでかく出ていてすぐにわかった。

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ちょっと心配な細いウネウネ急坂の山道を登ると、突き当たりに砂利の駐車場があったのでそこにバイクを止めた。歩いて坂道を上ると、神の湯の管理をしていると思われる食堂があって、女の人が受付をしてくれた。500円だそうで、おいおい、金取るんかい。10年以上昔に来た時は無料だったような気がするが? 時代の流れとは恐ろしいのう。アブが出るので気をつけてくださいとの事で、まあ、夏の露天風呂にアブはつきものだし、仕方がない。

で、ごゆっくりの声も後に、さらに坂道を上ると神の湯男と書かれた脱衣所があったのでブーツを脱いでそこに入った。先客がすでに何人もいて、なかなか人気なようだ。3、4人で満員になりそうな狭い脱衣所だ。ロッカーも一応あるが100円有料、大部分は脱衣篭でみんなもそっちを使っている。脱衣籠の空いてるのを選んで、荷物を放り込み、さっさと脱いで湯の方に行った。

完全に野湯だ。とはいえ、たぶん、いろいろ加工はされているのだろうが、趣は野中の野性味あふれる露天風呂、いいねー、この感じ。洗い場が見当たらないのでかけ湯をして入ろうとしたが、結構熱いのである。浅いところで徐々に身体を慣らし、走ってきて冷えているからすぐ慣れるだろうと思って、深いところへ移動したが、まだ熱い。それどころか、全然温度が慣れる様子がないのだ。これはもともとかなり源泉温度が高いのか、それとも沸かしてるのが温度高めなのか、ゆっくり入りたいがちょっと入っては出て、ちょっと入っては出て、ちょっと入っては出て、を繰り返すはめに。アブが来るので出た状態でゆっくりするわけにもいかず、いささか落ち着かない入浴となってしまった。

それでも満足して出ると、熱くて暑くなるかと思いきや、さすが標高1200米、空気も乾燥しているのか落ち着いたものだった。

バイクに戻って、昼飯にしようかと思い、ひらゆの森まで戻ったが、時間を見たらまだまだ10時過ぎ、ひらゆの森のレストランの開店は11時なので、まだまだ時間がある。それまでゆっくりしようかと思ったが、なんかね、ここって、よく考えると、落ち着ける場所がないのだよ。アルプスの山々や、あたりの風光明媚な景色をゆっくり眺めるようなところがないのだよ。あー、そうか、毎回毎回、ここに来てゆっくりしないでさっさと帰るのはそういうわけだからなんだ。もうちょっと、無料でゆっくりできる公園みたいなところがあるといいと思うのだが。キャンプ場は良さげだけどな。

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じゃあ、高山に戻るか。これから戻れば11時頃になるので、ラーメン屋探索に丁度いいぞ。ひらゆの森を出て、来た道を戻り、極寒の平湯トンネルを抜けて徐々に高度が落ちてくると、それにつれて気温も徐々に上昇し始める。早い話がどんどん暑くなってきた。やっぱ今日は猛暑日なんだな。そう再確認するのは高山市内に入ってから。ムワッとする熱気が街全体を覆っているようで、どこでもそうだが街中は暑い、人工的な暑さ、エアコンの熱気アスファルトの照り返し内燃機関の熱気と、気持ちが悪くなる暑さ。そんな中、朝市開催中の陣屋前交差点の広場にバイクを止め、(ここって、いつの間にかバイク用駐車スペース化してるけどえーんか?)早速、候補になっているラーメン屋を捜しに行った。候補になっているのは坂口屋、南車、他なんだが、飛騨牛の握り寿司は坂口屋なのでその付近のラーメン屋が要チェックなわけだ。まずはとにかく、暑い中、上下革のむら苦しいライダーが歩くのはいい図ではないが、坂口屋を目指す。意外にあっさり見つかって、確かに握り寿司を売っていた。その隣に中華そばの店があり、ここがその店かもしれんと、入って確かめようと思ったその時、坂口屋の高山ラーメンののぼりに気がついた。坂口屋は牛専門店かと思ったら、調子こいて高山ラーメンもやってるようだ。入口の蝋細工メニューを確認すると、おお、まさしくここのラーメンがブログで紹介されていたラーメンだった。遂に発見したぞ! 失われた聖棺(アーク)を見つけ出したのだ! まさしく、インディジョーンズ失われた中華そば状態。

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よし、もう見つけたでええ。後は明日まっちゃんと食いにこればええ。もう暑いから脱出しよう。いそいでバイクに戻り、すぐにエンジン始動で出発。高山から脱出を計る。あまりに暑いので、どこか涼しい帰路を選択しようと考えたら、せせらぎ街道という案が浮かんできたので速攻で採用、即戦力採用、ガソリンを給油して、コンビニでパン(あん&マーガリンパン、407キロカロリー!だった)を食ってお茶飲んで、158号線からせせらぎ街道に入った。

飛騨荘川との合流地点でビッグバイクスーパースポーツ軍団に追いつかれ、すっごい圧力を背後に感じながら走っていたが、おまわりさんがネズミ取り?をやっていたのでみんなおとなしく走って行くのであった。でもその先のお土産屋さんで後の軍団に道を譲って先に行ってもらった。そこでトイレ休憩して、のんびりとせせらぎ街道を走る事にした。やはり山の中で標高も高いので、あっという間に涼しい涼しい。もうずーっとここにいた方がいいんじゃないかと思うくらい快適に涼しいのであった。でも、街道の道筋には、閉鎖したお店が何軒もあって、不動産屋のテナント募集の看板がとても虚しく寂しいのであった。まあ、せせらぎ街道っていっても何にもないからなあ。ライダー好みの走りやすい道があるだけで、後は木々ばっかりだからなあ。商売向きな土地ではないね。500坪売地と看板あったが、別荘地みたいなものならいいかもしれん。

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で、最後にお約束のパスカル清見に寄った。相変わらずバイクがいっぱいだ。名物ライダー丼は食えなかった。だって407キロカロリーだもん、カロリー取り過ぎ。どっかのBBSでえらそうに「ちゃんとしたもん食ったら」なんて言ってられんな。やっぱり糖分や油分の取り過ぎは酸性体質になるから、これからは昼飯は納豆2パックにしよう、そうしようそうしよう! そう決まったらもう帰るのだ。暑い暑い多治見を通って帰ってきた。

こうして、奥飛騨にラーメンを求めての前編は完了したのであった。

後編に続く

本日の出費

温泉 500円

お茶パンなど 125円115円147円

本日のCB1300の走行距離 400キロ

累計のCB1300の走行距離 34240キロ

オイル交換するぞ!

 

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