飯高に永餅目指して大失敗
5月18日(土)
「永餅が食べたい」まっちゃんが言った。「永餅。知ってる? おいしいんだよ、永餅。大福餅みたいなんだけど、それをぐいーんってのばしたみたいになってるの。出来立てもおいしいけどね、永餅は一晩経ってちょっと固くなってから、それをオーブンでちょっと焼くの。そしたらねかの餡子もアツアツになってすっごくおいしいんだよ。永餅。あー、食べたいなあ、永餅。おいしいよ永餅」永餅か、とぼくは思った。餡子好きにとってはおいしい話だな。そうだ、今度、お土産に永餅を買ってこよう。まっちゃんが好きな永餅、何も言わないで買ってきたら驚くぞ。そしてポイントアップでNikonD600が買ってもらえるかもしれない。これは悪くない考えだと、ぼくは本気で思った。あ、なんかここまでの文章、村上春樹みたいでおしゃれじゃん? いや、原田宗典か。でも、おしゃれと言えば、元祖はやはり片岡義男だね。『これなんていうの? 女のこはみんなこうだ。タンクにしっかり永餅と入っているのに』片岡義男は意外とハードボイルド文体なのである。ハードボイルドと言えばやはりチャンドラー『タフでなくては生きていけない。やさしくなくては永餅を食べる資格がない』そして日本のホードボイルド大藪春彦『アンタさ、この距離でカーピンぶっ放したら、永餅はオレの体を貫通してアンタのところまで行くぜ』大藪春彦はバイオレンス&エロスが良かったね。その路線なら西村寿行もいいね『ああ、永餅様、永餅様と女は呻いた』その頃はSFもよく読みました。SFと言えばやはりクラーク『TN1についての情報が漏れているようだ、さっきそこで話が出た。TN1、ティコ・永餅1号、月面で発見されたナゾの永餅だ』日本のSFなら小松左京『最悪の場合、これはあらゆる条件が満たされなくても同じだ、永餅の大部分は海面下に没する』光瀬龍『よせてはかえし、よせてはかえし、かえしてはよせる永餅』半村良『この星には永餅が多過ぎる、なぜこのような進化をとげたのか』映画もあるぞ『だれにも、永餅なんていわせないぞ』『残念ながら永餅の秘密を語る事は出来ない、自分の舌でたしかめろ』『永餅が共にあらん事を』『今何を考えてるか当ててやろうか、箱に何個永餅が残っているか考えてるんだろう? 実はオレも食うのに夢中で数を数えるのを忘れてた』『勝ったのはわれわれじゃない、勝ったのは永餅だ』アニメ『永餅砲内圧力上昇、餡子充填120パーセント、永餅砲発射用意、対ショック対閃光防御』『清め餅とは違うのだよ、清め餅とは』『ごめんなさい、永餅が出た時、どうすればいいのかわからないの。食べればいいと思うよ』『永餅、ゲットだぜ!』『お前はこれまで食べた永餅の数を覚えているのか?』『その子をはなせ、あたたたたー北斗永餅拳どーん』『オッス、オラ、永餅』『警告しておくわ、ソリッド永餅には近づくな』『安倍川餅とも違うのだよ』これらの元ネタの作品名がわかった方は掲示板に解答をお書きください。全問正解された方には、当サイト恒例の北海道名物ジンギスカンキャラメル(賞味期限切れ)を差し上げます。ということでツーリングに行く事にした。
永餅とは、三重県が世界に誇る和菓子である。いろいろ銘柄があるが、ウチでは安永餅が永餅の正統とされている。異議は認めない。その永餅を買うために桑名まで行くことにした。ついでに温泉に入ろう。そこで温泉博士の温泉をチェックしたら、今月号は不作なんだなあ。三重県方面ではいいたかの湯しかなかった。飯高はちょっと遠いんだよ。何が遠いって、距離にして片道140キロくらいだから、単純に距離だけならそんなに遠い事もないんだけどさ、アクセスが悪いんだよ、道路事情が悪いんだよ。23号線も1号線も、交通量や信号が多くて常時渋滞、バイクで走って楽しい道じゃない。高山まで150キロ3時間で行けるが、飯高まで140キロ、4時間以上かかるだろうな。かったるい。しかし、他の温泉博士の温泉で行けるのは、道の駅かれんか濁河温泉だけだ。どっちもあまり行く気にならない。かといって、温泉博士に頼らないと、またまた41号線ひめしゃがの湯と芸がない。こうして、結局、消去法で消極的決定でいいたかの湯に決定した。あくまでオマケである。本題は安永餅獲得である。
さて、当日、飯高に10時に着くために6時出発予定でいたのだが、なんかいろいろやってるうちに6時30分になっちゃった。ヤバい。急いで実家ガレージから旗艦CB1300SFを引っ張りだす。今日は時間がないので実家コーヒータイムは断腸の思いで省略するのであった。エンジン始動で、まっちゃんに見送られて出発だ。ナイショだけど、安永餅買ってくるから楽しみにしてろよ。ふっふっふ。この時はそんな事を得意げに思ってましたよ。
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まずはいつものガソリン給油。コスモ石油でメール会員割引で給油だ。250キロ走って12リットル入ったので約リッター20キロだな。価格は141円だった。安くなってるのかどうなってるのかよくわからんな。ずっしり重くなったCB1300に股がって行くぜと思ったが、三重方面は道の駅がない=トイレに困る、ということで、念のためにここでトイレを念入りに済ませておく。よし、改めて出発だ。19号線に出て、名古屋方面に向かう。天気は全面的に曇りでまったく太陽がでてない。これから晴れてくるとの予報だが、ホントに晴れるのかちょっと心配だな。曇りのおかげで温度も低めだ。朝のうちは寒いといかんので、今日の装備は、いつもの上下革ジャンにヒートテック+プレミアムコットンTシャツを着てきた。暑くなったらヒートテックを脱げばいい。最新のヒートテックはペラペラに薄っぺらいので、脱いでもジャマにならないのがいいね。そんな用意周到な装備なので極めて快適に走るのであった。時間が早いので19号線も交通量も少なめだ。順調に進んで勝川からいつもの庄内川の河川敷を通って三階橋を渡って名古屋市北区から西区に抜けるルートを進む。国道22号線にはマクドナルドがあるが、時間が早いのでここはスルー。そのまま進んで、共生駅の高架を潜って、Y字路を右に行かなきゃ行かんのに、忘れとって左車線にいたもんで、行き損なうところだったが、交差点で信号に引っかかったので、そこで車線変更してなんとか事なきを得た。その道を真っすぐ行けば中村公園の大鳥居があるんだが、この道で後ろからすごい勢いで走ってくる某クリーニング会社のトラックに走行車線からぶち抜かれた。ゆっさゆっさと荷台を揺らしながら車線変更を繰り返して前へ前へと飛ばしていた。すげーな。このコンプライアンスが厳しい時代、会社の看板背負って走ってるクルマは嫌みなくらい安全運転なのに、いまだこんな運転をするヤツもいるんだ。よっぽど納品時間にでも遅れるのかな。せいぜい、ぶつからないように気をつけろ。大鳥居を過ぎたら近鉄八田駅を経て高畑に入り、そこで県道29号線に右折してさらに進むと、ここにもマクドナルドがあるのだが、まだ時間が早いのでスルーした。川を渡って、河川敷を走り、中川コロナワールドのパチンコガンダムの宣伝がバンバン入ってる電光掲示板が光る交差点で国道1号線に合流した。そこから蟹江方面に走って、芝切の立体交差で県道66号線に入る。その道の途中で工事中のところがあったが、その工事車輛が置いてあるところに、コンビニ袋をつけた赤いCBRが置いてあった。工事現場の関係者のバイクのようだ。警備員が移動のためにスクーターを使うのは見た事があるが、こんな現場に実に場違いなCBRだった。ひょっとして作業着でこのバイクに乗って来たのか? そんな事を思って走ってたら、後ろからぎゅいいいいーんとカッ飛んで来たKawasakiZZ-R1400に思いっきり抜かされた。ライダーの服装を見たら、どう見ても現場の作業着だった。まだ時間的に通勤時間でもあるので、出勤途中のライダーみたいだけど、いや、ZZ-R1400ともなると、そんな作業着で乗っちゃっていいの? やっぱりそれ相応の格好をしないと、Kawasakiのフラッグシップなんだから申し訳ないと思うんだけど、そんな事そうでもいいのかやっぱり。
23号線にまでやってきた。立体交差を左に入ってそこで23号線を右折する。ようやくここまで来たな。すでに1時間以上の時間がかかっているぞ。予定より大幅に遅れている。ヤバい、もうちょっとペースアップしないと。しかし、やはり23号線は23号線なのであった。トラックがガンガン走る23号線なのであった。なかなかカッ飛ばす事も出来ないで、トラックのガンガン走りに付いていくしかないのであった。木曽川を渡って三重県に入る。流れに沿ってそれなりのスピードで走っていく。大型トラック、トレーラーが多い。タンクローリーも走っている。変なタンクのタンクローリー車もいた。よく見たらでっかい「毒」の表札が出ている。品名を見たら医薬部外品劇薬塩酸と書いてあった。塩酸ってあの塩酸か。何でも溶かしちゃう塩酸。硫酸とならぶ学校で習う化学薬品の最強に危険な薬品だ。なんたってガミラス星の海だからな。第3艦橋が溶け落ちるんだからな。溶け落ちるわ自爆されるわ悲惨な運命の第三艦橋だけど、ところで、あれって必要だったのか?
三重県に入ってしばらくしたら、東名阪の情報電光掲示板に「四日市ー鈴鹿事故渋滞」の表示があった。やられたな、これで1号線23号線に事故渋滞を避けたクルマが流れ込んで来て交通量が増えるから、こっちもノロノロ運転になるぞ。思っていたら案の定、四日市競輪場付近から流れが急激に悪くなり、渋滞へと変貌した。まいったなータダでさえ時間が遅れてるのに、こんな渋滞になっちゃってさ。しかし、23号線は幹線道路と言っても設計が古いので路肩も道路全体の幅の狭いみたいで簡単にする抜けできそうにない。おとなしく渋滞の波に乗って行くしかないので、ここは我慢なのであった。たまに我慢できないバイク乗りが、中央線走りですり抜けをして行くのが見えたが、ここでそれは厳しいでしょ。危ないでしょ。引っ掛けて事故らないようにしろよ。高速の事故での自然渋滞と思ってたら、鈴鹿に近いところで、この渋滞の原因が分かった。こっちも事故だった。3台玉突きやってみたいで、路肩にクルマを寄せてなんかみんなでワイワイやってるよ。何でもいいからジャマだからどかしてくれよ。後ろから来るクルマやバイクのエラいメーワクなんですけど。アンタらだけの道路じゃないんだから、さっさと撤去しろっての。というか、その直後に近くの空きスペースに移動が始まり、クルマで塞がってた一車線が空いたので渋滞がするすると解消していった。なんか自分がようやく通過した渋滞が、通過したと同時に解消されるのってどうよ。
そこから多少流れが良くなった23号を走っていくと、やがてマクドナルドの看板を発見した。そろそろマクドナルドの時間だ。その看板は、この先60キロの23号線沿いのマクドナルドがすべて紹介されている斬新な看板だった。最終地点は伊勢店で、あと60キロと書いてあった。一番近いのがもうすぐあるからそこに入ろう。そう思って走っていたんだが、少しでも早く行こうと追越し車線を走っていたので気がついたら通過してた。最新の店舗らしいデザインの23号岸岡店だった。まあいいや、次のマクドナルドにしよう。そう思ったのだが、次は反対車線で、中央分離帯がある23号線では反対車線の店には入れないのであった。その次もその次もマクドナルドは反対車線なのだった。ダメだこりゃ。諦めてコンビニに入るかと思ったその時、マクドナルドが現れたの速攻で駐車場にバイクを入れて止めた。ヘルメットを持ってお店に入ったら、ちょうど若いカップルがカウンターに注文し始めたところだった。で、その若いカップルがまた注文に時間がかかってさ。例によって、何とかと何とかの組み合わせの方が安くなるんじゃないかだの何だのいろいろ店員さんに聞きながら決めてるもんで、ホント時間かかったよ。後ろでぼさーっと立って待ってたら、近くの店員さんがいきなり「いらっしゃいませ、ご注文をどうぞ」と言いだすので、なんだと思ったら、ドライブスルーの注文を受けているのだった。いつもながらドライブスルーの注文はマルチタスクなんですげーな。同時に2つ以上の仕事がこなせない自分には無理です。ようやく順番になったので、まっちゃんにもらったコーヒー無料券を出して、あとはいつものチキンクリスプマフィン100円を注文した。出来たら席に着いてさっさと食った。さっさと食ってさっさと出発だ。時間が押してるのだ急げ。
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こうして松阪までやってきた。国道42号線から166号線にスイッチ。このあたりでへんてこなテレビCMで有名な焼き肉屋一升瓶の看板を発見。まだ健在のようです。テレビCMは見かけんくなったけどね。回転焼肉ってどんなもんか見てみたい。166号線に入ったら、この道は山道になるので飛ばせるぜと思っていたんだが、全然違ってた。意外に交通量が多い。トラックも普通車も多い。そして、地元のじーさんばーさんのクルマも走ってる。すなわち、実にペースが遅いのである。ここまで来たらカッ飛ばせると思っていたのでかなりストレス。しかし、仕方がないのでおとなしくついて走っていく。辺りは田んぼが多くて田植えも終わった田んぼがいい感じなのであった。棚段の田んぼもあった。小規模でもあんなにカッコいい風景なんだから有名なところの棚段の田んぼはさぞ見晴らしがいいのだろうなあ。すごくおしゃれなカフェもあった。なんとかイングランドと看板が出てた(メリーイングランドでした)それから大正モダンな建物もあった。昔の郵便局の建物が残してあるらしい。
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そこからしばらく走って、ようやく目的地のいいたかの湯を有する道の駅いいたかにたどり着いた。予定を大幅に遅れての到着である。駐車場はバイク専用があるのでそこに止めるのだが、既に何台ものバイクが集結していた。ちなみのここは、かつてクシタニコーヒーブレイクミーティングがあったところだ。もともと、この辺りの地元のライダーの休憩ポイント集合ポイントみたいだな。そこを狙ってコーヒーブレイクミーティングを行ったわけだな。ハーレーとKawasakiのニンジャの間が空いてたのでそこに止めた。さっさと温泉に向かう。温泉は一番端の方にあった。出店がいくつかあったが、全部スルーして温泉直行である。中に入ると、まずブーツを脱いで、壁のように巨大な下駄箱に入れる。一番下がブーツ用だ。そして受付で温泉博士を見せるとハンコを押してくれた。そしてなんかチケットに名前を書かされ、どこからきたのか聞かれた。個人情報だがちゃんと答えたぞ。そしてここは手ぬぐいを貸してくれるのだ。いいねーこういうサービス。
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暖簾をくぐって男湯に入る。ちなみに湯の名前はお局の湯だった。男湯っぽくないな。これって、もとは女湯だったんだろうな。それが交代制にしたもんで、こんなんになっちゃったんだよきっと。脱衣所に入ると、新しくて清潔でしっかりしたロッカーとドレッサー設備があった。脱いだ荷物を突っ込んで、風呂場に移動する。風呂の広さはまあまあ普通で、洗い場は少ない。体を洗ってまずは内湯に入った。ぬるぬる感がちょっとあるぬるめのお湯でゆっくり入れそうだ。きもちええなーと入ってたら、じーさんおっさんの一団が、がやがや入って来た。そして、そのうちの一人が湯に入ってからビヤックションッっと大きなくしゃみを繰り返して、ハナを拭って湯で洗ってた。マジかよ。ちょお、何考えてんだよ、きったねーなー。これは入っとれんので出た。露天風呂に移動して、そっちに入った。外は天気がよくなって青空が広がっているので気持ちいい。鳥がぴよぴよさえずるのがいい感じだ。気持ちええ。そしたら樽の湯があったのでそっちに入った。これも気持ちええなあ。狭いけど、こういう普通では入れんお風呂っておもしろいよね。そしたらお尻を何かに噛み付かれた、げげっ! と思って飛び跳ねた。なんかいる? よく見たら、湯の吸い込み口だった。湯を循環させるので噴き出し口と吸い込み口があるんだ。その吸い込むところに尻が当たって噛み付かれたみたいになったんだね。あー驚いた。そうとわかったらそこを避けて入った。うーむ、気持ちええ。タンノンしたら出た。ちょっと早いけど、時間が押してるので。
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温泉を出たら、さっさとバイクに戻って出発した。帰り道、気になるお寺があったので寄ってみた。かなり立派で歴史のあるお寺のようだが、急な階段を長い事登らないかんようなので、表のところだけ見て写真撮った。それから、コンビニでお茶を飲んで、来た道をどんどん戻った。そしていよいよ、本日の本題の、安永餅を買うんだもんね。桑名に入って、国道沿いに大きなお店があるからすぐわかるはずだと思って走っていたら気がついたら長島まで来てた。そして、木曽岬町まで来てた。そして愛知県まで来てた。なんですと? なかった? 安永餅のお店がなかった? ヤバい通過いちゃったんだ。げ、どうしよう。しかし今更もう戻れんのだよ。時間がないのだ。今日は16時までに帰宅しないといかんので、今でもギリギリだから、戻る時間はないのだよ。なんという事だ。これは大失態だ! 大失敗だ! ああ、なんでちゃんとGoogle地図で場所を確認しなかったのだ。これですべての計画は水の泡だ。茫然自失で帰宅したのであった。まっちゃんに得意げに安永餅を渡すはずだったのになあ。
本日の出費
マクドナルド 100円
お茶 125円
アクエリアス 125円
本日のCB1300の走行距離 280キロくらい
累計のCB1300の走行距離 65270キロくらい