紅燃ゆる山の峰の木曽御岳

11月9日(土)

なんか立冬を過ぎたらしい。いわゆる、暦の上では冬になりました、だ。ニュース番組の冒頭なんかでよくキャスターが喋るあれだ。気がついたら、もう今年も残り2ヶ月きっちゃったんだよ。ついさっき、雑煮のお持ち何個入れるー? なんて会話してたと思ったんだけどなあ。何度も言い尽くされた言葉ですが、まさしく、光陰矢の如しなのであります。しかし、立冬って言うけどさ、アンタ、日本は四季豊かな国で、冬になる前にやる事があるでしょうが。忘れてません? アレですよアレ、アキですよ。秋。スポーツの秋に、読書の秋に、そして食欲の秋ですよ。秋は1年で最も色んな事をするのに最適な季節なのです。そして、その秋の真骨頂といえばやはり、紅葉でしょう。紅葉。木々の葉が真っ赤に染まり、山が燃えるような紅になるこの季節、季節の移ろいを最も実感できる、日本人で良かったと思える季節、秋の色と言えばやはりこの紅葉に象徴される赤、紅なのであります。どこぞのヴィジュアル系バンドの歌じゃないよ。両腕交差してジャンプしないでもいいよ。冬は雪の白、春は桜の桃色、夏は海の青、そして秋は紅葉の赤なのであります。そして、この紅葉こそが写真を撮るのに実に映える被写体なんである。特に、サイト管理人みたいななんちゃってカメラマンで、被写体とカメラの性能に極めて依存性が高いカメラマンにとっては、いかにもそれらしい写真を撮れる数少ない季節なんである。それっぽい写真を撮って、見栄っ張りな写真共有サイトにアップできるのである。(見栄っ張りな写真共有サイトってのがどこの事かすぐわかると思うけど、ようするにflickr.comの事ですね)しかし、この紅葉、素晴らしい写真が簡単にできるのであるが、同時に実に難しいのでもある。何が難しいか、それは時期の見極めである。ちょうど良いタイミングで現地に行かなければ、まだ青葉山ホトトギスなんて事になったり、あるいは逆に国破れて紅葉なしなんて事になってしまうのである。これまで何度失敗を繰り返し、苦汁を飲まされた事か。紅葉満開の時期を見極めるのには、いったいどうすればいいのか、悩みに悩んで夜も眠れないし食事も喉を通らない今日この頃、それなのに食欲の秋だもんで体重はどんどん増えるし困ったなあ。どうしようか、そうだ、ツーリングに行こう。ツーリングに行って紅葉の現地調査だ。それはいい考えだぞ。ということでツーリングに行く事にした。

そんなワケで、今週末は土曜日が晴れで何とか天気が持ちそうなんで土曜日に行く事にしたんだが、どこへ行くかが問題である。温泉博士の11月号で条件にヒットする温泉は2カ所、ひるがの高原方面の牧歌の里温泉と御岳方面の木曽温泉である。どちらも紅葉すれば美しい山の峰が拝めるポイントである。うーむ、どっちにするか。牧歌の里はさんざん行ってるが、木曽温泉は行った事がないような気もする。ずいぶん昔に行った事があるような気もする。でも、あんまり行った事がない方に行った方がいいような気もする。でも19号線を走るのはこれで3連チャンなんで、面白みがないから久しぶりに156号線を走りたい気もする。でもまた牧歌の里かあー芸がないなあという気もする。よし、木曽温泉にしよう。3連チャン19号線だがこの際仕方がない。そのかわり、出撃機は久しぶりのCBR600RRジョンカーター号にしよう。6月に1回しか使えなかったクシタニの最新ネクサス革パンツも使える時期になった事だし、そうしようそうしよう。こうして行き先も日取りの決まったのであった。

さて当日、かなり早く起きちゃったんで、昨日の夜、途中まで読んでた島田荘司の「星籠の海」上巻をついつい読み始めちゃった。そして気がついたらいつの間にか出発予定時刻になってた。げ。なんで? なんでもうそんな時間なのさ。ヤバいじゃん。まっちゃんも起きてきて「なにーツーリング行かんのー」と寝ぼけまなこで聞いてくるので、行くに決まってるでしょーが、と急いで朝食の準備をして(と言うと聞こえがいいけどまっちゃん特製サンドイッチをならべるだけ、朝早いからと言っておいたのでまっちゃんはちゃんと時間がかからないように用意周到にしておいてくれたのです)食ったら急いで準備して実家ガレージに駆け足なのであった。まっちゃんがコーヒー飲みたいと言うので、時間が押し迫ってるにも関わらず、コーヒーを用意してあげるぼくはなんていい夫なんだろう。ホントにぼくはいい夫だとバキドテグシャ(まっちゃんの必殺技飛びひざ蹴りパンチが炸裂する音、ちなみになんで必殺技が繰り出されるのか、いちいち書かなくても賢明なるサイト訪問者諸君にはわかると思うので割愛させていただきます)

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コーヒーを飲んだら出発だ。ガレージから引っ張りだしたCBR600RRはエンジン一発始動、HONDA DNAが脈打つインラインフォアが雄叫びをあげ、図太いエグゾーストが響き渡る。暖気を済ませたら発進だ。まずはガソリンである。いつもの19号線沿いのコスモ石油に行く。先週、メール会員登録を改めてやっておいたので、今週は、ちゃんと割引案内メールがケータイに届いたので、どや顔でメール会員割引価格で給油できるのだ。なんでCBR600RRはハイオク仕様なんで単価が高くなるから少しでも安くできると助かるのである。で、コスモ石油に行ったら、時間の関係で混んでるんだよ。いつもの早朝ならガラガラなんだけど、いろいろあって遅れたもんで、混んでるんだよクソ。給油機は一カ所しか空いてなくて、その場所がバイクの右側になるのでいやだったけど、他にないので反対向きに止めて給油する事にした。まったくついてねーぜ、今日はダメだよ、などとブツブツ愚痴をこぼしながら給油しようとしたら、向かい側の給油機が空いて、赤いクルマが入ってきた。そしてそこから降りてきたのは、ヒラヒラミニのワンピースの上に革ジャンを着たクルクル巻き毛のかわいらしい美人であった。女の子っぽいワンピースに男っぽい革ジャンという合わせ技がいわゆるギャップ萌えなのであった。なんだ今日でらついてんじゃん。今日は全開バリバリじゃん。ガンガンいっちゃうよ。ハイオクバンバン入れちゃよ。女の子に見とれてこぼしそうになったなんて事は絶対にないよ。ホントだよ。えー、ちなみにハイオク価格は160円でした。200キロ走って9リットル弱くらい入った。

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ハイオク満タンで19号線に出ると多治見方面に向かって走っていく。天気は晴れの予報だが薄い雲が多く、青空はあまり見えない。気温は道路脇電光掲示板で10度だ。冬装備で来ているので寒くはない。ちなみに今日の装備は上はユニクロプレミアムコットンTシャツ+ヒートテック半袖+グンゼホットマジック長袖+ユニクロタートルネック+ウインドストッパー装着コンプリート革ジャンである。下はネクサスコンプリートパンツ。手袋も冬物にしてある。万全だぜ。お昼に暑くなるかも知れんけど、今寒くなけりゃそれでいいのさ。

内津峠を越えて多治見市に入る。順調に進んで土岐瑞浪と走っていく。いつの間にやらキャンプ用具満載の名前がよくわからんバイクとそこそこ荷物満載の新型カブと並走してた。抜かしたり抜かされたりしつつ、恵那までやってきた。休憩ポイントのマクドナルドがあるのだが、今日は朝コーヒーを飲んできちゃったんで通過する。恵那には有名な恵那川上屋があるのだが、さすがこの時期はすでに駐車場にクルマが3、4台止まってた。開店待ちなのかと思ったら、もう営業してた。早いよなあ。老舗和菓子店だからと言ってお高くとまっとれん時代なんだね。

さらに進んで中津川に入る。地震体感シュミレーションのトラックが走ってた。アレ凄いんだぞ。定期的に体験すべきだよな、地震がいかに凄まじいかよくわかる。もうね、震度5なんてなんにも出来ないよ。テーブルにしがみついてるのが精一杯だよ。火を消すどころかテーブルの下にも入れんかったもんな。やはり地震雷火事親父でトップに来るだけの事はあるよ。その後ろにトーエネックのトラックが走ってて、荷台に黄色い長いシャフトが大量に積載してあった。何だろうと思って、どこかで見た事がるよなーと記憶の糸をたぐったら、そう、電線の保護をする黄色いカバーだよ。工事現場や建築現場でよく見かけるヤツ。こうして山積みになってるとちょっとヘンテコな光景なのであった。

中津川を過ぎて、休憩ポイント元起に入った。先週、ここを通過しちゃったもんな。トイレをしたら、トイレに紅葉祭りのポスターがあった。おお、ナイスなタイミングじゃないか、来週あたり行ってみようかと思ったら、明日まででした。何とガックリ。ということは、この辺りの紅葉はもう見納めなのか。どうなんだ。このまま北上して行けば、その答えは自ずと出るさ。行くぜ。バイクに戻って出発する。それからすぐに道の駅賎母を通過した。あ、先週見かけた猫はどうしてるかな。もう一回こっちに寄った方が良かったかな。猫に会えたかも知れんのに、しまった。またゴロゴロスリスリしてもらえたかも知れんのに。帰りに寄ってみよう。と言って帰りに寄ったためしがないんだけどさ。

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中津川から山口馬籠妻籠を過ぎていよいよ長野県に入る。途中で道路脇から工事現場御用達の小型トラックが飛び出してきやがったので緊急ブレーキ、危うく事なきを得た。当のトラックのおっさんは、反対車線のクルマが来ないか見るのに必死で、こっちを全然見てないんだよ。反対車線の方を見たまま、こっちの車線を全然見ないで突っ込んできやがるんだもん、あぶないなーちゃんと左右を見ろクソ。あーあー、 こっちに全然気がつかないまま行っちまいやがった。そのうち事故るぞ。

いよいよ山岳地帯に突入すると、山は秋の装いになってきていた。遠くに見えるアルプスは雪を冠っていて、冬の到来を告げていた。紅葉はどうなのか、辺りの様子を注意深くうかがいながら走っていくと、小野の滝の付近で道路沿い一面紅葉になっていて、素晴らしかった。素晴らしかったけど、バイクを止めるところがないもんで、高速スルーになってしまった。でもよく考えたら小野の滝の駐車場に止めて歩いて行けばよかったんじゃんね。そういえば、小野の滝って何度も何度も19号線を往復してるのに、一回も止まった事無いや。なんか、こんな国道沿いにある、すぐ見えるところにある滝なんてあんまりありがたみ無いもンなあ。

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道の駅木曽福島まで来た。トイレ休憩に入る。駐車場はクルマでいっぱいだ。最近の道の駅は大繁盛でいいんだけど、休憩するための施設なんだから休憩できないんじゃ意味がないと思うんだけど、もうそんな話しても通用しない状況に変貌しちまったな。これが手段と目的が入れ替わってしまう日本社会の悪しき縮図だといえよう。腹減ったもんで何か食いたいなと思って、そういえば朝食セットってのやってたよな、今の時間やってるかな、と思ってレストランを見たら、朝食セットは9時までだったのでやってませんでした。メニュー写真を見る限り500円でボリューム満点なんだけど残念でした。

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仕方がないのでそのまま19号に戻り、そのすぐ先で県道20号線に曲がって御岳方面に向かう。少し進んだだけで、山が赤く燃えるように紅葉で染まっているのであった。これは凄いよ。まさしく東京スカパラダイスオーケストラだよ。ひっをつっけって、もっりのなっか、などと歌詞がわからんのでテキトーに歌いながら上機嫌で進むと、巨大なトンネルが出現した。おおおーーーっ、思わず叫んだね。ついに完成したんだよ、トンネルが完成した。この前来たのがいつだったか忘れたけど、あの時はまだ工事中真っ盛りだったよな。そうかついに完成したんだな。これまで片側交互交通だった狭いトンネルが、このようにでかく広くきれいでスッパーンと走れるようになりました。これもすべて国土交通省の偉い役人さんたちのおかげです。今日もバイクで走れるのもー役人さんたちのおかげですー役人さんったらありがとうーなどと歌いながらトンネル脇にCBR600RRを止めて撮影会。そこからさらに進むと、三岳の道の駅があったので、そこに止まって辺りの紅葉を撮影会。美しく燃える森を撮影会。いやー完璧にど真ん中バッチリ決まった時期だよナイスミーチューだよ。カメラがCASIOのコンデジなのがちょっとなー、こういう時のために小型の一眼をやっぱり買った方がいいと思うんだよ。NikonのJ1とかさ、やっぱりファインダーは必需品だからモデルVだよな、そしてレンズは当然単焦点レンズがいるからバキドテグシャ。

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このようにとにかく、素晴らしい素晴らしい素晴らしいったらありゃしないアーコリャコリャな紅葉に燃える山々を撮影会をしながら走っていくとやがてホテル木曽温泉に着いた。ゆっくり来たけどちょっと早めに着いた。パッと見、やってるのかやってないのかわからんホテルだった。廃業したホテルと言っても通用しそうな感じだが、よくよく見たら、フロントに人がいた。掃除機の音が聞こえてきた。どうやらちゃんと営業しているようだ。入浴は11時30分からなんで、まだ早いけどどうかなあと思いつつ、建物に入った。フロントの年配の女性がいらっしゃいませと言うので、温泉博士見たんですけど温泉に入れますかと聞いたら入浴は11時30分からですとキッチリ言われたので中で待つ事にした。で、ホールのイスに座って待った。ウトウトしてたらキンコンカンと時報がして、女性が、内湯だけですが入れますよ、と言うので温泉の方に歩いて行った。

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暖簾をくぐって男湯の方に行った、脱衣所に入ったら、まだ掃除係のおっさんが全力で掃除をやってる真っ最中だった。マジですか、全然入れる体制じゃないじゃん。でも今さら引き下がるわけにもいかんので、籠に脱いだものを突っ込んだら、威風堂々と風呂場に移動した。掃除係のおっさんに念のため入っていいか聞いたら(でもこの格好で言われて入れませんとは言えんわなあ)どうぞと言うので洗い場で体を流してから湯に浸かった。湯は茶褐色だった。脱衣所にある分析表を見ておいたけど、内湯は循環なんだよ。で、茶褐色ってことはおそらく鉄分を含む温泉で、ということは時間の経過に伴って空気に触れる事で、はじめは無色透明なのが徐々に茶褐色になっていくのが通常の反応なんだけど、朝から既に茶褐色ってことは、掃除とか言ってるけど、この風呂のお湯は替えてないんじゃないの。普通は1日使った湯は全部抜いて入れ替えて湯船も掃除して新しい湯を張ってから営業開始するよ。特に循環だとそうしないと湯がくたびれるからな。見ればすぐわかるが、湯の華なのか垢なのかよくわからん不純物がいっぱい浮いてるもん。何かガックリだよな。お湯は確かにいいと思うのでもったいないな。露天風呂はかけ流しらしいが、入れないようだ。入れないのは日帰り入浴では営業していないのか、それともこの時期は営業してないのか、いまからかけ流しの湯を溜めるのに時間がかかるから入れないのかわからんが、とにかく入れなかった。これもガックリだった。テキトーなところで上がった。そして早々に撤退した。

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温泉を後にして、来た道を戻るのもつまらんので開田高原を経由して帰ることにした。御岳が山頂に雪を冠って素晴らしいのだが、天気予報通り、午後から曇空になってきててどんよりだった。雨が降ってくるといかんので、ちょっとペースを上げて帰ろうと思ったら、前の方にトロトロ走ってるセダンがいた。遅いんだよこの野郎と思ったら、天井に赤い色でピカピカ光り始めた。げ。あれは泣く子も黙るクラウンアスリートパトカーじゃん。一気にスローダウン。距離を置いてトロトロついていくのであった。おとなしく走ってようやく19号線にでたら、名古屋方面に向かう。途中、大桑のセブンイレブンでセブンコーヒーとあんまんを買った。そして、ほのかに期待していたのだが、なんと、あんまんはこしあんだったぜ。いやっほう! こしあんのセブンイレブンのあんまんサイコーにおいしいんだよ。なんでこの味が愛知岐阜で食えんのか悲しいです。

あんまんブラボーの上機嫌で帰ってきたら、家の近くでネズミ捕りやっててビックリした。いつも通る道なんだけど、こんなところでネズミ捕りをやってるのは初めて見たよ。今日はたまたまダンプが前を走ってたからスローだったんで助かったけど、そうじゃなかったら間違いなく捕まってたぜ。ふーあぶないところだったぜ。

本日の出費
コーヒーとあんまん 210円

本日のCBR600RRの走行距離 270キロくらいかな
累計のCBR600RRの走行距離 13900キロくらいかな

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