山はやっぱり寒かった美濃白川

1月18日(土)

それにしても1月半ば過ぎの終わっちゃいました感は異常ともいえるくらいなのである。思い起こせば11月後半くらいから、ああ早いもんだねえ、今年もの残りわずかだねえ、などといってるうちに12月になって、いよいよ年の瀬が近づくと、街は意味もなくキラキラし始めて、何の根拠もなく気分だけ盛り上がっちゃって、クリスマスケーキだのクリスマスブーツだのクリスマスプレゼントだのが話題になって、赤と緑が街を圧巻して恋人たちはホットになって、独り者もそれを見て別の意味でホットになって、それを過ぎたらお正月準備に門松に鏡餅、日頃は見向きもされない近所の神社も、この時とばかりにおめかししまして、真新しい幟がいくつも用意されて、いつもはいない巫女さんがニコニコして、あれよあれよと言うまに大晦日、なんだかんだで紅白歌合戦を見たら年越しそばに除夜の鐘、そしてついに年が明けまして、カウントダウンとともにおめでとうおめでとうと大騒ぎ、年が明けたら初詣に、おせち食べて雑煮食べて、新春セールは福袋を買いあさり中身に一喜一憂しつつ、お正月なんだからと高級レストランでごちそうを食いまくって体重増加、このようにイベント目白押しな日々は、しかし、やがて終わるのであります。正月休みが終わって初出勤、初日はまだ新年気分でうわついた職場も、2日3日とすればすぐに通常体制に戻り、無味乾燥な日々がふたたび始まりるのであります。気がつけば出しっ放しの鏡餅はほこりをかぶって、出勤途中に見かける、いまだ出されたままの新春初売りの幟にいつまでおとそ気分でいるんだよクソと腹を立てまして、ああ、正月も終わったなあと改めて思い知らされるのでした。このようにふたたび始まった無味乾燥な日々を、しかし、我らは乗り切っていかねばならないのであった。どうやって乗り切るのか。簡単な事である。飽き足りな日常に、非日常の要素を取り入れればいいのである。そして、その重要な要となる非日常の要素とは何か。それを我らは既に知っている。そう、それがバイクである。バイクに乗ることが、日常の中の非日常となる得る要素なのである。何もかも行き届いた現代社会、このコンビニエンスな時代に背を向け、あえて非合理的な手段を選択する。それがバイク乗りなのである。この厳しい冬の季節でも、ボタンひとつで暖まる家や、ボタンひとつで暖まるクルマ、それらに背を向け、まったく吹きさらしのクソ寒い乗り物、それがバイクであり、それに乗って走るのがバイク乗りである。ゆえに、寒くたって走るぞツーリングに行くぞ。え? 最低気温が氷点下ですか? マジ? あ、そう。えー、そのー、なんだ。やっぱり寒いから止めようか。だって風邪引いたら大変だよ。風邪は万病の元だもん。え、雪? 雪が降ってきた? あ、もうダメだね。今日はやめよう。コタツに入ってガーナミルクチョコレートでも食いながらようつべ見て‥‥いかーん、いかんぞ、これではいかん、ヤバいもうちょっとで老師のヤツが出てくる所だったぜ。寒いけどいくぜ。ツーリングに行くぜ。

ということで、激しい葛藤の末、ツーリングに行く事にしたんだけど、まあ実際、先週はツーリングに行くつもりだったのに、行こうとしたら雪が降ってきやがってさ。もう一気に戦意喪失だったよ。でも、すぐに止んで晴れてきたから、ああ、やっぱり行っときゃあ良かったかなあなどと思っても後の祭りだった。だから、今週こそは何があろうとツーリングに行くんだもんね。で、その行き先だが温泉博士2月号に、いつもの変わらぬ掲載常連の温泉に混じって、あの道の駅美濃白川の新白川温泉が初めて無料入浴対象になってた。コレは行かないかんでしょう。毎回毎回41号線を通るたびに、ココの温泉入った事ないんだよなあ、と、自称温泉ライダーもどきにもかかわらず、こんな幹線道路のアクセスしやすいところにある温泉に入った事ないなんて、何言ってんの、それで温泉ライダーとは片腹痛いわ、などと侮辱されたら、もはや生きてはおれぬ。このような生き恥をさらしては末代までの恥、沽券に関わる問題なのである。しかし、同じ道の駅の温泉でも、道の駅かれんはしょっちゅう載ってくるのに、この道の駅美濃白川はこれまで載った事がないのである。だから二の足踏んでたんだけど、コレで心置きなく入る事が出来るな。問題は距離が近いので、開店の10時前に着いちゃうかも知れんということで、そうなったら、辺りで写真でも撮っとろうと思う。

さて、当日はいつも通り5時に起きて気象庁のサイトで情報収拾、寒いけど天気はいいようだ。夕方から雪が降る所もあるようだが、早めに帰ってくるので問題ない。準備をして朝食はハムトーストを食って、そして、もう一度、道の駅美濃白川の情報を公式サイトで確認した。今日はメンテナンスで温泉に入れませんとかだったらヤバいからな。しかし、そういう不確定要素もなく、万事問題無しだった。が、ここで問題が発生した。何の気なしに見たクシタニ名東店のサイト、そこには「クシタニセール」の文字がでかでかと載っていたのだった。マジかよ。一瞬目を疑ったが、マジでクシタニセールだったのである。2年までの悪夢が思い出される。あの恐ろしい、村櫛舘山寺道路の惨劇が、まさしく鮮明に思い出されるのであった。あの日は、クシタニセールへ行けば余計な出費をしてしまうから、ツーリングに行った方がそれを抑制できる、と考えたんであるが、結果的には、ホワイトライダースのジョーに捕獲されて、反則切符を切られ、そしてあと1年でゴールド免許だったのにその権利も消え失せた。莫大な損失である。こんなことならクシタニセールへ行っとけば良かった。よっぽど大きなな買い物をしてたとしても、反則金を払うよりも遥かにマシである。この経験から、クシタニセールの時はツーリング禁止が鉄則となった。その禁則が2年目で崩れるのか。どうするのだ。しかし、いつまでも逃げてんばかりじゃダメだ。こうやって逃げるのは楽だが、それではいつになっても戦いに決着を付ける事が出来ない。逃げてばかりいたら、逃げる癖がついてしまう。逃げてばかりの人生なんてまっぴらゴメンだぜ。このあたりで、この不具合なジンクスには消えていただく。クシタニセールの日にツーリングに行くのだ。2年前の悪夢に、これでけりをつけてやるさ。まっちゃんに「クシタニセールに行こうよ〜、それから本郷亭のラーメン食べようよ〜」と言われたときはさすがにグラグラだったけどさ。

ということで、出発する事にしたんだけど、簡単に出発出来なかった。なぜかというと、年末の大掃除が、特に納戸については中途半端で終わってるんだよ。で、処分しなければならないゴミやら不要物が納戸に山のように積んであるので、バイクが出せません。いつやらないかん事。準備が完了したら、納戸の片付けを始めた。そして整理整頓を済ませたら、ようやくFTR223を引っ張りだせるようになった。で、納戸から引っ張りだして、ついでにしばらく動かしていないスペイシーもセルをまわしてみた。キュキュキュジジジジジジジジジなのであった。こりゃあかんわ。バッテリー上がっちゃってるよ。FTRは大丈夫なのか。心配になってきた。実家でコーヒーを飲む事になってるんで、実家まで引っ張って、そこでエンジンをかけてみた。キュキュキュキュ、キュ、キュ、キュキュドキュドドドキュドドドドプス。止まった。もう1回。キュキュ、 キュキュキュキュ、キュ、キュ、キュドキュドドドドドドドッドッドッドッドッドーーッ。かかった! さすがHONDA製、2ヶ月ほったらかしでもバッチリ始動だぜ。暖気運転をしっかりしながら、タイヤの空気を入れる。デンソーのレアなミニコンプレッサーを使ってタイヤに空気をしっかり入れたらカンペキだ。コーヒーが出来たのでそれを飲んだら出発した。

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走り出したらめっちゃんこ寒いのであった。うっひょー、でらさびー、でらさびーでかんわー、たまらんわー、とヘルメットの中で叫びつつ、いつものコスモ石油に行こうと思ったんだが、そういえば割引メールが来とらんかったな、と思い出して、旧道19号のコスモ石油だったら割引メールが来てたんでそっちに行く事にした。でも時間制限があったから、まだメール割引の時間じゃないかも知れんけど、行く価値はある。さぶーさぶーと叫びつつ、旧道のコスモに着いたら、操作画面がメール会員選択画面になっていた。ラッキー、割引で入れられるじゃん。早速、機械の前にバイクを止めて、メール会員のボタンをタッチした。そしたら、開始画面になった。なんで? なんでパスワード入力画面にならないのだ? 開始ボタンをタッチしたら、現金カード選択画面になった。なんで? おかしいじゃん。ダメじゃん。くっそー、割引無しかよ。クソ面白くないと思いつつ、通常操作でガソリンを給油した。そしたら3リットル入った。3リットルか。割引云々言えるほど入らんかったな。ちなみに、レギュラー価格は154円でした。

コスモ石油を出て、旧道を多治見に向けて走っていく。内津峠を越えて、多治見で19号線本線に合流する。多治見市街地に入ったら、いつもの小泉ショートカットルートを進んで、可児市街を走っていく。毎度毎度、全国大会出場だの幟が上がっている高校の横を通り過ぎたら、大型バスが止まってた、そして、高校の名前の入った体操着を着た選手たちがたくさんいた。おお、なんか、青春だなあ。キャプテン翼だなあ。サッカー部なのかどうかわからんけど。クラスの人気者のイケメンがストライカーでクラスの女の子はみんな彼に夢中なんだろうなあ。クラスみんなで試合の応援に行ったり盛り上がってんだろうなあ。ネクラSF少年にはまったくカンケーない世界でしたが。そういう盛り上がった中でも、一人ぽつんと西村寿行とか大藪春彦とか半村良とか読んでたもんな。なんてクラくてサビシい話なんだ。大人になっても一人でバイクで温泉だもん、なんか泣けてきた。誰か友達になってください。オフ会に誘ってください。

こうして汗と涙の行程を乗り越えて、いや待て、運動嫌いだから汗はかいてないな、涙ナミダの行程を乗り越えて、川辺まで来た。そしたら、かつてこの地で栄華を誇った日本のサスペンションにそのなを轟かせたカヤバの川辺工場の跡地で、大掛かりな工事みたいな作業が行われていた。大量の鉄パイプ状の格子が、所狭しと拡がっていて、一体何をしようとしてるのか、まったくナゾであった。しかし、その後、寒いけど天気がいいなあ、雲ひとつないなあ、などと思いつつ走っていて、ハッと気がついた。あれは、まさか、もしかしてメガソーラー発電所を作ろうとしているのかも知れんぞ。今一番話題の、エコ発電システムだからな。そういえば、近所にもどこかの会社が作ったらしいメガソーラー発電所がいつの間にやらで来てたな。このように、自分で発電する、いわば電気の自給自足の生活があたり前な時代がやってくるのかも知れない。でも、ソーラー営業した人の裏話を聞くと、パネルの耐用年数が30年らしい。そして、自家発電で元が取れるのに25年かかるらしい。長期的展望で考えられる人には向いてるかもしれんな。少なくとも、映画「2001年宇宙の旅」の話のテンポがかったるいとか言ってる人には向いていないと思う。

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川辺で41号線に合流した。あまりに寒いので、最初のデイリーヤマザキで休憩しようかと思ったが、コンビニで休憩すると何か買わないかんからなあ。もうちょっと頑張って道の駅七宗まで行こう。そうしよう。で、そうした。そうしたら急にトイレしたくなってきた。やばいやばいぞ。モレそう。急げ。急いで道の駅七宗にたどり着いたら、速攻でトイレに飛び込んだんだが、この寒さで手も指も凍り付いておりまして、まずチャックが下ろせない。苦労して下ろしたけど、今度は防寒装備で厳重に重ね着してるために社会の窓がどこかわからん。苦労して探して出してようやく事なきを得た。あぶなかったよ、もう少しで漏らしちゃうところだったよ。

七宗をあとにして、いよいよ飛騨山間部の入口である白川である。急激な気温の低下を実感するのであった。寒い寒くてタマラン。今日は、クシタニセールの日にはジョー対策でバイクに乗らないジンクスを打破するために出撃してきたが、少なくともこの寒さではそもそもスピードが出せないんで、速度超過で捕まる事はないと思うよ。寒くて法廷速度で走ってたもんだから、後ろに大名行列が出来ちゃった。いかん、どこかで道を譲らなければと焦って探すが、こういう時に限って避難用路肩がないのであった。やっとこさ見つけた緊急避難、みなさん痺れを切らして走っていった。止まってる間にエンジンで手を温めた。うーっ、グリップヒーターが欲しいです。

ふたたび走り出した。寒い寒い、とにかく寒い。なんでこんなに寒いのにバイクに乗ってるんだろう、誰だよ非日常とか言ってたアホわ。もうイヤだ。やっぱりコタツでヨウツベ見てりゃよかった。コタツでスニッカーズ食いながら大島優子ちゃんの動画見てりゃよかった。すると、対向車線から疾走してくるバイクがいた。高らかなエグゾーストを響かせて疾走するそれは、YAMAHAのYZF-R1であった。なんだと、YAMAHAの分際で粋がりやがって。帝王HONDAを差し置いて疾走するとは許せん。負けてなるものか、こっちも失踪するぞ。失踪してどうすんだ。

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失踪したら道の駅美濃白川に着いた。ちがう失踪じゃない疾走。やった、やっとたどり着いた。いつもは単なる通過地点に過ぎないバラン星がこんなに遠いとは思わんかったな。誰だよ、10時前に着いたら辺りの写真撮って時間をつぶそうとか言ってたヤツはよ。19時なんかとっくに過ぎてるよ。二輪駐輪場にバイクを止めて、ヘルメットをワイヤーロックで固定したら、温泉の方に歩いて行く。いつも満車なくらい混雑御礼なこの道の駅だが、やはり時間的にまだ早いから空いてるな。建物の奥に行くと、美濃白川道の駅温泉の看板があった。中に入ったら、そこでブーツを脱いで下駄箱に入れた。下駄箱は小さいタイプしかないようだったが、ロングブーツはどうするんだろう。今日はFTRでショートブーツなんで横に寝かせて入れた。そして受付に行くと、係の女の人が愛想のいい笑顔で「発券機で券を買ってくださいね」というので「温泉博士でお願いします」とカッコよく決めた。ハンコをもらって男湯の方に行くと、こじんまりした建物ですぐに女湯の暖簾が正面に、男湯の暖簾が右にあった。どうもあまり大きくない温泉だな。男湯の暖簾をくぐって脱衣所に入ると、実に狭い脱衣所だった。客がほとんどいないからよかったけど、多かったらおしくらまんじゅうだな。ロッカーに荷物を入れて風呂場へ移動する。

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洗い場でシャワーを浴びると、はじめ温度が低くて寒かったが、途中から熱湯になって死にそうだった。たのむよ、温度調整をもうちょっとしっかりやってください。それで体を洗うと、内湯に浸かった。体が冷えきってるので熱くて入れんかったが、徐々に慣らして入った。天界であった。こじんまりした内湯だったが、客が少ないからよかった。湯もそれなりにいい湯だった。内湯で体が温まったら露天風呂に行ってみた。内湯よりさらにこじんまりした露天風呂だった。樽湯もあった。しばらく浸かってまた内湯に戻った。タンノンしたら出た。

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脱衣所でクールダウンして、装備装着したら脱衣所を出て建物を後にした。そしたら列車の汽笛が聞こえたので、あわてて鉄橋の方に行ってみた。ここから見える鉄橋をキハが走ってる姿をカメラに収める作戦だったんだよ。慌てて走っていったら、鉄橋を渡っているのはキハではなくワイドビュー飛騨だった。なんだ、ワイドビューか。ワイドビューならいらん。それからキハが来ないかひたすら待った。でも来なかった。時刻表を調べずに写真だけとろうなんて甘いのであった。仕方がないので鉄橋の写真だけとってバイクに戻った。思い出して鶏ちゃんを買いに戻った。買ったら後は一目散に帰ってきた。

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帰って来てからスペイシーを少し動かしてやったらバッテリーは回復した。よかったよかった。

本日の出費

なし。

本日のFTR223の走行距離 100キロくらい
累計のFTR223の走行距離 17630キロくらいかな

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