出発前夜

まっちゃんが読む本がなくなったというので、ブックオフに行った。ぶらぶら見ていたらスカイハイがあった。釈由美子がドラマでやったのだ。読んでみた。猫の話だった。通り魔に殺された女の子の飼い猫が、女の子の復讐して地獄に落ちるという選択を止めさせようとするんだけど、最後は通り魔に切られて女の子の腕の中で息を引き取るという話で、うおおおおーかわいそう過ぎる。涙がちょちょぎれます。読まんとけばよかった。

8月11日(木) 曇り時々晴れ

感動の前夜祭を経て、出発の朝がきた。準備は万全だ。いつもと同じ時間に起床して、いつもと同じに実家に向かう。しかし、今日は会社に行く車でなく、ツーリングに行くバイクを取ってくるのだよ。がはははは。で、自分の家の前にCB1300を止めると、タンクバックとシートザックを積載した。前回のツーリングで試行錯誤の末完璧な積載方法を編み出したので今回はまったく無問題である。いわゆるノープロブレムだ。ウエアの選択は当然上下メッシュ皮ジャン皮パンだ。前日の伝説の呑吐ダムツーリングではみんなに暑そうと散々不評だったが、何度も言うけど、結構暑くないよ。まあ、渋滞路は困るけど。安全性を考えると、やはり皮です。ということで、まったく迷うことなく黒の皮上下に黒のバイク、黒のバックにザックと黒のヘルメット。全身黒尽くめのさしずめブラックライダー状態。まったく夏らしくないな。

7時35分、出発である。今回は勝川インターからの高速道路ということで、見送りは家の前で。というわけでちょっと行ってくる。

天気は朝は晴れているが、予報では不安定な天気だそうで、曇り時々晴れところによりにわか雨か雷雨ってとこだ。早い話が全部です。どうなるかわかりません。まあ、どうにかなるだろう。いつもの山越えで19号線に出る。およよよ、何でこんなに混雑しているのさ。お盆休みだろ、みんな。世間はお盆休みじゃないのか? もっとすんなり走る予定だったのに意外なことに、世間はまだお盆休みでないようだ。19号線沿いの会社が、外で朝礼やっていた。工事現場はばりばりに仕事をしていた。うーむ、休める会社に感謝。

そうこう言っているうちに勝川インターに入る。8時過ぎ、ここまで40分くらいかな。ハイウェイカードで払う。今回のために追加で買うつもりが、さすがお盆前、どこの金券ショップも売り切れでした。そのため、今回はカード残りの分でおさめるため、最短距離しか使いません。つまり、春日井をぐるりと回って、東名阪に乗り、亀山までです。要するにこの前の呑吐と同じコースだ。しかし、やっぱり道は混んでいるぞ。お盆の混雑というより、普通に通勤で混んでいるような感じ。入り口でちょっとどんくさい白いセダンがとろとろ走っているので入りにくかった。カッコ悪い入り方になってしまった。くそ。高速道路ではないので制限速度をほどほど守って走っていく。あっという間に東名阪に入る。天候は晴れている。走っているうちは暑くはないぞ。ようし、どんどん行こう。東名阪に入ると、追い越し車線でがんがん走っていく。三重交通の観光バスが走っていたので一気にぶち抜く。そろそろゆっくり走ってもいいだろう。走行車線にもどる。すると、三重交通の野郎が抜いていきやがった。うるせーなめるな。またまた追い越し車線に入ってぶち抜く。ふっふっふ、これがホンダの力だよ、三重交通君。私にけんかを売るのは10年早いよ。

四日市で渋滞になった。これはお盆の渋滞なのだろうか。よくわからんが、必殺中央線走りでかわす。やっぱりこれがないと、お盆のツーリングという感じがしないよね。

渋滞を抜けると一気に時間短縮を図って飛ばす。すると! ふゎぉーん! 赤い点滅の黒塗りセダンがスピード違反車両を確保していた。とたんにビビリモードに移動、制限速度で走ります。

ところでよく計画を考えていなかったので、どこで東名阪を降りるのか、全然わからん。まあ、いいか。適当に走っていこう。すると、榛原の案内が出た。あ、榛原は覚えがある。名探偵コナンの榛原ファンなんだよね。あのがきの癖にさめたしゃべり方が良い。それで覚えてたんだけど。よし、降りよう。針インターで下道にスイッチ、その道の駅みたいなところに入って休憩にした。

止まったらめちゃくちゃに暑いじゃん。こりゃ参ったな。お茶をごくごく飲んで、新しいお茶を自販機で買う。地図をチェックすると、最初の目的地を吉野山に決定、コースを計算する。こういってああ行けば良いんだ。というわけで、これ以上止まっていると暑さでぐにゃぐにゃになりそうなので出発した。高速より下道のほうがいろいろあって面白い。さすが、奈良県は家のつくりが立派だ。礎の上に白壁の昔の大名屋敷みたいな家ばかりだ。ああいう家に住んでみたいなあ。天気が悪くなってきたので雨が心配だが、どんどん走っていくとまた晴れてきた。そして、道がだんだん混雑してストップゴーの繰り返しが多くなる。うーむ、暑い。暑いぞ。暑すぎる。時々止まって地図を確認するが、なんだかよくわからん。まあいいや、とりあえず、標識の吉野の方にひたすら走る。

なんだかんだでうまく吉野に着いた。橋を渡って山道を登る。前を走るマーチがなんだかとろとろペースなので急カーブが走りにくい。しかし、どこまで登っていくのか? そう思ったところに、神社の入り口みたいなところが現れた。おおここか? しかし、駐車場がないのでバイクを止めようがない。そのまま走っていくと、次に大きな駐車場が現れた。おお、ここがそうに違いない。バイクを止め、とりあえずおしっこを済ませる。なんと、駐車場の案内板を見ると、ここから徒歩で散策をお楽しみください、とある。で、目的地は片道20分だと。やってくれるじゃないか。バイクを日陰に移し、ウエアは脱いだら二度と着られなくなりそうなので着たままで、愛知万博で買ったオーストラリア製のハットをかぶるとカメラ抱えて出発だ。

暑い。暑すぎる。でも、あんまりじとっとしていないからまだ良いよ。自分の住んでいるところがいかに湿気の多いところかよくわかる。

てくてく歩いて、花の写真や風景の写真を撮る。それにしても、お盆だというのになんということだ、お店屋さんやってないよ。やっぱりお盆じゃないのか。それとも桜の時期が一番にぎわうのかな。桜がすごいらしいので。

てくてく歩いていくと、地元の人に暑い格好で歩いとるねーと言われてしまった。はい暑いです。「ここから本堂までどれくらいですか?」と聞くと「世界遺産の蔵王堂かね10分くらいだね」だそうで、何だかとっても世界遺産なのが得意げです。自分もがんばっていきます。

10分かどうかわからないけど、大きな鳥居を越え、ついに目的地の前まできた。巨大な城門(でいいのか?)石畳の階段を登ってちょっと休憩。もう少しで世界遺産だ。休憩して元気が出たら再び歩き始める。日がさしてきて暑い。階段を登りきるとそこに現れたのは巨大な仏閣。

でかい。ふるい。すげー。さすが世界遺産。感服いたした。

じゃ帰ろう。

帰りに吉野といえば葛なので葛きりでも食おうかと思ったが、あんまり葛きり好きでないし、結構高いのでやめた。駐車場に戻って、お茶飲んで出発。コンビニでなんか食おう。下界に降りると、コンビニを探す。ファミリーマートがあったが反対車線なので見送り。続いてローソンがあったので止まった。しかし、なんというローソン、おにぎり全滅。残っているのはベーコン何とかというまずそうなのが4個、いかにも人気がなくて残り物ですという感じなのでやめた。お茶だけ買って出発。次は天川村だ。

またまた地図を確認、あとは案内標識に任せて走っていくと、うねうね山道を走り回り、すごく長いトンネルを2つくぐって、トンネルの中で寒さで凍りそうになりながら走って、やっとこさ天川村に入った。

何年か前に冬来たら雪で足止め食らって到達できなかったから、そのリベンジでもある。ふっふっふ。リベンジ果たした。

が、おいおい、どこにバイク止めるんだ? ぐるぐる回ってどうにもならないのでみんなが路上駐車しているところに止めて案内板をチェックした。すると、行きすぎたところに温泉があって、こりゃいい、入ろう。体もトンネルで冷えたこととだし、速やかに移動する。駐車場にバイクを止めると用意をして温泉の施設に歩いていく。入り口付近にバイク専用の駐車スペースがあって、ああ、ここまでくれば良かった。入っていくと下駄箱にブーツが入らないので横にして入れた。発券器で入泉券を買う。510円です。おっさんが券を半分ちぎって控えをくれた。温泉に行く。思ったより混んでいる。貴重品は別にロッカーに入れた。脱衣所に行き、汗でぬれぬれの服を脱いで風呂場に行く。体を洗うと気持ちいい。温泉は内湯と露天だが、内湯は熱すぎる。全然入っていられなかった。それに対して露天はちょうどいい。ぬるいと言っている人もいたけど。残念ながらしっかり目隠しがあって風景は全然見ることができなかった。まあ、こんなもんでしょう。たんのんしたのであがる。温泉を出て駐車場にバイクを止めたまま、あたりを散策すると、天川村ルミナスだかなんだか、大量の七夕の飾りが道路の左右を占めていてきれいだった。温泉宿街は本当に昔からの建物ばかりですごく良い雰囲気だ。狭い道だが交通量が多い。ところどころでアホな観光客の車が、交通の妨げになってる光景を見る。

さて、高野山に行こう。またしても地図チェックの後、案内標識に沿って走っていく。かなりの山道なので覚悟して行ったが、路は狭いがそれほどたいしたことはなかった。しかし、途中でダンプ2台がこの細い山道を走っているのでびっくりした。向こうからもトラックがくると譲り合いで大変だ。それが、高野山への峠越えの道に入るとがんがん飛ばしていくのだ。きっと全国最強暴走ダンプ連合会の若頭筆頭とその相棒に違いない。負けるものか。食らいついてやる。こうして高野山の山奥深くに戦いの火蓋は切って落とされた。

でも現場に着いたのですぐに先に行かしてくれた。

で、どんどん走っていくと、本当にすごい山奥なのですよ。奥只見以来の完全山奥秘境の里、山の向こうに山々、いやー、さすが紀伊半島の山の中。バイクを止めて写真を撮っていると、やばい、最強暴走ダンプ連合が来てしまった。あっという間に走り去って消えた。うーむ、あなどりがたし。

再び走り出し、高野山にいよいよ近いというところで、ダンプの会社があった。ここに帰ったのね。

4時半ごろに高野山に着いた。本日の宿泊地は福智院という、高野山最大の宿坊らしい。期待に胸を高まらせ、ちょっと行きすぎて戻ると、なんと、本当に神社仏閣のままの建物じゃん。しかも、駐車場は砂利、深い砂利。案内の人が屋根つきのガレージに入れてくださいとやさしかったが、そこはさらに砂利が深くて、サイドスタンドが思いっきり沈んだ。倒れないかとひやひやしたよ。駐車場の案内の人は、昔、春日井市の桃山町に住んでいたそうで、話が盛り上がる。やっぱりあそこは蒸し暑いよね。

チェックインする。下駄箱ブーツを入れるところをわざわざ作ってくれた。こういう心遣いはうれしい。男の人が荷物を運んでくれた。重いのに申し訳ないです。女の人が案内をしながら部屋に連れていってくれた。何と言う大きさ。道に迷いそうだ。巨大な日本画や甲冑やら古き良き時代のものがいっぱいあるよ。で、部屋です。なかなかいい部屋ですよ。一人で泊まるのにはもったいない。庭が見えるんですよ。きれいな中庭が、鯉の泳ぐ池が見えるので、いやー、一生に一度くらい庭に鯉のいる部屋で泊まってみたいよね。念願かなってよかったよかった。

で、食事時間ですが、腹が減っているので早くして欲しかったが、もの欲しそうなのは格好が悪いのでいつでも良いですよとさらりと流したら、早めにしていいですかラッキーじゃん。すぐ出来ます。ラッキーじゃん。で、5時から晩飯。まっちゃんにメールしたらもう食ってるのとあきれられた。いいじゃんか。

料理ですが、部屋でゆっくり食えるけど、やっぱ精進料理です。肉ものなし。野菜ばっかり。冷やしなべがおいしかった。白いふわふわしたものがおいしかったので聞いたら寒天だった。ふーん。食った後は庭を眺めてぼんやりした。良い感じです。記録をつけていたらお膳を片付けにきて布団も敷いてくれた。記録をつけ終わって温泉に入った。温泉はフロントの近くと、建物の中のと2ヶ所ある。中のほうの温泉にいった。何しろ建物が広く大きいので道に迷いそうになりつつ行った。誰も入っていなかった。きれいな温泉だったが、建物の大きさにしては狭い風呂場だ。露天も当然ない。ちょっとがっかり。分析表はしっかり表示してあるが、とてつもなく消毒液くさくてまるでプールだ。確かにサルモネラ菌は怖いが、これではちょっとなー。そうそうにおいとました。部屋に戻って後はやることもないのでさっさと寝た。夜中に寒くなってエアコンを止めた。

 

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