JAPAN EXPLORER 2010

出発まで

次の仕事を探す時に、最優先事項だったのは夏休みが長い事だった。最低で一週間は休みが欲しいよな。前職が8日間9日間の夏休みだったので、それが当たり前になっていた。バイクは放浪の道具だ。3日や4日のツーリングではロマンが感じられない。放浪気分を満喫するには、最低一週間必要だ。だから、間違っても夏休みが4日とか3日しかない会社にだけは転職したくなかった。

が、超氷河期の超不景気、超人手余りまくりなこの時代に、選り好みできないのもまた事実であった。ええ歳こいて、何の取り柄もないおっさんが仕事に就くには、それ以上に優先されるのが、雇ってもらえる事であった。最初に採用されたところに行く。文句は言わない。そんな悲壮な決意で、決まった会社は、カレンダー見て愕然とした。

夏休み4日間。

なんですと?

4日間? そんなの夏休みじゃねえよ。

がーん。

ショックを受けて落ち込むが、まっちゃんに、それなら年間宿泊ツーリング回数を増やせばいいと提案され、その線で話を進めていた。だから、当初の予定は4日間で、山陰を走るというものだった。しかし、入社して実際に仕事をしていると、有給休暇を割と取りやすい会社だとわかった。みんなよく有給で休むんだよ。だったら、いっそ一週間休めるように、有給を使えばいいじゃん、おれってあったまいいよなー。

で、8月7日8日の土日の休みから、夏休み8月12日13日14日15日の間の3日間を、有給で休みをもらう事にした。

「あのー工場長、先の話なんですけど」「うん」「8月の9、10、11と有給ください」「わかりました」

え?

1ヶ月くらい、こう言われたらこう言おうああ言われたらああ言おうとシュミレーションを繰り返し、完璧な問診が出来るようにスタンバイして挑んだ有給のお願いだったが、ものすごくあっさりと許可された。

案ずるより産むが易い。

というわけで、9日間の長い夏休みを手に入れた。こうなったら、山陰やめ。もっと遠くに行こう。そうだ、失業しなかったら、行く予定だった九州に行こう。

そうだそうだそうしよう。

かくして、2010年の夏が幕を開ける。

DSC_0005
DSC_0005 posted by (C)keiichi_w 

 

次へ

戻る