伊豆半島温泉三昧  前編

出発まで

誰にも近いのに遠いところがある。伊豆半島がまさにそうであった。日帰りで行くには無理、かといって盆休みのような長期休暇には、もっと遠くまで行こうとする、2日3日くらいで丁度おさまる距離の伊豆半島は、なかなかいく事ができない、まさしく近くて遠いところなのであった。そんな伊豆半島も、過去2回は行っている。そして、これまでの対戦成績は事もあろうに2戦全敗。2回とも、驚く事なかれ、ほぼ全行程雨。雨の中カッパを着て、行って帰ってきただけ。あんた、何しに来たん?状態。しかも2回目は高速道路でパトカーの後部座席にお邪魔するはめになって、ゴールド免許剥奪の憂き目をみ、まさしく伊豆は鬼門鬼門ったら鬼門鬼門、誰が何と言おうと鬼門。2度と行くかバーロー、伊豆半島観光協会の皆様には大変申し訳ないのですが、かくかくしかじか、とまあこういうわけで。しかし、あの時のツーレポ、最後はこう締めくくった。

「このかりは返す」

かりが漢字でないのは変換漏れか? 

とにかく借りを返さねばならんのである。

そして、2008年、この黄金週間、まっちゃんは4月30日から5月2日まで仕事! 泊まりでツーリングに行ってきても良いよ。おお! 許可が出たぞ! そういえば、伊豆に行きたいって行ってたもんね、行けばあー。ここに、「伊豆半島温泉三昧」プロジェクトが始動した。

という事で、事前に色々温泉情報も集めて、あまりの温泉の多さに、改めて伊豆のすごさを実感、こうなったら行った先でガンガン入ってやると決意も新たに、装備の手配に余念もないのであった。ここで問題なのは、積載能力である。できればタンクバックとシート下収納で何とかしたい。着替えはシート下、タンクバックにカメラ、カッパなどを入れる事にしたが、宿泊先で温泉三昧するのに、ライダーの格好では頂けない。普通の服も持っていこうとしたら、げ、入れるところがない。旅館はいつものネット予約だが、予算削減のため食事付きは選んでおらず、まあ、旅館の晩飯は量が多いので最近食力が落ちたのか食いきれん、一応、曲がりなりにもテラ飯倶楽部準会員従七位上右馬少允の称号を持つものとしてはお館様のご金言「出されたものは残さず食うべし」だけは守ろうと思っている手前、飯は外で食ったが良いと思っていたのだが、装備が積めないのでは本末転倒、急遽、旅館を変更、2食付きで安いところを探してそこにした。こうして、準備万端整った、プロジェクトは遂に当日を迎えたのである。

当日、4月30日(水)

朝5時に起きたよ。興奮して寝れんかったよ。飯食って荷物でパンパンになったタンクバックとヘルメットを持ち、実家ガレージへ、嗚呼、CB1300、出撃の雄叫びをあげるのであった。タンクバックに持つ入れ過ぎでタンクにうまく載らないや。

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シート下も荷物でいっぱいで、シートが持ち上がってるような気がしないでもないが、まあ気のせいだろう。まずは19号線のいつものコスモ石油へ。ガソリン満タンにする。16リットル入ったのでルーレットが作動、「おめでとうございます、割引されてます」おお、これは幸先いいぞ。それにしても、月末はガソリンスタンドが激混みとかなんとかテレビで放送してたのでどうかと思ったが、やっぱり得意のヤラセだったんだな。これだからテレビは信用できねえ。見てみろ、全然混雑してねーよ。

スタンドを出て、春日井インターから高速に乗る。いよいよ旅立ちの時だぜ。それにしても最近のインターはETCの普及のおかげで、一般レーンに入ってくる車の少ない事、チケットをゆっくりタンクバックに入れてても全然大丈夫だな。以前なら無茶苦茶に焦りながら急いでタンクバックに突っ込まないと後からクラクション鳴らされたからな。

加速して合流、巡航速度100キロでかっ飛ばすぜ。ただし、法廷速度厳守でよろしく。優良トラック運転手みたいだな。でも、またパトカーの後部座席にコンニチハは嫌です。天気は晴れ、うす雲が多いが、かなり温度が高くなるようなので、うす雲の方がかえっていいかも知れん。一応、革ジャンの下にはゴアウインドストッパーとTシャツを着ているので、暑かったらウインドストッパーを脱ぐ事にしよう。あ、でも、その脱いだのをどうすりゃいいんだ? まあいいや、そのとき考えよう。

黄金週間だが半ばの平日という事も合ってか、交通の流れはいたって順調、全然渋滞などなく、多少交通量が増えたのが豊田岡崎あたり、でも速度は80、90キロ程度まで落ちたくらいなので全然問題なかった。

浜名湖でトイレ休憩。ツーリング日和なのでライダーも多い、昔レプリカいまSS(スーパースポーツ)と呼ばれる種類のバイクと、ハーレーが多かった。蘭さんと同じ白赤のCBR1000Fもいたぞ。デビルの集合間つけてた。

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高速道路に戻って順調に進む。浜名湖にいたSS(スパースポーツ)が甲高いエキゾーストを残してすっ飛んで行った。捕まんなよ。前を見たら化学薬品運送タンクローリーが走ってた。あれ、あの車、どこかで抜かした憶えがあるが、追い越されたな。その後も順調に走って、タカスエのトラックも走ってる、ゴールデンウィークも仕事とは大変じゃのう。転職しなくてよかった。その先、富士川で再びトイレ休憩、富士山が雲に隠れてうっすら見える。きれいに見えないのは残念だが、仕方がない。さらに先を急ぐ。高速道路は単調でかったるい、だんだん飽きてきたのでなんかおもしろい事ないかと思いながら走っていたが、何もなかった。当たり前だわな。

しかし、その単調な旅も終わりを告げる、遂に沼津インターに着いたのだ。料金所でクリアケースにチケットと現金を入れて渡す、必殺技でスマートに通過すると、一般道に入った。まずは給油である。カードを持っている出光かコスモを探さなければ。使命感に燃えて探すぞ!と気合いを入れる、すると、目に前に出光が。インター降りてすぐにあった。なんか、探すぞーと燃えていたのにちょっとなんだが、まあいいや。早速飛び込んで、給油する。セルフスタンドなので自分で入れて、支払いは併設されたコンビニで払うのだ。でも明細も何もないけどいいんか? しかし、店に行くと、割ときれいなねーちゃんが愛想良く「オートバイですねー13リットルですねーカードですねー割引ですねー」と実にスピーディーに処理されたのである。これが静岡県か。なんだかわけわからん。

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で、満タンになって安心して伊豆に向かう。246号線から1号線に入る。1号線はいつも混んでるな。エイデンがあるぞ。柿田川湧水なんてのもあった。しかし、きれいなわき水があっても道は混むのだ。ツーリングマップルに抜け道で県道140号線とあるので、そっちに曲がってみた。そしたら道が全然わからんくなった。やばい。これでは1湯目にと思った伊豆長岡の温泉がわからんではないか。すると、弥生の湯が現れた。1500円と書いてあった。あほか。却下じゃ。さらに進むと華の湯があった。しかし、一身上の都合で通過してしまった。いかんなー今どこにおるんだかさっぱりわからん。すると、この先料金所と表示、いつのまにか伊豆中央道らしき有料道路に迷い込んでいたのだ。なんということだ。こんなところで想定外の出費か、と思っていたら、前の車もその前の車も、料金所を目の前に脇道にそれて降りて行った。あ、なんだ、ここ降りればお金を払わなくてもいいんじゃん、助かった。

で、なんだかよくわからないうちに136号線に戻っていた。

で、なんだかよくわからないうちに修善寺温泉に来ていた。

おお、やっぱり伊豆の温泉三昧1湯目は有名どころの修善寺だな。02年に伊豆に来た時、この修善寺温泉に入れなかったのが心残りで、今回必須温泉にあげたところなのだ。ようこそ修善寺温泉の看板を横目に奥へ進む。いかにも温泉街な感じの街並に気分も盛り上がるぜ。しかし、さすが有名どころの観光地、観光客が多いし、無断駐車禁止の立て札も乱立、修善寺周辺まで来ると、あちこちから車が来たり歩行者が来たり混沌として収拾つかん。目的の温泉である湯の郷村はかなり奥まで進んだところにあった。行き過ぎたかと思ったよ

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駐車場にバイクを入れると、先客のVTだかVFの隣に止めた。のれんをくぐって中に入る。1日900円2時間700円って意味が分からん料金設定だな。どう考えても1日中遊べるほどのクアハウスではないぞ。係の人もその当りを十分理解しているようで、「2時間でいいですね」と誘導尋問的料金徴収。700円払って男湯の方へ行く。建物はそこそこ歴史があるような古さで、ボロくはないが、ちょっとお疲れ気味だな。脱衣所に入ると、先客が2人いて、大声で喋ってうるさい。ロッカーに荷物を詰め込んで風呂場に移動する。洗い場で体を洗い、まず内湯に入った。ふー、高速道路の疲れが吹き飛ぶぜ。しかし、ちょっと熱めなお湯、ジャグジーみたいに泡が音をあげている。そのせいか、風呂の湯全体が流水プールみたいになっていて、流されそうになって落ち着かんな。露天に行くと、そこそこの大きさの湯船、しかし見晴らしは全然なく、しかも隣の建物の空調施設の機械音だかなんかが轟々とうるさい。うーむ、あこがれの修善寺温泉だが、これがその実態だったとは、ちょっとがっかり。はじめはこの修善寺にホテルを取っていたのだが、他に代えて正解だったな。温泉を出て、かなり暑くなってきた。脱衣所のうるさい2人組も出てきて、温泉のフロント辺りで座り込んでまた大声で喋ってうるさい。家族連れみたいで、車に乗って出て行ったので静かになった。やれやれ。こっちも出発し、あまりの暑さにやはり1枚脱ぐ事にしてコンビニに寄ったら、またうるさい2人組と遭遇、そいつらは事もあろうにコンビニに車から持ってきたゴミをたっぷり捨てていた。本当にこういう事をするヤツがいるんだ。信じられん非常識な連中だな。

ぶつぶつ言いながら一枚脱いで、シート下に無理矢理押し込んだらなんとか入った。お茶を飲んで水分補給をし、出発した。136号線414号線を走って南下する。次の目的地は湯が島温泉だ。あの有名なノーベル製菓じゃなくてノーベル賞作家の川端康成が執筆活動をした湯本館に入ろう。湯本館の案内は電信柱に頻繁に出ているが、行き過ぎてしまい戻った。よく見たらしっかり湯が島温泉と矢印の看板があるのに、オレの目は節穴だ。

 

 

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