8月11日(月) 晴れ

5時ごろ起きて、温泉に入ったら、意外に大勢の客がいた。やっぱり総数が多いので入る人も多いな。それから携帯の通じるところまで歩いて出てみたら、延々歩いて、ハイランドホテルまで行くと、ようやく通じたのでメールしておく。寒いのでさっさと部屋に戻った。もっぺん温泉に入った。朝飯の時間になったのでレストランに行く。バイキングだった。もう行列ができていた。みんな朝早いなあ。並んで待つ。バイキングだと必ず強欲おじさん強欲おばさんがいるが、今日の傑作は、普通、大皿を1枚と小皿1枚くらいをお盆に載せるのに、いきなり大皿2枚に小皿1枚載せたおばさんがいた。で、例によって必ず全種類を載せようとするので、皿の上はいつしかぐちゃぐちゃ、見てると本当に面白いな。こっちは魚と肉じゃが煮物、オニオンサラダを選んだ。色合いが悪いがまあよしとしよう。席に就いて食った。ごはんはお代わりをして、お茶を飲んで部屋に戻る。

荷物をまとめてチェックアウトする。玄関には観光バスが横付けて待機中なので、その横を摺り抜けるようにして出発した。見送りの人がいたが、多分、観光バスのお客さんの見送りだろうな。

まあ、そんな事はどうでもよくなるこの天気のよさはどうだ。3日目にして雲一つない快晴だ。駒ケ岳もよく見える。これはきっと、岩手山もきれいに見えるに違いないと思い、盛岡側から八幡平のルートを選択する。昨日来た道を戻り、コスモ石油でガソリン満タン、46号線に出て盛岡に向かう。いくつかのトンネルを抜けて岩手県に突入、そしたら、空は雲がいっぱいで、あらら、岩手山は雲に隠れてぜんぜん見えんではないか。がっくし。それならせめて温泉だけでも入ろうと、チェックしていた仙女の湯へ向かう。県道212号線に曲がったつもりが広域農道だった。まあ方向が同じだからいいや。どんどん岩手山に近づくが、やっぱり雲に隠れてぜんぜん見えない。仕方がない、あきらめて先を進むと、目的地網張温泉の案内板が現われ、それに誘導されて高度を上げると、ようやく到着した。

が、仙女の湯の場所がわらない。日帰り温泉施設に付近の地図があったので見たら、ロッジから更に山を登るようだ。ロッジの方に遊歩道が続いているので歩いていくと、そこには仙女の湯の入り口があった。おお、これがそうか、でも手ぬぐい持ってないよ。バイクに急いで戻り、また遊歩道をエンヤこらと歩いて再び仙女の湯の入り口に来た。入浴料300円は箱に入れるのだ。そして山道に向かうと、ロッジの人が「アブに気をつけて」と声を掛けてくれた。大丈夫っす。いざいかん、山道に入ると、げ、本当にこの先に温泉があるんかい、といいたくなるような山道。でも時々仙女の湯はこちらと掲示があるので間違ってはいないようだ。幸い、気温が低めなので汗もかくことなく歩けたが、暑いと大変だぞこれは。

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ようやく辿り着いたら、山の中の沢に山小屋が建っていて、それが脱衣所のようだ。中に入ると誰もいない。棚に籠があるだけのシンプルな作り。脱いで荷物を籠に突っ込み、いさんで温泉に向かう。が、え、どこが湯船なの? え、あれ? なんと、渓流の横に岩を重ねただけのワイルドな野湯なのであった。ざんぶと入るとちょうどいい湯加減。これは気持ちええ。木漏れ日と、小鳥のさえずり、沢の水の音と硫黄の臭い、五感を癒す最高な温泉じゃん。もう帰りたくないずーっとここにいたい。ふにゃふにゃになって温泉を満喫するのであった。ここは混浴なので、万が一にでも若い娘が来ないかと期待して待っていたが、来るわけねーのであった。

温泉を出て、またまたひーこらひーこらと来た山道を戻り。遊歩道を歩いてバイクに戻った。10時近くなっていた。予定外な時間を食ってしまったが、まあ、温泉がすばらしかったのでいいとしよう。出発して小岩井農場に向かった。

高原を走り抜けて小岩井農場についた。が、こんなんだったっけ? なんかテーマパークみたいになってる。89年に来たときは単に農場にフードコートみたいなのがあっただけだったような気がするのだが。何しろ夏休み、子供が多い、千客万来、観光バスにとおお賑わい。どう考えても場違いなので早々に退散する。

こうなったら八幡平にすべてを掛けるのだ。国道46号から県道16号と国道282号を使って八幡平への入り口まできたら岩手山が見えたので写真を撮った。それからアスピーテラインに入った。3度目の正直、やっと晴れの日にここに来ることができた。といっても、山頂付近には雲がいっぱいなので、高度を上げるとまたなんも見えんかも知れんな。

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いくつものスノーシェルターをくぐって、八幡平ユースホステルのあるところまで来た。隣のロッジが閉鎖されていた。89年にここに泊まったんだが、20年の歳月は過酷なものだ。当時はユースが閉鎖されてて、ユースの客はロッジに泊まってたんだが、いまではそのユースの方が残ってる。日本はこのままでいいのか。

先を急ごう。寒いし。温泉入りたいし。どんどん高度を上げ、あたりの風景が一気に高山植物と変わり、見れば眼下に小さくなっていく町並み、そして連なる山脈が緑色の雄姿を見せている。すばらしい、風光明媚とはまさしくこういう事を言うのだ。晴れて八幡平、生きててよかった、来てよかった。

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峠付近でバイクを止め、写真を撮ったりしてから温泉に向かった。目的地は藤七温泉だ。よく知らんが結構有名みたいなので行ってみた。温泉聖地の草津をほうふつされる硫黄臭と吹き出す煙、ぼろぼろのほったて小屋のような建物が見えてくる。おお、車輪よ、あれが藤七温泉だ。(リンドバーグの名言をぱくってます)駐車場は路面がひどいがなんとかバイクを止める。入浴料は売店で払うようなので、そこに行き、600円払って温泉に移動だ。混浴と男女別があるが、もちろんそりゃ、もちろん、混浴だわな。硫黄の影響で廃虚みたいになってる脱衣所は男女別だが、中でいっしょのお湯になるのお約束。うほほー、若い娘はおらんかー、おるわけねーよ。

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で、脱いで荷物を籠に突っ込み、風呂に移動。内湯は無視して露天へ。お、万座温泉をほうふつさせるワイルドな露天じゃん。白濁のお湯に入って気持ちいいーと叫んでいると、他のお客がその横を通り抜けて下の方に行った。どこへ行くんだ? 後を視線で追うと、じゃーじゃーじゃーじゃーーーーーーん、じゃーじゃーじゃーじゃーーーーーーん(リンチ監督DUNEのテーマ)なんと、この温泉の露天はここだけではなかった。眼下一面、田んぼのように升が切られ、すべてが温泉、ロットズオブ温泉、パラダイスオブ温泉、なんじゃこりゃー、こんな桁外れな温泉、この世に存在したのか!? こんなところでもたもたしてるわけにはいかんぞ! 入ってた露天を出て、階下の露天に移動すると、そこは温度高め、ぼこぼこ泡が立ってる生きの良さ、高い標高の冷気の中を走ってきた体にはたまらんです。その先の露天風呂に移動すると、そこが一番ちょうどいい温度なので、そこにゆっくりつかった。みると、隣の湯船は、まさしく、白い地獄をほうふつさせる大きな泡が音を立てている。ここは熱そうだなーと見ていたら、これは温泉じゃないみたい。入ったら火傷するぞ。別の露天に移動、さらに移動と、次々に襲う温泉の快楽地獄にもうへろへろです。このまま沈んでもいい。ふにゃふにゃ。しかし、これで混浴といっても、女の人は入れないでしょう。一応、目隠しはあるものの、ほとんど丸見えで、まるっきり野外だからな。露出好き女でない限り無理です。でも女性専用時間があるので、もし興味がある人はその時間に行ってみるといいかも。

なにしろへろへろ、もう満足なので出る。長いこと温泉に入ったので汗だくかと思ったら、涼しいこともあるが、このあたりは空気が乾燥しているのか、全然気にならなかった。バイクに戻って、この後どうしようかと考えるが、こんな温泉に入ってしまっては、もう他の温泉はいいでしょう。岩木山にも行きたいので、下山しましょう。

というわけで、岩木山に向かった。2個所の温泉でゆっくりしすぎたので時間が押してるのだ。ちょっと急ぐ。341号との分岐点で、去年は嵐の前触れのような空の下、家族が緊張感もなくランチをやってた東屋があった。あれから1年、89年の無念からは約20年、ついに八幡平を制覇したぞ、うおー。

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341号から282号、7号を経て、3時ごろに大鰐温泉に着いた。どうやら時間は大丈夫だな。岩木山まで行ってみよう。ここの去年の無念の涙を晴らすために来たのだから、行かないわけには行かないなあ。これまでの経験で、幹線道路は避けたほうがいい。地図を見ると弘前市(ひろさきしだ、ひろまえしではない)を避けて通るアップルロードを使ったほうがよさそうだ。大鰐温泉を越えて7号線の分岐に岩木山、アップルロードの案内があったのでそっちに曲がると、遠くにぼんやり見える凛々しく聳えるのは岩城山! 最高な眺めだな。岩木山を目前にしつつ、アップルロードを駆け抜ける。ここは高速道路ではありません、と看板が出ているのもわかる快適な道だな。本当にりんご畑の中を走るルートで、もうすぐ収穫のりんごがあたり一面広がっている。まさしく想像を絶する量のりんごであった。「りんごの気持ちで走りましょう」標語の掲示があったが、すんません、りんごの気持ちって分かりません。

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順調に走って、道に迷うこともなく県道3号線に合流した。その先に嶽温泉があり、前を走ってる車は全部そっちに行った。いい温泉なのかなあ。更に行くと、岩木山スカイラインがあった。割と質素な入り口だな。営業時間は17時までだった。間に合ってよかったな。曲がって上っていくと、料金所がある。おにーちゃんが暇そうにしてた。料金1000円払う。「リフトは終わってます」そうですか、まあいいや。そして走り出すと、上る上る上る上る上る上る上る…曲がる曲がる曲がる曲がる…、いったい何回曲がるのだ? カーブにはすべて数字が打ってあり、25回目には、「ああ、お肌の曲がり角ね」30過ぎると「結婚を焦るわ」45を過ぎて「就職困難だ」60で「おいおい還暦まで来たよ」65「定年でもまだ上るのか」なんと69回のカーブを経て、山頂付近8号目までやっとこさ来た。はっきり言ってものすごく疲れた。こんなに疲れたのは初めてだ。しかし、その価値はあったようだ。見下ろせばすんげー、雲海の切れ目に見える隣の山、そして街並み、快晴だったら相当とおくまで見えるのだろうなあ。息を吸うと空気が違うよ。ここかからリフトと登山道で山頂まで行けるがリフトは16時までなのでもう動いてないからだめだった。でも動いていても上らないけどな。

十分楽しんだので、そろそろ大鰐温泉に戻ろうか。来た道をそのまま戻って、帰りはいやに早く感じたな、大鰐温泉街に入った。不二やホテルはちょっと迷ったが、何とか見つかって、駐車場にバイクを入れると、フロントの若いにーちゃんが出てきた。荷物を降ろして、チェックインする。部屋に案内されて、おお、いい部屋じゃん。ちゃんと板の間に椅子もある、普通、和室ってこうだよな。昨日のがおかしいんだよ。

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18時からの夕食に間に合ったので、荷物の整理もそこそこにまず飯にした。1階にあるレストランで食う。ここも釜飯だったが、飲まないのですぐ食えるように先に炊いてくれた。食ってる最中に、茶碗蒸や天ぷらが追加ででてきて、ご飯の配分がやばくなったよ。食って部屋に戻ろうとしたらメロンのデザートが出た。うまかった。

それから温泉に入った。ぬるぬる系のお湯で気持ちがいい。今日は温泉三昧で走りまくったのでその疲れをゆっくり癒すのであった。部屋に戻ったらさっさと寝ちまった。

 

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