8月12日(日) 曇り時々晴れ

阿寒湖 → 摩周湖・屈斜路湖 → 開陽台 → 標津町

 

朝起きて外を見たら磨りガラス、じゃない濃霧であった。でたよ、この時期の北海道濃霧が発生しやすいのだよ。どうしよう。困った。温泉に入って考えた。気持ちいいだけで全然アイディアが出なかった。仕方がないので朝食バイキングに行った。美味かった。美味いだけで全然アイディアが出なかった。お腹いっぱい食い過ぎた。はち切れそう。仕方がないちょっと休憩だ。胃袋に血中酸素を取られて全然脳みそが動いていない。働け脳みそ。カツをいれたら、行き先は取り敢えず屈斜路湖と結論が出た。なぜそうなったのか。理由1、そもそも釧路根室行きは快晴が条件だった。この天気では行く気なし。理由2、情報では釧路根室はかなり寒いようである。寒いのは嫌じゃ。ゆえに、当初予定の釧路根室却下。で、定番の屈斜路湖という安易な決定になったのであった。

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そうと決まれば荷物をバイクに積み込み、さっさとチェックアウトした。お土産にメロンパンをもらった。ラッキー、どこか景色のいいところ食おう。ホテルを出て、バイクの場所へいくとエンジン始動。しかし、この温度では暖機運転をしてもなかなかエンジンが暖まらん。濃霧は多少薄くなってきたような気がする。水温表示がされたので暖気終了、出発した。

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走ってすぐに極寒にビックリ、すぐセイコーマートへ避難する。78円コーヒーホットを買って暖を取る。クシタニウインドブレイカーを装着する。これで完璧だ。缶コーヒーを飲んでたら隣に止まってたミニバン子ども連れの若いお父さんに声をかけられてしばし談笑。大型免許が欲しいそうです。家族持ちだと何かと大変。みんなよく頑張るよなあ。マネできん。

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セイコーマートを出たら、屈斜路湖へ向かって走り出す。天気は最悪、もはや雨が降るのも時間の問題、しかし、それでも何とかどんより天気を維持したままで、国道241号線を走って、途中、阿寒湖の見える展望台など寄り道しながら摩周温泉まで来た。道の駅に入って休憩AND作戦会議である。天候の回復が見込めない今、屈斜路湖でなにをするのか、青空を求めて美幌峠を、かつてのように目指すのか、しかし、あの時と違って空は全く明るくない。しかし、わずか1パーセントの可能性があるならそれにかけてみたい。いくぜ。美幌峠に向かう。

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美幌峠へ向かって走って行くと、やがて奇跡が起こった。空がだんだん明るくなり、青空が見えてきたのだ。日がわずかに刺してきた。オッシャーーーー心の中で雄たけびをあげる。オレの勝ちだあ。やがてひまわり畑が見えてきたので、撮影タイム。心行くまで撮影し、いよいよ美幌峠に向かう、と思ったら、山の上は真っ黒い雲に覆われていた。ここは晴れてんのになんでや。どう考えても美幌峠は雨が降っている。即決した。引き返すぞ。そして、すぐに次の目標地点がロックオンされる。それは、そう、池の湯である。過去三回、いずれも発見できずに終わってきた、池の湯だ。今度という今度こそ、見つけ出して入るのだ。これができなければ、もはや管理人は真のチキン野郎の誹りをまぬがれることはできぬ。

で、慎重に道道52号線を進んで、廃墟状態のリゾート施設付近という情報から、そこでバイクを止めて、徒歩での捜索に切り替えた。てくてく歩いて行くと、さっきからジェットスキーをキャリアカーで運ぶ車がで入りしているところがあった。怪しい実に怪しい。そこに入ってみると、泥ぬかるみの悪路であった。ゲロゲローブーツ汚れるじゃん、やめよう。と思ったが、ここで引き下がってはチキン野郎なので勇気を持って前進した。やがて、露天風呂の看板が現れた。これがその池の湯のことなのか。果たして、歩みを進めると、見覚えのある光景が目の前に出現した。

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この何十年も、見果てぬ夢であった池の湯、ついに発見の瞬間であった。子供連れ家族が何組かいた。誰も入浴していない。湯は噂通りの藻がいっぱいで、汚い。こんなのにはいるのーと子供が言ってたが、マジそんな感じ。でも入るのさ。でも入るのに、手ぬぐいがないからバイクに取りに行った。バイクまで戻って、また歩くのはメンドーなんで、入口のところまでバイクで行くことにした。エンジンを掛けて、出発した時、その時、そう、現れたのさ、ヤツが。

オイ、マジで行くのか? あんな汚いお湯に入るのか? やめとこうぜ。だって誰も入ってないじゃん。あんな温泉に入っても気持ちいいわけないよ。やめよう。やめようよ。ヤツはオレの心にささやくのだ。そう、ヤツの正体こそ、チキンハートだ! これまで数々の性根を据えてかからなきゃならん場面で、コイツが現れた。そして、ヤツに負けて敵前逃亡を繰り返してきたんだ。そう、ヤツとはすなわち、おのれ自身なのだ! 最後に現れる最強の敵は味方であるとカリブ・マレー先生も言ってるが、まさしくその通り、味方であるはずの自分自身が、最後におのれの目標達成を阻害するのだ! これまでのオレなら、オレに負けてまたしても逃げていたかもしれない。しかし、もう今のオレは過去のオレとは違うんだ! ここで池の湯を諦めて、また家に帰ってから、やっぱり入ればよかったよお〜と、後悔したくないんだ! オレは歯を食いしばってスロットルを廻し、チキンハートにカツを入れるべくカッ飛んだ。いや、カッ飛んだら通過するから思うつぼやん。ブレーキだよブレーキ。ブレーキをかけて、これまでわからなかった温泉への入口でバイクを止める。そして、手ぬぐいを持って、池の湯へと歩いて行くのだ。そして池の湯に着いた。永年、夢にまで見ていたこの屈斜路湖畔の露天風呂を見て、オレは思った。勝った。オレは勝ったんだ。

脱衣所で脱いで、湯の方に行った。足を突っ込んだら滑った。転んでザブンとなりそうな寸前でなんとか岩にしがみついて転倒を回避したが、そのために手ぬぐいを放り出してしまった。完全にフルチンであった。ヤバイ、慌てて隠そうとしてまた滑った。以下これを何度か繰り返し、何とか入ることができた。入ったらもう天界ですよ。なんですかこの不思議な感覚。すごい、別世界の温泉です。もうダメだ、チンボツだ。そしたら、さっきの子連れ家族も海パンはいて入ってた。いろいろしゃべった。たんのんしきれないがいつまでも入ってるわけにもいかないので、断腸の思いで出た。散々名残惜しんで池の湯を後にしたのだった。

これは、しかし、長い北海道ツーリングの歴史上、特筆すべき快挙である。素晴らしい。天気は何時の間にか晴れてるので、この勢いで開陽台に向かうことにした。開陽台、初めての北海道ツーリング以来、ろくに見れなかった開陽台。そのリベンジなるか。道を確認しながら走って行く。天気が回復してピーカンとは言えないがいい天気になってきた。あちこち撮影しつつ、ようやく、開陽台への道道885号線に入った。この道はひたすらまっすぐな道。ひらすらひたすらまっすぐ。まっすぐまっすぐ走って、養老牛温泉まで来た。温泉は後回して、晴れてるうちに開陽台だ。

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そして、ついにその時がきた。開陽台に到着したのだ。雲が多いが、晴れた状態の開陽台に、ようやく来れた。これは長い北海道ツーリングの歴史上、特筆すべき事実である。素晴らしい。バイクがいっぱい、観光客もいっぱい、でも思ったほど混雑してなかったよ。テントサイトも、二つテントがあるだけで、昔みたいに何ヶ月も生活してるグループがいるなんてことはないみたいだ。さあ、では展望台に登ろうではないか。階段を上がって展望台まで行く。登って見れば、まさしく地平線が一周見ることができる、素晴らしい感動の光景を目に焼き付けたのであった。何枚も写真にとって、十分楽しんだあと、バイクに戻った。よし、ここでやはりメロンパンを食うべきではないか。メロンパンを出したらペチャンコだったよ。でも美味かった。食ったら出発した。

よし、さらにこの勢いで、リベンジ第三弾は浜の湯だ。標津町に向かって走って行く。ちょっと道が心配だったが、道道775号線と道道774号線を走って、サーモンパークの案内板に従って進むと、海の見える国道335号線に出た。サーモンパークも見たかったが、想像以上に規模がでかいので時間がかかりそうなので通過した。国道335号線を野付半島の方に走って行くのだが、どうも行く方向の天気が気になる。暗いのだ。どう見ても雨雲だよな。しかしもうすぐだ、大丈夫だ、そう思いつつ走って行ったら、野付半島の分岐点まで来た。あれ、こんなところまくるんだったっけ、止まって地図確認、すると、浜の湯は、まだまだ先なのであった。あれ、分岐点付近だと思ってたのは全然勘違いだったんだ、ゲロゲロ。そして、ついに恐れていた事態が、そう、雨が降ってきたのだった。対向車線を走るバイクが雨具装着なんで、間違いなく降ってる。くっ、無念、ここまでか。諦めて引き返すしかないのであった。雨雲は急速接近中、いっきに離脱を図るべく、フルブーストで加速、国道335号線を戻る。

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こうなったら時間は早いが、もうチェックインしかないと判断して、今日の宿、トーヨーグランドホテルに向かった。国道272号線ミルクロードをカッ飛んで行く。パラパラと雨が追いかけてくる。レインウェアは着たくないので必死に走った。努力の成果があって、小降りのうちにホテルに到着できた。バイクを置くところを探したら、バス駐車場の横だった。ラッキー屋根付きだよ。雨が降っても大丈夫だな。フロントでチェックイン、雨が降ってきたんで早めに着きました、と言い訳をして置いた。でも、チェックイン手続後、荷物を運びに行ったら雨なんか全然降ってないじゃん。荷物満載のツーリングライダーが、ホテル前の道をガンガン走ってるよ。くっそー、ちょこっとばかりの雨にビビってホテルに逃げ込んでしまった。浜の湯まで行けたかもしれん、またチキン野郎呼ばわりされるよ。なんかいい方法はないか考えて、代わりにこのホテルの温泉に入ることにした。デラいい考えである。早速温泉へ行ってみた。温泉は別館にあるのだ。連絡通路を歩いて温泉に来た。日帰り温泉施設としても機能しているようだ。お客さんがそこそこいた。脱衣所にかごに脱いだものを入れて風呂場へ。体を洗って風呂に浸かる。気持ちいい湯だ。たんのんして出た。

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それから、お土産を買いに街に繰り出すんだぜ。フロントのねーちゃんに近所の地図をもらって出発した。で、近所の酒屋さんでお土産ゲットして送ってもらった。酒屋さん、面倒な客でごめんなさい。ホテルに戻って夕食だ。有名な回転寿司の寿司ロードで食う予定が、雨にビビって食わずにチェックインしてしまった。今更またバイクでそこまで行く気もしなかった。となるとホテルのレストランで食うしかない。幸い500円分のサービス券があるのでそれを使って食うのであった。メニューは三つあったが、いろいろ諸事情ありまして一番安いセットになりました。でも美味かった。食ったらもう一度温泉に入った。明日のルートを考えて、天気次第なので考えても仕方が無いや、と結論が出たので寝た。

 

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