伊豆半島温泉三昧S.A.C.
出発まで
そんなワケで、ゴールデンウイークのツーリング計画は風前の灯なのであった。予定していた日がピンポイントで傘マーク付き、今年の休みは分断型なんで、期間の中頃は行楽地も空いてるからいいだろうと思ったのに天気が悪いンじゃ意味がない。必死で考えた今年の計画が水泡と帰すのか。すっげえー苦労して考えたんだよ。候補は、1.「伊豆半島温泉三昧S.A.C.」2.「西乃名湯物語ふたたび」3.「それ以外」この3つだった。しかし、なんか面白みがない新鮮味がない、新しいところに行きたいと思ったのさ。いろいろ試行錯誤して研究した結果、山梨県に目が行ったのである。山梨は意外にいい温泉がたくさんあるのだが、まともに行った事がない。調べたら下部温泉や石和温泉と名湯があるではないか。しかも、下部温泉は信玄の隠し湯と言われている名湯で、これは行くべきではないか、作戦名は「湯巡り風林火山」に決定し、細部にわたる精巧な計画を1年がかりで作り上げたのである。それなのに、ああそれなのに、このなみなみならぬ血のにじむような苦労はどうしてくれるクソ。なんかいい方法はないのか。考えた方法は、1.「日にちを変更する」2.「諦めて中止する」3.「それ以外」この3つだった。しかし、日にちを変更すればゴールデンウイーク最盛期である。道は渋滞するだろう。宿も予約できるかわからん。かといって諦めて中止するなどもってのほかである。となると3番のそれ以外しか方法はない。よし、それ以外で行くぜ。Twitterで晴れろ晴れろとつぶやき続けたら、何とかなるかもしれん。そう信じてつぶやき続けた。しかし、直前になっても、山梨県の天気は回復しそうになかった。こうしてツーリング計画は風前の灯となっていた。が、その時、閃いたのである。他の作戦、「伊豆半島温泉三昧S.A.C.」と「西乃名湯物語ふたたび」はどうなんだ。静岡県伊豆方面の天気予報を見たら、こっちはまだマシな天気である。兵庫県もまたマシな天気である。そうなれば、いっそ目的地変更でもいいじゃん。天気の良い方に行けばいいじゃん。おれってあったまいいー。そして、最終的に決定を下す最終ギリギリの日、ポイントオブノーリターンの日、その日がやってきた。果たして天気予報はどうなっていたか。そう、奇蹟が起きたのだよ諸君。なんと、それまで傘マーク付きだった予報が太陽マークに変わっていたのである。井沢元彦先生のおっしゃる通り、この国は言霊が支配する国だったんだ。願いは口にして言えば叶うんだ。よーし、口にして言おう、言っちゃうぞ。NikonD600が欲しい NikonD600が欲しい NikonD600が欲しい‥バキドテグッシャッ(まっちゃんに‥以下略)だがしかし、天気予報が晴れになった奇蹟が起きたと喜んでいる場合じゃあないのである。最終ギリギリの決定ゆえに、準備期間も極めて短期間なのである。その短期間に、宿を確保し、コースを決め、予算を算出し、時間の配分をせねばならない。通常、これらの作業を行うのに必要な時間が約2週間である。関係閣僚との折衝もあり、難航する事も考えられるから、それ以上かかる事もあるのだ。それが今回の場合、出発まで残された時間はわずか48時間であった。その48時間で、すべてを決めなければならない。ニック・ノルディとエディ・マーフィに残された時間と同じだぞ。うむ、あの二人に出来たのだから、オレにだって出来るぜ。やったるぜ。それは不可能を可能にする無謀な戦いでもあった。しかし、オレは不眠不休の作業で計画を完成されたのであった。っていうか、伊豆半島温泉三昧ってさ、過去に3回頓挫してるからその計画をそのまま引っ張ってきただけなんだけどさ。こうして準備は完了した。あとは出発を待つだけだ。ちなみに作戦名「伊豆半島温泉三昧S.A.C.」のS.A.C.とはもちろん “STAND ALONE COMPLEX”の略である。SSSってのも考えたんだけどさ、あ、当然、ソリッドステイトソサエティの略だよ。スーパースカタンスペシャルじゃないよ。
5月1日(水)
渋滞回避のために早朝出撃で計画していたのだが、連日の徹夜での作戦決定作業に追われていたので起きたのが4時10分過ぎてた。ヤバい完全に寝坊じゃん。急いでまっちゃんんの「これ食って勝手に行きゃあね」と作ってくれたサンドイッチを食って出撃と思ったら、まっちゃんもちゃんと起きてくれたので、スープも作って一緒に食った。そして食ったら昨日の一夜漬けて用意した荷物を確認し、着替えようとしたら、いつものユニクロの青色のタートルネックがない。おいおい、この前もなかったじゃん、冬物に仕舞っちゃってたじゃん。また冬物に仕舞ったか。しかし、冬物の仕舞ってある衣料箱を調べたがない。他の衣料箱にもない。タンスにもない。あれおかしいな、なんでないんだろう。なぜ我が家でこのようなBT現象が発生するのか。チャールズ・バーリッツ先生どうなんですか。仕方がないのでまっちゃんに聞いたら「あ、あれ洗濯してまだ乾いてないよ、だって雨だったもん」げ、なんと、どうしよう、着てくつもりだったのに。仕方がないので同じモデルの緑色の方を着ていく事にした。こうして服装は、上がユニクロプレミアムコットンTシャツ+グンゼホットマジック長袖タートルネック+ユニクロタートルネック+クシタニコンプリートジャケットウインドストッパー付で、下はカントリージーンズとなった。グンゼのホットマジックが紫色(エヴァカラーだよ)なんで、その上に着るのが水色の方が合うと思ったんだよ。CBR600RRも青色が入ってるからそれに合わせてるんだよ。おしゃれだろ。でも今回は緑色になりました。まあ、どうせ中なんか誰も見ないから良いだろう。っていうか、オメーみたいなヘンタイライダー、誰も見てねーよってほっとけ。
こうして一悶着あったので、ますます出撃が遅くなってしまったが、この程度の時間、軽く取り戻してくれるわと、血気盛んに実家ガレージに向かう。出発予定時間は5時だったんだが、すでに5時を過ぎてガレージからCBR600RRを引っ張りだして、シートバックとタンクバックを装着する。天気は快晴、すでに明るい。この前の「伊豆半島温泉三昧SS」は同じ出発時間でも、もっと真っ暗だったような気がするんで、やはり予定が遅れているってことだな。エンジン始動、まっちゃんに見送られて出発した。
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まずはコスモ石油でガソリンを入れる。19号線のいつものコスモ石油に入って、給油機の前にバイクを止めてハイオク満タンにする。地元の安いところで出来る限り入れておかねばいかん。口元まで入れて7リットルちょっと入った。価格はリッター156円。満タンになっても車重を感じないのがこのバイクの良いところ。
コスモ石油を出たら、19号線で春日井インターに向かう。朝なんでまだちょっと寒いな。スピードを出すと指先が冷える。それなりのスピードでインターまでやってきた。入口付近の高速道路情報電光掲示板を見て、渋滞情報を仕入れておこうと思ったが、何にも表示されてなかった。渋滞はないみたいだな。やはり期間の中頃を選んだオレの作戦がちだぜ、ふっふっふ。天気はいいし、もう笑いが止まりませんなあ。
インター入口、相変わらずETC非搭載なので一般口から入るのであった。チケットをとってタンクバックに入れたら、ここを間違えたら大変の進行方向は静岡方面にギュイーンと加速して進む。加速レーンで加速して走行車線に入った。すっげー寒いじゃん。全然スピード出せないよ。久しぶりの高速道路なんで、このHONDAレーシング直系マシーンのポテンシャルを余す事なく使い切ったろうかと思ったんだけど、寒くて高速道路の制限速度+α程度しか出せんかった。交通量はゴールデンウイークとは思えんほどガラガラだった。他県ナンバーの帰省客風あるいは観光客風のクルマがあんまりいないような、かといってトラックが多いわけでもない、なんかとにかく静かな高速道路だな。順調に進んで、三ヶ日の新東名高速への分岐を通過する。今回は旧東名高速を走るのである。なんでかと言うと、単純に渋滞回避なのである。本当は新東名を走ってもいいんだが、なんか人気で混雑してるらしいから、あえて旧東名を走るのである。新東名高速にはSAもいろいろおもしろいところがあるようだが、ここに行ってみようとかいろいろ考えてたんだけどさ、考えたんだけど、こんな朝早くにやってる店がないよな。ということで慣れてる旧東名を走るのであった。予定通りガラガラだった。さっきまでもガラガラだったが、それに輪をかけてガラガラになった。走りながら、この雰囲気どこかで感じた事があるなあと思って、思い出した。これは、何年か前に走った、中国自動車道だよ。あそこもガラガラだったなあ。お盆休み帰省ラッシュ時期なのにガラガラだった。全然需要がない自動車専用道路らしいね。すっげー赤字路線らしいね。だから10兆円いるのか。
まったく渋滞もなく、問題なく、ちょっと寒い思ったより寒いだけで浜名湖サービスエリアに到着した。ここもひょっとしたら満員御礼で入れないかもしれないから、その場合は直前の新城PAで休憩と思ってたんだけど、全然問題なくガラガラだった。ガラガラの自動二輪専用駐輪場にバイクを止めた。天気がよくて青空に浜名湖の青が映えるのであった。バイクは他にいなかった。ここまでバイクは全然見かけなかったな。やっぱりみんな今日は仕事なのか。トイレを済ませて、お店も何にもやってないのでさっさと出発した。
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浜名湖から浜松を過ぎた辺りで、時間的になのか、場所的になのかわからんけど、急激に交通量が増えてきた。さっきまでの閑散とした高速道路にワビサビを感じつつも、寂寥感が切羽詰まってきたので、クルマの量が芳醇になってくるとなんか安心すると言うか、やっぱゴールデンウイークっぽくなってきたじゃん盛り上がってきたじゃん、とひとりではしゃいで、良い方向に向かってるぜなどと思ったのだが、実は前方の空がどんより曇っているのであった。なんかやな感じがしてきたけど、いや、奇跡を起こしたんだから大丈夫だよと思って威風堂々と突き進んで行ったんだが、やはり現実は厳しかった。あっという間にさっきまで青空だったのに、浜名湖の湖水の青と空の青がコラボレーションしてるなんて詩的な表現をしてたのに、いまやまるで暗黒時代のアルカポネだよ。ヤバいヤバいぞ。どう考えても、雨が降ってきそうな状況で、困った、CBR600RRは雨天走行禁止なんだよ、おかしいだろ、天気予報は降水確率20%だったぞ。こんなどす黒い雨雲が空を覆ってるって、気象庁のアホンダラー。
もはや止まる事なくひたすら走るのみだった。高速道路はもし雨が降ってきた時に退避するところがないから、とにかく高速道路にいる間には降って来んなよと思いながら、必死に走った。静岡過ぎて富士川過ぎて、もちろん富士山なんか全然見えない、ライダーの聖地、由比から見える海は嵐の前兆を思わせる荒波が白い牙を剥いているのであった。そしてついに、パラパラと雨が降ってきた。パラパラと降ってきただけだったんでまだ大丈夫だ。どっかから飛んできただけだ。本降りじゃないから大丈夫だ。そしたら電光掲示板に、「新東名新清水雨」の傘マーク表示。ここでもはや万事休すを覚悟したのであった。騙された嵌められた。来るんじゃなかった。やっぱりツーリングは中止すればよかった。日にちをずらせばよかった。渋滞でも晴れならまだそっちの方がマシだクソ。でも名古屋方面の空は晴れてたりするんだよね。おかしな天気。
なんとか本降りにならないうちに沼津まで来た。クッソーろくにSAPA寄れんかったつまらん、と思いつつ、料金所に入る。料金4200円だった。事前に調べたら4350円だったんだが、なんか間違えて検索してたみたいだな。料金所を通過したら、東駿河湾環状道路(このツーレポを書くために調べて初めて知った名前)で沼津市街地を回避しながら伊豆に抜けるのだ。この路の存在を知ったのが、前回の「伊豆半島温泉三昧SS」の頃で、あれから3年、工事も進んでかなり先まで行けるようになっただろうと思ったら、3年前と全然変わってなかった。ということで、結局、三島塚原で国道1号線に合流すると、そこから渋滞になるのか、とガックリしてたら、全然渋滞じゃなかった。交通量は多いけど、普通に進んだ。でも天気は悪いままだけど。
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1号線を進んで、最初に遭遇する出光でガソリンを入れる。ここで入れないと、この先、次の出光が反対車線なんで入ったり出たりが大変なのだ。これは前回の「伊豆半島温泉三昧SS」で失敗したからよく覚えてるんだよ。あの時も、ここで給油しておけばよかったと思い切り後悔してもんな。今回はその失敗を生かして、同じ過ちは繰り返さないのだ。ガソリンハイオク満タン給油する。11リットルちょっと入った。価格は163円。やっぱり地元より高いな。CBR600RRの燃料計のデジタル表示がかなり下の方まで減ってたのは久しぶりだな。この燃料計、150キロくらい走っても全然減らないんだけど、そこを越えると急速に減るんだよね。今回は高速道路ということもあって、速度と距離の関係がそうさせたのか、目に見えてガンガン減ってってちょっとキョーフ感ありました。ガス欠になるんじゃないかなんて。
満タンになって安心して1号線に戻り、その先で国道136号線にスイッチする。136号線も交通量が多くて流れが悪いが、今日はそれほどでもなかった。とりあえず、伊豆に着いたのでどこかで休憩したい気もするのだが、渋滞がなかったので予定より1時間以上早く着いたから、この場合、やはり、以前から入りたかった温泉、長岡の共同浴場「湯らっくすのゆ」に行くべきだろう。そもそも、共同浴場は営業時間が午後からなのが多いので、この伊豆長岡温泉は、伊豆に到着して最初の温泉街なんだが、その時間が10時から11時くらいになる兼ね合いで、営業してない事が多いんだよ。しかし、一部の共同浴場は朝の営業時間があって、10時まで朝風呂OKな事をしてるんで、今ならその時間に間に合うと思ったのさ。場所に関しては事前にしっかりリサーチしてあるのでバッチリである。いったん、バイクを路に寄せて止まり、このときのために情報収集してある伊豆スクラップ帳を開いて、そこに書かれた地図を確認した。そして、その通りに走っていったら、バッチリ見つけて作戦大成功‥‥になるはずだった。はずだったんだけど、地図の通りに行っても、普通に家とホテルがあるだけじゃん。おかしい。行き過ぎたようなので、苦手なUターンをかまして戻り、もう一度来た道をゆっくり走っていくと、公園を見つけた。「湯らっくす公園」だった。これはなんか名前が近いからこの辺りじゃん。おっしゃー見つけたも同然、この先だぞ。イキんで走っていったら、前の道に戻ってた。おかしいぞ。また戻ってしまった。どうなってるんだ。まるで狐に化かされてるようだ。ちょっと待て冷静になるんだ。落ち着け。バイクを止めてもう一度苦手なUターンをかまして戻った。そして、「湯らっくす公園」の向こう側が怪しそうなんで、そっちに行ってみた。すげー細い道だったので、大丈夫か心配だったが、果たしてその先に目的地の温泉はあった。思った以上に小さい建物だった。こんな小さいのか、そりゃ見つからんわ。もっとでかいと思ってたもんな。ネットで見た写真だと、決行立派な建物に見えたもん。バイクを止めて手ぬぐい持って中に入った。すっげー狭かった。番頭のおばちゃんに300円払って男湯に入った。すっげー狭い脱衣所だった。荷物をかごに入れて風呂場に移動したらスッゲー狭い風呂場だった。そこにおっさん3人が満員御礼だった。洗い場で体を流して湯に浸かる。やれやれ、やっと人心地ついた。お湯はさすが伊豆の湯、ソリッドな感じがする湯だ。いわゆるソリッドステートソサエティだな。スーパースカタンスペシャルではない。しかし、湯はソリッドで環境もソリッドなんだよなー。地元のおっさんがワレどこの組のもんじゃいみたいな、ねー、その、ちょっと居心地がナンなんで。というわけで早々に出てきました。湯が熱いんで長湯できんし。
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温泉を出たらちょっと天気が回復しつつあるような空だった。雲は多いが青空もところどころ見える。このまま回復して晴れてくるのだろう。きっとそうだそうにちがいないそういうことにしておこう。バイクに戻って出発、来た道をそのまま戻って国道136号に再び合流、ここら辺は道が複雑なんで、136号線を基本に走った方が絶対に良いのだ。作戦では次の温泉が西伊豆スカイライン経由で土肥温泉だが、この天気では西伊豆スカイラインを走っても展望が期待できないのでやめて、このまま修善寺を通過して船原経由で土肥温泉まで行くことにした。このように、ツーリング先では状況が刻々と変化するのだ。その変化に柔軟に対応できるのがベストなツーリングライダーである。
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しばらく走ったらマクドナルドがあった。すき家もあった。むむ、これは選択が難しいパターンだな。一番の方法は、すき家で朝定食を食ってマクドナルドでコーヒーを飲むのだが、マクドナルドのコーヒー無料券を使いたいので、そうするとコーヒー無料で1杯だけ飲むのは小市民にはハードルが高いんだよなー。でもコーヒー無料で飲みたい。ということで、マクドナルドに入りました。100円コーヒーを無料で、そして100円チキンクリスプマフィンを100円で買えば良いのさ。が、しかし、この春の値上げでチキンクリスプマフィンが120円になってた。チキンクリスプは100円なんだけどね。マフィンになると20円アップなのだ。ここんとこ難しいね。みんなも間違えないように。あ、でもこの情報もアテに出来ないから信用しないようにしてください。食うときは自分で調べてください。よろしくお願いします。ということで席について食って飲んだ。
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マクドナルドを出て、136号線をどんどん進む。414号線とぼ分岐点を経て136号線は山の方に登って行く。しばらく走ったら船原温泉の湯治場ほたるがあった。ああ、ここ情報だけ仕入れて、今回入る予定になかった温泉だ。せっかくこっちのルートを走ってきたんだから寄ってみよう。ということで寄ってみた。バイクを駐車場に止める。クルマが他に4、5台止まってた。中に入ると先客夫婦がいて、いろいろ説明を聞いてた。ここは貸し切り風呂があるようで、その話をしてたみたい。待ってたら別の係の女の人が受付してくれた。自分は貸し切りじゃなくて大きい風呂に入りたいです。とお願いしたら、大きいお風呂ありますよー、1日券1200円と1時間券700円というので1時間券を買って、ブーツは下駄箱に入らないので預かってもらった。1時間限定なんで、戻る時間を言われてから温泉に方に行った。けっこうデカい施設で、デカいくせに無駄な空間が多いと言うか、無駄にデカいとうか、閑散としていると言うか、なんというかよくわからん温泉だな。階段を下りて階段を下りて右の方の男湯に行ったら、脱衣所は立派だったが、でもやっぱり閑散としてた。ロッカーは受付で鍵をもらってたのでそのロッカーを使う。温泉のロッカーというより、スポーツクラブのプールのロッカーみたいだが、それでもなんだか物悲しいんだよな。なんでだろう。しかし、荷物をロッカーに突っ込んで風呂場に行ったらすごかったよ。デカい。湯船がデカい。そして建物の側面がぶち抜いてあるので、ある意味、半分露天風呂状態で、しかもこれが掛け流しだ。洗い場に客が他に2人いた。体を洗って湯に入ると、ほとんど温泉というより、温水プールだ。いや、ひょっとしたら元々そういう施設だったのかも知れん。それが廃業して今の形に再生したのかもしれんな。まあ、どっちにしろこの広い湯船に感激である。お湯には他に何人か入ってる人がいた。でもなんか様子が変なんで、よく見たら、お地蔵さんだった。お地蔵さんが何人か風呂に入ってるんだよ。シュールだねー。なんかホントよくわからん温泉だ。しかし、広い湯船と湯と湯温が良いので気持ちええーと入ってた。さっきの温泉は狭かったもんな。少ししたら他の2人が出たのでほとんど貸し切りになった。で、タンノンしたので出た。受付でブーツを受け取って建物を出た。駐車場は相変わらずガラガラで、ほとんど客がいないようなんだが、これでよくこの大規模な施設を運営できるなあ。玄関に掲示してあったが、レストランがあったけど閉鎖されたらしい。切り盛りできなかったようだ。この様子では、温泉自体も切り盛りできんくなるかな、次に来る時には閉鎖されてるかもしれん。
湯治場ほたるを後にして、次に向かったのが予定通りの土肥温泉だ。土肥温泉の共同浴場は、弁天の湯に入ったんで、今度は楠の湯か元湯に入ろうと思ってたんだが、元湯は水曜日定休なんで今日はやってない。そこで楠の湯をねらうのである。が、しかし、注意して走ってたんだが、三叉路まで来てしまった。とりあえず、松崎方面に曲がって、セブンイレブンがあったのでそこに入った。ちょっと地図を確認しよう。お店の前にバイクを止めて降りた。天気がようやくほぼまともに回復しつつある。しかし、まだ山の方は雨雲がかかっている。温泉に入りまくりなのでお茶よりスポーツドリンクを飲むことにして、ビタミンウォーターが125円とお値打ち品だったのを買った。それを飲みながら地図を見たら、どうも2つ目か3つ目の信号の辺りにあるようだ。よし、もう一度行ってみよう。空ボトルを捨ててヘルメットを冠って再び来た道を戻る。そしたら、その信号付近に、DIYで作った楠の湯の看板が出てた。おお、反対から走って来たときは全然気がつかなかったよ。ここだここだ。そこを曲がって奥に進むと、神社の近くに楠の湯があった。そうそう、これこれ、ネットで見た写真と同じだこれだよ、でも様子がヘンだな、なんかすごくボロくてくたびれてる、まるで廃業してしまったみたいだ。バイクを降りて近づくと、営業時間が13時からになってた。なんですと? 情報では10時からのはずだが、事情が変わったらしい。せっかく見つけたのに何と残念、辺りをうろついてたら、それを見たかのようにおっさんがやって来た。お、まさか観光客が来てくれたんで、時間を繰り上げて営業開始してくれるのか、ラッキーと思ったら、男湯の戸をガチャガチャやって「開いとらん」ぶつぶつ言いながら去ってしまった。なにしに来たんやおっさん、期待させやがって。仕方ない次に行くか。牛乳自販機の大木美留久ちゃんに免じて許したる。
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136号線を西海岸に沿って南下して行く。この辺りでは観光の目玉となる土肥金山があって、その広い駐車場がファミリーマートの駐車場と重なってた。そういえば三叉路にあったファミリーマートが中華のお店に変わってたな。最近コンビニの後にこのテの中華の店が入る事が多いみたいだが、おいしいのかな。どんどん走っていくと、恋人岬があった。いつもならネクラそうな青年が、アツアツのカップルの来場をおもしろくなさそうに交通整理してる光景が見られるのに、今日はガラガラで誰も立ってなかった。やっぱりゴールデンウイークでも今日はゴールデンウイークではないのか。みんな仕事してるのか。さらに進むと、小アジ寿司で有名な店まで来た。ちょうどお昼頃なんで、駐車場は満車だった。バイクツーリングではお昼は食わんので今回もスルーして先を進む。巨大ダルマのお寺や、究極のそば屋さんなどいろいろあったが全部スルー、次の温泉をひたすら目指す。
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松崎のちょっと手前、堂ヶ島温泉までやってきた。ここもいつもなら観光客渋滞がすごいのに、全然ガラガラだった。通りに面する大きなお店がお休みになってるくらいだった。で、ここまで来て、沢田公園露天風呂の看板を発見した。そういえばこの辺りじゃん。この前来た時は休業中だったな。今日はどうだろう、奥に曲がって行くと、この前みたいな休業の表示はなかった。入れるみたいだ。どんどん港の道を奥に進んで行ったら、立入禁止のところまで来てしまった。あれ、温泉なんかないじゃん。おかしいな、Uターンして戻ると、建物の屋根に大きく「露天風呂100M」と書いてあるんだが、ないじゃんよ。すると、細い道からバイクが2台出てきた。え、まさかあの細い道の奥かよ、入って良いのかなあと思いながら、そっちに進んでみたら、まさしくそこに沢田公園露天風呂があった。駐車場にバイクを止めて、パチンコ景品交換所みたいな小屋があったので、そこへ行くと、管理人さんがいた。入浴料500円を払って露天風呂に歩いて行く。長い階段をえっちらおっちらと登って行くと、海が見えてきた。おお、素晴らしい眺めではないか。西の空は完全に晴れで青空が広がっており、まさしく空の青と海の青の見事な共演なのであった。階段をさらに上るとようやく温泉に着いた。小さな脱衣所、そして小さな湯船があった。3、4人で満員御礼だな。誰もいなかったので貸し切りで入れた。すげー気持ちいいじゃん。高台にあるのでみはらしはサイコーに良いぞ。しばらく入ってると、もう一人客がやって来た。で、どうもどうも、どちらから来たんですかなどと会話をした。そして、入ったかと思ったらすぐ出ちゃって、あとはスマホで何枚も写真を撮ってた。温泉ブログでもやってるのかなあ。スマホ君が去ってからもしばらく入ってた。だって気持ちいいもんね。しかし、しばらくしたら次の客がやって来たみたいなので、そろそろ出る事にした。うーん、去りがたい。ところで、ここのどこが公園なんだろう。
沢田公園露天風呂をあとにして、次の温泉は、予定してたのがせせらぎの湯だ。そしたらほんの近くだった。10分もしないうちに着いてしまった。でも入る。バイクを建物の前に止めて、手ぬぐいもって中に入った。公民館みたいだった。共同浴場だからな。受付の男の人が「チョーガイですか」と聞かれて何の事かわからんかったが、「町外」ということだと気がついて「全然町外です。カンペキな町外です」と答え町外の入浴料を払った。町内の人は150円らしい。そして、「松崎町の人は150円で入れません」と手書きの貼紙がしてあった意味がようやく分かった。ここは松崎町ではないんだね。男湯の方に入って、ロッカーに荷物を入れたらお風呂場に移動した。体を流して湯に浸かる。熱湯だった。熱過ぎる。苦悶しつつ入っていると、地元の人らしきおっさんに「露天の方がぬるいよ」と教えてもらったのでそっちに行った。そしたら湯加減ちょうどいいのでゆっくり入った。気持ちええな。どうも伊豆の共同浴場は湯温高めなんで、そこが良いんだけどさ、長湯できんもんな。
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タンノンして出たらバイクに戻って出発。さーどんどん行くよ、スッゲー調子よいじゃん。サクサク温泉に入れてるよ。天気もよくなって、やっぱり来てよかったよね。むはははは、オレ様の勝じゃい。136号線を南伊豆に向かって走っていく。途中、石部温泉、雲見温泉とおいしそうな温泉がいっぱいあった。しまった、ここってこんなにいろいろおんせんがあったんだっけ? 情報収集不足であった。伊豆の温泉なんかほぼ入ったからあんまり行く気がしないなーなんて山梨の温泉に色目つかってた自分が浅はかでした。未熟者でした。まだまだ伊豆は奥が深いです。夕川先生反省文書きますから許してください。あ、夕川先生って小学校の先生ね。なにかにつけて反省文2枚とか3枚とか書かせる、文化的暴力が好きな先生。そんなに書く内容ねーよボケが。
快走できるマーガレットラインとマップルに情報が載ってる道を進むが、先頭のクルマがのろいのでのろいのであった。そしたら突然、先頭のクルマがハザード点灯して止まった。後ろが行列なんで譲ってくれたのかと思ったら、その後のクルマも全車輛ハザード点灯して止まった。何じゃと思ったら、そいつらのクルマ全台お仲間だったみたいで、降りて来てあっちかこっちかなどと指差して話してる。ああ、道に迷ってたもんでのろかったのか。っていうか、ここ一本道だから道に迷い事もないこともないとおもうんだが、まあ、その迷うクルマののろいのがいなくなったので、快走するのであった。ガンガン快走して気持ちいいのであったが、また天気は曇ってきた。夕立でも来そうな雰囲気だった。来ない来ない、夕立なんて夏でもあるまいし来ないよ。ゲリラ豪雨が来るかもしれんけど。
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南伊豆までやって来た。銀の湯会館は定休日でやってなかった。駐車場にハーレー軍団が集結してたけど、あの人たちも温泉目当てでやってきたのかな。定休日でショックなのかな。こっちは事前に情報収集してて定休日と知ってたからダイジョーブさ。目的地はここではない、みなとの湯だ。ここはGoogleのストリートビューで視覚情報もしっかり押さえてるんだもんね。いろいろ問題ありだけど、ストリートビュー便利だよ。そのおかけで迷わず港の湯までこれた。「湯らっくすのゆ」もストリートビューで調べりゃよかったよな。あ、湯らっくすのゆをカギ括弧でくくるのは、施設名がわかりにくいからです。湯らっくすのゆより「湯らっくすのゆ」の方がわかりやすいでしょ。っていうかさ、共同浴場とは思えんいわゆるキラキラネームだよなこれ。まあそんなことはどうでも良い、みなとの湯に着いたんだよ。そしたら駐車場は100M先と言うのでそこへ行ったら未舗装の砂利の駐車場だった。ご存知の通り、未舗装は大嫌いなんで、もうこの温泉に入るのやめと思ったが、ここまで来てやめるのは卑怯だと思い直し、なるべく手前の方に止めて温泉まで歩いて行った。建物は、これまた公民館みたいだったが、中に入るとでっかいレリーフがあって、ちょっと他とは違うよとアピールされてた。入浴料300円だったかな、払って貴重品はロッカーに入れてねと言われたので財布はロッカーに入れた。で、男湯の戸を開けて脱衣所に入った。荷物をかごに突っ込んで風呂場へ移動する。客は他に数人、体を洗って湯に浸かるとここも熱いよ。メチャクチャ熱い。で、よく見たら「ここから熱い湯が出てます」というところだった。熱いはずだわ。そこから離れたら多少温度が下がったような気がするのでゆっくり入った。お風呂の壁にもレリーフがあって、よっぽどレリーフ好きなんだなここの管理人。湯が塩辛い。やっぱり海の近くだよな。タンノンしたら出た。
バイクに戻って出発。どんどん曇ってきたので雨が降りゃしないか心配になってきたので、宿に急ぐ事にした。海岸沿い135号線を走って山を避けようと思ったが、海岸沿いは混雑するようなので、仕方がない山越えしよう。136号線と414号線で山越えする。この道は伊豆に来る度に走ってるけど、特に414号線は国道とは思えん。なんせ400番台だもんな。くねくね細い山道なんだよね。そこを対向車に注意を催すハイビーム走って、河津まで来た。途中で先頭ののろいクルマが道を譲ってくれたけど、その次のクルマものろいもんで全然意味がなかったよ。
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河津のセブンイレブンで休憩する。宿はもう目の前なんだが、まだ、チェックイン予定時間より早いのでどうしようか考えよう。セブンイレブンコーヒー100円とお茶125円を買って飲みながら考える。考えてたら、典型的草食系男子と肉食系女子のカップルがクルマから降りてきて、どーするーチェックインするーまだどっか行くーチェックインしちゃおうかーと会話しつつ店に入って行った。そうだなーチェックインしちゃおうと思った。時間があったら天城峠の方まで足を伸ばすつもりだったが、天気が悪くなってきたし、温泉入りまくってもう満足なんで、宿に行こう。
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セブンを出て、今夜の宿、国民宿舎かわづに向かう。そこへの道の曲がるところがわかりにくいので注意して曲がった。そして細い道を降りて行くと、やがてボロい建物が現れた。それが国民宿舎かわづであった。バイクを玄関前軒下に止める。おお、何と感慨無量なのであろうか。これは実に個人的な内容なんだが、この国民宿舎かわづ、初めてバイクツーリングで泊まった宿なんだよな。30年くらい前の話です。当時は免許取りたてHONDAのCBR400Fに乗って、お金がないから高速道路代をケチってひたすら下道を走ってここまで来たら、日もとっぷり暮れて遅い時間にチェックインした覚えがあるよ。
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その時もここにCBR400Fを止めたんだよ。あれから30年、今、こうして最新型のCBR600RRで再びこの地を訪れる事が出来たのも、ひとえにみなさんのご協力とご鞭撻のおかげであります。深く深く御礼も仕上げる次第でございます。30年経ってもちっとも成長しておりませんが、相変わらずネクラで友達もいないヘンタイライダーですが、今後ともよろしくお願いいたします。
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そんな話はさておき、チェックインした。宿の支配人さんと何年ぶりです、みたいな話をしてカギをもらって部屋に移動した。建物はボロいけど、手入れはしっかり行き届いてるので安心だ。部屋に入って荷物の整理して、やはりまず温泉に入るのであった。まだ入るんかよ。30年ぶりのかわづの内湯、前はもっと広かったような気がするが、たぶん変わってないよ、自分が大きくなったのだろう。温湯でちょうどいいと思ってたら、支配人が来て「湯加減どうですか」ちょうどいいと思たら、他の客(たぶん日帰り入浴客)が「温いです」と一斉に答えたので「じゃあ湯量増やすね」と答えてた。熱くなるのか。
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続いて露天風呂に行った。30年前は露天風呂入ってないのだよ。だってチェックインが遅かったしさ、下道をひたすら走ってきたもんで疲れてたもんで内湯入って寝ちゃったもんな。期待して露天風呂に移動したのであった。そしたらこじんまりした箱庭的露天風呂で、川がすぐ近くでせせらぎが聞こえて鳥の鳴き声が聞こえて、そして晴れてきたので青空が見えて、実に気持ちいいのであった。貸し切りだから気持ちいいんだろうかど、これが2、3人入ってたら満員通勤ラッシュの山手線で気持ち悪いけど。混浴で美人となら大大大歓迎ですが、そんな片岡義男の小説みたいな事はあり得ないのであった。
温泉入ったら晩ご飯だ。食堂にいく。前はもっと広い食堂だったような気がすがるがたぶん変わってないよ、自分が大きくなったのだろう。席について写真を撮って食い始めた。写真を撮るのは自分くらいかなと思ったら、他の人も撮ってた。隣の人はデジタルビデオで撮影してた。向こうのカップルはスマホで撮影してた。そしてそのカップルはセブンイレブンで見かけた草食系肉食系カップルだった。食いながら、みそ汁が出てこないのでおかしいな忘れとれせんか、と思ったら鍋がみそ汁でした。鍋でみそ汁かよ。これってどっかのホテルで鉄板焼きだと思ってフタ開けたら目玉焼きだったガックリ感に似てるな。でも煮えたので碗に移したら、ゴロゴロ野菜に豚肉ごってりの豪華内容のみそ汁でした。美味かった。ここは国民宿舎のくせに冷たくなったフライが出ないのが良いね。
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食ったらもう一度温泉に入ろう。内湯に行ったら、さっき湯量を増やしたもんで湯がデラ熱くなってた。なんと言う事だ、長湯しようと思ったのにもうダメだ、そうそうにあがって部屋に戻ったら布団を敷いて、今夜は遺留捜査を見るんだーと思ったが、気がついたら寝ていた。