8月10日(土)
夜中にトイレに起きたらまだ雨がザーザー降っていた。
早朝、よく寝たもんで早めに目が覚めて起きたら、やっぱりまだ雨がザーザー降っていた。
こりゃダメだ。今日も天気が回復しそうにない。やられたなあ。初日にニセコで温泉をタップリ入ろう、何湯入れるか楽しみだなあなんて思ってたんだが、結局1湯も入れんかった。宿の温泉だけだった。ゴングが鳴って勢い良く飛び出したら相手のパンチをカウンターで食らって試合開始10秒でダウンしたボクサーみたいになってしまった。
あ、ちょっとわかりにくい例えだったかな?
まあいいや、 とにかくそういうことだ。朝飯の時間まで荷物を整理しながら待つと、ようやく時間になったのでレストランに行った。やっぱり客は2人だけで、それなりの朝食が用意されていたので食った。
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雨は一時的に止んでいるようなので今のうちだ。速攻でチェックアウトする。もう1人の客もライダーだった。同じことを考えているようで、彼も速攻でチェックアウトするのだった。どちらへと声をかけられたので、今日は帯広へ行きますと答えたら今日は昨日みたいなひどい雨は無いでしょう、明日から回復すると思いますよとライダー的模範回答であった。彼は今日は小樽から帰るそうです。一緒にチェックアウトしたのに、彼は荷物もちゃちゃっとセットしてすぐ出発して行った。こっちは荷物をくくりつけるのに四苦八苦して結局だいぶ時間食った。
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さて、お世話になったニセコ山の家を後に、一路、苫小牧へ戻るのであった。何しに来たんだって話だよな。初日は無しにして欲しいわ。雨は一旦止んだ状態だが、空はどんより雨雲が黒く重く覆っているので、フル装備の雨天仕様で出てきた。山を降りて京極まで戻ってきて、やっぱりセイコーマートのコーヒーを飲むべきであると考える、寄ったら、そこの店は朝の品出しの最中みたいで、何にも並んで無いじゃん。パンもない、缶コーヒーも冷えたのしかない。セイコーマートのいいところは、この時期でもホットの缶コーヒーがあることなんだぞ。仕方がないので不本意だが、別のメーカーの缶コーヒー110円もしやがって、を買って飲んだ。味はノーコメント。それからとにかく来た道をひたすら戻って戻って、結局今回もキノコ汁100円が飲めんかったなどと思いつつ、峠を越えて、支笏湖付近まで来た。
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徐々に雨雲の範囲から脱出しつつある、空の明るさが物語っているのだ。おお、これは事態がいい方向に進んでいるのか、果たして、遂に、今回の北海道ツーリング発の太陽が顔を出したのであった。日の光が差す、それだけのことが、こうも心を揺さぶる感動のワンシーンになるとは、やはり太陽神アポロンは偉大なのであった。伊達に月桂樹を頭に巻いとらんな。ポロンちゃんには手を焼いてるみたいだがな。
とにかく、そんな感動なシーンを経て、ようやく、苫小牧まで戻ってきたので、給油した。ここから日高山脈を越えて帯広まで、給油ポイントがないといかんので、用意周到に満タンにするのだ。満タンにして出発だ。前の車がキャピキャピの女の子二人組だった。その後ろについて国道に戻った。走り出したらもう日照りがすごいことになってきて、ムレムレなのであった。やっぱりカッパを脱いだ方がいいと思い、道路の脇に寄せて止めた。そしてフル装備の雨天仕様を解除してたら、通りかかりの車の人に物珍しそうに見られてしまった。
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晴天あっぱれ仕様にしたら走ると気持ちええ。やっぱりバイクは青空の下を走るべきです。セイコーマート発見、即座に駐車場に入り、店に入ったら、買うのは当然、ホイップあんパンだぜ。1年ぶりのセイコマ名物、セイコマオリジナルの麦茶とセットで買って、バイクに戻って食って飲んだ。うまいぜ。くーっ、いい感じだぜ。やっと北海道ツーリングが始まったって感じだぜ。
ようし、ここで仕切り直しでかっとんでいくぜ。セイコーマートを出たら、国道234号線を早来に向かう。そこには、前回前々回と見送りになってしまった鶴の湯温泉があるのだ。今回は事前に場所をしっかりリサーチしたから大丈夫なのだ。この温泉はパッと見、国道234号線沿にありそうだが、違うのだ。前回前々回はそれに騙されたのだ。いや騙してるわけじゃないんだけどさ。234号を跨ぐ陸橋、こいつが気になってはいたんだが、この陸橋を渡って行くとあるのだ。ふっふっふ、今度は今度こそは大丈夫。行ってみたら、陸橋の手前に鶴の湯のでかい看板があった。勝ったね。オレの勝ちだ。今まで散々騙してきたようだが、今回はもはや言い逃れできないようだな。ふっふっふ、鶴の湯、たっぷり楽しませてもらうぜ。なんか言い方がいやらしいな。陸橋を越えてちょっと走ったら鶴の湯があった。
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曲がって行くと、入り口で料金所があった。なんと、この温泉は、ここで入浴料金を徴収するのであった。蓮の花の池があるから、その見物人にも料金を徴収するといはセコイな。バイクを止めて料金500円を払い、再び進んで駐車場に入り、バイクを止めた。手ぬぐいを持って建物の方にいくと、えーっと、なんかイメージがちょっと違う。かなり歴史のある古い温泉らしいんだけど、どう見てもかなり近代的な建物だった。建て替えたんか。中に入ると、入場券を渡す。これで入浴できる。ブーツは100円リターンの下駄箱に入れて風呂場に行くと男湯の暖簾をくぐって脱衣所にはいると、これまた新築候な構造であった。
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100円リターンロッカーに荷物をいれて風呂場へ、湯の匂いがすばらしい、そして内湯のみのシンプルな作り、体を洗って湯に浸かるサイコーな湯なのであった。ちょっと温度が高めなんで長湯できんから入ったり出たり繰り返した。客は他に2人だけだった。タンノンしたら出る。脱衣所でクールダウン、エアコンも据え付け型の天井から冷気の出るタイプが設置してあるぞ。やっぱりイメージ違うな。二股ラジウムなんてエアコンどころか扇風機さえなかったじゃん。そういう古い不便さがある温泉だと思ってたんだが、まあ、湯が良かったので良しとしよう。
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施設から出たら蓮の花の撮影でもしようかと思ったら、何かまた雲行きが怪しい。いつの間にか青空はなくグレイの空模様、降ってくるかもしれん。これは先を急いだ方がいいかも知れん。蓮の花はスキップしてバイクに戻ったら早々に出発する。国道234号に戻って北上する。途中、いよいよ雲行きが怪しくなってきたのでカッパを着用した。とりあえず上だけだけど。そして国道274号線に乗り換えて夕張方面に向かう。進行方向の山はもはや確実に雨が降っているのは明らかだった。
おかしい、こんなはずはない。
もう晴れてくるはずなんだ。
仕切り直しのはずなんだ。
そんなバナナ。
夕張メロン産直センターで降り始めた。仕方が無い、フル装備の雨天仕様にする。くそ、こんなはずないのに、何でだ。なんで雨なんだよ。走り出しながらどんどん負のスパイラルに陥ってしまうのであった。そう、あの、悪夢の雨の北海道ツーリングを思い出してしまったのだ。そう、あの時も初日から雨、次の日も雨、気がついたら全行程雨、ああ恐ろしい、きっとああなるんだ、もうダメだ、うわああああんん。こうして憂鬱な悪夢のような峠越えが始まったのだった。この国道274号線は、樹海ロードとも呼ばれ、それはそれは日高山脈の深い山奥の前人未到な過酷の環境を走ると道なのであった。晴れていれば快適な道だが、一度雨となれば、何のために生きているのかと人生の意味を問いただしたくなってくるほど鬱蒼とした道なのであった。ああ、夢も希望も失って、ただ惰性で走るだけの人生、もはや人の心を失い、もぬけの殻になったライダーが走って行く。このままもぬけの殻で朽ち果てるのか、明日への希望はないのだろうか。
しかし、間も無く日勝峠というところで奇跡が起こった。一気に雲が消え、眼下に帯広市の街並みが広がるのが見えたのだ。これは、山岳地帯を抜ければ平野部は晴れているということだ。ボルテージ急上昇、アクセルオン、まるで水を得た魚のような見事なコーナーリングでカーブをトレースし、展望台へ突撃である。
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駐車場に入りバイクを止めたら、カッパを脱いで、今回初出動のNikonを持って展望台から撮影に挑んだ。晴れてるじゃん。青空が白い雲がおお、まるで絵画のごとく、美しい光景がそこにあった。バイクに戻って再び走り始める。もはや先ほどまでの悪夢は失せ、勝利の雄叫びをあげるのであった。こいいいーんと加速していくのであった。そしたらパトカーがいて、スポーツカーが捕まってた。げ。ヤバイじゃん。スローダウン、ゆっくり走ろう北海道。
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そして予定より早く帯広市内に入った。帯広といえば、決まってるだろ、そうだよ、六花亭だよ。ミーハーは本店を目指すが、ツウは三条店を目指すのさ。ってうか、三条店の方しか場所を知らないんだよね。国道沿いの三条店を発見して入った。さっそうと店内に入り、買うのはもちろんサクサクパイだ。お腹空いてたんで2個も注文しちゃった。で、コーヒーもらって食ったらうまかった。食ったら次はホテルだ。
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今夜の宿、ビジネスホテルプラムフィールドは、帯広でしか開催していない、あのばんえい競馬のすぐそばのホテルなのだ。それだけの理由で選んだのだ。ばんえい競馬見たいもんね。大通りに面していないので探すのが大変かと思ったら、ばんえい競馬場の案内表示に沿って走ると、あっさり競馬場に行き着いて、そこからちょっと進んだらホテルはあった。バイクを駐車場に入れて止める。まだほとんど客はいないようで、玄関から中に入ってもフロントに誰もいなかった。呼び鈴を鳴らすと、絵に描いたように無愛想なそれでいてすっげー神経質そうなじいさんが出てきて応対してくれた。
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カードキーを渡され、食事の時間など必要最低限のことだけ事務的に説明してくれた。ここはビジネスホテルなのに、玄関でスリッパに履き替えるので、一度荷物を全部おろして、玄関に持ってきてから部屋に運んだ。そこそこの広さのシングルだった。カラオケルームみたいなタバコ臭い部屋だった。でもエアコンがあった。帯広に着いてから暑くなってたのでこれは助かる。除湿もできるからカッパや濡れたカバーを干すのにいい。早速荷物を広げてエアコンかけて、晩飯の時間までツーレポをつけた。
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晩飯は5時30分からで時間になったらすぐ行った。バイキングなんだけど、まあ、なんというか、価格相応のものでした。食ったらいよいよばんえい競馬場に行くのだ。着替えてフロントの愛想なしじいさんにばんえい競馬場に行きますと伝えると、いろいろ説明してくれるわけでもなく何もなしで送り出された。歩いていくと向かいにセブンイレブンがあった。それからバイク屋もあった。北海道のバイク屋さんって冬に仕事あるのかな。中華料理の店とラーメン屋もあった。
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やがて競馬場に着いた。思った以上に賑わっているので、意外だったが、会場に入ったら、なんかイベントやってた。プロ野球の日本ハムのイベントだった。おかげで入場無料だった。十勝の産直の店があったのでそこでお土産を買って送ってもらった。他にもいろいろたこ焼きだのピザ焼きだのお店が出ていた。若い子がいっぱいた。夏休みだもんね。
競馬場に入ると、マジに競馬場だった。ばんえい競馬のそりというのかひっぱってるのの実物もあった。奥まで進むと、馬券の販売所やらめしややらあった。いかにも競馬好きな風貌のおっさんらの集団と、あまり縁のなさそうな集団とがいた。たぶん、縁のなさそうな集団は観光客なんだろうな。団体旅行おばさんが多いみたいだ。初心者コーナーがあって、そこで熱心に話を聞いて馬券を記入してた。一応、某サイトで事前に勉強してきたんだけど、実際に現場にくると、その異様な雰囲気に飲まれてさっぱりわからない。初心者コーナーで話を聞いてみたが、よく分からない。スゴイ所に来ちゃったなーと舞い上がってたんだと思う。なんせ、歳食ってるけど中身は子供なんで、大人の嗜好品に縁がなくて、酒もタバコも博打もやらないからさ、気分的には高校生が平凡パンチを買おうとしてるような心理状態だったんだ。
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だから、馬券は諦めて、レース会場に行った。そしたら、ちょうどレースが始まるところだった。全然観客いねーじゃん。いや、全然いないわけじゃないんだけど、ガラガラで、こんなもんなんだ。ゲートに馬が入って、係りの人が忙しそうに行ったり来たりしているのを見てたら、ファンファーレが鳴り響いてレースが始まった。そりゃあもうすさまじいもんだった。ナニガドウスサマジイトカアンタソンナコトイッテルバアイジャナイクライモノスゴイコトデメチャクチャニスゴイトカモウハクリョクマンテントカイッテモコンナコトバジャコノバヲカキキレニアトオモウンダけどさ、
とにかく、
まず、
馬がでかいのである、
ラオウの乗ってる馬みたいにでかい。
華の慶次の乗ってる馬みたいにでかい。
それがソリを引っ張って走るというか突進してくるんだよ。もう踏みつぶされるかと思ったね。そして坂にかかると土は飛び散り馬は雄叫びをあげ登り詰めたり登るのに右往左往したりしてるのを見て思わず拳を握りしてリキが入るのです。そしてあっという間に終わっちゃった。
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しばらくボーゼンとして、もう一回みようと、次のレースの時間を見に行った。そしたら別のところで表彰式をやってた。あ、これがあの某サイトでやってたスポンサー制度だな。近くで見ると、馬の巨大さがひしひしと伝わってくる。レース終了直後で馬もコーフんしてる。しかし本当にでかいな。表彰式が終わって、次のレースまで20分くらいなんで待つ。やがて始まったレース、今度はちゃんと写真をとったよ。こうしてばんえい競馬の初体験リッチモンドハイが終了したのでした。ホテルに戻ってシャワー浴びて寝た。すっげー寝心地の悪いベッドでビックリした。