8月12日(月)
よく寝た。ぐっすり寝た。起きたら雨が降っていた。
昨夜のは何かの間違いじゃなかったかと思い、もう一度天気予報を見たら、やっぱり雨の予報だった。
全国の天気予報を見たら、見事に北海道だけ雨で、他の地域は全て晴れなのであった。
あちこちで40度越えたと大騒ぎのようだ。こっちは昨日の夜は寒いくらいだったぞ。その点だけだな、良かったのは。何もいい考えが浮かばないので、とりあえず温泉に入ることにした。気持ち良かったので何も考えつかんかった。風呂から出てしばらくボーとしてた。ボーとしながらも考えた。今日は、今回のツーリングの目玉の知床クルーズだったんだが、この様子では運休だろう。知床も去年みたいな暴風雨かも知れん。行く意味なしだな。よって、さっさと次の宿に向かうのが正解だと思う。
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地図を見て距離を計算したら、直行すると2時間で着く。8時に出たら10時に着く。素晴らしい。なんでこんな計算になるかというと、次の宿泊地が川湯温泉だからである。標津から知床をぐるりとまわって戻ってくるルートだ。何でこうなったかって、それはそれがいい作戦だと思ったからさ。しかも、途中に知床クルーズの時間を加味してあるので、それをスルーしたらますます時間短縮だ。どうすんだ。いろいろ考えて、結局、計画通り走ることにした。奇跡が起こって知床が晴れるかもしれん。
絶対ないだろうけど。
作戦が決まったので朝ごはんにする。食堂に行ったら、昨夜の美人の中居さんはいなくて、年配の中居さんだったので残念だったんだが、その中居さんが全然慣れてないみたいで、一気に3組の朝食客が来たもんで右往左往しちゃってた。持ってきた味噌汁ごぼした。昨日の晩飯に比べて随分寂しい朝飯だった。さっさと食って部屋に戻る。窓から外の様子を見たら、飯に行く前より降りが激しくなってるじゃん。しかし、待ってても止むわけないので強制出撃である。荷物をまとめてチェックアウトである。
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幸い、ここはガレージに入れたるので、荷物の積載を雨の中やらんでいいからその点は救いである。露天駐車だったら、カッパ着用でやらないかん。荷物を積んで、完全装備の雨対策でガレージからバイクを出す。国道に出て出発する。
容赦無くザーザー降りなのである。
どうしようもないのである。
ひたすら走るだけだ。
去年と同じだ。
いかんなあ、本当に道東に嫌われちゃってるなあ。晴れの羅臼岳なんか、何十年も見てないよ。ひたすらひたすら淡々と耐えるツーリングを続けて、羅臼にやってきた。本当はホクレンで入れたかったけど、ガソリンの残量が心配だったので、羅臼のエネオスで入れて、道の駅羅臼に入った。ここでお土産を買う予定だったので、雨が降っるんでカッパ着用びしょ濡れなんだが、駐車場に入った。相変わらず激混みで、こんな雨の日にも観光客は多いのであった。
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さすが世界遺産なのであった。カッパを脱いで、ヘルメットと一緒に、軒下に置いて店内に入った。ここで買っておかないと、この先、買うところがないかもしれんので、全部揃えて買って送ってもらったら想定以上の金額になってビビった。よし、これでお土産終了。もう何も買わないよ。毎回、最後の収支決算で、お土産金額にげろげろーってなるんだけど、今回もなりそうだな。道の駅羅臼を出たら、一気に知床横断道路を駆け上る。
近年3度目の土砂降り視界不良の知床横断道路、
これじゃ、近所の田んぼを走ってるのか
世界遺産を走ってるのか
さっぱりわからん。わははは。
ツキに見放されたライダーを笑ってくれよ。もう何やってんだか、高い旅費をかけて雨の中走ってる物好きアホライダー。しかし、対向車線には、同じように高い旅費をかけて雨の中を走るライダーたちが次々とやってくるのであった。お前ら物好きだなあ。アホだなあ。みんな元気にピースサインしてくるのでこっちもピースサインを返すのだった。アホは一人じゃなかった。ういあのっとあろん。駆け上って駆け下りて、あっという間のウトロ入り、道の駅に入ってバイクを止める。
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去年はセンターの軒下にバイクが止まっていたが、今年は一台もなかった。幸い、ウトロは雨が止んでいた。空も明るくなってきた。ちょっと期待していいのかな、ひょっとして、知床クルーズ運航するのかな、などと思いつつ、とにかく寒かったんで、ホットメニューが欲しかった。セイコーマートがあったので歩いて行った。セブンイレブンもあったけど、北海道だからセイコーマートを選んだ。店に入ったら、納品の最中で、棚は空っぽだった。げ、またこのタイミングかよ。店の人にホイップあんパンがないか聞いたら、積み上げられた納品箱を示してまだこんな状態なんでわかりませんと言われてしまった。探してくんないんだ。仕方がないのでホットの缶コーヒーだけ買って飲んだ。
そしたら、突然、雨が降ってきた。
一気に本降りになった。
慌ててバイクに戻り、脱いでたカッパを着用、軒下に逃げ込んだ。しばらく止むのを待ったが、全然その気配はなかった。さっきまでちょっと明るかった空は暗くなり、完全に雨の日モードなのであった。
こりゃダメだ。
知床クルーズは完全に無くなった。
終わりだ。
何もかも終わった。
茫然自失。我田引水。言語道断。高校の国語で四字熟語をいらんほど暗記させられたなあ。あんなこと全然意味なかったなあ。覚えてるのこの3つだけだ。しかし、ではこの北海道ツーリングに意味があったのか? と聞かれたら、意味があったと答えなければ、そのレゾンデトルを自ら否定することになってしまう。おろらく、教育というものもそんなもんなんだろうな。悟りを開いたところで、諦めて出発した。これは今日は1日じゅう雨かと思いつつ、斜里に向かってひたすら走っていくと、途中から道路がドライになった。なんだと。そして、空が急に明るくなっって雲が切れた。青い空がのぞいた。おお、これは、毎日恒例のちょっとだけよーん、のサービスカットだ。毎日こうだもん、もう騙されんぞ。2日目は苫小牧でちょっと晴れ、3日目は阿寒湖でちょっと晴れ、今日は斜里でちょっと晴れか。
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ではその晴れを活かして、越川温泉に行こう。昨年、鉄道の廃墟を見に行って、意外に良かったところのそばにある温泉だ。某温泉マニアの方に、あそこまで行って入ってこなかったんだーとダメだしされてしまったので、あわよくば今回狙ってたんだよ。もちろん、知床クルーズに参加してたらそんな時間なかったが、知床クルーズが無くなったなら大丈夫である。斜里から国道244号線に曲がってどんどん走って行く、日がさしたりする。ちょっとだけよだからあんまり喜ばないぞ。
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しばらく走ったら、鉄道の廃墟が現れた。その近くにドラム缶が門柱になってるところがあったので、そこに入った。砂利なんでビビったがゆっくり走って山小屋みたいな建物のところまできた。
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バイクを止めて手ぬぐいを持って小屋に入った。なかなか充実した施設である。いろいろ注意書きもあったが、とりあえず社会的良識を持ってきた入浴すれば問題ないだろう。でかい貯金箱に200円入れた。ブーツを脱いで上がった。奥の方に脱衣所があって、カゴがあったのでそこに荷物を入れた。
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風呂場にいくと、ワイルドな風呂があった。養殖場の池みたいな風呂にチューブから湯と水が流し込まれている。掛け湯をして入った。ちょっと温度高めだな。でも気持ちいいな。貸切だぜ。ここは男湯も女湯もないということは、
混浴なのか。
ムフフ、
こうして待っていれば、
一人旅の美女が現れるかもしれん、
いや、若い娘の2人旅なんかありそうだよな、女の子は2人揃うと大胆になるから、キャピキャピ言いながら入っていいですかあーとか平気で入ってきちゃったらどうしよう。そう思っていたら、本当に2人旅の車がやって来た。おお、ついに彼のオートバイ彼女の島が実現するのか。と思ってたら、2人組は同じような温泉マニアでした。レア情報満載の人たちで、某温泉は今は入れない、とか某温泉は、もう復旧の見込みなしです、とか、北海道の秘湯をほとんど知ってるみたいです。2人組はカラスの行水みたいな早さで入って出て去って行った。それからまた貸切になったが、やっぱり2人組の美女は現れないので出た。バイクに戻って記念撮影した。
そして、斜里に戻るルートで走って行く。国道391号線で川湯温泉を目指す。だんだん曇ってきたので、ちょっとだけよサービスカットは終了のようだ。できれば雨が降ってくる前にチェックインしたいよな。びしょ濡れの荷物を持ち込むのは避けたいもんな。しかし、早く着いてはチェックインできんので意味がない。そんなにペースをあげないで走ったが、それでも川湯温泉に2時前に着いてしまった。
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まだ雨が降らないことを願って、硫黄山に行ってみた。ここはいつも素通りしてしまうので、今回は時間もあるので行ってみた。駐車場にバイクを止めて、歩いて行く。すげー。こりゃ、山全体が登別の地獄谷みたいになってるんだ。そこらじゅうでごぽごぽ言ってるよ。毒々しい黄色いところがあちこちにあって、硫黄の匂いとガスが吹き出しているのだ。まさしくここは地獄の一丁目なのだ。遂にこんな所まで来ちまったぜ。オレももう後がねえって事よ。だがな、ただじゃ終わらねえ。テメーも道連れだ覚悟しやがれ。しかし、その時、ガスが強烈に噴出して全身にその地獄の熱気を浴びてしまった。
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うわああああーやられたー死ぬよう。
こうしてツーリングは終わった。
とうことで、ツーレポを終わります。
しかし、鍛えられた俊敏な肉体が反応し絶体絶命の危機を脱したのだった。こんなところに長居は無用だ、緊急脱出だ。なんちゅう恐ろしい所を観光地にしてるんだ北海道。バイクに戻って一目散に硫黄山を後にした。まだ時間があるので、そういえばさっきまで見かけた観光牧場で乗馬ができると看板があったから、行ってみよう。行ってみたら駐車場が砂利だった。入るかどうか、ちょっと迷った。しかし、馬がいっぱいいて楽しそうだったので、入ることにしようとしたら、乗馬してる観光客の姿が目に入った。
楽しそうな若いカップルだった。
くっそーこんな所まできてイチャイチャしやがってー、いやしかし、若いカップルが楽しそうに乗馬してるのは絵になるが、きちゃないおっさんライダーがおっかなびっくりへっぴりごしで乗馬してるのってどうよ? 急に嫌になって止めた。で、早めのチェックインできんかと思って、今日の宿、味噌のホテルに向かった、味噌でできてるホテルね、そう、朝なんか便利なんだよって違う、御園ホテルだよ。川湯温泉街の外れの方にあるホテルだよ。すげー立派なホテルだってことは知ってたよ。それが特別割引で泊まれたんだもんね。じゃらんさまさま。
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ホテルに着いた。バイクを止めて中に入ってフロントでチェックインする。しかし、お部屋はまだ用意できておりませんのでと言われて、チェックインの手続きだけして、そこらをウロウロすることにした。郵便局があったので絵葉書を送った。そして、お土産屋を冷やかした。以前、騙されて高いコップを買わされた土産屋はまだ営業してた。何にもないのでホテルに戻る。が、まだ部屋は用意できていない。ホールにはチェックイン待ちの客が何組もいた。みんな天気が悪いのでさっさとチェックインするのかな。どうしようか、まだ雨も降りそうにない降りそうだけど牧場に行ってみようか。
みっともないけど乗馬してこようか。
クルーズ出来んかったからそれくらいにお金使ってもバチは当たらんよな。
うーん、でも雨が降ってきたらヤバイしなあ。
どうしようか。
こういうときの決断力が全然ないのがいかんのだとわかっているけど優柔不断な僕。そうだ、優柔不断はダメだ、行っちゃおう。雨が降ってきたらどうだというのだ、濡れるだけさ。ようしいくぞ。そしたら、ホテルの人がお待たせしました、お部屋用意できましたと言うので荷物を降ろして部屋に入った。荷物を降ろしてから乗馬に行くことも考えたが、部屋に入ったら行く気なくなった。それより温泉に入ろう。当然ながら乗馬より温泉なのであった。ああ、でも乗馬してればよかったなあ。あそこでヘンな意地を張るからいかんのだ。今後は気をつけよう。では温泉に入ろう。最強の酸性湯も誉れの高い川湯温泉を楽しませてもらおうか。
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温泉は階段降りてすぐなのだ。近いのだ。脱衣所は割と混んでた。ハニカムパターンの棚に脱いだものをいれてお風呂場へ移動する。匂いが強烈であった。体を洗って、いよいよ湯に浸かるのだ。この強い酸性の湯は、アトピーや湿疹の人には効果があるものの傷にめちゃくちゃにしみるのである。かきむしったところが痛いんだよ。ゆっくり入って、ジッとしてると、見に覚えのある湿疹のひどいとここがジンジンしてきた。いててててて、出よう。でたら白湯で落ち着かせる。そして再び酸性の湯に浸かる。いててててててて、出よう。でたら白湯に、この繰り返し。それがまるで痛いのに気持ちいいからやめられないアブナイ世界を彷彿させるのであった。ほら、痛いのがいいんでしょ? 女王様お許しください、もっと浸からせてください。3回繰り返して出た、またあとで入ろう。部屋に戻ってツーレポをつけて、それからまた入って女王様おゆるしくださいもっと浸からせてくださいを繰り返し。いいねえ、川湯温泉たまりませんなあ。お主も相当の温泉好きよのう、いえいえタケマ様にはかないませんよ。
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温泉の次はやはり食事でしょう。お食事券を持ってレストランに行く。なんせでかいホテルなんで道に迷ったらどうしようかと思ったら、隣がレストランだった。ラッキー。入ったらすぐに自分の部屋の席があったのでそこへ座った。ご飯とお茶が用意され、鍋に火が入った。刺身がきた。食ったらうまかった。豚の煮物がうまかった。鍋はちゃんちゃ焼きだった。これもうまかった。ご飯を食べ過ぎないように2杯にしておいた。たくさん食ったら、食い過ぎで動けんなんて、またあの時の二の舞だ。今回は前回行けなかった源泉まつりに行くのだもんね。
食い終わって、部屋に戻ったら荷物の整理をして、雨の中走ってるんでムレムレになってるから一度出して風を通しておいた。そしたら、なぜか今度は全部入らんくなった。なぜた。その復旧作業に手間取って時間食ってしまった。なんとかケリをつけて、源泉まつり会場へ行く。遅くなっちゃったので、もう終わってるかと思ったら、ちょうどイベント開催の時間だった。アイヌ舞踊だ。これ、いつもアイヌコタンで見ようと思っていたんだけど上演時間が合わんくて見れんかった。ここで見れるなんてラッキーである。前回やり損ねてしまった、足湯ラリーは今回はやってないみたいだった。よくわからんが。まあいい、アイヌ舞踊が見れるんだから。摩周湖ラムネを買って飲みながら見ようと思ったら、始まる前に全部飲んじゃった。始まったので、これは動画撮影したろと思ってカメラを用意していたのだが、見るのに夢中で終わってた。面白かったよ。特に最後の踊りは爆笑であった。まつりも終わって、寒くなったのでもう一度温泉に入って寝た。