8月15日(木)
4時に目が覚めた。
何で目が覚めたかと言うと、雨音がしたからである。
窓を見たら雨がザーザー景気良く降ってやがった。
もうね、これだけ毎日降ってくれると人間無感動無感情になるというけど本当だよ。これで最後の起死回生作戦の熱気球に乗るのもダメだ。終わった何もかも終わったってこればっかし。もう一回寝て起きた。雨は止んだが曇っているのは変わらない。さてどうする。今日の予定をまるで考えていない。層雲峡に行くのも、ニセコに行くのも、どちらもこの天気ではダメである。ツーリングマップルやら0円ツーリングガイドを見て検討した結果、豊平峡温泉に行くのはどうだろうという案が出た。あそこなら距離もちょうどいいくらいだし、トリトンへのアクセスも容易である。どうせ午前中雨で、昼からちょっとだけよのサービスカットになるんだろうから、午前中は移動する時間にした方がいい。よし決定。あとは荷物を整理しながら朝食の時間まで待つのである。
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暇になったので外に出て見た。すると、なんだか様子がおかしい。おかしい、空が青いところがある。そんなバカな、空は鉛色と決まっているだろう。これはどういうことだ。天変地異の前触れか、あなおそろしやおそろしや、どうやらちょっとだけ晴れているようだ。ふふん、騙されんぞ。これはちょっとサービスカットが早まっただけだ。だから、きっとすぐにまた曇って雨になるのさ。そう思って部屋に戻ったら朝食の時間だった。
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朝食の人数は多かったんで、昨日の泊まり客の一部が朝食のみの宿泊だったのだな。昨日の夜と同じ席で食った。うまいのでお代わりしてしまった。いかん、今日はトリトンだからあまり食っていかん。でも3杯食っちゃった。だっておいしんだもんね。食って部屋に戻ったら、まだ晴れていた。そろそろ、これは奇跡が起きたのかもしれん、いけるかもしれん、と思い、いても立ってもいられなくなって、緊急出撃準備、荷物を一気にまとめて顔を超スピードで洗って、バイクに荷物を運んで、チェックアウトである。宿のママが「きょうはどこまで?」「いえもう帰ります」「あら」「せっかく晴れたのに今日帰るんです」「天気悪かったね」「連日雨でした」「まあ」「カッパ着ないで出発するのは珍しいです」とかなんとか会話、2年前に泊まった客であることも何となく覚えてたらしい。あらやっぱりそうだった? と言ってた。営業トークかもしれんが。
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そんなわけで、今回のツーリングでは初めての晴れている出発である。よかった、今日も雨だったら、全日程雨で史上最悪のツーリングの烙印を押されるところだった。しかし、出発してハタと気がついた。で、どこへ行くの? 豊平峡にいくんか。いや待て、天気がいいならもう一度美瑛富良野に行く方がいいんじゃないのか。その方が北海道っぽい楽しみができる。この6日間、ろくに北海道らしい風景を楽しめなかったからな、雨で。今なら、ピーカンとはいかんがそれなりの天気の北海道らしい風景を楽しめるはずだ。よし、美瑛に戻ろう。
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国道234号線を美瑛に戻って行く。雲が多いがそれでも薄っすら日が照る。昨日までとは大違いの天気だ。ハイテンションで美瑛まで戻った。実は美瑛で行きたいところがあったのだ。何とかの丘だ。すごい、何とかの丘ってなんだよ、よくわかった話だな。いや、よくわからんから、まずは美瑛の道の駅で美瑛ロードマップを手にいれるのだ。きっとそこに地図が書いてあるのだ。美瑛道の駅に着いたらまだ営業時間前だったが、ロードマップは手に入った。これでカンペキだぜ。地図を見て、行先がはっきりわかったぞ。そっちに向かって走り出した。
これまでにないハイテンション、イケイケだ。イケイケで行くと、なんかこれで大丈夫なのか、よくわからんくなってきた。どう考えても美瑛から離れていくけどこれでいいのか。そもそも、目印の北美瑛駅ってどこなんだ? そんあもん無いじゃんか。バイクを止めてよくあたりを見たら、線路のそばに板切れが敷き詰めてある。その横に、ちいさな小屋が建っている。しまった、北海道のローカルを舐めてたぜ。あれは駅だ。あれが北美瑛の駅だ。ということはもっともっと向こうだ。よし再びイケイケだ。
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イケイケで行くと、地図通りの道がカーブして直角に曲がってその先で交差点があったので曲がってちょっと細い道を上がって行く。登り切ったところで、視界は広がり、こうだな畑が見えた。こりゃすげー。すげーけど、ちょっと違うんじゃないか。Uターンして戻ってみたら、曲がるところがあったのでそっちにいくと、はたして、そこのは目を疑うような光景が広がっていたのであった。まさしく、美瑛のすべての丘を見下ろす恐るべき光景が、これは、まるで四次元世界から三次元世界を見ているようなまさしく、神の視点であった。曇りでこの状態なんで、もしピーカンだったら、こんなもんじゃ済まんぞ。シッコちびっちゃいそう。
突き当たりにミニバンが止まっていた。男の人が降りて、後ろから巨大な三脚を取り出すと、おもむろに慣れた手つきで大砲のようなレンズを付けたキャノンEOSをセット、撮影を開始した。曇ってるから残念ですねとか話をした。ここはちょっと穴場の撮影ポイントだそうで、ジェットコースターの道が有名で混んでるからこっちの方がいいとのこと。確かに、突き当たりを右に行くと、まさしくジェットコースターのような道が続いていた。ここを向こうからバイクが来てくるのを待ってるんですというので、ぼくが走りましょうと無理やりモデルをかってでた。そしてジェットコースターの道を走って行って、向こうの方でUターンして颯爽と走ってきた。これまでのライダー人生で一番緊張した。元の場所まで戻ったら、バッチリ撮れました、と言ってもらえて良かった。ちょっとモニタで見せてもらった。アマチュアの戯れ事とは格が違う、いわゆる写真作品というものを見せていただきました。お礼を言って、再びジェットコースターの道をおりて行った。
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この道はUターンしたところからもっと先へいくともっとすごい道になっているので、本当にすごい道だった。こっちに来て良かった。でも、もう一回行けと言われてももうわからん。だははは。モデルをやっちゃったぜベイベーなどとウキウキで国道に戻って美瑛の道の駅に戻った。そこで絵葉書を買って郵便局から送った。
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それから三愛の丘に行った。美瑛の丘ではここが一番お気に入りだ。その付近で写真を撮って、さっきの人のとは雲泥の差だが、それなりのが撮れたと満足して、北海道らしい風景を楽しめた、こっちにきて正解だったなあと思うのであった。
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これで美瑛の見所は抑えたので、次は富良野である。国道に戻って富良野に向かう。途中で、セイコーマートに寄ってお茶を買った。富良野まで戻ってきたら、行くところは一つしかないのである。ラベンダーである。有名なラベンダー園を見に行くのだ。おっさんが花見てどうすると言われても見たいもんは見たいのじゃ。
で、有名な富田ファームに行ったんだけど、すっげー花が綺麗だったよ。観光にきてるおねーちゃんたちも綺麗だったよ。楽しんだらバイクに戻って出発だ。これで富良野も見所を抑えてカンペキだ。ラベンダー園を出たら、次の、そして、今回の北海道ツーリングでは最後のミッションになる、トリトンである。ここから北広島のトリトンまで約100キロ、3時間で行けるだろう。道を間違えなければだけど。行ったるぜ。と思ったら、向こうから変な形の列車が来た。
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あ、あれは、ノロッコ号ではないか! 見たかったんだよこれ。時間をチェックしてくるのを忘れて諦めてたんだけど、ラッキー、バイクを止めて写真を撮った。これでもう思い残すことはない。行くぞ、北広島。
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ルートは国道38号線から道道135号線国道 とちょっとマニアックな道を走る。いわゆる抜け道裏道なんで、みんなすっ飛ばしで走るんだよ。でも先頭が初心者マークの軽自動車だもんで、すぐに大名行列になって大変だった。それなりの速度で国道12号線に出た。この道は面白みのない道だと思ってたけど、晴れてくるとそうでもないね、いままで雨曇りのなかではしってたもんで、晴れの空の下を走るのにはどんな道でもいい道になるさ。
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国道377号線道道1080号線を経由して道に迷わずトリトンに到着した。予定よりかなり早く着いたな。駐車場が結構混んでるから、まだお昼の時間のラッシュ中じゃないか、まあ、ちょっと待たせてもらえばいいな、そう思って店に入ったら、おひとりさまですか、どうそーとすぐに案内されちゃったよ。心の準備も出来てないのに。あわわ、席について、順番がわからず右往左往、トイレに行きたくなって、トイレがわからず、おねーちゃんに聞いたら笑顔で教えてくれたので良かった。それからお茶の湯のみがわからず右往左往して、箸がわからず右往左往して、何とか準備ができたのでようやく食えるぞ、まずはオススメの時しらすを食ったら、すげーうまいのでもう一皿食った。そしてマグロがきたのでマグロも食った。すっげーうまかったのでそれらを交互に食った。注文したのを忘れてた三平汁がきた。あいかわらずでかかった。すっげー熱いので冷ます。その間にまたうまそうなのを食った。よくわからんがすっげーうまいのがあったので、もう一度食いたいと思ったんだけど、ここはスシローと違っていちいち品名が表示されてないもんでわからん。注文しようにも、さっき食ったのをもう一皿くださいって何食ったのかわかんないよ。これは困った。一大事である。この窮地を脱する方法は取り敢えず全部注文するってのはどうだ? これならいつかあたりが出る。でもそれまで胃袋が持つかどうか疑問だ。では、地道にもう一度流れてくるのを待つのはどうだ? それも確実だが、問題は時間的経過の配分だ。クッソー、この作戦もダメか。うーむ、取り敢えずイカが流れてきてうまそうなので食ったらうまかった。それからサーモンとかイワシとかシメサバとか食った。しかし、時しらすを忘れられずまた食ってマグロ食ってそして、ようやく、うまかった謎の魚がサンマだと検討がついた。ここは一か八かこれにかけるしかないぞ。もはやお腹はパンパンで、これ以上食えん、もう一皿が最後になるだろう。この一皿にこれまでの人生を全てをかけるのだ。「サンマください」「へいおまち」おお、それはまさしくサンマであった。うまかった味わって食った。もうこれ以上食えません。しかし、そこで大変なことに気がついた。最後は卵焼きを食おうと思っていたのだ。寿司屋の卵焼きを侮るべからず。うまいんだぞ。しかし、時はすでに遅かった、もはやおなかに余裕はないのであった。人生と同じだな。だがここで引いては男が廃る、もはや背水の陣で卵焼きに挑むのだ。でも流れてこないんだよ。そういえば、一回も見たことないな。注文しないかんのかな。客が多いから、回転早くて追いついてないんだろうなあ。注文するか。言えん卵焼きください言えん、子供でもないのに卵焼きください恥ずかしいそんなこと言えん。これ以上の生き恥をさらすわけにはいかんのだ。っていうか、もうお腹パンクです。時間が経過してお腹が膨張して死にそう。もうダメ、おねーさんお勘定、数を数えてもらった。そこで気がついたんだけど、いい気になって食ってたマグロ、大トロだったのね。一番高い皿だったよ。やっべー。レジに行ったらおねーさんが勘定して蒼ざめた、「おおおおおお客様お一人ですよね」「はいそうです」そしたらホッとして勘定を済ませてくれた。ビックリするような料金でした。まあいいや、今回はいろいろあったから、これくらい大目に見てくれよ。お店を出たらバイクに戻って、すぐ出発するのが無理だったんで、ちょっと胃が消化するのを待った。空は晴れていて、ようやく待ち望んだ晴れの空が帰る日かよ、と毎度毎度の運の悪さに感慨無量、きっと明日からずーっと晴れが続くんだろうなあ。結局、そういう星の下に生まれたんだよ。
しかし、
それでも、
そんな状況でも、
あえて言おう、
トリトン美味であると。
なんとか胃がこなれたような気がしたので、ぼちぼち行こうか。
時間が早くついた時は、この後、どこか最後に温泉に入ってから苫小牧に帰ろうと思ってたんだけど、この膨張胃袋ではとても温泉には入れんのでやめた。国道を苫小牧に向かう。途中で出光があったので最後の給油をした。ここで入れておけば、敦賀からも無給油で帰宅できるからな。満タンにして再び苫小牧へ走り出す。順調に走って、最後の休憩ポイント、恒例の苫小牧イオンに到着した。今年も、満足できるツーリングができたらここのスタバのマグカップを買うつもりだったんだけど、残念ながら今回はとてもじゃないが合格点に程遠いので却下。
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こういう時はやはりイオンラウンジでしょう。館内案内板で場所を探して、そこへ行った。ガラガラだった。暖かい飲み物が欲しかったんで、それに寿司の後の口直しにコーヒーを飲んでいたらお菓子の盛り合わせを持ってきてくれた。地元のイオンでは考えられないくらいの量だった。一息ついたら出た。お店は見るほどのものもない。イオンなんてどこも同じだし、しかし、流石に地元の銘菓は充実してたんで、今度はお菓子のお土産はここで買うといいかもね。今度っていつの話かわからんが。イオンを出たら、続いてブックオフへ行く。フェリーで暇つぶしに読む本を買う。掘り出し物があったんで、何冊も買っちゃったよ。2割引でお値打ちだった。
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そして最後は、やはりセイコーマートである。ホイップあんパンとオリジナル缶コーヒーを買った。そういえば、前回、ここでホイップあんパンを買った時は、ついに晴れたぜ、ここからツーリング仕切り直しだぜ、なんて喜んでたよなあ。この後はまともな天気になると信じて疑わなかったよなあ。まさかこんな結果になるとは思いもよらんかった。最後のセイコーマートを出たら、苫小牧東港へ向かった。予定より早い時間に来てしまったが、まあ仕方が無い。他に行くところもないし、毎回思うんだけど、もうちょっと市街に近いと良いんだけどね。ギリギリまでヒマつぶししてられる。市街から東港までの暗い暗い長い長い道のりがちょっとやなんだよなあ。乗船待ちのレーンにバイクを止めて、フェリーターミナルでツーレポつけて時間を潰す。
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車輌乗船時刻が22時45分とあったのでそれまで余裕で大丈夫と思って、30分前にバイクに戻ったら、もうみんなフル装備で乗船待機してた。全車両エンジンもかかってた。げ、案内放送あったんか、聞こえんかった。バイクにまたがってヘルメットをかぶったら、ちょうど乗り込みが開始された。ナイスタイミングということにしておこう。印刷してきたチケットを読み込んでもらって、スロープを上がって行く。この船はいつもの2輪専用スペースはなく、壁面に並べる方式だった。しかも荷物を載せる棚がないから下ろした荷物は甲板に直に置くことになる。やだねー。いい加減荷物下ろすのやめにしてくんないかなあ。とはいえ全部下ろした。そして客室に向かう。みんなのバイクを見たら、載せっぱなしの人やサイドバック装着したままで客室に向かう人もいた。あれいいんかよ。係員もなんかいうわけでもなく係留作業してる。おいおい、いいんかよ。全部おろせってちゃんと注意しろよ。
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客室に入って寝台の確認、行きと同じような場所だった。着替えてさっさと寝た。
さようなら北の大地。