3章 暗雲の行程
8月14日(木)
結局、あんまり寝れんかった。で、朝になって窓から外を見たら曇ってた。なんだよ、またダメか。今日も天気が悪いようだ。ガックリである。ガックリだが仕方がない。朝食時間まで荷物の整理とツーレポを書いて、7時になったので、7階のレストランに行った。昨日と違って質素な朝食だった。さっさと食って、部屋に戻ったら出発準備、荷物を一度で全部下ろせるのである、素晴らしいのである、一度に全部持って1階まで降ろして、バイクをホテルの前まで移動させたらそこで積んだ。積む時間も実に短縮された。素晴らしい。そして3階のフロントでチェックアウトした。支配人かな? 年配の女性がにこやかに見送ってくれた。
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バイクに戻ったら出発する。昨日は送ってもらったんで、位置関係がすっかりわからないが、とりあえずまっすぐ走って行ったら国道9号線に出た。この国道9号線で松江まで走るのである。あっさりわかってラッキー。その上セブンイレブンもあったので、寄り道して、またしてもセブンカフェもおあずけの1リットル麦茶購入したのであった。そして、水筒に移していたら、スッゲースタイルバツグンの、近所の会社の事務員さんの制服着た美人のおねーちゃんが闊歩して行くので、つい見とれてこぼした。
セブンイレブンを後に、国道9号線を走っていく。次はガソリンである。早めに入れておいた方がいいだろう。すると早速昭和シェル石油があった。しかし反対車線であったおで通過。続いてコスモ石油、これまた反対車線で通過、そしてまたしてもコスモ石油反対車線通過。どうなってんだ、浜田は反対車線ばかりじゃないか。これがツーリングのマーフィーの法則だ。給油が必要な時、現れるガソリンスタンドは必ず反対車線にある。そんなこと言ってるうちに浜田を離れてしまった。仕方なく、次の街、江津まで行く。今度あったら、反対車線でも入ろう。で、現れた昭和シェル石油は、やはり反対車線だった。もう迷わず入って給油した。やれやれ、これで一安心だ。出発して、多分、次は進行方向にガソリンスタンドがあるんだぞ、絶対そうに決まってる、と思いつつ走って行ったら、それから続けて3軒、進行方向車線にガソリンスタンドがあった。バカにしてんのか。
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それから、曇り空の今にも降り出しそうな中、タラタラと国道を、何の感動もなく、ただ流されて生きている堕落した人生のような走りで、温泉津温泉を過ぎて、サンドミュージアムを過ぎて、石見銀山付近で雨が降ってきた。あらら、ついに試合終了だ。これで三瓶温泉に行く作戦は却下である。泣けるぜ。仕方がないので道の駅でカッパ着用、なんか蒸し暑いのだが、我慢して走っていく。しかし、ちょっと降ったら、カッパを着たせいか止んでしまった。何てことだ。でも、着なかったら土砂降りになるんだよ。そうだよ、そういう星の下に生まれたんだよ。ついてない人生を送るのさ。クソ、もうイヤになっちゃった。何もかも、もうめちゃくちゃだよ。出雲に入って、さすがに暑くてたまらんので、ポプラによってカッパを脱いだ。で、そこで、なんかパワーダウンしてるのでカツを入れるべく、今はやりのレッドブルを買って飲んだろか、と思ったけど、高かったのでやめてオレンジジュースを買った。飲んだらパワー全開、やはり人類はビタミンCが不可欠ですばい。おお、そうだばい。この博多弁が必要ばい。この力強さ。ようし、いくばい。割烹温泉を目指すばい。
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ということで、温泉博士の掲載温泉である、出雲の割烹温泉ゆらりに向かう。場所がよくわからんのだが、国道431号を走ってたら、看板が出ており、その通りに走ったらあっさり見つかった。もっと迷うかと思ったが、ラッキーである。しかし、想像してたのとちょっと違った。掛け流しの温泉というのだから、もっとホテルか老舗旅館を想像してたら、フツーに大規模日帰り温泉施設であった。駐車場にバイクを止めて、温泉博士とタオルを持って中にはいる。典型的なスーパー銭湯風の温泉だ。レストランに売店もある充実した施設だった。温泉博士で入浴受付したら、温泉入口をくぐって進むと、広い廊下ののちに男湯女湯の分かれ道があって、男湯の方に入った。脱衣所はそこそこの広さだが、そこかれ風呂場へいくと、巨大な内湯と巨大な露天風呂が合体した温泉天国であった。こりゃえーわ。体を洗って早速内湯にはいると、ちょっと熱めの湯で、続いて露天風呂がちょっと熱め、気持ちいいけど長湯できない。すると樽湯があったのでそこへ入ったら、実に丁度いいぬるめの湯、ここで長湯してしまった。だって気持ちいいもんな。どうせ、この後行くとこないもんな。三瓶温泉をパスしちゃったからな。タンノンして出た。実に気持ちよかった。それに、遠方の地で温泉博士の活用を目標としていたので、これで目標達成だ。さて、次はどうしよう。行くところないので、とりあえず松江に向かうことにした。国道431号を進んで、あっという間に松江に着いてしまった。ホテルのチェックイン時間には早いので、どうしようかと思ったが、明日の天気もわからないので、明日のスケジュールだった米子の方に行くことにした。
境港方面に向かって走った。案内表示の通りに走っていくと、やがて、広大な宍道湖が出現した。曇り空が本当に残念である。晴れていたら、本当に素晴らしい光景なんだろうなあ。止まってNikonで撮影しまくりだよ。今回は新型Nikonを持ってきたのに、まるで出番なしってのが天気が悪い証拠だよ。ブツブツ言いながら走っていくと、やがて遠くに巨大な橋が見えてきた。そっちの方に進むと、大根島周遊路を走って、巨大な橋までやってきた。そこに向かう光景がなんか見覚えがあるなあと思ったら、歩道にやたらと人がいるんだよ、すげー人。で、みんなスマホ構えてるんだよ。道路に出ないでください危険です、看板がってもかまわず路上でピースサインしてスマホ撮影会ですよ。なんだろう、ああ、わかったよ、これが、あの有名なベタブミ坂だよ。あのダイハツのテレビで有名になったところだよ。そうだ、ここだったよ。そうかだからみんなスマホ撮影会してるんだ。で、「いいね」をもらおうとしてるんだ。しかし、ただの坂じゃんかよ、ただの橋じゃん。角島もそうだけど、必死になって撮影するほどのものかよ。お前らみんな踊らされすぎ。お前らみたいなのを、国を滅ぼすB層ってんだよ。そうやってテレビでやってるから、みんながやってるから、って言ってると思考停止脳になるんだぞ。馬鹿者どもが。くそ。でも、話題の場所だから、せっかく来たんだから、ちょっとバイクを止めて撮影すれば良かったかな。
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橋を超えたら境港市である。ここには水木しげるロードなど、見所があるのだ、とりあえず、解散センターに行って見た。解散センターってなんだよ。方向性の相違か。方向性の相違で解散する人が集まるところ、違う、海産物センターだよ。そこへいくと鬼太郎がお迎えしてくれた。中にはいてお値打ちな海産物を買い込んで家に送った。送ったら、次はどうしようと思っていたら、雨が降ってきた。なにすぐ止むよ。さっきもそうだったもんね。石見銀山の雨。大丈夫、と思って走ってたら、本降り土砂降りになってきた。バイク停止、緊急カッパ着用。なんてこった、また松江に戻らなきゃ、来た道を戻って松江に帰った。
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土砂降りの中のチェックイン、最悪なのであった。しかし、幸いなことにこのホテルルートインは立体駐車場が標準装備である。隣の立体駐車場にバイクを入れて、雨風から避難すると、同じくびしょ濡れのトリッカーのライダーもいて、やれやれですなーと言葉を交わし、その横に止まったクルマの方からも、この天気では大変ですねーとお言葉を頂き、なかなか雨降りの日はドラマチックな出会いがあるのであった。そうこうして、土砂降りの中、荷物を運んでチェックインするのであった。なんか団体さんがいて忙しそうです。柴俊夫の娘みたいなフロントのねーちゃんの対応でチェックしんした。部屋に荷物を運んで、やれやれであった。狭い部屋だな。エアコン全然効かんぞ。蒸し暑いぞ。濡れたカッパを干したり、いろいろやって、さて問題は晩飯だ。晩飯は付いてないので、外食になるんだよ。でも、この土砂降りでは外に行けないじゃないか。困ったな。とおもいつつ、窓から外を見たらもう止んでた。アホか。じゃあもうちょっとゆっくり走ってくりゃ良かった。一番最悪なタイミングでチェックイン時間だったわけだ。そうだよ、どうせそういう星の下に生まれたんだよ。もうむちゃくちゃだよ。もうダメだ。何もかも虚しくなってきた。いかん。そうだ、なんか食えば元気が出るはずだ。人間、腹が減ると発想が敗退的になるのだ。よし、雨も止んだから外に出て食おう。
着替えて部屋を出てフロントに鍵を渡してホテルを出た。ホテルで食い物マップをもらって、それを参考にしようと思って歩き始めたら、なんか様子が変だ。近所の飲食店って、要するに飲み屋さんばっかりじゃん。まだ営業してないじゃん。準備中ばっかりじゃん。どうしよう困ったな。もう少し時間が遅くならないとダメだ。逆に言えば、もう少し遅い時間なったら営業が始まって選べるようになるんだけど、また雨が降ってこないとも限らんから早く食っちゃいたいんですけど。困った困ったとおもいつつ、ウロウロしてたら、漆の器の店があって、そこでいろいろいいものが並んでたので、つい店に入ってしまった。で、お土産にアレ買おうかコレ買おうか、などと悩んで、しかし、食いもんの予算がわからんから、金銭的な問題があるので、とりあえず、食ったらまた来ようと思って、いったん出た。そして、再び、あちこちお店を探した。しかし、松江の街ってなかなかいい雰囲気なんである。やはり城下町なんだな。いろいろ面白そうな店もある。掘りは観光用の流し舟が営業してる。そしてなにより、旅女子のグループが何人も歩いてるんだよ。これがまたかわいくって。旅先の女のコは、開放的で大胆になるんであります。いけません、お父さんは許しませんよ。同じグループの女のコたちに会って、あら、さっきもお会いしましたね。なかなかお店がやってませんね。私たちも困ってるんです。じゃあ一緒に探しましょう。あらうれしいわ。なんて事になるわけないのであった。実は1軒だけ営業してた店があって、どうしてもなっかたらそこにしようと思ってたんだけど、結局、そこにすることになった。地元の大山とり料理の店だということで、まあ、旅先で食う晩飯としてはいいんじゃないの。
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他にもないし、ここにしよう。入ったら飲み屋さんだった。げ、一人なんでカウンターに案内された。どうしよう。飲み屋の注文わからんなーとメニューを見てたら晩御飯セットってのがあったのでそれにした。あんまり期待してなかったけど、スッゲーいい感じの晩御飯セットだったので良かった。大山とり唐揚げはデラうまかった。大山どりの肉じゃがもうまかった、宍道湖でシジミ味噌汁は必須です。素晴らしい。食ったら消費税上乗せのお金を出したら、ウチは税込表示ですからと返してくれた。そして、お店の外まで見送ってくれた、なんていい店だ。今度きた時もここで食おう。お店を出て、さっきの漆のお店に向かった。予算がかなり少なく済んだので、安心して漆のお土産が買える、などと思いつつ、お店に行ったらシャッターが下りてた。要するにもう閉店してた。まあ、こんなことになるンじゃないかと思ったけどさ。ガックリしながらホテルに戻って風呂に入って天気予報を確認したら、明日も明後日も雨だった。さらにガックリ、事態は絶望的だった。もうダメだ。もう寝る。