8月13日(日) 晴れのち曇りところにより雨
予定通り6時に大分港に着岸した。急いで車両甲板に降りてもすぐに出られず、排気ガスの充満した中で苦悶するのが毎回の失敗なので今回はゆっくり降りた。そしたら遅すぎた。もう他のライダーみんないなかったよ。同じようにゆっくり構えていたアメリカンの人が一人いるだけでした。何事も程度の問題があるな。しかし、車両甲板でまたされることなくフェリーを降りて、いよいよ九州上陸だぜ。バイクを、出たすぐのところに止め、フェリーの荷物をツアラーバックに突っ込んでから出発した。
まずは別府を目指し、あわよくば温泉に入るつもりが、ジョイフルに遭遇、おお、朝ご飯がまだだった。ジョイフルで朝飯決定、お店に入ると繁盛してます。朝ご飯499円、あれれ、値段高くなったかな。まあいいや。注文して待つ。だいぶ待たされた。繁盛してるからな。出来た。食ったらさっさと出発だ。別府で温泉は時間が早いのであきらめ、湯布院を目指す。そこらあたりで温泉に入ろうという魂胆だ。鶴見岳の標高をどんどん上げる県道を走って、今回も乗るのは見送りの別府ロープウェーを横目に、別府湾に昇る朝日が目にまぶしいぜ。今日は絶対に晴れることを確信するひとときであった。まあ、後で全然ウソとばれるのだが。丁度コスモ石油があったので給油することにしたら、まだ建設中でした。残念。今回はコスモカードで給油することにしてるのだ。そのほうが少しでも安くなるのではないかという淡い期待。どんどん走っていくと、毎回毎回ここで止まって由布岳を眺めるところに着いたので、またしてもバイクを止めて写真撮影。
本当に九州はすばらしい、と思える一瞬だな。その先で、コスモ石油(営業中)を発見してガソリンを補給した。ようし、ガソリン満タンだ。では温泉温泉、今回の旅のガイドである、GOGOツーリング誌0円マップ九州編によると、由布院周辺に朝早くからやっている低料金の温泉がいっぱいあるようなので、看板ぐらい出ているだろう。そう思ってどんどん走っていったらいつのまにか由布院を通過していた。おいおい、温泉、看板なかったよ。出してないんだね。がっかり。だが、ここは九州だど。温泉は他にいくらでもあるですたい。おいどんはこの先の温泉に期待するですたい。水分峠からやまなみハイウェイに入る。かつてここを訪れたライダーが、「やまなみに比べたらヴィーナスラインなんて田んぼのあぜ道だ」と絶賛した、やまなみハイウェイ、いやがおうにも期待は膨れる。もうこれで4度目でも、だ。さあて、温泉何処だー。遠くに九重山の峰が現れた。すばらしいながめなので、朝日台でバイクを止めて写真を撮った。ついでにこのあたりの温泉を0円マップで調べると、ホテルの温泉があるようなのでそこに行こう。飯田高原でホテルの温泉の看板があったので行ってみたが、フロントで確認すると午後からですと断られた。きれいな高原ホテルなんだが、仕方がない、次を探そう。それにしてもお盆のさすが日曜日、天気も良いせいかバイクの多いこと、みんなかっ飛んで行くぜ。事故に気をつけろよおまえら。先を急がないライダーは、どんどん抜かされるのであった。
そんな感じで走っていくと、長者が原に出た。以前雑誌のツーレポで見たところだ。写真を撮った。ハスクバーナの新型モタードも来て、止まって撮影していた。あのモタード、値段高いんだよな。カッチョエーバイクだよな。まあ、CB1300にはかなわないがな。さらに走っていくと、標高をあげて牧戸峠の展望台に出た。阿蘇の全貌が見渡すことの出来る絶好のビューポイントだ。バイクを止めてまたまた撮影に忙しい。観光客も多く、みんなピースサインの記念撮影をしていた。峠を越えたところの交差点でバイクを止めてもう一度温泉を検討しなおす。すると、この交差点を西に行けばあの有名な黒川温泉ではないか。温泉雑誌に載っていて、行きたーいと思っていた温泉だ。湯めぐりの温泉だ。温泉手形1200円で3湯はいれる温泉だ。ズバリ、これは行くしかないでしょう。即決行くことに決定。
で、交通量調査中の交差点を曲がって442号線を走る。やがて黒川温泉の看板があり、そこを右に曲がったら黒川温泉郷だった。はじめはぽつぽつと、中心地にくると所狭しと街道の軒を連ねて温泉宿が連立してる。これぞ温泉街ですたい。温泉入ったるでごわすたい。えーっと、バイクは何処に止めるのだろうか。細い道をくねくね行くと、その先に公共駐車場があったのでそこに止めた。暑いので愛知万博でお土産に買った帽子をかぶり、カメラと手ぬぐいを持って、てくてく歩いていく。交通整理の警備の人がいて、そこの細い道を温泉街に降りる。交番や公衆トイレがあり、当たり前なことだが、一般の家もあった。こんなところに住んでいる人はやっぱり温泉宿の人なんだろうなあ。中心部にくると、観光客うじゃうじゃ、しかも、会話を聞いていると半分くらいが韓国人だぞ。九州は韓国からも近いからな。さて何処の温泉に入るか、歩いて吟味を重ねるが、手形は何処で買うのかわからず、まあ、とりあえず1軒入ってみることにした。「秘湯を守る会」のちょうちんがぶら下がった宿にした。
温泉街は中心を川が流れており、それを渡る橋を越えて入り口だ。温泉入りますと伝えると500円ですと言われた。手形は何処に売ってるか聞くと、ここで良いとのこと。なんとラッキー。手形を買って3軒入るぞ。まずはここ、新明館だ。岩風呂洞窟風呂だそうだ。どんなだか気になる。説明を聞くと、なんと、温泉は建物の中ではなく、この川に沿って降りていくとあるんだと。げげ、予想外だ。ボーダフォンはソフトバンクへ。聞いてるか?いえ聞いてませんでした。宿の中にある温泉を想像していたので。川に沿って降りると、まず女湯、そして洞窟風呂、最後が岩風呂だ。対岸から丸見えじゃん。脱衣所は一応あるけど、しきったるだけじゃん。脱衣籠は棚にラフに置かれてるし。ワイルドだぜ。くー、これぞ温泉だぜ。絶対こんな上下皮で来るようなところじゃないな。しかし、これしきのことで右往左往していられるか。服を脱いでどぼーんとお風呂に入った。気持ち良いよコリャ。最高。そうだ、洞窟風呂も行かないとな。パンツだけはいて洞窟に移動する。おお、まさしくこれわ川口博探検隊の気分、我々は洞窟の先で想像を絶するものを目の当たりにする! って温泉なんだけど。お湯に入ると一人では入らないでくださいと書いてあるがなぜだ。十分楽しんで、今度は装備を着るのが大変だったが、わりと空気が乾燥していたのか何とかなった。
よし次だ。今度はその近くにあるふもと旅館に行った。玄関はこっちにあるが温泉は橋を渡ってむこう川だった。同じようなワイルドな作り。温泉に入ると浅いお湯だった。寝湯のようだ。気持ちいいな。このまま寝そうだ。ごろごろして満喫したら出た。橋を渡って戻ると宿を出る。さて、最後の一つはどこにしよう。十分に検討した結果、黒川荘にした。黒川温泉で黒川荘を名乗るくらいなのだからきっとすごい温泉に違いない。
歩いていくと遠い。こんなに遠いなんて聞いてないよ。中心地の真ん中を通る道から脇に逸れ、細い道を下って登って、橋を渡って、本当にこっちで大丈夫なのかと思えるが、しかし、黒川荘その全貌が明らかになるにつれ我々は驚くべき事態を目撃する。なんと、川の向こうは巨大な一枚岩のようなすごいながめで、入り口から建物全体がわからないし、車で出て行く客をおっさんが見送ってるし、これわ1泊ウン万円位しそうな高級旅館だぞ。フロントにたどり着くと、おねーさんが温泉手形を見てすぐに理解してくれた。「ここまで歩いてきたんですか」驚いていたよ。そして温泉の説明、あちらの方から外に出ていただいて降りていくと露天風呂がありますとのこと。暑い中歩いてきたのでぽーっとして聞いていた。「はい。で、どこに温泉があるの?」MIB2のトミーリーみたいだな。もう一度説明してもらって、その通りに行くと温泉はあった。ここはさすがに立派なつくりでした。昨日お風呂に入ってないので、まず体を洗った。それから露天風呂に入ると、さっきの一枚岩が見えて感動もの。これで3湯入ったぞ。この達成感は何もにも代え難いな。黒川荘を出てバイクに戻る。途中、民家の庭先に猫が2匹寝そべっていたので写真を撮ろうとしたら逃げられた。バイクに戻って黒川温泉を後にした。
阿蘇に向かうやまなみハイウェイまで引き返し、壮大な高原地帯を走りぬけると57号線に到達した。が、そこは渋滞、やはり熊本に向かう幹線道路、交通量が多いぞ。阿蘇駅前で曲がって、とりあえずお約束の草千里に向かった。気持ちのいい道だが、観光客の車が多く、バイクを止めて写真をというわけにはいかないな。米塚が見えてきたので、それぐらいはせめて写真と思ったが、止められずそのまま草千里展望台まで来てしまった。車の多いこと多いこと、入りきらない車が路上駐車していてまるでイオンショッピングセンターの新店開店状態だ。それでも火山博物館のある駐車場は有料なせいかまだ入れた。100円払ってバイクは奥の方に止めてと言われ、奥の方に行ったら族車がいっぱいいた。危なそうな人たちの集まりがこんなところで昼間からあるんかい。九州男児恐るべし。落ちついてバイクから離れられず、自販機でお茶を買って飲んだり、近くを写真撮影するくらいしか出来なかった。それも空を見るとなんだか雲行きが怪しい。黒い雲がぽつりぽつりと流れてくのだ。どうも局地的なにわか雨がきそうなので困ったな。これから地獄温泉に行って仙酔峡と思ったがどうするか。地獄温泉の方角の空が曇ってきており、天気が心配なのであきらめて仙酔峡に行くことにした。
しかし、走り出すと仙酔峡の方角も天気が怪しくなってきたぞ。空を気にしていたら、米塚を通過してしまった。くそ、今度こそ写真だけでもと思っていたのに残念。こうなったら仙酔峡は意地でも行ってやる。57号線から線路を横切って仙酔峡道路に入る。普通の生活道路のような道だが、山の方に登って行くとあたりの見晴らしは素晴らしいものに変る。でもまあ、天気がいまいちだから、この前来たみたいな感動はないな。ロープウェイ駅に着いたが、天気が心配なので建物の軒の下に止めた。カメラを持って建物に入ると、おいおい、ここ本当に営業してるのかよとあきれるようなひどい状態。かつては土産物屋さんや飲食店が入っていただろうスペースは物置と化し、申し訳なさ程度に写真が飾ってある。階段を上がって2階に行くと、一応営業しているのが感じられるので一安心。とはいえ、受付には年配の女の人が一人いるだけで、何だかとっても家内製工業な感じだ。切符は往復1500円、一人前取るなー高いなー。丁度出発の時間なのでゴンドラに乗り込む。他にもファミリーやら年配の夫婦が乗り込んだ。頂上駅までゆっくり進む。眼下に広がる光景は素晴らしい。来てよかった。頂上駅に着くと、火口まで歩くのだが、急な斜面を延々20分くらい歩き続けてしんどかった。皮上下の穴から風が入るからまだいいが、それでも火口に着いたらベンチに座り込んでへとへとだった。火口はモクモクと噴煙を上げており、調査用のヘリけたたましい音を立ててが飛んでいる。すげーな、活火山は本当にすげえ。登ってきたかいがあったな。でも向こう火口付近にも観光バスやら観光客がうじゃうじゃ見えるんですけど。あれ、ひょっとして阿蘇道路から行った方が近かったよ。こんなに歩いて登らなくてもいいみたいだし。今度はあっちから行こう。(多分前もそう思ったに違いないが)
帰りには黒雲がごろごろいい出して、頂上駅戻ったら雨が遂に降り出した。ショック! ロープウェイで麓駅まで降り、バイクに戻る。幸い雨のかからない軒下に止めたのでよかったが、これは困った。夕立のような雨なので待てば止むと思い、3時から1時間ひたすら待つが止まない。目の前に青空があるのにだ。それでも小降りになったので出発した。本日の宿、菊池温泉城山荘に向かう。57号を走る予定だったが、渋滞がひどいのでやめてやまなみハイウェイを戻り、ミルクロード経由で走った。雨もやんだので大観峰によった。阿蘇の山の全貌をしっかり見て、九州に来たこを実感する。
思い残す事はないので今度こそ宿へ急ぐ。雨がやんだので大丈夫と思ったら、途中で道を一気に霧が覆った。あまりの事でどうしようもなく、前の車のテールランプをたよりに進む。まさしく霧のロンドンエアポート状態。中央線も見えないし、少し離れると前の車のテールランプも見えない絶体絶命。それでも風が出てきてようやく霧が移動すると、霧の隙間からは阿蘇の峰がかいま見え、何とも言えない不思議な光景だった。案内板に従って菊池市に進むと、雨雲が再び襲いかかってきた。もう少しで宿に着くところで雨が再び降り始めた。しかし、宿はすぐそこだ。看板が出ていたのでそっちに曲がると宿に5時半頃着いた。が、次の瞬間、強烈な土砂振りまさしくたらいの底をぶち抜いた大雨、まるで華厳の滝か那智の滝か、TOYOTAの車のTVCMにあったみたいな状態。あっという間にずぶ濡れ。やられた。それでも必死こいて荷物を降ろし、宿内に避難する。
宿にチェックインした。宿の人は大雨にビックリしていた。部屋に案内してもらうと、まるで迷路のような造りの宿で、しかもバリアフリー? なにそれ? と言わんばかりに段差だらけ。よっぽど改装増築を繰り返して今の形になったのだろうなあ。部屋は一番奥の霧島の間だ。広い、板の間もある立派な部屋で、なかなかいいですよ。荷物は運んでくれた。びしょぬれなので荷物は解体し、中身を全部出してエアコンの風に当てて乾かす。これまで完全防水のザックを使っていたのでこんな事はなかったが、布袋に入れたハンカチと靴下が濡れたので、ビニール袋に入れておいた方がいいな。ビニール袋に入れたパンツとシャツは大丈夫だったから。さて、今回のてるるは早々に不合格と言うことで。ここで捨ててやろうかと思ったが、明日もう一度だけチャンスをやる事にした。明日もこんなんだったら、本当に捨ててやる。晩飯は6時半から部屋で食った。なかなか豪勢な晩飯だった。食ったら温泉に入った。ここの温泉は庭にある露天風呂で、ワイルド。あまりいろいろ考えないで、庭のスペースに露天風呂を作ってみましたといった感じが良いね。シャワーもあるけど、風呂の湯をそのままたらいに汲んで体を洗って風呂に入る。混浴だから女の子には遅い時間誰もいないのを見て入るように言ってるそうで。まあ、こんなおっぴろげな風呂では女の子は入れんぞ。そう思いつつ、ふろにつかる。お湯はぬるぬるで気持ちいい、今日は大変だったな。疲れを癒して風呂を出た。もう早めに寝た。